プリキュアオールスターズ×仮面ライダー〜bの復活とsの暴走〜第三部   作:鈴木遥

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光の王子、帰還

・エボルト(ブラックホール)は、 時空の乱れを感じていた。

 

『本来の彼』は、あれから桐生戦兎を乗っ取る形でフェイズ3へ、更に石動博士を解放し、 肉体を完全に解放することでフェイズ4へ進化する『はずだった』。

 

ところが、ここまで来るのに『彼』は何ら 計画を遂行しきれていない。

 

ビルドの世界の運営権を闇の同盟に引き渡し、 ブラックホールの駒として戦ってると、あり余る程のエネルギーを受け取って、ここまで来てしまったのだ。

 

それも、まだ万丈龍我の肉体を乗っ取ったばかり、フェイズ2に止まっている段階で。

 

(『本来俺が観測できないはずの俺』だ。 確かに好都合ではあるが……何か引っかかるなァ。)

 

物思いにふけっていた時。突如彼の中にいた万丈龍牙が暴れだした。

 

「ぐぁ…… 拘束力は上がっているはずだが、どういう事だ!?

戦兎が ジーニアスに進化したのに呼応したかァ!?」

 

肉体の定着が不安定になりゆく中、エボルトは次の行動に移る。

 

 

「仕方ねぇ、 蘇らせたばかりだが……お前さんが行け。猿渡ィ……!!」

 

 

 

 

 

時の狭間

 

 

 

「……なんで、アナタが?」

 

唖然とするはな。無理もない。

 

目の前には 猿渡達から『敵』と聞かされていた氷室幻徳が立っていたのだ。『斬鬼組』と書かれた珍妙な白装束を来て。

 

戸惑う彼女に、結城が説明した。

 

「自分のせいで親父さんが死んじまったとかで、 せめてもの贖罪に世界を守る力が欲しいらしい。

門谷に頼まれてコイツも修行をつけてた。」

 

「うそ……だよね?」

 

「まことだ。生まれ変わった。」

 

いかにも高尚な顔で呟く玄徳。

 

とても数ヶ月前まで、冷徹な顔で戦兎達とやりあっていた男とは思えない。

 

「オヤジの件も…… この一件すべては俺の責任だ。到底償いきれるとは思っていない。

悪党には悪党なりの、世界の守り方をしようと思う。」

 

「なんか……泣けてくる!」

 

「 男子三日会わざれば刮目して見よってやつか。」

 

「刮目どころか目が潤んできたよ〜!」

 

 

ビルドの世界チームは格段に力を上げ続け、残るは万丈を奪還するのみとなった。

 

 

 

中央テント

 

ココ王子が妖精の取りまとめ役となったのは、クイーンが並行世界に向けて宣戦布告したすぐ後のことだった。

 

「本当なのか?」

 

ココが訝しげに 尋ねると、 小野寺ユウスケは苦々しい顔で頷いた。

 

「ヒビキさんが、近くまで送ったらしい。じきに戻ってくるだろう。」

 

「そうか……。」

 

ココは、安堵とも落胆ともつかない顔でため息をついた。

 

シャイニールミナスの力を、九条ひかりから剥奪する。

 

かなり強行的な計画ではあったが、クイーンにとってもジョーカーである彼女を護りきれない様な事があれば、 まずこちらに勝機はない。

 

まして、闇の同盟の実験体になどになれば、まず命の保証はない。

 

彼なりに、最善の策を練ったつもりだった。

 

 

『アイツから力を奪ったら、 守れる人を守れない苦しみを味わうことになるんだぞ!!?』

 

9年前のフュージョンとの戦いで初めて会って以来、一度も自分に逆らわなかったポルンが、 初めて自分に対して怒鳴った言葉だった。

 

あの時もっと冷静に話ができていれば…… 彼が出て行ったあの日から、夜の数だけ後悔した。

 

 

「闇の同盟をビッグバンが出し抜けた最大の理由は、結束力の無さだそうじゃない?」

 

 

いつのまにかココの隣にいた火野明美が、ココにホットコーヒーを持ってきてくれた。

 

「ありがとうございます。」

 

「……大丈夫。アナタが力を剥奪しようとしたのも、激しく追い立てたのも、本当はアナタやひかりちゃんを思っての事だって、ポルン君はちゃんと分かってるわ。」

 

「そうでしょうか。」

 

「だって、私のような毒母でも、映司は許してくれた。

ちゃんと助けてあげられなかった。 こんな不器用なやり方しかできなかった愚かな母親を、あの子は受け入れてくれた。……私、知らず知らずのうちに、あの子とポルン君を重ねていたんだわ。バカね……。」

 

気丈に振る舞ってはいるが、映司がいなくなってからの彼女がどれほど心を痛めていたか、 ずっと隣で見ていたココは知っている。

 

最愛の息子の仮面ライダーとしての能力に目をつけたシャイニーキングダムに拉致、挙句洗脳され、破壊工作のための尖兵に仕立て上げられているのだから。

 

彼女の精神的ダメージは、もはや誰にも分かりかねるだろう。

 

それでも、それでもココは、彼女に 希望を持って欲しかった。

 

「なら、映司もちゃんと戻ってきますよ。」

 

「……え?」

 

「明美さんが今言ったように、 僕たちとキュアライダーズは確かな絆で結ばれてる。

どんなに心が遠くても、どんなに距離が離れても、映司も、ポルンも、 魂が帰る場所を覚えている。

明美さんと僕らが帰りを待ち続ける限り……キングダムにいる仲間たちは、みんなきっと……。」

ココは、話の途中で前方に視線を映した。

 

