プリキュアオールスターズ×仮面ライダー〜bの復活とsの暴走〜第三部   作:鈴木遥

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強行突破

・ マナが調理した、彼女の父直伝の特製オムライスによって活気を取り戻した門矢士一派。

腹が膨れた戦士達に待っているのは、束の間の休息の後の作戦会議。

 

状況は芳しくなく、いつどの集団が動いても対応できるようにしなければならない。

そのため、キュアライダー全戦力の半分以上はこの避難所を動くわけにはいかない。

 

現在早急に解決すべきは、占拠されたお菓子の国の解放および、人質に取られている火野映司の奪還の二極だ。

 

「 今お菓子の国には、キングダムと同盟、両方の戦力があると思っていい。全面戦争を避けるためにも、オレ達の世界のマスクドライダーたちをむかわせて、 オーズの奪還に努めるべきだ!」

 

「 洗脳ではないにしろ、今のオーズは向こうの連中の操り人形だ。無抵抗でついてきてくれるとは思えない上、 あの『闇のコアメダル』とやらの力も未知数だぞ。」

 

加賀美新が発言すると、天道総司が静かに制した。

悔しそうに着席する加賀美。

 

次に席を立ったのは、 キュアソード/剣崎真琴。

 

「 やっぱり、映司だけを奪還して即退散というのは難しいと思うわ。 多少なり、向こうの連中とぶつかる覚悟でないと。」

 

「 私も真琴ちゃんに賛成。」

 

着席したまま手をあげたのはキュアマカロン/琴爪ゆかりだった。

 

「 私もです。 今後同盟とキングダムが、どんな攻撃を仕掛けてくるか分からない以上……これを機に、少しでも敵の戦力を削いでおくべきかと!」

 

気合を入れた弁舌を述べたのはキュアビューティー/青木れいかだ。

 

「だが……奴らはおそらくすでに、他にも行動を開始しているはずだ。俺達がお菓子の国に全部の戦力を注いでいる間に、もし別のエリアで何かがあったら……。」

 

仮面ライダードライブ/泊進ノ介が頭を抱える。

 

現場仮面ライダー陣営では、 アギト、龍騎、ファイズ、ブレイド、キバ、ウィザード、ゴーストと、 半数弱がシャイニーキングダムの元に下ってしまっている。

 

キュアライダーチームを離反したのには、彼らなりの理由があったはずだ。

少なくともそこを責める者は誰一人としていないが、 その状況が戦力の半減につながっていることも確かである。

 

プリキュア陣営においても 五十数名のプリキュアのうち、 10%弱がシャイニーキングダムに下っているが、事実確認が取れている物のみ。

いつどこで情報がリークされるか、まだ確実な状況把握ができていない。

 

早い話、『いつ』、『どこから』裏切り者が出てもおかしくはないのだ。

 

「 せめて今、国の内部がどうなってるか分かればな……相棒、 本棚で調べられねーのか?」

 

円卓の隅の方で、紅茶を仰いでいた翔太郎が、ちらりとフィリップを見た。

 

しばらく目を閉じて、何やら頭を抱えていたフィリップだが、やがてパッと目を見開いた。

彼は一つ溜息をつくと持っていた分厚い本を まるで読むことを拒絶するようにパタリと閉じた。

 

「ダメだったよ翔太郎。ジャミングがかけられてた。」

 

「ジャミング?」

 

翔太郎が提案する少し前から、フィリップはお菓子の国の内部を探る為、『地球の本棚』のキーワードを絞り込んでいた。

 

地球の記憶そのものである、情報の集積地。

 

時間にも空間にもとらわれることなく、星が所有している情報を閲覧する事が可能。

最強形態であるゴールデンエクストリームの力を得てからは、並行世界ーすなわち別世界の地球ーに蓄積された情報を閲覧することも可能となっていた。

 

だが……

 

「 棚から出した本は、すべて闇のエネルギーに染まっていた。迂闊に触れると、あれらは僕を飲み込もうとしたよ。」

 

「 妨害されてるってことか……。」

 

フィリップの声には恐れこそなかったが、それにしてもだいぶ参っている様子だった。

地球の本棚のジャミング、ハッキング、 あるいは汚染ともとれる、史上類を見ない敵側の妨害行為。

 

「もう、情報の優位性はあてに出来ないってことね。」

 

月影ゆりが重苦しいため息をつき、美墨なぎさは知恵熱で頭をくしゃくしゃかき混ぜる。

悪い情報はこれで終わりではなかった。

 

「 みんな大変なんだ!!ちょっと来てくれ!」

 

会議中だったテントの中に、ココ/小々田コージが飛び込んできた。

 

プリキュア5が管轄しているテントのある一角。

彼曰く、夢原のぞみが寝ていた場所だったそこは、 まるでジグソーパズルのパーツを無作為に抜き取ったかのようにガランと空いていた。

 

「 一体こんな時にどこへ……!?」

 

葛葉紘汰が尋ねると、ココはようやく冷や汗を吹き出しながら重い口を開いた。

 

「さっき、妖精たちのテントを見に行ったら、シロップもいなくなってた。考えたくはないが……!」

 

「 一人で助けに行ったってのか!!無茶だ!」

 

「そういう人なんだのぞみは!!だけど……だけど……!」

 

軽く言い争いになる紘汰とココ。

 

紘汰は彼の肩に手を置き、『今は行動すべき時だ』、と一言告げた。

 

「こうなった以上、オレたちに選択の余地は残っていない。敵陣に乗り込み、占拠されたお菓子の国を救うぞ」

 

 

かくして、キュアライダーズの意向は『交戦』で一つ固まることとなった。

 

「私に……作戦があります!!」

 

挙手したのは、花咲つぼみだった。

 


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