プリキュアオールスターズ×仮面ライダー〜bの復活とsの暴走〜第三部 作:鈴木遥
・門矢一派に反目し、単独行動によって多大な被害をもたらした光の王子ポルン。
妖精連合が彼に下した最終決定は、禁錮3日。
とは言っても、ただ軟禁されるだけではない。
それは『箱』。
試練の箱と呼ばれる禁断の魔法道具だった。
日焼けマシーンの様な、円柱形の箱の中に入った者は、 内部にいる『大いなる存在』によって試練を課される。
クリアできれば解放、できなければ成長なく退出させられるか、 箱の中でさまよったり、 最悪死ぬこともある。
しかしこれは、ポルン自身の希望であった。
「本当に良いんだな? ここ数年無事に戻ったものはいないぞ。」
士の再三にわたる忠告も、ポルンは恐るるに足らず。
「やってくれ、頼む。」
士の合図でココが箱を開くと、 凄まじい引力かポルンの体を襲う。
「ぐぁ……あァァ!!」
「ポルン!」
「心配すんなよココ!!必ず強くなって、戻ってくるからさァ!!」
小さな箱の中に彼が完全に吸い込まれた時、避難所を再び、静寂が包んだ。
(どうか無事で……!ポルン君……!!)
暁美の願いは届くか否か、全ては、ポルンの勇気と実力に託されるー。
試練の箱 内部
そこは畳20畳ほどの、石造りの部屋に、 二つの松明の弱々しい光があるだけの、不気味な場所であった。
扉も窓もなく呼吸の音が、遥か虚空に響き渡る。
まるで洞窟の中に放り込まれたようだ。
四方を囲む赤いレンガの壁が、 どことなく、牢獄の中を連想させる。
本人たちの大きな背中に、息を飲んでいたこともあり、 ポルンは一瞬身構えた。
【これなるは、試練の箱……。】
上から野太い声がした。確かに上から聞こえてくるのに、まるで地の底から唸っているような、よく響く声だった。
【試練に挑む者よ、 汝の名を述べよ。】
「ポルン。光の王子だ。」
【光の王子〜? またけったいなのが来たわね。】
今度は右隅から、若い女の声がした。
【 強い奴なら、 誰の挑戦でも僕ちんは受けるよ〜?】
左の隅から若い男の声がした。
【来る者は拒まず。それがわたくし達の使命です。】
下から、しわがれた女の声がした。
【では、光の王子よ!!ここへ来たからには、汝の求めるものがあろう!それを述べよ!】
天井からさっきの男の声がした。
ポルンは、落ち着いて返答した。
「 とにかく強くなりてえんだ。」
【では、次より選べ!!】
突然床がガラスのように透け、その下にある紫の松明が光り出した。
【知恵か……?】
続いて左の隅から緑の松明が光る。
【技か……?】
続いて右の隅から青い松明が光る。
【瞬足か……?】
【はたまた力か……?】
最後に天井で赤い松明が光り、ポルンの四方に石の巨像が現れる。
それは、『仮面ライダークウガ』によく似ていた。
それぞれがロッドやボウガン、剣などを持っている。中央のみ、マイティフォームの姿で武器を持っていない。
「なるほどな、要はアンタらを一人ずつぶちのめせば、各要素でパワーアップ出来るってわけか。」
【察しがいいな、その通りだ。さあどうする?光の王子……。】
「全部だ。」
【何だと!?】
「オレには時間がねえ。妥協する余裕もねえ。キュアライダー達よりずっと強くならなきゃいけない。
だから、まとめて相手してくれ。」
【冗談でしょ!?】
【死んでも知らねーyo!】
【若さとは、恐ろしいものです。】
【!!……クハハハハハ……ハハハハハ!!以前の氷室玄徳といい、近代の戦士たちはうつけばかりか!!?】
「玄さんが何しでかしたか知らねえが、 俺はあの人さえ超えなきゃいけねぇんだ。いいからまとめてかかってこいよ。」
【 ドラゴン、ペガサス、タイタン。お前ら、これほどのウツケを見たことがあるか!?
