異世界転生でメタルギアというチートは大丈夫か? 作:コレクトマン
「はい……あの時スネークさんに会わなかったら今頃私は、ドーヴァに連れ戻されて飼い殺されていたかもしれません」
「それにしてもあのおじさん、結構不思議な格闘術を使ってたよね?お姉ちゃんに拘束さえているのにも関わらず隙をついて一瞬で投げ飛ばしたし」
「ルーナ……もうその話題を引っ張らないで……」
「えっと……リーナさんも大変なんですね」
「そう言ってくれると助かるわ。……第八話始まるわよ」
ACT.1-0 逃亡する皇女
ドーヴァ帝国“ピープルリバティ城”ではハト派とタカ派の抗争が激化して国民も巻き込む膠着状態まで至り、ドーヴァの治安が不安定の領域に陥るのであった。エルザは国を支えゆる国民を第一として己の持ちうる術で国民の安全を確保するのであった。そんなある日、実の母エフィーはエルザを皇室に呼び寄せた。
「お母様、お話があると聞いたのですが……一体何の話ですか?」
「エルザ……ただ単に貴女と話しがしたかったの。あの大魔導士が来てから祖国であるドーヴァは日に日に重ねるごとに平和というものが壊れていく様に感じるの……」
「お母様……」
エフィーは己の生まれ故郷が大魔導士“レイ・アデランス”によって壊される様な恐怖を抱いていた。エルザはそんな母を思いを読み取ったのかそっと近づき、そのまま母エフィーを優しく抱きしめる。
「お母様は頑張りましたわ。私が産んでくれた事に感謝しています。お母様は私にとって大事な生みの親であり、私の最後の希望です」
「エルザ………」
「お母様の分は私が頑張ります。そしていつかあの男からドーヴァを取り戻して、民達と共にドーヴァのあるべき姿に戻してみせます!」
娘の決意に安堵したエフィーはエルザの頭を撫でながら抱き合い、エルザに気づかれない様にある無詠唱魔法を発動させる。
「…….…ありがとう、エルザ。それを聞けて安心したわ」
「お母様………アッ………レ………?」
エルザは突如と謎の睡魔に襲われた。母エフィーが放った魔法は睡眠の系統魔法であり、エルザはこれを日々溜まっていた疲労がピークを達したことと勘違いした。それが母の最後の別れになることも知らず。
(アレッ……?何だか…すごく眠い……。私………疲れちゃったの……かしら?)
「エルザ………貴女は生きなさい。例え私が…………になったとしても……」
(お母様?何で………悲しそうな顔を……?何で?……何………で………?)
エルザはエフィーの睡眠の系統魔法で深い眠りにつき、その後にエルザの騎士達ことヘルヴィム近衛騎士団が皇室に入って来た。
「エフィー皇妃殿下、エルザ様は?」
「えぇ、眠らせてあるわ。貴方達は何とかあの組織に接触してエルザを亡命させる為にもその手助けをしてあげて下さい。これは私、エフィー・リ・ドーヴァ皇妃の最後の命令です」
「yes,your Majesty。必ずやエルザ皇女をその組織に送り届けます。ヘルヴィム近衛騎士団の誇りに賭けて!」
ヘルヴィム近衛騎士団の団長が今は眠りしエルザ皇女を抱きかかえ、そのままエルザを連れてドーヴァ帝国から国外逃亡を図り、マナカ共和国の亡命を果たす為にスネークが率いる傭兵組織ジェフティと合流する為に行動を起こすのであった。ヘルヴィム近衛騎士団が皇室を去ってから数十分後、ドーヴァの衛兵達がエフィーがいる皇室に一斉に駆け込んでエフィーを国家反逆罪であるエルザの国外逃亡援助罪で拘束されるのであった。その結果、エフィーは正式な判決が下されるまではピープルリバティ城の塔の最上階の個室に幽閉されるのであった。
一方、眠ったままのエルザを連れて行くヘルヴィム近衛騎士団長は他の騎士達について来るのかを聞き出す。
「お前達、本当に良いんだな?俺とエルザ様と共に行けばお前達も国家反逆罪で死ぬかも知れんぞ?」
