【??? ???】
ユリカ「うっ……うぅ」
???「ユリカ! ユリカしっかりしろ!」
ユリカ「だ、誰?」
アキト「俺だ! アキトだ、しっかりしろ!」
ユリカ「ア……キ……ト? アキトなの?」
アキト「そうだよ!! 心配させんなよユリカ!! 艦長だろ!! もっと艦長らしい行動を……」
ユリカ「ありがとうアキト……やっぱり私の王子様だね……」
ユリカ「……」
アキト「おい? ユリカ!! しっかりしろ!! ユリカァーーー!」
【ナデシコ 医務室】
ユリカ「あ、あれ……私……」
八光「目が覚めたか……」
ユリカ「あ、八光少尉……それにスカーレット大尉も」
八光「……」
《頬を叩くSE》
ユリカ「え?」
八光「私は……生涯女性を殴らないつもりだと、傷つけないつもりだと心の中で決めていた……」
八光「それがたとえ綺麗事だと言われても、それを押し通すつもりでいた……だが……どうやら、私が間違っていたようだ」
ユリカ「え? あの……」
スカーレット「すまないが……今度ばかりは貴様を擁護することはできない」
スカーレット「戦艦一隻が轟沈した宙域になんの準備もなしに向かった? 色恋沙汰の為に戦艦を大破させ、部下を危険気にさらした? ふざけるな!」
ユリカ「ッ!」
スカーレット「貴様の独断で、一体どれほどの被害が出たと思っている! 隣を見ろ!」
リチャード「……」
ユリカ「え? あ、リチャード少佐……どうして、カプセルの中に……」
スカーレット「少佐は、ロウやリアンたちが来るまで、1時間……次々と湧き出すBETAと一人で戦っていたのだぞ! オルフェスが文字通り血にまみれながらでも戦ったのだ」
八光「オルフェスから降ろされた時、リチャード少佐はすでに意識がなく、生きているのが奇跡なほどに傷ついていたそうだ……」
ユリカ「え、わ、私そんなつもりじゃ……」
八光「わざとならこれでは済まない!」
ユリカ「!」
八光「貴方には失望した……。私は、貴方のことは私たちの仲間の艦長と同じ、普段はそうはみえないがやる時はやれる艦長だと、そう信じていた」
八光「だが、まさか本当に無能艦長だったとはな……」
ユリカ「ッ!」
八光「はっきりと言わせてもらう。もし、貴方がこのままナデシコの艦長を続けるつもりなら……私はナデシコを降り、火星に残る」
ユリカ「え、でも火星って危険なんじゃ……」
八光「少なくとも、この大地だったら自分の死に場所を自由に決められる。戦場の中で死ぬことができる」
八光「貴方の指揮する棺桶の中で死ぬのだけは御免だ!」
ユリカ「ッ!」
スカーレット「今この艦は動けない。自分自身の進退を決める時間はある」
スカーレット「だが、貴様が真に仲間のことを想うのであればどうするべきか……分かるな?」
《自動ドアSE》
ユリカ「……」
ユリカ「私は……」
《自動ドアSE》
ルゥ「失礼します……」
ユリカ「あなた……確かカウンセラーの……」
ルゥ「ルゥ・リルリです。カウンセリングに参りました」
ユリカ「ルリちゃん……」
ルゥ「ルゥ・リルリです」
ユリカ「ねぇ、私が気絶してどれくらい経ったの?」
ルゥ「……この艦が火星に墜落してから、1週間です」
ユリカ「そんなに……その間に、何があったの?」
ルゥ「そうですね。カウンセリングの前に、それを教えておいた方がいいかもしれません」
ルゥ「ナデシコの応急修理を終えたのち私たちはBETAをなんとか振り切りました」
ルゥ「ただ、ナデシコのダメージは大きくて、このままだと火星を脱出することも難しいという話になりました」
ルゥ「そこで、イネスさんの提案でネルガルの研究所まで行ってその設備を使って修理することになりました」
ルゥ「現在、ナデシコは大掛かりな改修を行い、もう間もなく終了する予定です」
ユリカ「……あの、その間の指揮は、フクベ提督が?」
ルゥ「いえ、プロスペクターさんは若い人がナデシコを動かすべきだと言って別の人を艦長代理に任命しました」
ユリカ「それって……誰?」
【ナデシコ ブリーフィングルーム】
ルリ「……取り敢えず、改修状況を教えてくださいウリバタケさん」
ウリバタケ「了解、艦長代理」
ウリバタケ「火星の地下で見つかったナデシコのパーツ交換は90%終わってる。あとは、強化ユニットの取り付けが終われば、火星から出られるぜ」
ルリ「各機体の方はどうなってますか?」
