プリキュアオールスターズ×仮面ライダー〜bの復活とsの暴走〜第三部 作:鈴木遥
・世界が崩壊するとき、人が何を思うのか。
それを試みようとしたある仮面ライダーでさえ、その答えは分かりかねる。
ただ……。
この物語を目にする『あなた』にとっての終末の定義がもし、物理的な惑星の崩壊を指すのなら、それは確かに実現していた。
本来、光の名のもとに世界を守るべき、光の盟主の手によって。
万丈龍我は、見知らぬ街中で目を覚ました。
「どこだここ……!?」
すぐ隣には、仮面ライダーグリスこと猿渡一海も倒れている。
ただ見知らぬ景色というには、何かこう、景色に重厚さが無いというか、まるで絵の中にでも飛び込んだ様な感覚だった。
そういえば、仲間の一人、桐生戦兎が数日前、このような世界に迷い込んだという話を小耳に挟んだ気がする。
「なんだこりゃ、ユメか……?」
意識朦朧とした猿渡が目を覚まし、当りを見回す。
きらびやかではあるが、どこか寂しげで、人っ子一人いない。
「戦争中ったって、土日だぜ?なんで誰もいねーんだ?」
最もおかしな点に気付いたのは、猿渡だった。
「いよいよユメかもなァ、見ろよ……。」
「!?」
二人は顔を見合わせ、万丈は思わず呟いた。
「スカイウォールがねえ。」
「一体どうなってんのかわかったもんじゃねえが、とりあえず誰か人に会って、ここはどこなのか、なぜスカイウォールがねえのかを確認しないとな。」
「おお、冷静だな猿渡……。」
「あたりめーだバカ、 こんな時だからこそ、 俺が上手い事先導しねーと。何より……。」
「ん?」
「みーたんのいねぇ異世界なんぞ、何処だろうと願い下げだァァァァァァァァ!」
「わーったようるせーな……しかし、何処だここは。」
万丈もテンパってはいたものの、 以前エグゼイドの世界に入った経験から、こういうパターンでどうしたらいいのかはざっくりと理解していた。
とりあえず、 人のいる街中に……。
しばらく歩いていると 見かけない電波塔があった。
ところがもっと不可解なことに、そのすぐ正面にはスカイツリーがあったのだ。
「スカイウォールがないってだけで、 位置的には東都ってことか。」
万丈の記憶が確かなら、 しばらく歩くと飲食店街に出るはずだ。
ところが、いつの間にか二人は、 パレスチナの紛争地帯を思わせる スラム街のような場所に出ていた。
暖かい昼間だというのに外に出て遊ぶ子供は一人もおらず、死んだ目をした老人や女たちが、道行く者たちを睨んでいる。
万丈はますますわけがわからなくなった。
戦争中の東都ですら、ここまで治安の悪化は見られなかった。
見かけからして、心の荒みが際立っている住民たちに、どう話しかけるべきか万丈が迷っていた頃。
幸か不幸か、テントに住んでいた老人の方から話しかけてきた。
「おめぇら、見ねーカオだな。」
「ああ、色々あって……。」
老人に警戒していた万丈に変わり、 横から猿渡が質問した。
「なァ爺さんよ…… オレたちわけあって、こことは違う世界から来たんだが、 この世界、いやこの街で一体何が起きたか知ってるか?」
こんなどストレートな質問をぶつけると、 大概の異世界人は異世界という概念が無い為、訝しげな顔をするのだが、 老人は、情報提供の対価に、小銭とカップ酒を要求してきた。
「また異世界人か…… 本来てめえらと取引するやつは、この街煙たがられてるんだが、酒代が出るなら知ったことじゃねぇ。」
猿渡から受け取った千円札をポケットにしまいながら、 老人は辺りをはばかって話し出した。
「 異世界人とは言うが……てめえらの世界にも、化け物はいるのかい。」
老人の言う「化け物」の基準がどこからなのか分からないが、 二人は自らの世界で遭遇した、『スマッシュ』を思い浮かべた。
