ヘアバンドなのか
「着いたゾ。起きろ、ナミ」
「ン……?」
シュヴァに揺り起こされた私は、眠い目を擦って空を見上げた。
太陽が南天に差し掛かっている……結構な時間眠っていたみたいね。
「んっ〰️〰️……?」
両腕を上に伸ばし伸びをしていた私は、揺れの少なさから船が停泊している事に気が付いた。それに、なんだか喧騒のような声も聞こえてくる。
嫌な予感しかしないんだけど、確かめない訳にもいかなくて、船縁に手をかけた私は周囲の様子をソッと窺った。
私の視線の先。
小さな入江に作られた木製の桟橋。
そこに様々な海賊旗を掲げた船が停泊している。
そして、武器を手にした無数の海賊達が陸の上から罵声を浴びせてきていた…………。
「馬鹿じゃないのっ!? なんで正面から堂々と乗り込んでんのよっ!」
信じらんない……。
百を越える数は相手に出来ないって言ったのはシュヴァのはずよ。それなのに、なんで五百を優に超える数に見つかってんのよっ!?
こっちはシュヴァにクロオビ、それと名前も知らない魚人が六人。私は闘えないからたったの八人で相手にしないといけないって判ってるのかしら?
一人辺りにしたら百よりは少ないけど、まともに闘える戦力差じゃないわ。
調査って言うから付いて来たのに、これじゃ話が違うじゃないのよ。
「どうする、シュヴァ? クリークとやらは此処には居ないようだぞ」
「やっぱりか……まぁ、俺に任せロ。プランAは破棄、プランBでヤるゾ」
「おれも行った方が手早く終わるのではないか?」
「いや、俺のきぉ……調べが正しいなラ、何人か厄介な奴が居るはずダ。そいつラが姿を見せない内はナミを無防備には出来ない」
私が寝ている間にある程度の作戦を立てていたみたいで、キレる私を無視したシュヴァとクロオビが簡単に打ち合わせを済ませた。
プランAやBがどんな内容か知らないけれど、シュヴァって次善の策とか考えるのが好きなのよね。
「飛ぶゾ」
私を小脇に抱えたシュヴァが甲板を蹴ると、フワリと浮き上がって岸辺に着地。
船に残ると危険なのは判るけど、荷物の様に扱うのは止めてほしいわ。
クロオビ達もシュヴァに続いて岸辺に跳び移る。
そして、名前も知らない魚人達が私を中心に円陣を組んで取り囲み、クロオビがその一歩前で腕を組んで陣取った。
「行ってくる、ナミは任せタ」
「おぅ」
散歩にでも向かうような気軽さで、シュヴァがクリーク海賊団の元へと歩いて行く。
――やっちまえーっ!
たった一人のシュヴァの元、武器を振りかざしたクリーク海賊団員達が群がるように襲いかかった。
「嘘……でしょ……!?」
シュヴァが何をしているのか、遠目で見ていても私には分からない。
ただ、アイツが海賊達の間を流れる様にすり抜けるとバタバタと倒れていく。
クリーク海賊団だって馬鹿じゃない。
正面から誰かが斬りかかる時には、必ず背後からも誰かが斬りかかっている。
それなのに、シュヴァはまるで知っていたかの様に淀みなく、軽やかに全ての攻撃を避けている。
「スゴい……」
違うわ。
自然と感嘆の声が漏れたけどそうじゃなくって、これはマズイのよ。
武器を持ったクリーク海賊団が相手にもならないなら、ろくな武器を持たない村のみんなじゃもっと相手にならない。
【私はアーロンよりシュヴァが怖い】
【今はまだ弱っちいけど、その内手がつけられなくなるわ】
いつだったか……そう、あれは一年間生き延びる事が出来た記念に開いた、ささやかな祝いの席。
珍しく酔ったベルメールさんが言っていた言葉を思い出す。
それから五年。
シュヴァは本当に手が付けられない化け物になっている。
「た、助けてくれ……お、おれ達はもうあんた達を…………」
ふと気が付くと、背後から声がする。
お腹を押さえたバンダナの男が、よろめきながらこちらに近いて来ていた。
何なのこいつ?
