プリキュアオールスターズ×仮面ライダー〜bの復活とsの暴走〜第三部 作:鈴木遥
・ ポルンは薪の前で目を覚ました。
おそらくクウガの世界はとうに抜けたかもしれない。とある森の中だった。
薪を囲んでいるいくつもの影は、彼がよく知っている仮面ライダー達。如月弦太朗、左翔太郎、フィリップ、
ヒビキこと、日高仁志である。
「あれ…オレ……?」
「目ェ覚めたかよ、心配かけやがって。」
ヒビキが 背中を向けたまま呟いた。その声には、若干の怒りが混じっている。
「そうだ!!ルミナス!!?」
慌てて上体を起こそうとした時、背中に激痛が走った。
「 動けるわけねーだろ? 何日飲まず食わずで歩いてたんだか知らねえが、ここに六花ちゃんがいてよかった。
ついさっき俺たちが森の中で キャンプ場を建ててたら、 誰かがお前をここに捨てて行ったんだよ。
解毒したばかりだから当分は動けねぇ。」
「
「 誰に運ばれてきたのか知らねえが、反対意見があるにしてももう少しましな行動しろ!
妖精のまとめ役に心配かけんじゃねーよ!」
「ヒビキさん、もうその辺に……。」
ヒビキの怒りを鎮めようと、フィリップの隣に座っていたキュアダイヤモンドこと菱川六花が フォローに入った。
「 そうだ、六花ちゃんにも礼を言え。 致死性はないにしろ、解毒しなかったらお前はどうなってたかわからねえからな。」
「……ありがとう。」
「ううん。 医療チームとしてここに残ったプリキュアが最善を尽くすのは、当然のことだから。」
「それで、戦況は……?」
翔太郎のリアクションから、状況は芳しくないとポルンは悟った。
言葉の出ない翔太郎に代わり フィリップが本を閉じてポルンに向かい合った。
「 君がいない間にシャイニーキ キングダムの 敵粛清はますます加速した。」
「 最悪な事に、 洗脳された俺らのダチ公を使ってな。」
弦太郎は、重いため息をついた。
「 キュアライダーたちは単なる洗脳というより、思考そのものを塗り替えられている気がする。」
「 どういうことだよ。」
立花が答えようとした時、フィリップが立ち上がった。
「星の本棚で調べた結果だ。行方不明になったキュアライダー達が、 明らかにその行動を『正しい』と認知して シャイニー キングダムの指示のもと破壊活動を行ってる。これまでの味方が操られていた例とは、明らかに状況が違う。」
「強行突破は無理ってことよね。」
ログハウスの奥から、キュアソード/剣崎真琴と キュアマーメイド 海堂みなみが現れた。
「 これからどうする?」
真琴の問いに、フィリップが冷静に返した。
「 最新の情報が集まっているのは 芝公園。東京タワーの砦だ。 ポルンの処分について相談することも含めて、 まずはココ王子たちと合流しよう。」
時の狭間 デンライナー内
「おいオッサン!何なんだアイツら!」
時の砂漠を走る列車、デンライナーは、 巨大イマジンギガンテスと、それらを操る謎の仮面ライダーの襲撃を受けていた。
「なるほど……『彼』は今、己が意思のみで 各世界の戦士を狩っているようですね。片桐慶。」
「 もう攻撃していいよね?答えは聞いてない!」
「待ってリュウタ! 良太郎が東京タワーの援助に出てる今、僕ら変身できなきゃ個々のデンライナーは操れないよ!」
「とにかく今は……逃げるのみやな!」
「 さあ行くのだ!時の列車よ!」
迫り来る怪物たちを前に、どこか余裕を感じさせるデンライナーの一行。
食堂車には、 青木れいか、十六夜リコ、宇佐美いちかの三人が乗りこんでいた。
「奴らの攻撃がどんどん激しくなってるわ!」
「ここは、攻撃したほうがよろしいのでは!?オーナーさん!」
リコとひめが焦っているがオーナーは首を振った。
「行けません。」
「しょんな〜!」
「 我々はたった今、これから何をすべきかを門屋くんに指示していただいた。 キュアハート達に乗車していただくまで、反撃はできません。」
列車の外ではギガンテスハデスたちが デンライナーを攻撃し、 ハデスの頭頂部では、零電王に変身した片桐慶が狂気の高笑いを浮かべている。
「おい慶、ジジイどもの依頼はオーナーの生け捕りだ!
下手するとデンライナーごと吹き飛ばしちまうぜ!?」
「平気さヴォルテ。 あそこにはプリキュアが乗ってる。そう簡単にやられるほどやわじゃないよ。それに、ここまで行って全く反撃してこないのが不気味だ。
必ず尻尾をえぐり出してやるよ……!」
狂気の笑み……されどそれは、己が『正義』のためであった。
光の宮殿
光のクイーンは、 洗脳済みの仮面ライダーやプリキュア達、そしてそれ以前から自分に与していた戦士たちの統率を完了し、 いつでも戦争に陥る準備をしていた。
にも関わらず、何人か士気を挙げきれていない者たちがいる。 美々野くるみ/ミルキィローズもその一人。
「 美々野さん、大丈夫ですか?」
背後から仮面ライダーキバ/紅渡が話しかけた。
彼も今でこそ洗脳状態ではあるが、クイーンに与した動機は、極めてまっとうなもの。
いつの日か行ってくる、ファンガイアと人間の共存。
兄、大我の尽力にも関わらず、 紅渡二世の時代になってなお、 共存の社会は実現しない。
いや、厳密に言うと、人間がファンガイアを少数派として迫害しているのだ。
人間側の横暴が反発を産み、強悪性が悪化したネオファンガイアなるものが増殖を始め、 人間とファンガイア間の溝はますます 深くなっていく。
闇の同盟はもちろんのこと、門矢士一派についていくことすら断念した彼は、 シャイニー キングダムへの入団を決意したのだ。
「渡さん……何でもない。ただ、『誰か』の事を忘れてる気がして。」
ばかばかしい、 笑いとかされるのを覚悟していた。
クイーンの思想が全て、彼女についていけば、世界は絶対に救われる。
その思想はもはや、彼らにとって当たり前だった。
「僕も。」
「え?」
「 誰か大事な女性を忘れてる気がするんです。 一体誰だったのか思い出せないけど……。」
「奇遇ね。 私も……。 顔も名前も思い出せない。なぜこんなに焦がれているのかも……ただ。」
「何でこんなに、悲しいのかな……!?」
ミルキィローズの姿のまま 夜のテラスで彼女は泣いていた。理由はわからない。ただその涙は本物であり
現実だ。 それは事実であり、真実のぬくもりだ。
「 女の涙を乾かすには 音楽が一番だ。」
仮面ライダーサソード/神代剣 が、バイオリンを弾き始めた。
彼もまた、闇の同盟に兵器として復活させられ、クイーンの思想に賛同していたのだ。
彼の音色をもってしても、 くるみの涙は乾かせないだろう。
ここで戦士として戦っている限り、彼女が本当の幸せをつかむことはできないのだから。