明美もそれを追うと、その先にはポルンがいた。

 

右腕、右足、頭部を包帯で固定し、左目には眼帯が尽き、 足取りもフラフラとしているが、眩く光る瞳は、間違いなくこちらを捉えている。

 

目は光を失っていないものの、その表情は険しかった。

 

かろうじて動く左手で、 あれだけ大事に守ってきたルミナスの水晶を持っている辺り、 少なからず覚悟を決めてきた現れだろう。

 

ある程度二人に距離が近づくと、ポルンは 水晶をポケットにしまった。

 

「怒ってるよな?ココ……。」

 

ココは答えない。ただまっすぐ、ポルンと同じ険しい顔つきで彼を見ている。

 

「 ルミナスの件だろ?オレの意見は変わらねー。

ひかりがなぎさ達と戦う事で得られたモノを、 お前に奪う権利があるわけねーだろ。」

 

「ルミナスは? 目覚めたのか?」

 

「 響鬼さんのテント出る前に一回。 でも、その後、また水晶に戻っちまった。」

 

ココは、数秒黙ってから呟く。

 

「僕のことは別にいい。 だが明美さんはどうだ?

君が出ていった後も話を聞いてやるようにと僕をなだめ続け、常に君の味方でいてくれた…… 明美さんに対して何か言うことがあるだろう。」

 

ポルン は視点を明美に移した。

 

そこで逆らうのが得策かどうかわからないほど、彼も愚かではない。

 

「ごめん……心配かけ……」

 

ポルンが言い終わる前に、明美は彼の元に駆け寄り、壊れそうな程抱きしめた。

 

「……すぐに駆けつけてあげられなくて、ごめんね。

もういいの、あなたのしたことは間違ってないし、無駄じゃない。

一人で背負わなくていいのよ。ひかりちゃんのこと、皆で一緒に考えよう?」

 

「なんだよ……なんでアンタが謝っ……。」

 

自分の耳元ですすり泣く明美。

小さな体を包んでくれる、細い清らかな腕のぬくもり。

単純明快にして偉大な、癒しをくれる言葉たち。

己のために流してくれた 温かい涙。

 

何かを言葉にしたいのに、感極まって言葉にならない。

 

「おかえりなさい……。」

 

それでもポルンは、泣きながら囁いた。その時、彼はもう妖精に戻っていた。

 

「ただいま……ポポ……!」

 

 

 

 

時の砂漠 デンライナー車内

 

「片桐の次は、昆虫野郎かよ!」

 

デンライナーの車窓から、オーナーに対して怒鳴るモモタロス。

 

第4勢力ブレイブセイバーズの 勧誘を任されたプリキュアたちを下車させ、 響鬼の世界の屋久島から東京タワー避難所へ戻るところだったのだ。

 

行く手を阻んだのは、元ZECT、ネイティブの根岸。

 

闇のエネルギーの影響を受けてか、そのサナギ体は真っ黒に染まっていた。

 

「脱線してもらいますよォ!?デンライナーの皆さん!」

「彼……『説得』の通じる相手じゃなさそうだね。」

 

ところが、頼みの綱である特異点、野上良太郎は、度重なる連戦でもはや限界。

デンライナーで、つかの間の休息をとっている最中だった。

 

 

「オーナー、やっぱり僕も戦います……!」

 

「いけませんよ良太郎くん、君は勘違いしているようですが、本当の戦いはこれからです。 キングダム、そして闇の同盟の重鎮達が頭角を現す落としている今、悪戯に兵力を削る訳には……。」

 

「んな事言ってもよォおっさん!」

 

車内に侵入してきたワームやインベス、ロストスマッシュなど各々の武器で抑えるイマジンたち。

 

「 このままやと、じきにデンライナーもお釈迦やで!」

 

「もー!何なのコイツら!」

 

「オーナーさん、大量の犠牲が出る前に、降伏をお勧めしますよ!?」

 

根岸の再三の忠告にも、オーナーは応じない。

 

それどころか、『何かを待っている』ようだった。

 

「今少し、今少しです。」

 

「何がだ? 私には視界の隅から隅まで、汚らしい怪人どもが見えるがな。」

 

戦闘をよそに紅茶をすすりながら、ジークがダメ出しをする その時、オーナーが思いっきり行目を見開いた。

 

「来ましたよ。ピンチヒッターが!」

 

 

列車の外では、突如入った横槍に、根岸が手を焼いていた。

 

「そこをどけ!」

 

「そりゃ無理な相談だ。」

 

「貴様ァ…… 蛮野天十郎率いる新生科学技術班の兵器ではなかったのか!?」

 

「そうだったらしい……が、 アンタらクオリティにこだわりすぎだ。

ばっちり再現してくれたなァ。俺の信条、『ラブアンドピース』まで。」

 

根岸の視線の先には、先日ビルドの世界で散ったはずの仮面ライダーがいた。

 

「おかげでズルズル前世の未練引きずって、地獄から舞い戻ってきちまった。みーたんに 格好つかねーじゃねーかよ。」

 

「貴様ァ!名乗れ!」

 

「聞かれて名乗るもおこがましいぜ!覚悟しな、闇の同盟。

お前ら全員、 心火を燃やしてぶっ潰す!」

 

悠久の時を経て、死の淵に瀕して尚、不屈の闘志で舞い戻った、一人のライダー。

 

 

その名は……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『グリスブリザード!ガキガキガキガキガッキーン!』

 

 

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