「それこそ今更と言うものですよ団長。我々の支えし主人はエルザ様とエフィー皇妃殿下だけです。第一、エルザ様はドーヴァの未来を思って行動してくださったのです。だから我々が何もせずにはいられません」
「そう言う事、俺達でエルザ様をお守りいたし、そしてジェフティと呼ばれる組織に協力を仰いでドーヴァ帝国の未来を取り戻すというものまた一興というもの!」
「……やれやれ。本当に馬鹿で、本当に……俺の自慢の騎士達だな」
他の騎士達の決意は固く、国を救うために一度故郷から離れる事になっても愛国心を捨てず、団長とエルザ皇女と共について行くのであった。そして今は騎士団の足となる馬と馬車を調達して馬車の中にエルザを乗せた後、付近の衛兵には国家反逆罪のエルザを探し出す為に遠征に向かうという命令を皇帝陛下から授かったという嘘をつき、そのままヘルヴィム近衛騎士団はエルザを乗せた馬車ごとドーヴァから逃亡するのであった。衛兵は他の衛兵達からエルザやエルザの近衛騎士団の捕縛指令を聞いた時に己が逃してしまったことに気づいた時には既に遅かった。ヘルヴィム近衛騎士団はドーヴァの追手が来ないのを気に、そのまま密林地帯であるグラーヴェ・ジャングルに逃げ込むのであった。密林地帯にある程度進んだ後に馬を休ませる為にその場で停止し、休息を入れるその時にエルザは母エフィーから受けた睡眠魔法の効果が薄れてきたのか眼を覚ますのであった。
「……え?此処は……馬車の…中?」
「エルザ様、お目覚めになられましたか?」
突如と声を掛けられたエルザは顔を見上げると、そこに居たのは母エフィーではなく、エルザの近衛騎士団である騎士団長がいた。
「お母様……じゃない?………ジョニー騎士団長?」
「エルザ様、どうかお気を確かにお聞きください。貴女様の母君、エフィー様が貴女様の身代わりとなってドーヴァに囚われております」
これを聞いたエルザは一瞬思考が停止したかの様に混乱に陥った。“お母様が囚われた?私の身代わりに?”あまりにも衝撃的すぎる事実に思考が思うように回らなかった。
「エルザ様、お気を確かに!エフィー様から貴女様に伝言が残されております」
「伝…言……?」
「はっ……“エルザ、貴女は生きなさい。例え私が死ぬ事にになったとしても……”それがエフィー皇妃殿下のエルザ様への最後の伝言です」
唯一家族の中で信頼できる母が命がけでエルザを逃したことにショックを受けたのか残酷な現実を受け止めきれなかった。
「ジョニー騎士団長………今しばらく一人に………してくれるかしら?」
「エルザ様………分かりました」
ジョニー騎士団長はエルザを一時的に一人にさせる為に馬車から降りるのであった。一人っきりになったエルザは、母は何故己の身代わりになったのか理解できずにいた。信頼出来るだからこそエルザに託されたのか、それとも大事な娘を守る為にあえて遠ざけたのかと思考が空回りするだけで母の本当の理由を見出すことが出来なかった。
「お母様………どうして私の身代わりなんかを。どうして……………お母……様………」
今のエルザが出来るのは唯悲しみ、泣くことでしかなかった。唯一肉親である母は、エルザの代わりに囚われたのだ。悲しさに囚われながらもエルザはもう一つ決意する。
「お母様……私は歩みを止めません。例えその道が茨の道であったしても……私は、いつか必ず戻ってきます!ドーヴァを取り戻し、お母様を助けてみせます……!」
エルザは悲しみを振り払い、確かな決意を胸に近衛騎士団と共に傭兵組織であるジェフティを探す旅に出るのであった。
その頃、ドーヴァ帝国街“ヴォルフ”の大広間では多数の国民が集まっていた。その大広間に集まる民衆の中にはジェフティのスタッフが紛れており、ドーヴァの政治的経済状況を偵察していたのであった。そしてある程度の時間になると上空にレイの投影魔法で映し出されたアレックス皇帝の姿があった。
