幻想郷貧乏生活録   作:塩で美味しくいただかれそうなサンマ

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第四話 白黒魔女と弾幕ごっこは難しい 前編

「恥ずかしぃ…」

 

朝になった。清々しい朝だ。こんな明るい時間まで寝ていたのは久しぶりだ。いつもはまだ暗いうちに起きて仕事に行くからなぁ。

 

「おー、起きたのかー、こうたー」

「…あぁ、おはよう、ルーミア」

 

先に起きていたらしいルーミアが話しかけてくる。が、その口調は幼い。ルーミアは日中はいつもこうだ。ルーミア曰く光に弱いんだと。多分それのせいで深く考えるのが難しいんだろう。

 

しかし、ここまで幼いと…こう…台無しというかなんと言うか。昨日の頼り甲斐のある綺麗で理知的な女性の姿はなく、今のルーミアはただただ幼い子供だった。

 

「バイバーイ!こうた!」

「おう、またな、ルーミア」

 

ルーミアは帰っていった。疲れたな。ふぅ…でも今から飯を作るのはおっくうだな。お金も少なくなってきたし。んー、この前の霊夢の誘いに乗ってみるかぁ。そう思い博麗神社に行くことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

煌々と日差しが照る中、汗を流しながらもなんとか俺は博麗神社にたどり着いた。

 

「んあっつぃ!ほんとこの石段はどうにかならんとかなぁ…」

 

そんな風に愚痴る。正直、博麗神社への参拝客が少ない理由にこの石段は絶対あると思う。神社はいつも通り閑散としていた。霊夢も今掃除しているわけではないらしく、姿が見受けられない。いつも通り賽銭箱の前まで行き、参拝をする。2拝2拍1礼だったな…

 

「私が注意した作法、覚えてたのね。」

「流石に2日前だからな、忘れないよ。」

 

そうこうしていると霊夢が現れた。霊夢もこの暑さにやられているようでなんとも気怠げだ。出てきてくれただけめんどくさがりやの霊夢にしてはマシという感じかな。

 

「で?ご飯をたかりに来たんでしょう?」

「そんな言い方しなくてもいいじゃないか…そうだけど…」

「事実でしょう?さ、早く入って。簡素なものだけどすぐ作るから。」

「ありがとうございまするぅ…」

 

なんだかんだ優しいんだよなぁ。冷たいけど。言葉が痛いけど。

 

 

 

 

 

 

 

「うん!美味かった!ごちそうさま、霊夢。」

「まぁ、美味しかったなら良かったわ。で?どうするの?今日はそのまま帰るの?それとも用事があるの?」

「うーん、特に用事があるわけでもないんだが…まぁ、もう少しここにいさせてくれ。外は暑い…」

「分かったわ。お茶を入れてくるから。」

 

うん、霊夢はいいお嫁になるな。そんなことを思いながら寝転んで外を見る。縁側の外に見える境内は陽炎で怪しくぐらついている。

 

と、そんな時、ヒュゥーっと、変な音が聞こえる。嫌な予感がする。いや、絶対これは彼女だろう。すぐさま起きて障子を閉じた。その瞬間、外から…

 

 

ズドォォォォォォン!

 

轟音が響いてきた。何かが高速で地面に突っ込んだ音だ。

 

「なに!?この音!?」

「よう!霊夢!遊びに来たぜ!」

 

驚いて出てきた霊夢に未だたちこめる土煙の中から呑気な声がかかる。そう、人間の魔法使い、霊夢の友達である《霧雨魔理沙》の声だ。

 

 

 

「魔理沙…あんたっていうのはいつも!掃除した境内を荒らさないで頂戴!幸太のおかげで中はなんとか汚れなかったけど気をつけなさいよ!」

「ははっ、わりいわりぃ。」

 

怒って注意する霊夢と気にかけない様子の魔理沙。金髪で黒と白の服を着、箒を持ったいかにも魔法使いという格好の彼女だが、今は土煙の汚れで悲惨なことになっていた。

 

「幸太!久しぶり!」

「あぁ、久しぶりだな。こんにちは、魔理沙。」

「おう!こんにちはだぜ!」

「そこで土をはたくな!ほかのとこではたきなさい!魔理沙!」

 

今日は霊夢の厄日だな。魔理沙はいつもこんな感じでトラブルを起こす人だ。しかし今日のように墜落するのは珍しいな。まぁ、大方どれぐらいの速度で飛べるか試してみて止まらなくなったとかそこら辺だろう。

 

「はぁ…で、今日はなんのようなの?魔理沙。」

「暇だからきたんだ。」

「暇だからってあんたねぇ…」

「そうだ!霊夢!弾幕ごっこしようぜ!」

「断る。」

「即答!?えぇーやろうぜー。」

 

いつも通りの二人のやりとり。こうやってみてると二人は仲がいいと思えるな。だって、霊夢が《ここまで飽きずに相手をする》のは魔理沙だけであるし、魔理沙が《ここまでなにも考えずに接する》のは霊夢だけである。

 

「あっ、霊夢がしないんなら幸太でいいや。やろうぜ!」

「えぇ…なんでそうなるの…俺弱いよ?」

「なにごとも経験は勉強になるんだぜ!」

「んん…まぁいいけどもさ。手加減してくれよ?」

「申し訳ないがそれは無理な相談だな。」

 

仕方ないと苦笑しながら境内の方へ出る。“弾幕ごっこ”。それは人でも神でも同じ立場で争える決闘のこと。幻想郷のバランスを保つために生まれたという。

 

今まで殺し殺されあいだった妖怪との関係が変わったきっかけでもある。まぁ、変わったのは一部の弾幕ごっこができるほどの強者たちだけであるが。人と妖怪の関係はこのようなルールが生まれただけではそうそう変わらないものだ。

 

ルールはまぁ、簡単に言えば。美しさ、意志の強さを競いつつ、被弾などで勝ち負けを決めるゲームだ。基本的に普通に弾幕を撃つ《ショット》と必殺技のような《スペルカード》を使い分けて行う。スペルカードは開始前に互いが使用可能な枚数を決めて行う。このスペルカードにより、美しさや意思を表現するのだ。と、霊夢曰くこんな感じらしい。

 

 

しかし俺はあまりこの遊びが好きではない。まぁ、それはおれが弾幕ごっこを楽しめないから、というのがあるのだろうが…

 

「魔理沙、おれはいつも通りだが…本当にいいのか?」

「あぁ、いいぜ!それが幸太の弾幕ごっこだろ?」

「盛り上がってるとこ悪いけど、弾幕ごっこなら他所でやってね。荒れるから。」

 

あっはい。てことで移動することになった。…が、困ったことにおれは空を飛べない。霊夢や魔理沙、幻想郷内の力のある人たちはだいたい飛べるんだが、俺は飛べない。結局、ただの一般人であることに変わりはないからな。困ったな…

 

「んー、どうしよう…」

「なんだ?あぁそうか。幸太飛べないもんな。よし!乗れ!」

「はっ?えっ…え!?」

 

困っていたら魔理沙に箒の後ろを指差して力強く「乗れ!」と言われました。え?いいの?乗っちゃって。しかし、この暑さの中おれも歩いて移動なんぞしたくないのでお言葉に甘えて乗ることにした。弓を持って魔理沙の後ろにつき、箒にまたがる。おお!高いな。これが空を飛ぶ感覚かぁ…

 

 

 

 

これが後々あんな羽目になるなんてなぁ

 




少し長くなりました。書きたいことが多すぎまして…
長くなったので後半と前半に分けました。これからもよろしくお願いします
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