シュヴァの攻撃を受けてここまで逃げて来たの?
いえ、そんなわけないわ。
クロオビが見逃すハズないもの。
「…………絶対に許さねぇっ!」
――ドカッ!
私がヤバいっ、と思うと同時にバンダナの男が鉄球付きのトンファーで、私の近くにいた魚人を文字通りに殴り飛ばした。
そして、次は私とばかりにギロっと睨んだバンダナの男がトンファーを振りかぶる。
「ちょっと待ってよ!?」
こんなので殴られたら死んじゃう。
私は……こんなところで死ねないのにっ。
目を瞑った私は衝撃に備える。
――バキッ!
鈍い音が聞こえた。
でも、痛くない?
恐る恐る目を開けてみる。
「ほぅ……少しは手応えのある人間もいるということか」
「クロオビっ……!」
私とバンダナ男の間に割り込んだクロオビが、肘にあるヒレで鉄球を受け止めている。
「下がっていろ、ナミ」
言われた私がクロオビから距離を取ると、名前も知らない魚人達も同じように付いてきて円陣を組む。
これってやっぱり守ってくれてるのよね……。
私を同胞だと思っているから?
いいえ、違うわ。
コイツらは単に私が書く海図が欲しいだけっ。
「エイっ!」
私が自問して自分に言い聞かせている間に、クロオビとバンダナ男の闘いが始まっている。
正拳突きを放つクロオビ。
それを変な体勢でかわすバンダナ男がトンファーを振り回し、クロオビは其を肘にあるヒレで受け止めているけど辛そうね。
これってもしかしなくてもクロオビが押されてる?
このまま死んでくれたら万々歳………………って、私はいつから人の死を望むようになっちゃったんだろ?
アーロン一味の支配は絶対に嫌だけど、私はこんな自分も嫌なんだと思う。
早くアーロンの支配から抜け出して、心の底から笑える様になりたい。
その為にも私はこんな所じゃ死ねないのよ。
なんとか……なんとかしないと……。
でも、どうやって?
私の力じゃ二人の闘いに割って入ることなんて出来っこないわ。
「クロオビ、交代だ。ソイツを殺せる位でないと、俺が困るんダ」
「シュヴァっ!」
いつの間にか、集団を相手にしていたハズのシュヴァが私達の元へと駆け付けていた。
「よく判らぬ事を……だが、任せた。行くぞ!」
私だけじゃなく、クロオビもシュヴァの言いたい事が分からなかったみたい。
だけど問答する時間が惜しいと思ったのか、クロオビは魚人を三人引き連れるとシュヴァが相手していた集団の方へと走って行った。
「お前はソコから動くな。俺が守ってやル」
そう言ったシュヴァがバンダナ男へと攻撃を仕掛ける。
でも、なんだろう?
さっき下っ端を相手にしていた時よりシュヴァの動きがぎこちない。
避けてはいるんだけど、余裕がない。
――バキッ!
バンダナ男の鉄球がシュヴァの顔面を捉えた。
吹き飛んだシュヴァが、私の足元で大の字に倒されている。
「だ、大丈夫なの?」
「なんダ? 心配してくれるのヵ?」
「だ、誰がアンタの事なんか……って、全然平気そうね」
頭の辺りに逆手を置いたシュヴァは、全身をバネの様にして軽やかに起き上がる。
「タフだって事を忘れていただけダ。
「何よそれ? わけわかんない」
「大体判ったし、すぐ終わりにする…………持ってロ」
何が判ったのか分からないけど、そう言ったシュヴァはリュックを脱ぐと、ソレを押し付ける様に私の方へと預けた。
「あ、アンタ……それ……」
リュックを脱いだシュヴァの背中に光る黒いヒレ。
シュヴァは人間かもしれない。
勝手だけど、私や島の人達はそんな風に考えていた。
裏切られた。
何故だかわからないけど、私はそう思った。
「お? シュヴァのヤツ、本気か?」
私の近くに残っていた魚人が、シュヴァを見て声をあげる。
特に驚いた風でもないところをみると、この魚人達はシュヴァが魚人だって知っていたみたいね。
「ね、ネェ……シュヴァって何の魚人なの?」
シュヴァが魚人なのは、もう間違いない。
出来るなら何の魚人なのか確認しておきたい。
もしもサメなら強さの裏付けになるわ。
「アイツは魚人じゃねーよ」
「半魚さ。父親だか母親だかが人間だって話さ」
「海王類を除けば最強の海洋生物、シャチの半魚人だな」
ペラペラと話す魚人達。
話した事も、話の内容も意外だった。
「えっ……? シャチって魚じゃないわよね?」
「そうだったか? まぁアイツはアイツだ」
「違ぇねぇ。何だってかまわないさ」
「アイツは俺達の同胞だからな」
疑問に思う私がおかしいのかしら?
