刀使ノ巫女という作品に刃鳴散らす要素を入れて妄想してみました。
天才剣士と言われてるツバクロちゃんの、稽古シーン集みたいなものです。
彼女が親衛隊に入る前はどんな感じだったのか。
この作品は妄想で出来ております。

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定期的にこういうのを書きたくなってしまうブロxです。
刀使ノ巫女という作品に、名作刃鳴散らす要素を入れて妄想してみました。
12歳!天才剣士!と言われてるツバクロちゃんの、稽古シーン集みたいな物です。
 彼女が親衛隊に入る前はどんな感じだったのか。

作者は口だけは達者なトーシロです。しかも今作ぐだぐだ長いわ会話も全然ないわで、本当誰得かって作品です。
 
 とじみこにハナチラなんてぜってー合わねえだろ!
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この作品は妄想で出来ております。









例えばこんな燕結芽ちゃん

 

 

 

 

 

 

 燕家には家伝の『剣法』・『居合術』がある。

 

 

燕結芽(つばくろゆめ)がそう聞かされたのは、彼女が学んでいる天然理心流の免状を頂いてからの事だった。

 

 三歳からずっと続けているのだから、若くしてその段階に届く事は珍しくないと燕は考え、慢心する事無く天然理心流の稽古に励んできた。

 

 だが、自分の家にだけ継がれてきた剣の流派があると知った時は、ゲテモノだと思ってた料理を食べてみたら意外と美味しかったという新鮮な驚きと、こんなものを自分は食べられるのだという風な自負が生まれるに足るものであった。

 

『これ、面白いかもっ!』

 

 流派の名称は特に無く、師である彼女の母ですら『剣法』としか呼んでいなかった。

 

そしてこの剣の基本をやれと言われ、早数年。

 

 燕結芽はようやっと、基礎・基本が出来始めていた。

 

「―、―――……」

 

 夜の林の中。

呼吸を整えながら左足を前に、右足を引く。

 

手に持つ刀を右肩担ぎへ、剣先を天頂やや後ろ(ジゲン流・トンボに相似)にとる。

 

名を指(サシ)という、『剣法』基本の構。

 

息を吐いて、短く吸って。

 

「―――――ッ」

 

とめる。

 

「―――!」

 

 斬った。

 

右足で地面を蹴り出し、身体が前方に飛び出た事による体重移動でもって刀を右斜め上から左斜め下に斬り下げる。

 

諸流派に曰く、袈裟斬りの運剣。

 

「……やたっ!」

 

 歓喜の声を上げる。 

 

たまらない。それほどに完璧だった。

 

 今の機にこの剣を受け止めるないし、躱せるものなどいないだろう。 自身の師匠でも、おそらく。

 

それほどの速さ、威力であった。

 

「やっぱり〝強〟は良いな~」

 

―――『剣法』 強(きょう)。

 

 先の構えから繰り出す運体・運剣方法。形(かた)とも言う。

 

左肘を突き出して敵の攻撃を誘い、

 

敵が動く直前という無防備な瞬間を捉えて、斬り捨てる。 勝機は先。

 

 ・・・稽古は続く。

 

「ふん! ふん!ふんッ!!」

 

〝強〟 〝小波〟 〝沓掛〟 〝田楽〟 

 

 諸々の形を、居合を、技を繰り出す。

 

『剣法』のおおよその基礎が出来た事で、師から教わった数多の術技を修練する。

 

 ―――この時燕が念頭に置いているのは、腕の力を徹底して抜く事であった。

 

刀を振るのは腕の力ではなく全身の体重の力。 足腰が進む事で体重が移動し、

 

その力を剣に伝達して斬撃を為す。

 

腕は単に力の伝達経路に過ぎず、独自の力で動けば邪魔になる。

 

 腕力よりも、体重移動力の方が圧倒的に強大。

 

つまりは身体の一部位と全身の比較である。 肩、肘、手首───腕の力は抜くべし。

 

 ・・・それじゃあ長物なんて振れないし、まずもって手からすっぽ抜けるでしょ!