いいだろう。 世の理を知らぬ若造に洗礼をくれてやる!
かかってくるがいい、光の王子!!
この試練を乗り越えた時、貴様はかつてのリントの英雄をも超える力を手に入れていよう!】
その頃。フレッシュプリキュアチームが管理している、西エリアのテント内では……。
「なぁアンタ、 本当に何も覚えてないのか?」
「ええ、ごめんなさい……。」
「 無理することはねえ。けど何者かわからねーんじゃ、家族が心配してるかもしれないし……。」
「本当に、何も覚えてないの……。」
北那由多を名乗り、 ゴミ処理場付近で倒れていたところを澤裕喜に助けられ、一時的にフレッシュプリキュアの管理テント区域で保護されていた。
「もし、家族がいたんだとしたら、それすら忘れるなんて……ひどい人間だわ、私……。」
「今は未曽有の大戦争の真っただ中だぜ?記憶を失って保護される事も、珍しくない。
大事な誰かが探してるんなら、時期に情報が届くさ。今できる事は、せめて体調を万全にしておく事だろ?」
「ありがとう。優しいのね……。」
少し寂しげながら優しく微笑まれ、顔が真っ赤になる裕喜。
「っ……んな事ねーよ!! ちょっと飲み物取ってくるから、安静にしてなよ?」
逃げるようにテントから出る裕喜。と、 タイミングよくドーナツ屋のカオルちゃんが現れた。
「おう、どうした青年……。」
「いや、ちょっとな…… 悪いけど、テントの中で寝てる女に、ドーナツ持ってってやってくれよ。」
「OKOK、 おじさんねェ、可愛い子のだめだったら気合い入れて作っちゃうから。」
伊達男によく似合うサングラスを怪しく光らせ、 カオルちゃんは顔を近づけた。
「おう。」
「とりあえず、 このテントの分を中に置いてきちゃうからさ……。」
数分後に出てきたカオルちゃんは、 いかにも怪しげな笑みを浮かべていた。
「恋……だな?」
「ちっげーし!!」
「美希ちゃんにフラレて寂しがってんのを、慰めてやろうと思って来てみたら、もうあんな美女とよろしくやってんじゃないの。 心配して損した。」
「ちげーって!余計なこと勘繰るなよな!」
真っ赤になって反論する裕喜だが、その腹の中はバレバレだった
「風邪ひかねーようにな。」
「ありがとよ!」
ニヤニヤと笑いながら立ち去っていくカオルちゃんを、裕喜は追い払うように見送った。
その頃一方、中央テントでは……。
ジャアクキングらしき気配を追って、 無謀にも『ライドベンダー』一騎だけで地下へ潜入したキュアルージュ/夏木りんとブンビー。
彼らが持ち帰ったものは、雪城ほのか達門谷一派の科学班を驚かせる代物だった。
三つ並んだ木箱の上に、毛布と担架を乗せた簡素なベッドの上に乗せられていたそれは、キュアドリームによく似た少女だった。
どちらにしろ、闇の同盟やシャイニーキングダムも往来する地下に、 いたいけな少女を放置していくわけにはいかない。
「身体検査の結果 、ダークドリームさん達と同じ、5チームのクローンであることがわかりました。」
ほのかがボードを見ながら説明した。
「ただ 一つ気になる点が……。キリヤくん。」
ほのかに目線で指示されたキリヤは、 ホワイトボードに 彼女の体内図のようなものを映し出す。
「ご覧のように、全く闇のエネルギーを感じないんです。 つまり、人為的に作られた人ではあっても、闇の同盟の技術ではないという可能性が高い。 シャイニーキングダムである可能性も否めないかと。
ただそうなると、なぜ私たちのパートナーがジャアクキングらしき気配を感じたのか…… 疑問が残ります。」
専門用語や複雑な憶測が飛びかい、 頭がフットーしそうになるりん。
「 そりゃあ、ほのかさんとかかれんさんみたいに、理系で 頭のいい人達なら、百歩譲って分からなくもないけど…… よりにもよって何でのぞみをモデルに兵隊を作り出すの?」
「ああ見えてお前たちのリーダーは、とてつもない力を秘めてるからな。
どちらかの組織に目をつけられても、さして不思議はない。」
天道が言うと、りんは渋々ながら頷いた。
「……で、これからどうしようかしら?」
明美が言うと、ココが返答した。
「 いくら闇の同盟の兵器だからって、敵意が確認できないものをその辺に捨てておくわけにはいきませんよ。
当面この避難所で保護ということで。」
「結論は出たな?炊き出しの時間だ……解散。」
天道が手を叩くと同時に、 少女を寝かせたままで、一同はテントから出た。
一番最後に出た明美は、一瞬寝かされている彼女の指がピクッと動いたような気がした。
もう一度彼女をよくみたが、別段変化は見られない。
(気のせいかしら……?)
