プリキュアオールスターズ×仮面ライダー〜bの復活とsの暴走〜第三部   作:鈴木遥

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姫の焦燥

芝公園基地の出発前に、花咲つぼみが提案した作戦は以下の通りだった。

 

ホールケーキ城にはそれぞれ三つの門があり、市街地からまっすぐ中央広場を突き抜けた正門、オーブンの砂漠へと続く裏門、そして工場地帯へと繋がるジュースの滝をくぐった第三の門だった。

先遣隊は城の様子を随時監視し、戦力を3分して一気に攻め、処刑場に一番近い頂上まで一気に突っ込む。

 

 

多数の戦力が同盟とキングダムの兵隊たちを抑え込んでいる間に代表者数名が城の屋上女王の処刑場まで押し入って火野映司と女王を奪還。

 

あとはビークルでクラックを繋いで国外へ脱走するという計画だった。

 

概ねうまくいったと言えたのは、基地を出てすぐ。

先に城の敷地内に入ってしまったシロップとキュアドリームの対応に追われ、場内が騒然としている中、城の前には警備兵が追加された。

 

よって、その敷地の外は兵力が手薄になっていた。

実際ダンテライオンビークルのほぼ全てが市街地から中央広場までほぼ素通りで到達できた。

 

唯一足止めをくらったのは、スイカロックシードに乗り込んだキュアルージュと、ソードフォーム。

 

「ルージュ!!」

 

ディエンドの運転するビークルの上から、ブロッサムは二人に向かって叫んだ。モモタロスは振り向かずに返事をした。

 

「ここは任せろ!!先行っとけ!!」

 

「そういう事!!中でドリームに会えたら説教しといて!」

 

彼らを足止めしたのはアルビノレオイマジンだった。

 

「おいおい。今のは合流できるやつが言うことだぜ」

 

黒く光る鉤爪をちらつかせながら嘲笑った。

 

「心配すんな、前振りはいらねぇ。なんたって俺は最初からクライマックスだからな」

 

「意味わかって言ってんのそれ?」

 

「うるせぇー」

 

向かい合う電王とルージュを心配そうに見つめるブンビー。

 

「りんちゃん、私はその……!!」

 

「ブンちゃん、不服かもしれないけど、ここは下がって。それよりも、クラックのそばに逃がしたショコラが心配なの。様子を見てきてくれない?」

 

歳下の恋人がここまで命を張っている。

ブンビーはいささかその身を案じたが、スイカロイドのマスク越しにも見える、彼女の覚悟に満ちた瞳。

それ以上の問答は野暮だとわかった。

 

「必ず後で合流しよう……約束だからね!!」

 

渋々立ち去るブンビーの背中に向け、スイカロイドでサムズアップするルージュ。

 

「さぁて、もう遠慮はいらないわよね……!!」

 

「長いんだよ、お前らのメロドラマ」

 

あきあきしたように手を振るアルビノレオイマジン。

後から続くようにモールイマジンの部隊が現れた。

 

「てめーらも大概せっかちだな!そう焦んなくても相手してやるよ」

 

「この数を相手にか?おまえ、前に俺と戦った時は三人揃うまで随分ボロボロになってた気がするがな」

 

未来の桜井侑斗と合流した時のこと。

その時戦った今までにない強敵は彼だった。

モモタロスはそのことを重々理解した上で、この場を引き受けていたのだ。

 

「随分とつまらねえ野郎だなァ!俺があの時と一緒だと思ってんのか?そんなケチなクライマックスはねーだろ」

 

「お前のクライマックスがか?」

 

煽りを無視してルージュが電王に囁きかけた。

 

「周りのは私が」

 

「おう」

 

数秒の睨み合いの後、先に火蓋を切ったのがどちらだったかは分からない。

ブンビーの手によって街の住人たちが避難を始めるのとほぼ同時に、両者はお互いに向かって飛びかかった。

 

「消えろォォォォォォ!!」

 

「行くぜ行くぜ行くぜェェェェェェェェェ!! 」

 

※

 

クラックから空間転移した仮面ライダーダブル、チェイス、マッハは、りんから聞いていたジュースの滝……ではなく、なぜかかき氷の雪原に出た。

 

「さ……さぶうぅっ!!?一体何がどうなってんだぁ!?」

 

「そんなに慌てなさんな……アンタの目当てはここだよ」

 

寒さに震え上がる翔太郎に、吹雪の向こうから声がかかる。

 

吹雪のはるか向こうから、仮面ライダーたちには聞き慣れない声がした。この寒さの中、簡素な白スーツだけを身にまとった男が一人。

服と対象的な黒髪を、まるで獅子のたてがみのようにワックスで固め、耳につけた銀色のピアスとその狂気的に見開かれた瞳が、語らずとも伝わる男の残忍さを協調していた。

 

「あ、アンタ一体……!!」

 

詩島剛が固唾をのむと、男は手から炎を放つ。宛ら、クウガアルティメットフォームの超自然発火能力だ。

 

「おれはクオークスでありネバー……財団X投資対象の座を争った二大生物兵器の掛け合わせさ……闇の同盟に吸収され、御上は考えを改めた。使えるものは、壊れるまで使い潰すべき……とな!!」

 

「まぁた財団Xの異物か……相棒?」

 

『クオークスに関しての記述は、以前カンナギ事件の調査で閲覧した。対策は問題ないよ」

 

ダブルのサイクロン側ーフィリップーが、ホルダーからヒートとメタルのメモリを取り出す。

 

「つーわけでシフトカーコンビ、ここは俺らの専売特許だ。先に行け」

 