 

習い始めの頃、燕はそう思っていた。

 

 だけど、必要が発明を産むと云う。

 

この状況下でやってみろと言われてはじめて。身体は発想を身に付けるのだ。

 

 ―――この『剣法』は基本さえ押さえれば男女問わず使える剣だと、今の燕は思っている。

 

剣の威力と重さは速度に正比例するからである。 速い剣は重い。

 

そう、速さは力なのだ。

 

 この基本理念があればこそ、軽量な女性の身でありながら一撃必倒を師に認められるまでになった燕の剣は、すなわち神速でもあるという事。

 

基本・基礎が出来たとはそういう事である。

 

 ・・・つまり極端な話、

 

身体の使い方をこの先ずっと練磨し、刀刃の運びをこの先ずっと研鑽し続けていれば、

 

その剣士は神速をも超えた何かを掴めるのではないか。 

 

例えばそれは相手の思考、場の空気、未来、あらゆる状況に対しての勝利法。

 

 ―――そこに到達すれば確実に無敵である。 

 

未踏の境地へ至る事こそ鍛錬の真意。其の場所には敵は居らず、敵を造らず、誰も我に追いつけない。

 

名前は無念無想か、絶対矛盾的自己同一か。

 

 ・・・無論、楽な事では無いが。一生を懸けても到達できるのかすら怪しい、基本稽古の終着だが。矮小な人間が夢見る下らない幻想だが。

 

果てなる高みを目指して、一歩一歩そこに進んで行く事は可能なのだ。

 

「………いたっ」

 

 胸を手で押さえる。

 

この『剣法』を使うと、何故だか時々肺が痛む。

 

まだまだ身体が未熟だからだろうか?

 

「ま、こんな裏技みたいな剣。他の人に見せる程でも無いけどさ」

 

 天然理心流の剣を使っている時は別に何ともない。

 

でも些細な痛みは戦場では致命となる時が有ると、師である母に教わった。

 

 次で、今夜の稽古は最後にしよう。

 

「――――、」

 

 家伝の『剣法』一の、難解な技である。

 

 使うには少々距離を取る必要が有り、これを完璧に現実の物とすれば自身を無敵に近付けられると、燕は思っている。

 

 呼吸を整える。

 

 想定、敵一人。

 

剣を大上段に構えてこちらの機を伺っている。

 

「―――、―――」

 

 …開始。 早足で、すすすと前方へ滑るように突き進む。

 

間合に入る。 斬り、斬られる生死の間。

 

その狭間を断ち斬るように敵が剣を、振った。

 

「……・・・・」

 

 前足で地面を蹴ってバックステップ。

 

敵の剣を躱し、即、我が刀を振り下ろす。

 

無論こちらも〝強〟の運体。 勝機・後の先。

 

 

『剣法』 奔馬(ほんば)。

 

 

「――――むぅぅ…」

 

 袈裟懸けに斬れたが、いまいち。と思う。

 

構造的な欠陥がこの技にはあった。

 

それは前進・後退・前進というコロコロと変わる身体の運動ベクトル。

 

 勝機を捉えて敵の攻撃を躱したとしても、

 

ベクトルを変えて攻撃に移る僅かな間を捉えられたならば、負けるは必定。

 

―――それは仕方のない事だ。敵の方が自分よりも強かった。

 

ただそれだけ。

 

 空しいが、勝負の常とはそういう物。

 

しかし。だから、燕は考える。

 

 バックステップで躱した筈の敵の攻撃が虚偽であったなら? 看破したと思った勝機が、全く違う物であったなら?

 

「…この技の完成には、全てを見抜く眼が必要なのかも………」

 

同時に、もっと根本的な、構造的な面からの改良が必要なのかもしれない。

 

「もう一度っ」

 

剣を振る。工夫を凝らして修練を重ねる。 

 

 何度も。何度も。

 

―――燕結芽は、この〝奔馬〟が好きであった。

 

「………はぁ~」

 

 刀礼を行い、一息つく。

 

どれくらい自分は刀を振っていたのか。 どっと重い疲れが全身を支配していた。

 

「何か、あと少しで掴めそうなんだけどなあ」 

 

・・・師が見せてくれた『剣法』に魅了され、燕は今日に至るまで昼も夜も稽古に没頭してきた。

 

 一目惚れと言ってもいい。 心の琴線に触れたとしか言いようがなかった。

 

そして母でもある燕の師は、〝小波〟を最も得意とする技だと語っていた。

 

