プリキュアオールスターズ×仮面ライダー〜bの復活とsの暴走〜第三部   作:鈴木遥

2 / 22
またいつか繋がる日の為に

・急襲したショッカーたちを相手に、果敢に挑むグリスとクローズチャージ。

 

「何匹いやがるんだこいつら!」

 

「焦んじゃねー!突き続けりゃいずれ崩れる!問題は……アレだ!」

 

猿渡の視線の先には、クライアス社なる謎の新勢力の産物、オシマイダーがいた。

 

二人の専用武器、『ツインブレイカー』による打撃、射撃をいくら叩き込んでも倒れない。

 

「何なんだアイツ……!」

 

「さぁな、オレらの攻撃が当たっても効いてねーらしい。」

 

『オシマイダァァァァァァァ!』

 

奇怪な雄たけびを上げながら、破壊の限りを尽くす怪物。行動からは、何の意思も垣間見えない。

 

 

「オイ、アレ!!!」

 

焦る万丈。オシマイダーの正面には、スラム街の少年がいた。

 

意思なく破壊に徹するオシマイダーにとって、これ以上恰好の標的はない。

 

 

「ヤベェ!!」

 

助けに走るが、距離を取り過ぎたせいで、到底間に合わない。

 

「くっそォ間に合わね……!」

 

猿渡が走り、オシマイダーの黒い拳が振り下ろされようとしたその時。

 

「「フレ!フレ!ハート・フェザー/スター!!」」

 

高い声と低い声の混合詠唱とともに、空から黄金の星屑と、青い羽根が降って来た。

 

 

「……!?」

 

羽根と星屑の旋風に巻かれ、オシマイダーは徐々に喧騒の表情を解かしていく。

 

そう、浄化されたのである。

 

『ヤメサセテモライマ~ス!』

 

緩やかな鳴き声(?)と共に、オシマイダーは完全に消滅した。

 

先ほどの少年は、腰まで伸びたポニーテールの少女に抱っこされていた。

 

「危ないって言ったでしょ?」

 

「うるせー!父ちゃんは同盟にやられたんだ!オレが仇を取ってやる!」

 

「百年早い。」

 

父の仇を取る!と意気込む少年に、黄髪の少女は容赦なく釘を刺す。

 

「ママが心配してるわ。避難所に戻ろう?」

 

水色アップ髪の少女に諭され、少年はしぶしぶ奥へと走っていった。

 

 

「なぁ万丈、確かあそこ……。」

 

「ああ、赤くてでけー電波塔があった。避難所ってどういう事だ?」

 

 

「ちょっとアンタたち。」

 

ひそひそ話をしていた万丈たちに、ポニーテールの少女が詰め寄る。

 

「……何その妖しいマスク?」

 

(ヤベェ!変身解くの忘れてた!)

 

 

遅ればせながら気づく万丈。そんな彼の気持ちを忖度してか、彼女は淡々と言った。

 

「あーなるほど、私らと同じ穴の狢か。」

 

「へ?」

 

訳が分からない万丈。彼女たちは、腰に下げたハート型のアイテムを変形させた。

 

二人の身体をあわい光が包み込み、彼女たちの『変身』が解除される。

 

急激な髪質やコスチュームの変化などに度肝を抜かれる万丈をよそに、彼女は呟いた。

 

「さっきの奴等、捌いてくれてありがとう。新顔ならアタシらの住処に案内するけど、どうする?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

謎の少女、薬師寺さあやと輝木ほまれの誘いを受けた二人は、やはり芝公園に仮設されていた大規模な避難所に到着した。

 

避難所といっても、先程のスラム街と代わり映えしない様な、粗末なテントの集合体だった。

 

「すげぇな……なんつーか、 やればできるもんなんだなって……。」

 

その言い方が正しかったか否か、万丈にはわからない。

 

ただ、得体のしれない怪物に屈してなお、『生きる』事を諦めなかった人々の執念に似たものが、ここには集まっている様な気がした。

 

