プリキュアオールスターズ×仮面ライダー〜bの復活とsの暴走〜第三部 作:鈴木遥
・時の狭間 桐生戦兎VS結城丈二
『ラビット・ラビット!!』
完全に変身しきれていない結城丈二を相手に、現在最強フォームのラビットラビットフォームを持ってしても、桐生戦兎は苦戦を強いられていた。
「うぉらぁぁ!」
「どうした。終いか?」
「くっ……まだまだァ!!」
『プリキュア』と『仮面ライダー』との間に、絶対的な戦力差はない。
ただ、これまで出くわしたどの場面とも違い、レベルも様子も、異質な戦いを、はなは固唾を飲んで見守るしかなかった。
二人の異様な接近戦の凄まじさもそうだが、何かこう、二人の間に渦巻く感情の塊のようなものが、見えた気がしたのだ。
戦兎は、やり場のない怒りと絶望、恐怖を、全力で結城にぶつけている。
当の結城は、まるで遥か高みから戦兎を見下ろす様に、余裕をキープしている。
「この程度でへし折れる男に……仮面ライダーが務まるか。」
「アンタに何が分かる!?」
「何も知らん。お前の事情など……さりとて仮面ライダーを名乗るなら、その魂には責任が伴う。
戦いの場において、修羅になれなければ死ぬのはお前だ……知らんワケではあるまい。」
「……!!」
「お前は、なぜ仮面ライダーになった?」
「え……!?」
「答えろ。何のために仮面ライダーになった?」
記憶を必死に辿り、答えを探す。
葛城巧としてビルドを生み出し、桐生戦兎に生まれ変わり、「彼」はその先に、何を見ているのだろう。
「例え孤独でも、命ある限り戦う……それが、仮面ライダーだろ?
………それさえも見いだせん様では、お前の未来に先はない。」
結城の右腕のドリルが煙を噴き、ビルドの胴部にクリティカルヒットした。
成す術なく変身解除され、倒れるビルド。
結城が腕を下ろす音と、駆け寄るはなの、心配する声が徐々に遠ざかる……。
「戦兎さァァァァん!」
桐生戦兎の精神世界
「答えを、探しに来たのかい?」
戦兎に語りかけるのは、エボルトによってカオを変えられる前の、葛城巧だった。
「……オレは、なんで戦ってたんだっけ。」
「理由は、僕にももうわからない。」
「え……?」
「世界を進化と平和に導くハズが、悪魔の科学者と呼ばれ、不条理な犠牲を出し、ファウスト抗争の原因を作り……『君』を傷つけた。」
葛城は、どこか自重するように言った。
「もう、いいよ……。」
「?」
「『君』は、戦わなくていい。 この世界はとても平穏とは言えないけれど、佐藤太郎として、 せめて自分を大切に 生きてくれ。 ドライバーは門矢士たちに預ければ、きっと、有効に使ってくれる。」
何と言う、願ってもない好条件だろうか。
これで楽になれる、何も考えなくてすんだ。
プリキュアも仮面ライダーも、あんなにたくさんいるんだから、 自分がいなくてもきっと彼らが世界を救ってくれる。
そんな淡い期待とは裏腹に、先程から彼の中で、声が響いていた。よく知っている少女の声だった。
『……願い……お願い……戻って来て……戦兎さん!』
「!?ウッ!」
「どうしたんだ?早くベルトを……。」
『お願い……まだ負けてない!立ち上がれるよ!私も立ち上がれた!仲間が……大切な人がいるから!』
「ァァ!」
『だって私達は……。』
「そうだ、俺達は……。」
「『キュアライダーなんだから!!』」
二人の声がリンクしたその時。葛城の姿が、水に溶かした絵の具のように 歪み始めた。
「よく言ったな……。」
姿が元に戻った葛城は、彼に新たなボトルを手渡した。
「 君がもしも僕にベルトを渡していたら、僕が君にとって変わり、ビルドとして戦うつもりだった。
ところが間違いだったな。君には必要とされている仲間がいる。 親も仲間も何もかも捨てて歩いてきた僕とは違う。
君にはビルドを平和に利用する事ができる。
君なら僕とは違う答えが出せる。
君の手で きっとこの世界を……。」
葛城が光となって消えると共に、彼は大きなボトルを手にとっていた。
時の狭間
「もう少し骨のある男かと思っていたがな……門矢士に 謝らなければな……野乃はな、お前も戻ってこい。」
「待て!」
「……ん……!?」
結城の前には 桐生戦兎が立ちはだかっていた。 見覚えのない、大きなフルボトルを手に持って……。
「驚いたな。『あれ』を食らって生き延びるとは……だが!」
結城がドリルを構えるとともに、戦兎はボトルをドライバーにセット。
「変身……。」
「その清々しいカオを待っていた……『合格』だ。」
桐生戦兎という男の、新たなる決意を込め、今彼の手に渡った究極のボトル……その名は。
『ジーニアス!!』