【完結】アーロン帝国建国記(仮)   作:あきすて

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3話 ベルメール

 

 

 

 あーぁ、やっちゃった……。

 万引きしたナミを叱りつけ、そこから発展して我が子相手に大喧嘩。

 これじゃ未だにゲンさんから不良娘扱いされるのも無理ないわね。

 ノジコに諭されて落ち着いた私は、ナミの迎えをノジコに任せ、特製の料理を作って二人が戻るのを待つことにした。

 家計に大打撃だけど、たまには良いわよね。

 

 あら? 外が騒がしい。

 

ーーコン、コンっ

 

ーーコン、コンっ

 

 おかしいわね。

 この島にノックを繰り返す様な人はいない。

 窓に映る影も一人や二人じゃないみたいだし、これはホントにまずい事が起こりそう。

 

 銃を手にした私は、扉の近くで待ち構える。

 

「はーい。空いてるわよー」

 

「失礼」

 

 そう言って入ってきた人物に全体重を乗せた蹴り浴びせて押し倒した私は、銃を突きつけた。

 

 魚人?

 

「グランドラインの海賊が何の用?」

 

 威丈高に言ったけど、私は内心で焦りを覚えていた。

 これでも私は元海兵。

 その縁もあって、グランドラインの情勢を多少なりとも仕入れていた。

 この時期に連れ立って魚人がやってきたなら、それはアーロン一味しか考えられなかった。

 王下七武海になったジンベエと肩を並べたと言われるアーロン……もし、コイツが噂のアーロンなら私じゃ勝てない。

 私は優位なマウントポジションを取りながら、そう気後れしていた。  

 

「無力、無力!」

 

 一瞬の躊躇いが私から勝機を奪う。

 私の推察は悪い方に的中した。

 無造作に振り払ったアーロンの手は信じられないほど重く、私の身体を軽々と吹き飛ばす。

 

ーーボキッ

 

 地に伏す私の左腕をアーロンが踏みつけた。

 

「ぐぁぁぁぁっ!」

 

 アーロンは本物の化け物だ。

 こんな攻撃、いえ攻撃ですらない単純な動作が私にとって、海兵時代にも受けた事がない致命的な一撃になってるなんて。 

 

「ベルメェール! くだらん正義感で命を無駄にするな!」

 

 私の叫びを聞いたゲンさんが助けに来てくれて、アーロン一味の目的を知ることが出来た。

 大人は10万、子供は5万。 

 金を払えば見逃してくれるみたいだけど、これはそんな単純で甘い事態じゃないわ。

 

 魚人達は、この村を支配しようとしている。

 そうじゃないと、金額を区切る真似なんてしないで、有り金を根こそぎ奪っていくはずよ。

 

「10万あるそうだ。金が足りて良かった。これで村人は全員無事だ」

 

 冷や汗をかいたゲンさんが、下手な演技をして必死に誤魔化そうとしてくれている。

 

 でもね、ゲンさん……それじゃ助からない。

 島からの脱出手段をまず奪う、これが島を支配しようとする海賊達の常套手段。

 今頃きっと、この島の船は残らずこいつ等に沈められている。

 もうノジコとナミは逃げられないの……。

 それに、例え演技でも家族が居ないなんて言えないよ。

 

 そう考えた私は、覚悟を決めた。

 悔しいけれどお金を払って、娘達の身の安全を確保しよう。

 私は助からないし、遺された娘達も苦労するかもしれない。

 でも、私の分まで生き抜いて。

 生き抜けば、きっと良いことがあるんだから。

 

「ノジコ! ナミ! ……大好き」

 

 のんびり話している時間はない。

 抱き付いてきた娘達を突き放してアーロンと向かい合った私は、思いの丈を一言に込めて娘達に告げた。

 

 そして、アーロンが引き金を引く…………。

 

「止メロ! アーロン!」

 

 銃声の代わりにどこか無機質な声が響いた。

 リュックを背負った黒髪に白地のラインが入った子供が、見上げるようにしてアーロンと対峙している。

 