そんな万丈の気持ちを知ってか知らずか、ほまれは彼に、この世界で起きた事を話し始めた。

 

「 同盟とキングダムの襲撃で 都内の小中学校とか避難所になりよる体育館が全部崩壊しちゃってさ。

初めのうちは自衛隊とか、 超人的な組織を快く思わない他国の軍隊とかが介入してきたんだけど、 あいつらは超人的な能力で 反乱因子を殺さずに負かした。

おかげで国を取り仕切るような人たちはみんな どっちかにしっぽを振るようになった。

その結果がこれだよ。首都圏に残っているわずかな反乱分子も、もういつ全滅してもおかしくない。」

 

「そんな酷え話が……。」

 

「それが酷い話から当たり前に変わっても何日も経つ。

それを変えるために私たちがいるんだよ。」

 

「 あの力のことか……お嬢さん達一体何者だ?」

 

猿渡の問いに、二人はハート型の変身アイテムを出した。

 

「このアイテムを使わない『先輩』たちも居ますけど、

この世界の女戦士は、『プリキュア』と呼ばれてます。

……私達は、プリキュアになって日が浅いですが。」

 

「プリキュア……。」

 

感嘆する万丈に、ほまれが返した。

「二人は、『仮面ライダー』だよね?おたくの先輩に知り合いがいるから、案内するよ。」

 

 

タワーの真下には、ひときわ大きな白テントがある。

 

テントの中では二枚目風の男が、何やら香ばしい香りの漂う鍋をかき回している。

 

「アンタ、何を……。」

 

万丈が声をかけると、男は唇に人さし指を当てる。

 

「話しかけるな、サバ味噌の出来はタイミングで決まる。時期に出来る。しばらく待て。」

 

「オレは別にメシなんか……!」

 

反論しようとした側から、万丈の腹が鳴った。

 

「見ろ。腹は正直だ。」

 

「お前……足元見……!」

 

更に食って掛かろうとした万丈を、猿渡が止めた。

 

「初対面にケンカ売ってどうする?オレ達は先輩とやらに会いに来たんだろ?」

 

「その人も先輩だけどね、喧嘩ならしなくて正解。その人アンタより強いよ多分……。」

 

ほまれが告げたとき、鍋の中から取り出したサバ味噌を更に盛り付けた。

 

「いいぞほまれ。皆に声かけろ。」

 

「いい匂い……さすが天道さん。」

 

「お世辞は良い、速くしないと冷めるぞ。」

 

「ハイハイ。」

 

避難民たちのテントに向かって駆け出すほまれ。それと同時に、 白い大型テントの国から白衣の青年が現れる。

 

「永夢、味見を頼む。」

 

「おっー!喜んで!」

 

彼からサバ味噌の皿を受け取る仮面ライダーエグゼイドこと北条永夢。

 

彼を見た万丈は、 思わず目を見開いた。彼と面識があったからである。

 

今年の8月のこと、二つの異世界融合を目論む最上魁星と、その主力兵器『エニグマ』の阻止のため、共に戦っていたのだ。

 

 

「エグゼイドー!?」

 

「万丈さん!?」

 

 

 

 

白い大型テントの中に通された万丈と猿渡は、この世界情勢について、更に詳しく話を聞いていた。

 

 

「つまり…… こっちにもといた戦士たちは今バラバラに散ってるってことか?」

 

「その通りです猿渡さん。 遭難者の救出に向かったり、行方不明者の捜索に向かったり、あとは……。」

 

「裏切った連中の説得に向かったりな。」

 

永夢に代わり、飛彩がつぶやいた。

 

「飛彩さん、そんな言い方……。」

 

「どう言えば良い? 奴らがどんな状態だったにせよ、敵の甘言に乗ったのは事実。所詮は裏切者さ。」

 

永夢は頭を掻いた。

 