「ああ、いるぜ……それがどうした?」
「 この街が、戦争地帯みたいになっちまったのは、ほんのわずか数日前。
てめえらのなりを見る限り、それまでこの世界も、 その日暮らしするには困らない安全な世界だったよ。」
「何で 異世界の人間は鼻つまみ者なんだい?」
「この惨状を引き起こした張本人が、 異世界の化け物だからさ……。」
老人の話はだいたいこうだった。
数日前、 この世界の平和と秩序を守っていた 光の根源たる存在が、 邪悪なるものに宣戦布告。
その反動で、並行世界を分割する軸が、めちゃくちゃに壊れ、『闇の同盟』を名乗る怪物たちによる侵略宣言が発令。
初めのうちは、この世界の政府が自衛隊を出動させ抵抗。 しかし光の側の新勢力『
あっという間に闇と光の覇権戦争が開幕し、人類は蚊帳の外。怪人や、超人戦士たちが闊歩するようになっていった。
「ちなみにこの世界は光の側の支配下よ。盟主であるクイーンを悪く言ったりしようもんなら たちまち自警団が飛んでくるぜ。」
思った以上に壮絶な世界情勢に、思わず万丈と猿渡が絶句していた時。
テントの奥から 初老の男が出てきた。
「オジキ、てぇへんだ。 ショッカーの連中が……。」
「 今日は闇の側かよ。めんどくせーな、 とっととずらかるぞ。」
万丈は耳を疑った。
まだ、 逃げ切っていない女子供が大勢いるというのに、 テントに住んでいる男たちは我先に逃げようとしている。
「待てよ! ガキや女たち助けずに、自分達だけトンズラか?大した大人だなおい。」
先に老人を押し戻したのは、猿渡だった。
「 闇も光も人間を襲撃するのは日常茶飯時…… ガキだから?女だから?関係ねえよ。
奴らはもう、俺たちに生きる権利を与えちゃくれねぇ。 ウジ虫みてえに影の中を逃げ回るしかねえんだよ。それが人類に残された最後の生きる道だ。」
ショッカー怪人、ザンシオーに引き連れられ、 爆撃、略奪、暴虐の限りを尽くすショッカーたち。
だが今日の襲撃者は彼らだけではなかった。
『オシマイダァァァア!』
奇っ怪な雄叫びとともに、どこからか現れる、黒く巨大な怪物。
人の形をしてはいるものの、まるで黒い布を編んで作った歪な人形のようだった。
「何だありゃ!?」
驚く万丈に 老人が解説した。
「『 クライアス社』……最近になって勢力を拡大しだした闇企業。 あそこまで動いちまったんじゃ、逆らえば死ぬな。」
老人はただ恐れおののいていたわけではなく、最早諦めていたのだ。
生きること、 戦うことそのものから、本能的に逃げていたのだ。
「もういい…… 行くぜ猿渡。」
「言われるまでもねー。」
彼らに背中を向ける気など、毛頭なかった。
いたいけな少女が、ショッカーの人質にとられていたからだ。
「オイ……知らねーぞ!? こいつら2大勢力に逆らったやつは皆死……。」
「死んでんのは、アンタの魂さ。」
「!?」
「 この俺の力が必要とされる限り…… 今の俺は、負ける気がしねぇ!」
『Dragon/Robot JELLY!』
「「変身!!」」
ふたりは、それぞれのぜりアイテムを、『スクラッシュドライバー』にセット。
仮面ライダーグリスとクローズチャージに変身し、 迫り来るショッカー軍団に立ち向かう。
その背中を、誰も見送りはしない。ただ呆気に取られて見つめることしか出来なかったのだ。
この混沌とした世界に、再び平和を取り戻してくれるかもしれない、希望となり得る二つの背中を……。
・ 一週間遅れの第三部スタート。 大変お待たせいたしました。
どこまでやるのか鈴木遥(笑)
腹筋にも書いた通り、サイドストーリーの皆さんが参戦します。
どうぞお楽しみあれ。