『娘を売った金で払え』

 

 子供はまるでパズルでも組み立てる様に、私達の気持ちを一切考慮しない打開策を披露した。

 確かにその案なら3人とも助かる。

 だけど、そんなものは受け入れられない。

 娘を売るくらいなら死んだ方がマシよ。

 

『自己満足ノ為二死んデ娘達ヲ悲しマセるカ、生きテ娘達ト話せル機会ヲ得るカ、ダ』

 

 私の覚悟を嘲り笑うように子供が話す。

 自己満足……確かに助かる道があるのにそれを選ばないのはそうかもしれない。

 だけど、人として、親としてやっちゃいけないことだってあるんだよ。

 でもその一方で、私が死ぬと子供達が傷付くのも事実ね。

 

「ベルメールさん……死なないで」

「ベルメールさん……死んじゃやだ」

 

 二人の娘が瞳いっぱいに涙を浮かべて訴える。

 私の覚悟に迷いが生じる。

 

「アーロンさん、この家海図があるョ」

 

 そうこうしている内に勝手に動き回っていたタコの魚人が、ナミが書いた海図を見つけた。

 

「ほぅ……見事なもんだ」

 

 タコの手から海図を受け取ったアーロンが感嘆の言葉を漏らす。

 

「ダメっ! それは私が書いた大事な物よ! 返してっ」

 

「貴重な人材だ。連れてこい」

 

 海図を取り返そうとしたナミが、逆に魚人に捕まり連れ去られようとしている。

 止めようとしたゲンさんが斬り伏せられ、尚も魚人達に立ち向かおうとしてくれた村の皆は、たった一人の子供の流れる様な攻撃で倒された。

 

 アーロンが化け物なら、あのシュヴァと呼ばれている子供も化け物だ。

 今はまだ手が付けられる程度の化け物だけど、年齢的に見てもこれから成長していくのは間違いないんだから、アーロン以上の化け物に育つ可能性だってある。

 

 私はアーロンよりも、シュヴァが怖い。

 強さもそうだけど、あの人を人として見ていない目がなにより恐ろしい。

 アーロンは良くも悪くも私達を人間として見下している。

 だけどシュヴァは違う。

 シュヴァの目は、私達を人間として見ていないのよ。

 あれは、無機物を見るような目。

 まるで盤上の駒を動かす様に、シュヴァは私達の気持ちを一切考えない。

 おそらく海軍支部ではアーロンはおろかシュヴァにだって歯が立たない。 

 

 これからどうなっちゃうんだろ?

 

 柄にもなく気弱な事を考えた私は、意識を失いその場に倒れた。

 

 

 

 

 一夜明け、私はドクターの診療所のベッドの上で目を覚ました。

 身体を起こした私は、ベッドの傍で眠るノジコの頭を優しく撫でる。

 

「ん……? ベルメールさん!? ベルメールさぁん!」

 

 目を覚ましたノジコが私に抱き付き、アーロンに踏まれた左腕がズキっと痛む。

 

「目が覚めたか、ベルメール。命が有って幸いじゃが、その左腕は元通りには動かせぬかもしれん」

 

 ノジコの声を聞いたドクターがやって来て俯き加減に教えてくれる。

 

「そっかぁ……蜜柑……どうしよっかなぁ」

 

「私が手伝うから大丈夫だよ!」

 

「うーん……でも重いからノジコにはまだ無理かなぁ」

 

 蜜柑の収穫だけなら右腕だけでも出来るけど、左手が使えないと運べない。蜜柑でいっぱいになったコンテナって結構重いのよね。

 

 ドクターがナミの事を真っ先に言わないのは、あまり芳しくない状況だと察した私も他の事を口にして思案する。

 誰もが敢えてナミの事に触れない……重い空気が病室に漂いかけた。

 

 そんな時、アーロン一味に連れ去られたナミが戻ったと知らせが入る。 

 

「行こう、ベルメールさん!」

 

 満面の笑みを浮かべたノジコが私の手を握る。

 

 

