闇のマホーツカイ。彼らはマグルをその力で虐げ、弄ぶ暴虐存在である。だがしかし、そんな彼らもインガオホーの理からは逃れられない。虐げられしマグルより現れたるは殺戮者ソーサルスレイヤー。彼は今日も、闇のマホーツカイを殺すべくオジギするのであった。

「ドーモ、ソーサルスレイヤーです。闇のマホーツカイ殺すべし。慈悲は無い」

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ソーサルスレイヤー・オジギ・イン・ハリーポッター

イギリスの片田舎に、荒野を走るマホーツカイがいた。

その男の名前はヴルフィー・ザック。闇の陣営に属する人狼、フェンリール・グレイバックの部下の一人であった。当然彼も人狼である。

 

ヴルフィーはヤバイ級の闇のマホーツカイ、ヴォルデモートに命じられたビズを達成して帰還する途中なのだ。

 

「ククク、今回のキンボシのお陰でヴォルデモート=サンにはチップスを重点してもらえそうだぜ」

 

彼ら人狼はヴォルデモートに抵抗する勢力を脅し、報酬として違法中毒食物たるチップスを受け取っているのだ。まるでヤクザめいたビズである。

ヴルフィーはとあるマホー・デッカーの息子を噛んで人狼にし、ポートキーを使って逃げおおせた。このようなムホーが罷り通るとは、これもまたエッダに記されしマッポーの世の一側面なのであろうか。オーディンよ、あなたは寝ておられるのですか!

 

ヴルフィーは夜が明けていくなか、次のポートキーのある洞窟を目指して荒野を走る。ヴォルデモートから渡されるであろう、チップスの味を思いながら。

 

そんな彼の頭上を赤黒くペイントされたホウキが彗星めいて横切った、その時である!

 

「Wasshoi!」

 

「アイエエ!?」

 

突如、赤黒の炎を纏った何者かがヴルフィーの前方に上空からエントリー!ヴルフィーは予想外の事態に絶叫!

「ザッケンナテメッコラー!」

 

ヤクザスラングで相手を怒鳴りつけたヴルフィーは見てしまった!乱入してきた男の姿を!右手に持つ杖!凝り固まった血めいた赤黒のローブ!決断的に縫い込まれたSSの黒いルーン文字!あからさまにマホーツカイであった!

 

デッカーの追っ手ではない。ヴルフィーはその姿をした相手を知っていた。ヴルフィーのニューロンに、一つの名前が思い浮かぶ。

 

赤黒の男が杖を立て、ヴルフィーに向かってオジギをした。

 

「凶暴なウルフもタイガーから見ればラビット同然。今日はオヌシが狩られる番だ。

ドーモ、ソーサルスレイヤーです」

 

「アイエエエエ!?やはりソーサルスレイヤーだったか!」

 

悪夢めいた事態に、ヴルフィーは目の前が真っ暗になったかのような心地だった。何せ、彼が聞いていたソーサルスレイヤーの噂はどれも録なものではない。

あるものは闇のマホーツカイを片っ端から殺す狂人といい、あるものは尋常ならざるマホーを使うモンスターという。

 

その魔手を逃れた者はテンサイ級の闇のマホーツカイであるべラトリックス以外に居ないと聞く。サンシタレベルのワザマエしか持たないヴルフィーにとっては、実際死神めいた相手である。

 

「ドーモ、ソーサルスレイヤー=サン。 ヴルフィーです」

 

震えながらもオジギを返すヴルフィー。マホーツカイにとって、決闘の際のオジギは絶対に欠かしてはならないレイギサホーである。エッダにもそう書いてある。これを怠ったりすればスゴイ・シツレイと見なされ、闇の陣営であってもムラハチは免れないのだ。コワイ!

 

「イヤーッ!」

 

「プロテゴ!……グワーッ!?」

 

オジギが終わると同時に、ソーサルスレイヤーはバクハツ・ジュモンを放つ!なんたるムゴン・ジュモンのワザマエか!ゴウランガ!