 師のようになりたい。と、強く思ったのではない。

 

師がそうであるように、燕も自分だけの『得意』を身に付けたかったのだ。

 

―――あと少しで、何かが判る。

 

 自分を高みへと導く何か。 自分が燕結芽である理由。

 

しかしそれがいつであるのか。明日か、明後日か。十年後か、死ぬ時か。

 

 ・・・もしかしたら一生判らないのか。

 

生きている内に気付いただけで儲けモノと言えるそれを、燕結芽は欲し続けていた。

 

「………う~、ん?」

 

 ついと、身体を右方に動かす。

 

特に意図した行為では無かった。

 

 腰の位置がちょっと変だったとか、足を動かして溜まった疲労を取るといった、単純な動作。

 

理由はわからず。 

 

「…!?」

 

しかしながら結果として、その動きは彼女の命を救う事に繋がった。

 

「!”#$%&’()=~|!」

 

 意味不明な言語を垂れ流しながら、それは現れた。

 

人間のような姿かたち。ただ纏う雰囲気と体の色が、別次元の生命体をイヤでも思わせる。

 

それが、さっきまで燕が居た場所を鋭利な何かで抉り取っていた。

 

 ・・・・・燕結芽はもうじき中学生になる。

 

だから禍々しいという言葉の意味を、燕は今の今まで知りもしなかったし知りたいとも思っていなかった。

 

 それを直接教える為にわざわざここに来てくれるとは、全くもって人生感慨深い事だらけだなあと燕はしみじみと感じ、居ても立ってもいられないので感謝の言葉を投げる。

 

「…ユー・バスタード」

 

 正式名称を、荒魂という。

 

燕が今苦々しく呟いたように、この化け物は人類の天敵にして、現在一人の少女の命を絶たんとしている脅威である。

 

この荒魂を前にした時、人間には二つの選択肢が用意される。

 

 一つ、何かする。

 

 二つ、何もしない。

 

どちらが良いのか悪いのか?

 

 燕はそこに優劣は無いと思っている。その正確な答えも、多分出ないのだろうとも。

 

だってそれが人間の人生であるのだし、

 

最期に立っていようが伏せていようが、笑っていればそいつの勝ちなのではないか。

 

「&’’$&###%」

 

 そんなニヒルニヒラーニヒリストじみた燕の思考を読んだのか。

 

眼前の荒魂は鋭利な刃物に変形した右手を振り上げ、燕に断頭台の裁きを力強く下した。

 

「&%%%%%% !」

 

 ・・・首がちぎれて生きていられる生物はいない。 

 

生物でなければ話は別だが。 幸か不幸か燕結芽は生物であり、人間であった。

 

翌日の朝刊だか夕刊だかの三面あたりには、一人の女性が荒魂に無残にも殺されたという記事が載るだろう。

 

 不幸な出来事。突然の死。でも人独りの生死などその程度の物。

 

至極当たり前で、誰も気にしない。 気にしては生きていけない。

 

 特にこの化け物に対抗するには刀使(とじ)という名の戦士が、御刀(おかたな)という名の武器が要る。

 

この場には燕と荒魂以外誰もいないので、明日、誰も彼もがこう心と頭で喋る事になるだろう。

 

―――どうかご冥福を。

 

「##&#& ?」

 

 だからこんな事は有り得ないのだ。

 

思考なんてものを持っていないとされている荒魂が、疑問の雰囲気を作るなど。

 

 人間にとって絶対の死の象徴である荒魂が、宇宙から飛来してきた他星系の物体Ⅹを見たような表情を作るなど。

 

  ―――笑みを浮かべる。

 

 眼前の生物はただ殺されるだけの我が獲物であり、この星に生きる最下等の生命体なのだから。

 

  ―――堪えきれないほど。

 

絶対に有り得ないのだ。

 

  ―――嗤う。

 

我が刃をその細腕で横から弾きかえすなど、絶対に不可能なのだ。

 

  ―――嗤う。嗤う。

 

 

・・・・魔戦士がそこにいた。

 

 

「――――……」

 

 だらんとぶら下げた左腕と、荒魂の凶刃からその身を守った一振りの刀を掴む右の腕。 

 

両腕とも脱力しきっており、今しがた生死の境を行き来し、生の側に立ったとは思えないほどの胆(はら)の拵え。

 