 

 

 村の大通りに向かうと、既に沢山の人達が集まっていた。 

 その中心にはナミが居る。

 

 良かった。

 見た感じ怪我も無いし自分の足で立って歩いてる。

 でも、心なしかナミの様子がおかしいわ。

 笑みこそ浮かべているけど、ナミはこんな能面みたいな作り笑いをする子じゃない。

 

「ナミ……無事で良かった。変な事されなかったかい?」

 

「私……アーロン一味に入って海図書くの」

 

 私の問いかけに札束を取り出して握りしめたナミの肩に、アーロン一味の証となる入れ墨が掘られていた。

 

「許さない! 私達の為にベルメールさんは死ぬとこだったのよ! アイツらに殺されかけた」

 

 入れ墨を見たノジコが激昂し、ナミに飛び掛かる。

 馬乗りになったノジコがナミの頭を揺すって怒りをぶつけ、それに応じてナミも心無い言葉を口にした。

 

「出て行け、ナミ! もう二度とこの村に足を踏み入れるな!」

 

 見かねたゲンさんがノジコを制止して、ナミを怒鳴りつけた。

 

 涙を溜めたナミが走り去る。

 

「ナミ!」

 

「出過ぎた真似をして、すまん…………だが、ナミにとってお前は親じゃなかったというのか」

 

 違う。

 そんなことはない。

 貧乏だったけど、私達は確かに家族だった。

 走り去った時のあの子の顔は、言いたい事を我慢している時の顔よ。

 きっと何か事情がある。

 親の私があの子を信じてあげなくてどうするのよ。

 

「ベルメールさん……」

 

 ノジコが何かを訴える様に私の服の裾を引っ張っている。

 分かってるよ、ノジコ。

 ナミを迎えに行きましょう。

 

 

 

 

 波の音が聞こえる高台。

 お気に入りの場所でナミは膝を抱えて蹲っていた。

 

「どうしたのよ、ナミぃ?」

 

 務めて明るく声をかけてナミから事情を聞いてみると、それは予想を超えた酷いものだった。

 

 助けに来た海軍の船5隻が簡単に沈められた。

 それを目の当たりにしたナミは、村を救うにはもう自分で何とかするしかないと思ったそうよ。

 そして、交わした契約が三億ベリーで村を買う。

 額を決めたのはアーロンだけど、発案したのはシュヴァ。

 子供が考えつく様な内容じゃないわよね。

 人の弱みに付け込んだ悪魔の様な発想。

 村の買い取りを餌にしてナミに海図を書かせようって魂胆が見え見えだけど、逆らえない。

 

「本部は動かない。余計なことはするな……ってシュヴァが言ってたよ」

 

「そう……」

 

 シュヴァからの伝言を聞いた私の心境は、「やっぱりね」だった。

 この大海賊時代にはよくある話。

 王下七武海制度を筆頭にした、手が付けられない海賊達の黙認。

 多数の為に少数を切り捨てる施策は、世界中のあちらこちらで散見されるのが現実。

 これは政府が悪い訳じゃない……人手が絶対的に足りないのよ。

 王下七武海制度はその足りない人手を補う意味もあって、海軍の中に反対意見があっても続いている。

 

 小難しい話は抜きにして要するにで言うと、このココヤシ村は政府に見捨てられたということね。

 そして、私への伝言をわざわざナミに与えたのは「余計な事をすればナミを殺す」と暗に伝えたかったのでしょうね。

 

 上等じゃない。

 そっちがその気なら、こっちは意地でも生き抜いてやるんだから。

 

 その日からアーロン一味による村の支配が始まった。

 

 

 

 

 

「邪魔ヲすル」

 

 三日後、全く悪びれた様子もなく、シュヴァが我が家にやってきた。

 この先、金が払えなくなりそうな家を回って助言するというシュヴァが選んだ一件目が、私……って余計なお世話よっ。

 

「ドウセ子供の金ハ使ワナいンだロ?」

 

 勝手にテーブルに座ったシュヴァは、蜜柑を手にすると四つに割って食べ始めた。

 変わった剥き方だと思いながら手元を見ていると、水掻きがない事に気が付いた。

 

 この子、魚人じゃない?