「だが……」

 

『オーズの女王陛下処刑は刻一刻と迫っている。ここに戦力を一点集中させるのは、あまり得策ではない』

 

心配そうな表情を浮かべるチェイスと剛だったが、そのマスクの下から見える表情に先輩ライダーの貫禄を垣間見たからか、二人共ビークルを召喚して冷蔵庫ゾーンをあとにした。

 

『翔太郎。悪くないね、後輩というのも』

 

「無駄口聞いてる暇はね~ぞ相棒……」

 

「左側の言う通りだよ。大人しく行かせると思ったかい?」

 

クオークスの男の余裕ぶりに違和感を覚えたとき、後方には無数のマスカレードドーパントと、ロイミュードが召喚されていた。

 

「しまった」

 

『翔太郎、メモリはこれにしようか』

 

フィリップの対抗策は、属性ーフィリップ側ーではなく、ウエポン、翔太郎側のメモリ変更。

メタルをトリガーに変え、広範囲に攻撃することだった。

 

「巨大冷蔵庫の中で、こんなもんぶっ放して平気か?」

 

火力だけなら、あのエクストリームをも凌ぐヒートトリガーの狙撃。ゆえに、風都市内での戦闘ではあまり多様されなかった組み合わせだ。

 

『背に腹は代えられないって奴さ。大見得切った後だろ』

 

「ったぁく、しゃあねえな」

 

属性スロットにヒート、ウェポンスロットにトリガーを装填し、紅青のヒートトリガーへとフォームチェンジしたダブル。

 

「この数を相手にマグナム一本だと?寒さで頭もやられたか!?このミュージアムの欠陥品がァ!!」

 

クオークスの男が空中に巨大な火球を設置すると、それを合図にマスカレイドやロイミュードの軍団が迫りくる。自らの手駒諸共に、ダブルを抹殺する気らしい。

 

「捨て身かよこいつら!!」

 

『慌てるな翔太朗。計算は済んでる』

 

フィリップの計算速度は、ビルド/桐生戦兎にさえ引けを取らない。

さすがに長年のコンビネーションから来る信頼は抜群だった。フィリップからの声掛けを合図に、ベルトのヒートメモリをトリガーマグナムにセット。

ジョイントを傾け、掛け声とともにトリガーを引き絞った。

 

『トリガーエクスプロージョン!!』

 

気温、距離、人数、弾速、すべてが計算ずくであった。

 

マグナムから放たれた炎は太い渦を巻きながら、敵を一瞬のうちに飲み込み、跡形もなく蒸発させた。

 

✱

闇の同盟の侵略が始まってから、乱暴に突貫工事されたクラックの中を、ショコラはひた走っていた。

キュアルージュに逃がされたブンビーがこちらに向かっていることなど知るよしもない。

仮に知っていたとしても、ならばと歩を緩めるような彼女ではなかった。

最愛の母の処刑が刻一刻と迫っているのだ、気が気ではないとはまさにこのことだった。

 

「のぞみ……みんな……お母様……!!」

 

クラックの中は 暗闇の迷路 も同然。

ショコラにとっては見知った 自分の家であるはずが、今は大型の魔窟と言って差し支えない有様だ。

 

このままでは、最愛の母が 闇の同盟によって殺されてしまう。

 

それだけは絶対に避けなければならない。

 

「もうすぐですわ」

 

クラックの裂け目が見えてきた。

毎朝学校まで見送ってくれる時の笑顔、お弁当の卵焼き、記念日にお城を飾りつける時の、泥まみれで働く姿……。

もうすぐ全てが戻ってくる。

そう確信した時、ショコラの背中を怖気が襲った。

 

「なんですの……!?」

 

真の闇の中でもはっきり分かる 邪悪の気配。

次に 汽笛の音が鳴った。

訳も分からないまま、徐々に紫色に変わる闇の中へと目を凝らす。

 

思わず息を飲んだ。

最初に見えたのは人間の頭蓋骨。

それがもう スピードでこちらに突撃してくる。

やっと気づいた それは 列車だった。

 

 

「よぉ、お姫様」

 

 

即座に聞こえてきた 電子音。デンオウベルトのそれに似ているとショコラは思った。

 

【スカルフォーム】

 

電王のとは違うボロボロのプラットフォーム。

おどろおどろしい青色の炎と、頭蓋骨を模した電化面が降下してくる。仮面ライダー幽霊汽/スカルフォームは、黒く錆びついた刀を武器に、国の要人であるショコラの首を取りに駆けつけていた。

 

「あなたも悪い方ですの…!?」

 

「とんでもない。悪はシャイニーキングダム とやらの方だぜ?俺たち同盟は従わないものを洗脳して人形にしたりしない。ただ 等しく殺して闇に帰すだけだ。」

 

「そんな……」

 

「怖いだろうな。でもしょうがない。お前の首は……」

 

幽汽が刀を振りかぶると同時に、黒いエネルギーが切っ先に宿る。

 

「邪神昇格に必須だそうだ」

 

ショコラには意味がわからない ただ 迫り来る理不尽な死に怯えるしかなかったその瞬間。

 

「大丈夫?」

 

久しく 懐かしい 安心を誘う声。

闇に満たされたエネルギーの中で、暗黒の霧の中にあっても 決して 途絶えることのない希望の光。

 

白い羽と、マゼンタの髪色がたたえる夢。

 

朝焼けのような 眩しさと安心を伴い ショコラは彼女の名を呼んだ。

 

「のぞみ……」

 

「想いを咲かせる奇跡の光、シャイニングドリーム!」

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