 

ヴルフィーはタテ・ジュモンで対抗!だがしかし、威力を殺せず後ろへ吹き飛ぶ!

 

「アバダ・ケダブラ!イヤーッ!」

 

ヴルフィーはソーサルスレイヤーを殺すべく、魔力を振り絞りデス・ジュモンを繰り出す!ソーサルスレイヤーは迫る緑色の閃光をブリッジ回避!

 

「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」

 

ソーサルスレイヤーの反撃!バクハツ・ジュモン、シッシン・ジュモン、カナシバリ・ジュモンが矢継ぎ早にヴルフィーへ襲いかかる!

 

「アイエエエエ!」

 

タテ・ジュモンでは防げないとみたヴルフィーは地面を転がって回避しようとする。ウカツにもデス・ジュモンを使ってしまったせいで、強力なジュモンを使うための魔力が残っていないのだ。ブザマ!

 

「クルーシオ!イヤーッ!」

 

「グワーッ!」

 

この隙を見逃すソーサルスレイヤーではない!一気に勝負をつけるべくハリツケ・ジュモンをかける!ヴルフィーはかわせず被弾!

 

「アバーッ!アバババーッ!」

 

凄まじい激痛に地面を転げ回るヴルフィーを、ジゴクめいた眼光で睨み付けるソーサルスレイヤー。その目に一切の慈悲は無い。

 

「これよりオヌシにインタビューする。素直に喋れば楽に殺してやるが、吐かないならば拷問した後に惨たらしく殺す」

 

ナムアミダブツ!死以外に選択の余地はない!あるのは楽に死ねるか苦しんで死ぬかの二択だけである!殺戮者に容赦はないのだ!

 

「だ、誰が喋るか!……グワーッ!?」

 

反抗したヴルフィーの右目が、決断的に杖で抉り取られる!なんたる無慈悲さか!コワイ!

 

「次は左目だ。それでも吐かなければ両耳を削ぎ落とし、腕をちぎり取る」

 

「分かった!話す!話すから止めてくれ!」

 

ヴルフィーの心は容易く折れた。この死神は、言葉通りの責め苦に遭わせると理解してしまったのだ。

 

「この先の洞窟にポートキーがある!その先に仲介人が待っているんだ。そいつからチップスを貰うはずだった!」

 

「その仲介人の名前は?」

 

「アントニン・ドロホフ=サンだ!」

 

「アントニン・ドロホフだと……!」

 

ソーサルスレイヤーの声にジゴクめいた怨嗟が宿る。ドロホフとは特に強力なマホーツカイの一人であり、ロンドン・スゴイナガイハシを爆破しソーサルスレイヤーの妻子を殺した男だ。彼にとっては実際憎い怨敵である。

 

「では最後に、ヤツが使うマホーについて教えてもらおうか」

 

「知らない。本当だ!殺さないでくれ!」

 

実際情けない様子で命乞いするヴルフィーに対し、赤黒の殺戮者はどこまでも無慈悲であった。

 

「それは出来ぬ相談だ。オヌシに残された道はジゴクに通じる道のみ。闇のマホーツカイ殺すべし。慈悲は無い」

 

その言葉を最後に杖が振られ、ヴルフィーの首が刎ねられた。首を失ったヴルフィーの体は爆発四散!

 

「サヨナラ!」

 

ヴルフィーの爆発を見届けたソーサルスレイヤーは、赤黒のホウキを呼んで再び空を駆けた。ヴルフィーの話した洞窟を目指すためである。

 

彼のニューロンに去来するのは、己が全てを失った日のこと。倒れ伏す妻子を紫の炎で焼き殺す、憎き仇敵の姿であった。

 

(もうすぐ仇が討てる。もうすぐ……!)

 

抑えきれぬ憎悪と復讐の高揚を胸に秘め、ソーサルスレイヤーはホウキを駆る。闇のマホーツカイを殺すために。

 

 



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