 だったらどうしてアーロン一味に?

 

「えぇ、そうだけどあんた達には関係ないでしょ! さぁ、用が済んだなら帰ってくれない? タダでさえあんた達のせいで、こっちは肩身が狭いのよ」

 

 ナミの事情は村の皆に言ってある。

 家族であるナミが村を裏切ってアーロン一味に入ったんだから、私達の肩身も狭い……ということになっている。

 そして、ナミとアーロン一味に対してはそう振る舞うと決めている。そうしないと、私達の期待がナミの足かせになっちゃうからね。

 

「ン? ソウだっタナ。肩身ガ狭い振りモ大変ダナ」

 

「どうして!? まさかっ、見聞色!?」

 

 いずれはバレるかもしれないと思っていたけど、いくらなんでも早過ぎるわ。

 

「あっ…………さぁナ。トニかク俺達としてモ、イキナリ死なレテは困ル。金が払エナい奴ハ殺ス。殺せバ数が減っテ実入りが減ル。子供デも判る理屈ダロ? そういう訳ダカら、話だケデも聞ヶ」

 

「勝手な理屈ね……それで、話って?」

 

 話したくはないけど、シュヴァが見聞色を使えるか確かめておく必要がある。

 もしも、シュヴァが見聞色の覇気を使いこなしているなら、私達が何を考えても筒抜けになってしまう。

 

 話してみると、どこで得た知識なのかシュヴァは蜜柑農家の事情を知っていた。

 蜜柑に限らず、専門農家の大半は収穫時期以外は収入が見込めないのよね。

 私とノジコの分で毎月15万となると確かに厳しい。

 

「ダカラ1年分ノまとめ払いヲ特別に認めてヤル。たダし前払いダ」

 

「そんなの無理に決まってるじゃない! うちは貧乏なのっ」

 

「貧乏そウダかラ俺が来たんダ。良いヵ? 奉貢さエ払えバ俺達ハ関知しナイ。ソの後デ生活費が足りナクナって誰か二借りタトしてモ、ダ」

 

「お金が無いって言ってるのに、まとめてなんか払える訳ないし、払う意味も無いじゃない! ね、ベルメールさん?」

 

 うちは確かに貧乏だけど、二人して貧乏貧乏言わなくても良いじゃない。

 今年はちょっと何処も豊作過ぎて売れ行きが良くないだけなんだから。 

 それと、ノジコ。

 シュヴァが言ってるのはそういう意味じゃないよ。

 

「なるほどねぇ。確かにあの時アーロンは借りた金での奉貢は禁じたけど、生活費の貸し借りまでは禁じていないわね。だけど、そう上手くはいかないよ」

 

 作っても売れない現状をシュヴァに教えてやる。

 それにしても、アーロンの言質を逆手に取るこんな発想が出来るなんて、この子は見た目通りの年齢なのかしら?

 

「ソんなことヵ。問題ナイ。俺達ガ売り捌ク」

 

 そう言ってシュヴァが提示した条件は悪くなかった。

 魚人としての能力を活かし通常の3倍の早さで運搬し、それによって通常の3倍近い広さの販路が構築出来る。

 販路が大幅に広がれば、それだけ売れる可能性も高くなる。

 海賊に襲われても返り討ちにすると自信満々で言い放ち、万一積み荷の損失が出た場合は幾らかの保障をするとまで言ってきた。

 船体を赤く塗れば完璧とかも言っていたけど、色は関係ないわよね?

 

 もしこれが、アーロン一味からの提示でなく色がオレンジなら私は喜んで契約したでしょうね。

 でも私達を支配して、ナミを苦しめる魚人と手を組むのは気が引ける。

 

「何ヲ迷う? コノ条件でモお前の利益ハ充分に見込めるハズだ。こっちモ人手を出す以上、これ以上はドウにもナラナいゾ」

 

 私が何を考えて迷っているのかシュヴァは心底分かっていない。

 と言うことは、シュヴァは見聞色を使いこなして私の考えを読んでいるわけでもないようね。

 

 だったらどうしてナミの事を知っていたのかしら?