名前も知らない魚人達は、シュヴァがシャチでも全然気にしていないみたい。
「これで、終わりダっ!」
私がホンの少し魚人達と話している間に、シュヴァはバンダナ男を追い詰めていた。
至近距離で鳩尾を殴られたらバンダナ男は、そのまま力なくシュヴァにもたれ掛かった。
勝負アリ……って、とこかしら?
バンダナ男を肩に担いだシュヴァは、乱戦を続けているクロオビ達の元へと向かって行く。
シュヴァがバンダナ男を戦場のど真ん中に投げ捨てると、乱戦が収まる。
そこで何かを話したかと思うと、シュヴァとクロオビ達は戦闘を止めて戻ってきたわ。
「引き上げるゾ」
「殺さなくて良かったのかしら?」
戻ってきたシュヴァにリュックを手渡しながら、私は虚勢を張った。
実際のところもクリーク海賊団の下っ端達は、倒れているだけで死んでない様に見える。
「ん…………? そうだな。あんな下っ端をいくら殺したところで意味はない。頭を潰さないといくらでも湧いてくるからナ。だから、決戦を申し込んダ」
「決戦って……信用できるの?」
「勿論ダ。俺はクリークが信用出来ない男だって事を信用しているからナ」
そう言って不敵に笑うシュヴァ。
私はそんなシュヴァが…………怖かった。
◇◇
それから。
アーロンパークへと戻ったシュヴァは、クリーク海賊団に決戦を持ち掛けた事を報告すると、その日はアーロンパークの守りを固める様に進言したわ。
騙し討ちのクリークなら適当に兵力を割った上で、主力をアーロンパークの略奪に、もう片方を囮として決戦の地に向かわせるだろうと読んだのよ。
そして、その読みは見事に当たった。
決戦の日。
巨大ガレオン船を中心に船団を組み、コノミ諸島へと大挙してやってきたクリーク海賊団。
兵の数ならクリーク海賊団が圧倒的に有利だったけど、待ち構えていた魚人達は岸辺に接舷する前に大半の船を沈めた。
アーロンパークに上陸出来たのは、意図的に攻撃しなかった旗艦であるガレオン船と運良く攻撃から逃れた数隻のみ。
舐めた真似をしたクリーク本人を確実に殺す為のアーロンの計画。
ガレオン船から降りてきたクリークはアーロンが。
バンダナの男はハチとチュウの二人で、盾男はクロオビが担当する形で闘いが始まった。
どの闘いもアーロン一味が有利。
形勢が悪いと見たクリークは起死回生を狙って毒ガス弾を使用したけど、これさえもシュヴァの読み通りだったわ。
クリークが毒ガス弾の発射を宣言するなり、魚人達は海中へと避難してやり過ごしたの。
『兵力を整えたらまた来てやる!!』
そう言い残したクリークは、アーロンパークから逃げ帰った。
多分だけど、クリークは決戦の地に向かわせた囮部隊と合流すれば、直ぐにも船団を再編成出来ると思ってたのでしょうね。
だけど、そうはいかない。
決戦の地にはシュヴァが一人で向かっていた。
信じられないけど、例えクリーク海賊団の全軍が来たとしても、返り討ちにするだけの自信がシュヴァにはあったみたい。
その翌日。
私の元に届いたニュース・クーがそれを証明する。
そこにはアーロン一味とクリーク海賊団の決戦の情報をキャッチし捕縛に向かった海軍支部が、クリーク海賊団諸とも壊滅したと書かれていた。
ヒラリと落ちる手配書が一枚。
【千人殺しのシュヴァ】
【懸賞金・1200万ベリー】
◇◇
決戦の日から3日。
シュヴァはまだ帰らない。
私は一人、海岸線を眺めて物思いに更けていた。
『たった一人で決戦に向かい、まだ帰らない』
私からそう聞いたノジコは、心配を隠そうともしなかったわね。
一体あんなヤツの何処が良いのかしら?