ギラギラと、荒魂の動きを寸毫たりとも余さず逃さず応じ尽くすと言わんばかりの眼の輝き。

 

 ―――ちょっと前までランドセルを背負ってたキャシャな女の子が、全速で突っ込んでくる自転車(ロードバイク)を邪魔だからってんで横から力を加えてそのまま弾き飛ばした。

 

ここに第三者がいれば眼前の光景をこう表現するだろう。

 

一発で頭の病院送りである。

 

 ・・・何故なら迫り来る物体を防ぐということは、口で言うほど楽ではない。

 

速度とは力であり威力は速度に比例する。

 

 運動エネルギー満タン全速の物体を弾き飛ばすなんて事を実現するには、それに見合うだけの何かが必要不可欠。

 

実際に幕末の戦役で、敵の打ち下ろしを受け止めようとしたが押し切られ、己の刀の鍔を額にめり込ませて死んだ剣客がいたと云う。

 

これは極端な例だが、高速の物体を阻止する行為の危険を適切に伝える話の一つではある。

 

 こんな小娘にそんな事が可能か?

 

「……―――」

 

 荒魂が現実を見ると、燕結芽は構えていた。

 

剣先を天頂やや後方、右肩担ぎに。

 

 

『剣法』 指(サシ)の構。

 

 

「””””””!”!”!”!””””!」

 

 後方に距離をとった荒魂は、この人間を邪魔モノと判断した。

 

今すぐに延髄を刈って脳味噌を縊り、臓物を抉り、

 

粉微塵にすり潰して滴る紅い血液を冷えた青い氷の塊に変えてやると決めた。

 

 両腕を死神の刃へと変え、前進前進。前進。

獲物を、餌を喰う捕食者の如く、

 

荒魂は今必殺の両刃を振り上げ―――

 

「……………ッ!!!」

 

 瞬間、燕は地を蹴った。

 

射出する全身。 迅る刃。

 

敵が攻撃する正にその兆候の瞬間を捉える、『剣法』 先の勝機。

 

 先程振るった荒魂の一撃が全速のロードバイクであるなら、今の燕の一撃は全速の大型自動二輪車。

 

威力・速度共に荒魂の想像を超えている。

 

 神速の斬り下ろし。 燕は勝機を取った。

 

 

―――、だというのに。

 

 

「=~$””””””=====#!」

 

 人知を超えた化け物たる荒魂は、燕の勝機をはじめから見切っていた。

何故ならばこの身は異常を為してこその身の上ゆえに。

 

 つまり。

 

前進した体を停めるでも後退するでもなく、

 

荒魂は上方に身を躱していた。

 

 ・・・・飛翔である。

 

地を這い蹲る人間には到底出来ぬ所行。 かたちを真似ることも叶わぬ、怪奇現象にも似た悪魔の手管。

 

 人間の剣は、どうあっても届かない。

 

むなしく振り下ろそうとしているその細い刃を地にめり込ませ、同時、持ち主もその後を追う事になる。

 

 ―――そう、この獲物にはわからない。 

 

己の餌であり、薄紙一枚分にすら劣る価値しかない氷の切片には、決してわからない。

 

その運命、この現実、己の生と死の終着が、見えていない。

 

でなければそんな表情はできない。

 

  ―――女は嗤っていた。

 

対峙した時から、依然変わる事なく。

 

  目の前の獲物を嗤っていた。

 

まるで餌はお前だと言わんばかりに。

 

眼前の化け物を、心底侮蔑しながら――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な~るほど~ッ! そんな手は考えつかなかったかな!」

 

先程とは打って変わって、満足げな、

 

喉につっかえていた何かが腑に落ちた表情で、満足げにそれは言った。

 

「後退・前進じゃなくて、―――飛べば良かったんだ」

 

痛んだ左足首をさすって、燕結芽は何度も何度も頷いていた。

 

 『剣法』 奔馬。 

 

その完成の為のヒントを得た事に対して。

 

 ―――思い立ったが吉日。 立ち上がり、化け物のカスがこびり付いた刀を、指(サシ)に構える。

 

「う~ん?」

 

 早足で進む。だが得心がいかないのか、技の途中で刀を鞘に納めた。

 

「う~ん? う~~んぅ?」

 