 考えたくないけど、村人の中に密告者が…………いえっ、そんなことはあり得ないわ。

 ナミの態度がおかしいと集まってくれた村の皆の中に、魚人に媚びを売る様な真似をする人は居ないと信じてる。

 

 だったら、何故……?

 

「せっかく作ったんだから売ろうよ!」

 

 そっか。

 そうだよね、ノジコ。 

 決め手になったのはノジコの言葉と腐らせるのは勿体ないの精神。

 

 私はシュヴァと販売契約を結んだ。

 

「それジャアナ」

 

「待ちなっ……シュヴァ、アンタのホントの歳は幾つなんだい?」

 

 話してみた感じシュヴァが見た目通りの年齢とは到底思えない。

 世の中には容姿だけでなく、年齢そのものを変える悪魔の実もあると聞くし、シュヴァもこれを食しているのではないかとアタリをつける。

 

 そして私は後悔した。

 好奇心は身を滅ぼすってよく言ったものね。

 

「母さんガ俺ヲ産んでから10年ダ。ソレがドウシタ?」

 

 妙な言い回しで年齢を答えたシュヴァは、恐ろしい迄の殺気を私に叩きつけてくる。

 理由は判らないけどシュヴァに年齢を聞くのはタブーって事ね。

 

「じゃあ私より2歳も年下じゃない。年下なんだからあんまり偉そうにしないでよね」

 

「残念だナ。俺は支配者側デお前は支配される側ダ。歳は関係ナイ。偉そうにサレたくないナラお前達モこっち側に来ればイイ。歓迎してヤるゾ」

 

「絶対に嫌!」

 

 シュヴァの恐さに気付かないノジコが舌を出す。

 

 不思議と怒る気配を見せないシュヴァは「残念だな」と言い残して帰っていった。

 

 

 

 

 

 

 それからシュヴァは、他にも村を回って金をばらまいた。

 アーロン一味が暮らす居城を作るから人手を出せ。

 金は払う。

 朝の8時から夜の8時まで見張りを置く。

 二人一組。男女のペアは認めない。

 金は払う。

 交易用の船を作る。

 金は払う。

 

 アーロンが鞭ならシュヴァは飴。

 

 でもね。

 シュヴァの奴は自分の施策が、アタシ達の心を踏みにじっているとは露程も分かっていないんだよ。

 

 自分達を支配する奴等の居城を作らなくちゃいけない人々の気持ちが分かるかい?

 船を沈められた漁師がアンタ達の船を作るやるせなさが分かるかい?

 金は払う?

 その金は元々、私達から巻き上げたもんじゃないか?

 支払われた金がホンの数日前まで自分の手元にあった金だと気付いた人の気持ちが分かるのかい?

 

『当たり前ダロ? 金を循環させて何が悪い?』

 

 悪びれる事無くシュヴァは言う。

 確かに海軍学校で習った経済学でもお金の循環が大事だと言っていたから、アンタは間違っていないんだろうね。

 

 だけどね、私達はあんた達の支配を認めていないし、望んでもいないんだよ。

 娘を人質に取られ、闘う娘を見守る事しか出来ない親の気持ちが分かるのかい?

 

 あの日から3年経った。

 アーロンの支配は今も続いている。

 ナミの闘いも続いている。

 幸い、村人の中に死者は出ていない。

 

 だけど、最近になって問題が出た。

 

「ねぇ、ベルメールさん? アイツって実は良い奴なんじゃないかな? ナミのことも手伝ってくれてるみたいだしさ」

 

 ノジコが話すアイツとはシュヴァの事。

 

 ハァー……。 

 得体が知れないシュヴァだけは止めといてほしいんだけど、言っても聞かないんでしょうね。

 

 なんたってノジコは私の娘なんだから。

 

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