アイツは魚人で、私達を支配して苦しめる
なんでも話すと約束した間柄だし、シュヴァが魚人だって事をノジコに伝えるべきなのは分かってる。
でも、言いたくない。
私が伝えたら、ノジコは心の整理をつけてしまう。
だれが、そんなことしてやるもんですか。
アイツが自分で魚人だって伝えて、戸惑うノジコを相手にあたふたすれば良いのよっ。
「だから……早く帰って来なさいよね」
――バシャ!
私が呟いたその時、何かが海から跳び出てきた。
「あ、アンタ、生きてたの!? って、もしかして泳いできたとか言わないわよね?」
シュヴァだ。
全身ずぶ濡れだけど、リュックを背負ったいつもと変わらない姿のシュヴァが立っていた。
そう……こいつは何も変わっていない。
変わったのは私の見方のほう。
「あぁ、意外に時間が掛かるもんだナ」
「呆れた……そりゃあ、そんなリュックなんか背負ってたら時間も掛かるわよ。捨ててくれば良かったのに」
「ふざけロ。これは俺の宝ダ。それよりアーロンパークの闘いはどうなっタ?」
ここまで泳いで戻ってきたシュヴァは、あの日の顛末を知らない。
私はかいつまんであの日のあらましを教えてあげた。
「…………って感じで闘いは私達の勝ちよ。でも、クリークには逃げられたわ」
「ちっ……これも
「あ、待ってよ! ノジコのとこにっ……って、あ〰️〰️もうっ!」
私が話しているのに、何かを呟いたシュヴァはさっさとアーロンパークに向かって駆け出した。
仕方がないから追い掛けたけど、全然追い付けるわけもなく、結局私はアーロンパークまで走ることになった。
◇
「ビビってんじゃねーゾ! アーロンっ!! 俺とあんたの二人なら、アイツらにだって勝てるっ!」
「いっぱしの口をきくようになったじゃねぇか、シュヴァ。だがっ! 誰がビビってるだァ!?」
「お前だっ、アーロン!!」
どうなってるの!?
私がアーロンパークに付くと、シュヴァとアーロンが殴り合っていた。
「ね、ねぇ、どうしたの!?」
一瞬、シュヴァが反旗を翻した!?