今度はそのままに疾走、踏み切り。

 

 飛翔する。

 

「あれ?これって…………」

 

再度繰り返す。

 

 二回、三回、四回、五回・・・。

 

もっともっと。

 

―――ふと気が付けば、既に太陽が昇っていた。

 

「結芽っ!!」

 

 ・・・師である燕の母は、ようやく娘を見つけた。

 

 剣の稽古をしてくると言って家を出る事はよくある事なので娘の帰宅を待っていたが、いつまで経っても帰ってこない。

 

暴漢の手に落ちたかとも考えたが、最悪なのは荒魂の手に掛かる事であった。

 

 そんな事になれば三千世界の化生を殺し、我が子の名前を荒き御魂に刻んでやる。

 

不退転な決意のもと、

 

燕の父母は手分けして娘の居場所を探し尽くし、見つけた。

 

 

―――そして見た。

 

 

 朝を若干過ぎた昼時に。ひどく綺麗な月影を。

 

「………結芽」

 

出来た。

 

「……結芽」

 

出来た。

 

「あ、お母さん!お父さん!」

 

出来ていた。

 

「結芽っ!!!」

 

 父母は愛娘を抱きしめた。その身が無事である事に心底安堵して。

 

完成した、―――剣の秘奥を祝って。

 

「名前を決めたよ、お母さん」

 

「何に? 結芽」

 

 そうだ、そうだとも。 

ただの『剣法』では味気ない。

 

「荒魂を刈ったから、この剣法の名前は――――『刈流』(かるのりゅう)」

 

 燕親子から少し離れた場所に、荒魂の屍骸はあった。

 

人間でいう脇腹に当たる部分から、下半身までに至る斜めに斬り裂かれた体。

 

「〝飢虎〟を使ったのね。……その刀で、たった一人で」

 

「うんっ!」

 

『剣法』・・・いや、『刈流』 飢虎(きこ)。

 

 〝強〟から派生する技の一つであり、

 

技の中盤、剣先が天頂を向いた辺りから身体の軸である左足の膝及びつま先を前方に伸ばし、敵との間合を大きく奪ってすかさず斬る。

 

 勝機は先の先。 誰にも知られない事が第一の、奇襲技。

 

敵の不意・意表を衝き、相手を一方的に斬殺する為の術技である。

 

「ねえお母さん」

 

 ・・・・だが刀使でなければ、荒魂には勝てない。御刀が無ければ、荒魂には太刀打ちすら出来ない。

 

何故、その全てが当てはまらない筈の燕にそんな事が出来たのか。

 

「もしかして、これ、御刀なの?」

 

「そうよ」

 

 答えは単純明快。

 

こんな事もあろうかと彼女の母が燕に持たせていた日本刀、にっかり青江は荒魂を祓う事の出来る御刀であったのだ。

 

「御刀って、刀剣類管理局の預かりじゃなかったの? お上にバレたりしたら…」

 

「もしぶっ壊したらお父さんの給料から引いてちょうだいって言ったのよ」

 

「流石師匠っ!お父さんっ!!」

 

 燕の父は閉口して何も言えないが、本当の理由は育成であった。

将来が期待されている刀使候補の為の。

 

「ねえ結芽。 貴女、刀使になってみない?」

 

「退屈しない?」

 

「それは貴女次第ね」

 

「じゃあやるっ!!」

 

―――この後。

 

 燕結芽は生身で化け物を叩っ斬った天才剣士として、御刀の管理を取り仕切る折神の家に招かれる事になる。

 そして折神家当主の親衛隊という最高の栄誉職に就き、その剣腕を存分に振るう。

 

 ・・・・それがこの先、燕結芽に何をもたらすのでなくとも。

 

「しっかりね、結芽」

 

この日、燕夫婦は確信したという。

 

「うん! それに私、試したい事が出来たんだよ!」

 

歴代最強の刀使は我が娘になる。

 

燕家最強の剣士は我が娘である。

 

「手始めに、斬ってみるよ。あの化け物どもを」

 

そして『魔剣』を使えるようになるのは、燕結芽だけであると。

 

「――――だって練習台はいっぱいあるし」

 

一つの家族が、にっこりとわらった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

     例えばこんな燕結芽ちゃん 

 

       『刃鳴ノ巫女』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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