『これより……第86代アレックス・ア・ドーヴァ皇帝陛下よりお言葉』
この言葉を皮切りにアレックスは演説台に手にかけて今いる国民や兵士、騎士達に対して力強く言葉を発する。
『聞け!すべての兵士や騎士、国民たちよ。亜人共に対する差別で発端であるハト派とタカ派の抗争はやがて終わる。マナカ共和国にギリス王国そしてネシア法国、彼らには世界を導くだけの力も権威もありはしない。泥沼と化した睨み合いに我が祖国ドーヴァ帝国が苦しんでいる間、マナカとギリスの二大同盟諸国の経済は飛躍的発展をとげた。そして、我々が祖国の為にと作り上げた合成獣戦車“ビーストナイト”によって三ヶ国はこれ以上の軍拡に付き合うしか手段がなくなった。だが、ビーストナイトを作ったからといって平和が訪れるわけではない。いずれきたる日が来るであろうネシア法国やマナカ、ギリスの二大同盟連合との戦争。それらに打ち勝つ為に、これまで抑えつけられていた諸国の民族主義は活発化するだろう。そして、貧富の差の拡大がお互いの憎しみを煽るであろう。人や亜人は平等ではない。生まれつき足の速い者、美しい者、親が貧しい者、病弱な身体を持つ者…。生まれも育ちも才能も、人間や亜人は皆違っておるのだ。そう、亜人は差別されるためにある。だからこそ人と亜人は争い競い合い、そこに親疎が生まれる。不平等は悪ではない。平等こそが悪なのだ。権利を平等にしたマナカ共和国はどうだ?人気取りを衆愚政治に出しておる。富を平等にしたギリス王国は怠け者ばかり。対するネシア法国だが、我がドーヴァと同じ様に人間を差別し、我々と同じ土俵に立とうしている。しかし、我がドーヴァはそうではない。争い競い、常に進化を続けておる。ドーヴァだけが前へ、未来へと進んでいるのだ。我が妻、エフィー・リ・ドーヴァは我が祖国に対して反逆を企てようとした我が娘、エルザを逃したことで同じ国家反逆罪の罪に掛けられておる。しかし、エフィーやエルザの罪もドーヴァが進化を続けているという証。…闘うのだ。競い奪い獲得し支配しろ。その果てには未来がある。オール・ハイル・ドォーヴァア!!』
「「「オール・ハイル・ドーヴァ!!!」」」
圧倒的な皇帝の言葉に民衆の大半は戦争支持に着手するのであった。もはやこれは一種の洗脳に近い状態でもあった。残りの民衆はエルザを支持するハト派であろう者達はエルザの母君であるエフィー皇妃が国家反逆罪の罪で拘束されていることに驚きを隠せずに唯戸惑うだけであった。
「……ドーヴァの方も大変なことになってきているな。早急にボスに連絡を入れなければ!」
ある程度の情報収集を終えたスタッフはこの場をすぐに離れて即マザーベースに帰投するのであった。
そして“ピープルリバティ城”では演説を終えたアレックスは玉座に戻り、大魔導士レイやドーヴァ帝国将軍“ヴォルギン・ゴードン”にある指令を与える。
「大魔導士レイ・アデランス、ドーヴァ帝国将軍ヴォルギン・ゴードンよ。お前達を此処に呼び寄せたのは他でもない、アレックス・ア・ドーヴァが命ずる。国家反逆罪であるエルザを生かして連れ戻し、儂の前に突き立てい…」
「「yes,your Majesty」」
この命令を受領した二人は玉座を後にした。そして二人は兵舎に向かいながら会話をしていた。
「フッフッフッ………久々の狩りだな……」
「ヴォルギン将軍……あえて言わせてもらうが、あくまでもエルザ元皇女の捕縛だ。殺しではない」
「分かっている。……だが、元皇女が抵抗し、暴れられるのも否定できまい?多少は痛め付けなければ大人しくはならんだろう?」
「そう言ってお前は、この前の逆賊の時に首謀者である者を尋問という名ばかりの嬲り殺して重要な情報を聞き出す前に殺してしまったではないか!今度ばかりは俺でも見過ごせんぞ」