とも考えたけど、他の魚人達が黙って見ているんだからそれはなさそう。
クロオビの元に駆け寄り事情を聞いてみる。
「ナミ、か…………これはアーロンさんとおれ達魚人の問題だ。人間のお前が口を挟むことではない。今日のところは帰れ。ハチっ、送って行ってやれ」
「うぃ~っす」
ハチに首根っこを掴まれた私は、追い出される様に蛸壺に放り込まれると、ココヤシ村に返された。
結局、何が理由でアーロンとシュヴァが殴り合っていたのか分からない。
口が軽い名前も知らない魚人達に聞いてみても、これに関しては何も話してくれない。
ただ、この日から私のアーロンパークでの行動は制限されるようになった。
◇◇
表面上は何も変わっていない。
アーロン一味に法外な貢ぎ金を払う為に働き続ける毎日。
私のやることも変わらない。
お金を、貯めてココヤシ村を買い取るのよ。
少し違いが有るとすれば、あの日を境に魚人達は身体を鍛えることが多くなった。
そして、シュヴァはこの時期がくれば長期の間、アーロンパークを留守にするようになった事かしら。
今、シュヴァは居ない。
だからと言って反乱を企てる人は
正確に言うならもう居なくなった、ね。
儲けても儲けても半分取られる。
それに我慢が出来なくなったゴザの町の一部の人達が、シュヴァが居ないと知って反乱を起こしたの。
でも、アーロンが反乱なんて許すハズもない。
赤子の手を捻るように簡単に鎮圧されたわ。
一部の金に目が眩んだ人達の巻き添えで、ゴザの町は見るも無惨な姿に変えられた。
魚人に逆らっても殺されるだけ。
武力に訴えても無駄……そう再認識した私は、アーロンとの契約を信じて盗賊家業に励んだの。
そんなある日。
私はバギー海賊団に潜入した。
バギーは非道で知られる海賊団だけど、万が一盗みがバレてもアーロン一味だって刺青を見せてやれば逃げられる。
そんな打算が私には有った。
そこで出逢った麦わら帽子の海賊。
最初はカモにしようと思っていたけど、彼等と過ごしていると、私は自然と笑う事が出来た。
気の良い人達。
そして、信じられない位の強さ。
でも、それは人間にしては、って言葉が頭に付く。
ルフィやゾロがいくら強くたって、多分シュヴァには敵わない。
助けて!
そう言いたくなる言葉をぐっと呑み込んだ私は、敢えて彼等を
だけど、私はルフィ達の人の善さを甘く見ていた。
私を仲間だと言って追い掛けて来てくれた。
涙が出るくらい嬉しい事だけど、無理なのよ。
人間では魚人には勝てない。
大丈夫だから放っておいて。
何も根拠がなくて言ってるんじゃないの。
顔を腫らせたシュヴァはあの日、言ってくれたの。
『悪い様にはしない。余計な事はしてくれるナ』
だけど、
……
………
…………
海軍が私のお金を奪っていった。
悪い様にはしない?
コレがあんたのやり口なの、シュヴァ!?
ノジコだって傷付いた。
こんなのが、あんたの言う悪い様にはしないなの!?
それからの私は、自分でも何をどう動いたのかよく覚えていない。
多分、アーロンの元へ行って抗議し、ルフィに向かって怒鳴り散らし、村のみんなの反乱を防ぐ為に作り笑顔を浮かべて見せたと思う。
でも、止められなかった。
きっと皆死んじゃう。
シュヴァが留守でもアーロンが居る。
魚人の強さは変わらないのよ。
気付けば私は、自分の肩にあるアーロン一味の刺青をナイフで突き刺していた。
「ルフィ……助けてっ」
ナイフを握る私の手を掴んだルフィに、私は……助けを求めた。
「当たり前だぁっ!!」
そう叫んだルフィが麦わら帽子を私に被せてくれる。
何の変哲もない麦わら帽子。
だけど、ルフィはこれを宝と言って大事にしている。
麦わら帽子を深く被った私は、ルフィの真っ直ぐな優しさに涙が流れた。
そうして暫く泣いた私は、思い出した。
『ふざけロ。これは俺の宝ダ』
シュヴァのヤツも何時いかなる時でも背負っていたリュックをそう表現していた。
それをアイツは私に預けてくれた。
そうよ。
シュヴァは私に宝を預けてくれた。
「……止めなきゃっ」
私が村の皆を第一に考える様に、アイツは他の何を犠牲にしてもアーロン一味を第一に考える。
きっと、それだけなのよ。
犠牲にされる方としては許せる事じゃない。
だけど、きっと何かある。
もしもこのままアーロン一味を倒しても、シュヴァが私達を許さない。
そうなれば、今よりもっと哀しい事になる。
「みんなっ、無事でいて!」
私は祈る様な気持ちでアーロンパークへと駆け出した。
という訳でナミ視点は終わりです。
クリーク確認時はプランAで皆殺し。
クリーク未確認で殺さずのプランBから決戦を持ち掛ける手筈。
どっちのプランでもナミの護衛はします。
主人公の前世はヒャッハーな世界。
口調、性格等は似ていません。
単に名前繋がり。