幻想郷貧乏生活録   作:塩で美味しくいただかれそうなサンマ

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遅くなってすいません!
追記
ナギサマー様の指摘を受け改変しました。


第二十六話 不仲解消

「幸太、お客さんだぜ。ほら起きろ!」

 

魔理沙の元気な声が聞こえて思考が眠りの海から引き上げられる。

思い瞼を開けて上体を上げるとそこには魔理沙とあの戦った白髪の妖怪、そして桃色の髪をした知らない人がいた。

桃色の髪の人の周りには小さい物体がふよふよといくつか浮かんでいる。

少女然とした白髪の妖怪とは違い、大人の女性を思わせる柔らかく落ち着いた雰囲気を見て取れる。

しかし前まで争ってた白髪の妖怪の人が来るとはどういうことなのだろうか?

一応警戒はするが魔理沙が隣にいるためそこまで身構えはしなかった。

寝惚け眼をこすりながら酒臭い魔理沙に尋ねる。

 

「客ってこの人たちのこと?」

「あぁ、そうだぜ。異変の主犯格の妖怪たちなんだが謝罪に来たらしい。あとは3人でごゆっくり。じゃあな、幸太。無理すんなよ。」

 

そう言うと魔理沙は足早に去っていった。

途端にツンとした酒の匂いが薄くなる。

かなり酔っていたようですぐ外で霖之助に注意される声が聞こえてきた。

殺し合いをした人物が目の前にいることで内心穏やかではなかったがいつも通りの魔理沙の変わらない様子にすこしほんわりさせられた。

最後の言葉はかなり刺さったが。

魔理沙が去ると部屋に張り詰めた雰囲気が走る。

特に自分と白髪の妖怪の間に。

何の用でわざわざ来たのか分からないし警戒は解けないな。

と、そんなことを考えていると桃色の髪の人が言葉をかけてくる。

 

「はじめまして。私は西行寺幽々子。亡霊で冥界の管理をしているわ。そしてこちらの妖怪、妖夢の上司よ。よろしくお願いします。今回のことは本当ごめんなさいね。」

「はぁ、こちらこそよろしくお願いします。」

 

桃色の人がそうゆるい調子で言ってくる。

明らかに雰囲気に合ってない。

いきなりの自己紹介に困惑して素っ気なく返してしまった。

失礼だっただろうかと心中で罪悪感や後悔を感じていると今度は白髪の子が自己紹介をしてきた。

 

「はじめまして…ではないですね。私は魂魄妖夢といいます。半人半霊でこちらの幽々子様のボディーガード兼庭師です。よろしくお願いします。今回のことはすいませんでした。あの時は危機感や焦りでまともな思考をしておらず…有無を言わず襲ってしまって。そして大切なものを奪ってしまい、本当に申し訳ありません。」

「よろしくお願いします。あ、自分は幸太といいます。苗字はありません。人里で釣り師と狩人をやってる人間です。こちらこそあの時はすいませんでした。」

 

首飾りに関してはやはり妖夢さんが壊したようだ。

謝罪されたせいかすとんと心の中で首飾りが壊れた事実を受け止めれたように感じた。

怒りというよりは喪失感ややるせなさのが強かった。

妖夢さんはこの前会った時と違ってかなり理知的な雰囲気である。

しかし謝られたといっても相手は異変の主犯格。

何か裏で考えてるのではなかろうかと思ってしまう。

まぁ、そんな感じで心の中で考えても自分に謝ることで何があるのかあまり考えつかなかったので普通にわだかまりを解消しに来たのだろうと結論をつける。

そんな感じで警戒を解いた。

 

その後は二人と少し話をした。

今回の異変の動機だとか真相だとかが中心であったけどくだらない世間話もけっこうあった。

妖夢さんはかなりの負い目を感じているらしく、終始こちらを気遣うような話し方であった。

敬語すぎて堅苦しかったので崩していいと伝えたが、それでも少し硬かった。

元来そういう話し方なのだろう。

幽々子さんは自分の調子を崩さずおどけたような、底を見せない話し方でその調子に俺も妖夢さんも引きずり込まれてしまった。

ふつうに二人と話すのは楽しかったし、異変や妖夢さんとの殺し合いの理由もまた再発はしないだろうと思えるような理由だったので安心ができてわだかまりは十分になくなっただろう。

と、二人は宴会に戻るようだ。

去り際の挨拶の後、二人から贈り物があった。

 

「幸太さん、これを。私が切ってしまった鉈の代わりです。」

 

そう言って妖夢さんが差し出してきたのは刀だった。

そういえば以前使っていたのは妖夢さんにぶった切られたはず。

たしかに何か刃物がないと生活していけないから有難いが刀は使ったことないな。

鉈の方が嬉しかったがこれでも十分である。

しかし見た感じかなり品質の良い高額なものであった。

これはもらっても良いのだろうか?

 

「これは…こんな高価なものもらっていいんでしょうか?」

「いいのよ。妖夢が切っちゃったんだし遠慮なくもらって。それに蔵に余ってたものだからね。さっき砥石で妖夢が研いでたから切れ味は心配ないわ。」

「そう…ですか。ならありがたくいただきます。ありがとうございます。」

 

妖夢さんから刀を受け取る。

鞘からちょっとだけ出してみると刀身が障子からさす光を反射して怪しく光る。

少し怖くなり、そのまま納刀する。

刀の扱いはあまり慣れたいないが、これで狩ができないという最悪の事態を避けられる。

顔を上げてお礼を言う。

本当に感謝してもしたりないほどだ。

 

「刀、ありがとうございます。大切に使いますね。」

「はい。幸太さんも身体をお大事にしてくださいね。では、これで失礼します。」

「そうね、あまり無理すると死んじゃうわよ?人間なんてもろいから。あ、それと…」

 

幽々子さんはそこで言葉を切ると俺の耳元に声を近づける。

ふっと耳元に冷気が近づいてきてびっくりとした後、息を吹きかけられながら囁かれる。

くすぐったくて落ち着かない脳内に衝撃的な一言が叩き込まれた。

 

「死にたいなら殺してあげましょうか?」

 

その言葉を聴いた瞬間俺は幽々子さんから飛びのく。

死にたいなら殺す?

何を言ってるんだこの人は。

あらんばかりの困惑と警戒を持って睨みつけるが幽々子さんは飄々とした笑みを浮かべるだけ。

妖夢さんはその後ろで何が起きたか分からないかというように目線を俺と幽々子さんの間で右往左往させるだけである。

 

「やっぱり貴方…面白いわね。最後のは冗談よ。じゃあお邪魔したわね。お大事に。」

 

そういうと幽々子さんは出て行ってしまった。

妖夢さんは困惑していたが後に続いて出て行く。

妖夢さんのお邪魔しましたという小さな声の後、部屋は途端に静かになる。

外の宴会のうるささも今この時ばかりはさほど気にならなかった。

 

「なんなんだよ…」

 

最後の言葉がどうしても冗談のようには思えなかった。

重い不安と憂鬱が胸を走るばかりであった。




はい、幽々子様と妖夢回でした。
東方原作の独特の台詞回しかっこいいですよね。
あんな感じの洒落とパンチの効いた会話にしたいですがなかなか難しいものです。
これからもよろしくお願いします。
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