「フンッ!帝国の障害は外側だけではなく身内にも存在するのだ。身内の中に密偵者がいないと言い切れるか?貴様は知っているかもしれんが………それに、今の私は元皇女捜索の指揮官であることを忘れるな?」
レイはヴォルギンがエルザ元皇女捜索の指揮官である事に苛立ちを覚えながらも兵舎に歩いていると一人の男がドーヴァでは見慣れぬ銃を片手に銃を回しながらレイ達を待ち構えていた。
「ようやく来ましたか……」
「お前は……」
「オセロットか……こんな所で何をしている?」
「えぇ。私も……いえっ、我々山猫銃士兵団もエルザ元皇女捜索任務に参加させていただきたく存じます」
「何っ?貴様もこの捜索に参加したいと存ずるか………」
「………信用できんな。お前みたいな裏表を顔を持つ男なら尚更だ」
「貴方の言い分も分かります。しかし、人手が多く必要なのは強ち違いありませんでしょう?」
オセロットと名乗る男は一ヶ月前にドーヴァにやって来た頭がおかしい男を撃ち殺し、その頭がおかしい男こと転生者からその能力を奪い、己が物にしたスキル“
「……フッ、いいだろう。貴様の手並みでも見させてもらうとしよう」
「俺としては
「フッ……ご期待にはお答えしますよ、ヴォルギン将軍にレイ・アデランス殿?」
その言葉を皮切りにオセロットはマカロフPMをホルスターにしまい、そのまま部下を集めにその場を後にした。その時にレイはオセロットの参加希望に対して疑問に思った。
(あのオセロットという男……一ヶ月前にやって来た転生者らしき男を自慢の早撃ちで始末し、挙句の果てには転生者の特典を奪い、自分の力として物にした。あの男は俺に計画にとって障害になるイレギュラー、だからといって迂闊に奴を消すのは得策ではない。ならば、ヴォルギン同様に散々使いたおして、ボロ雑巾のように捨ててやる!そうすれば俺の計画は成就する。俺は、何としても国を手にいれる!)
大魔導士レイの野望は己の為の物か或いは誰が為の者かは未だに不明であった。そんな野望を抱きつつもヴォルギンと共に兵舎に向かい、エルザ元皇女捜索の為にも兵を集めるのであった。
その頃マザーベースでは、先日ドーヴァの使者から受け取った依頼の手紙を俺は読んでいた。その手紙の内容は、ハト派の主導者であるドーヴァ帝国第一皇女エルザ・ラ・ドーヴァをマナカ共和国に亡命する為の護衛であった。
「ドーヴァのハト派の主導者が皇女様とは分かっていたが………いやっ、合成獣戦車のことで考えれば嫌でも亜人に対する非人道的手段に訴えることも有りえたか……まさか護衛依頼の目的が亡命のためとはな」
そう考えていると諜報班のスタッフが血相を変えて俺の方にやって来た。
「ボ…ボス、大変です!ドーヴァに潜入している諜報班のスタッフから緊急な知らせです!ドーヴァ帝国の皇帝が実の妻である皇妃を幽閉し、今現在逃亡中であるエルザ皇女を探し出す為にドーヴァ帝国軍の一部が動き出したそうです!」
「何だって…!直ぐにライデンを呼んでくれ、大至急だ!」
「了解です、ボス!」
スタッフは急ぎライデンを此処に来るように通信で連絡を取る。そして俺は空を見上げながらドーヴァの情報統制に不安を抱くのであった。
(不味いな……このままではドーヴァは内戦どころかこの世界で世界大戦の様な戦争を引き起こす可能性がある。俺はあまりドーヴァには良い思い出はないが、戦争によって多くの国民が死に、国としての成り立ちが危うくなる。そうなる前に何としてもエルザ皇女を見つけ出さなければ…!)
俺は直ぐにエルザ皇女を探す為に諜報班に連絡を入れてエルザ皇女をドーヴァの追手より速く見つける様に指示を出す。エルザの存在の有無によって世界の命運が掛かっている事をとうの本人には知る由もなかった。