と、その時。テントの奥から、赤毛の青年がカオを出した。

白衣を着ている辺り、永夢と同じ医者だろうか。

 

「彼らにも、色んな事情があったと思う。けど…… キングダムの連日の攻撃を前に私達がこれじゃ……。」

 

 

「アンタも仮面ライダーかよ?」

 

「いや……私はプリキュア。」

 

「えぇ!?」

 

彼らが彼女を『青年』と思った理由は、単に見かけからの判断だろう。髪は短くまとめられ、ファッションセンスも男前そのものだ。

 

「よく驚かれるけどね……。」

 

剣城あきらが苦笑いしていると、奥から青い髪の女性が出て来た。

 

「あきらちゃん、次の診察お願いね。」

 

「かれんさん、今行きます。」

 

 

「彼女もプリキュア……その他にも、医療関係者が何人か、残ってるんです。」

 

「だが、 医療関係者以外のプリキュアは今、現役とアラモード組だけ。仮面ライダーは外にいた天道と桐生、天空寺、如月、それと小野寺ってヤツだけだ。」

 

「 この頭数じゃ、襲われればひとたまりもねえな。」

 

 

猿渡が言う。 数秒にも及ぶ沈黙の中で、結局その先の答えは出なかった。

 

 

 

夜になると、 夏も近いというのに妙に冷える。

 

万丈は、星空を見上げていた。天道が料理する間、 何もすることなどないが、何かしていないと落ち着かなかった。

 

話を聞いているとどうやら、戦兎は自分達に先んじて、この世界に来て戦っていたらしい。

 

しかし自分には、西都との戦争を止めるための代表戦が間近に控えていたのだ。

元の世界に帰らねばならないが、 この世界の住民 を放置して逃げることなどとてもできない。

 

「あ〜……どーすっかな。」

「迷ってるの?」

 

 

後ろから、落着いた声がした。

 

プリキュア医療チームのまとめ役、水無月かれんだ。

 

おそらく彼女は自分より若いだろうが、 自分より凛として決意の固まった目をしている。少しばかり、今の自分が情けなくなった。

 

「アンタはすげーな。オレと違って、この世界で出来る自分の役目を上手くこなしてる。」

 

「私も、自分に自信はないわ…… あきらちゃんや、六花ちゃん…… 仲間達がいなかったら何もできないお嬢様のままだった。」

 

「でも……決意は固まってんだろ?」

 

「正直今一つよ…… 私の恋人が行方が分からなくてね。

どうもクイーンの所にいるみたいなの。」

 

「……!?」

 

万丈の前だからか、無理に笑っているが、 その笑顔の裏に 何か語りがたい闇を抱えている事に、万丈は気づいていた。

 

「バカな()だわ。 私にこんなに心配かけて……でも、バカなのは私もそう。彼女が何を思い、気に病んでいたか、こうなるまで気づいてあげられなかったもの。」

 

「恋人って……女!?」

 

「しかも妖精、よくびっくりされるわ。」

 

 

万丈が思わず笑うと、かれんも釣られて笑いだした。

 

 

「おう万丈!メシ出来たぞ!」

 

猿渡の声を聞き、テントに戻る二人。

 

「あ〜、かれんさん遅い〜!」

 

宇佐美いちかに頭を下げながら、かれんは天道からスープを受け取る。

 

万丈も猿渡からピラフを受け取り、思い切り頬張る。

 

 

 

「では、春日野うらら!」

 

「立神あおい!」

 

「「歌いま〜す!」」

 

 

 

テントの人びとを元気づける為、キュアライダー達が歌や曲芸を披露する。

 

いちかのものまねや、天道のわさびロシアンルーレットなどを見ているうちに、万丈はいつの間にか笑い、共に歌っていた。

 

(何だ……コイツラも、元の世界の戦友(バカ)共と同じだな……。)

 

その時、万丈の中に浮かんだ答えは一つ。

 

(戦うか、この世界をかえるために……。)

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。