外へ出てすぐ ボロを着た老人が明美に話しかけた。
「 平和会議は、順調かな?」
よく響く声だった。確かに年相応の嗄れを感じるが、現役の戦士たちにも劣らない重厚感がある。
艶のある黒い髭も髪も、きっちり切りそろえられ、 着ているもの以外は風格さえも漂わせる。
「えぇ…… まだまだ課題は尽きませんが、たくさんの組織と連携して平和に向けて邁進しております。
ですから、貴方もどうか、まだまだしっかり生き延び……。」
そこで明美は言葉に詰まり、老人に見入ってしまった。 彼の老人らしからぬ鋭い眼光にたじろいだのもあるが、 何より、どこかで彼に会ったような気がしたのだ。
どこであったかは思い出せない。
本来人から警戒されるであろう、鋭い眼差しに、明美は懐かしさすら感じていた。
「 それを聞いて安心したよ。 本来男の腕ならば前線に立つべきだが、こんな老体になってはな……。
やはり未来の事は、若い衆に任せるに限るな。では、失礼するよ。」
「あの……ちょっとお待ちを!」
早々に立ち去ろうとする老人を、 明美は必死で呼び止めた。
なぜだかわからないが、この状況で無性に彼を頼りたくなったのだ。
「何か?」
この世界情勢について、善良な市民の一人にすぎない彼に知恵を借りるなど、 愚策もいいところだ。
ただ本当に無意識に、彼と話さなければならない気がしてしまっていた。
「どこかで…… お会いしませんでしたか?」
老人は、少し皮肉そうに笑った。
「 いくらボケが来てるとはいえ、あなたのような美人に会ったら、忘れるはずはないと思うがね……。」
「……失礼しました。」
「 いやいや。しばらくしたらまた、話を聞かせてもらいにくるよ……。」
以前にどこかで会ったことは否定されてしまった。
それでも明美自身、彼に感じた懐かしさを、自分の心から拭うことがどうしてもできなかった。
「ゥウ!ァアァ!」
フレッシュプリキュア管轄テント内の中で、那由多は 何かに怯え、頭を押さえて唸っていた。
(ドクン……ドクン……!!)
無人になった中央テントの中で、ドリームによく似た少女の鼓動が戻りつつあった。
それに反応するように、遠方から見つめるのは、黒いボディに黄色い模様が入っ た、蛇のような生物兵器に乗る 一人の仮面ライダーの影。
「 なるほど……ミラーワールドの鏡を使って、場所を隠していたか。」
男は、右手首にはめたブレスレット型の探知機で隠された避難所の場所を特定していた
「神崎め……まんまとうばわれてくれたな。
とはいえ バカ息子共がいないのは、好都合だ。
今そこにいる連中は少数精鋭だ。落とすのもワケはない。 士気を上げろ貴様ら!
明朝、門矢士並びに妖精、キュアライダー共を一網打尽にする! 逆らうなら市民も殺せ! 同盟に仇なす体制に容赦はするなよ!」
不気味な動向を夜の闇に響かせる怪物たち。
数分後、未曾有の対戦は勃発する。