ロウ「F91以外の整備は完璧、すぐに出られるぜ」
ロウ「まぁ、オルフェスのパイロットのリチャードの親父はあんな状態だけどな」
ルリ「F91はまだ本調子ではないんですね?」
ロウ「あぁ、バイオコンピュータのコンピュータシナプスを繋げる暗号の解読に手間取ってな」
ルリ「わかりました。F91のことは後にしましょう」
ルリ「続いて、クッキーさん。生存者の方は見つかりましたか?」
クッキー「いえ、影も形も見えません。ですが、何者かがここ最近までシェルターに残っていたことは確かです」
ムネタケ「でもどこに行ったというの? 今の火星で行く場所なんて……」
アオイ「それにもし本当にいたとしても原因不明の竜巻で荒れすぎて、今頃は……」
ルリ「しかしこの火星で見つけた唯一の生存者の手がかりです。安全を確保しながら捜索を続けてください」
クッキー「わかりました、艦長代理」
ルリ「申し訳ありません。あなた方メイドの本来の主人はサンドマンであるのにわたしなんかが命令して」
クッキー「いえ、サンドマン様からは、この部隊にいる間は全ての人間を主人と思えと申し付けられてます。なんなりとお申し付け下さい」
ルリ「ありがとうございます」
フクベ「ふむ、では残る問題は……」
篁「BETA……か」
クルル「計算によれば、改修したナデシコでも火星圏を抜けるまでに撃墜される確率86.2965%……クックー、博打もいい所だぜ」
フクベ「やはり光線級は厄介だな……」
ロウ「なぁ、光線級ってのの攻撃範囲から離れて逃げるってのはできないのか?」
クルル「そいつは無理だなぁ。俺の偵察メカによると、ハイヴってやつは俺たちを襲ったのの他にあともう一つ」
クルル「光線級の最高単純射程距離300キロから離れるにはかなり移動しなくちゃならねぇ」
クルル「だが、
クルル「まぁ、この場所が見つかってないだけ奇跡だと思った方がいいだろうな、クック〜」
フクベ「安全な場所から宇宙に出られればいいがその場所を探している間に
ムネタケ「正に、八方塞がりね」
篁「……クルル曹長、もう一つ頼んでおいた計算は出来ているのか?」
クルル「誰に聞いてやがる、とっくの昔にできてるぜぇ」
ルリ「篁中尉、計算ってなんですか?」
篁「今ここにある機体でハイヴを攻略できる確率だ」
リアン「ッ! BETAと戦うつもりですか!」
篁「念の為だ。どうだ、クルル曹長」
クルル「クック〜まぁ、できるだろうな」
プロフェッサー「!」
クルル「だが、それは疲れることなく戦い続けた場合の理論値に過ぎねぇ。ガキが多いこの部隊じゃなぁ……」
クルル「まぁ、高く見積もって5%って所だな」
ミナト「そ、そんなに少ないの?」
甲児《カイザー》「いや、これだけの数でハイヴに挑もうってんなら、むしろ楽観的な数字だぜ……」
篁「グラヴィオンやマジンガーzといったスーパーロボットがいる分、この部隊は運がいい」
フクベ「BETA……物量が主な脅威と聞いてはいたが、まさかそれほどとは」
ロウ「そんじゃ、どうすりゃいいんだ? 逃げ道も塞がれてんだったらこのまま籠城してネルガルの救援を待つか?」
ルリ「……皆さん、わたしの考えを聞いてください」
篁「……」
プロフェッサー「……」
ルリ「我々、AGCWP・BPAは……」
【ナデシコ シミュレーションルーム】
ユウヤ「よし、今日のシミュレーションはここまで、お疲れだったな」
スネ夫「つ、疲れたぁ……」
静香「この一週間ずっと訓練ばかりね」
フミナ「本当、休む暇なんてないほどにね」
夏美「でも、BETAのせいで外には一歩も出られないし、運動不足にならなくていいのかもしれないわね」
八光「だが、今日はずいぶん軽い物じゃなかったか?」
ユウヤ「あぁ……実は、俺たちの今後の作戦が決定した」
リョーコ「今後の作戦?」
ユウマ「あぁ、それは唯衣、いや篁中尉から話してもらう」
《歩行SE》
篁「皆、集まっているな。では、次の作戦について我々の方で決まったことを伝える」
篁「明朝0900時にハイヴ周辺のBETAとの戦闘を開始する」
サヤ「!」
アキト「おいおい、正気かよ……」
八光「無謀だ。この人数で攻略戦を行うなんて、死にに行くようなものだぞ」
篁「分かっている。だが、今回は攻略戦ではない。BETAの数を減らしに行くだけだ」
ジュン「BETAの数を? それって、どういう事?」
篁「あのハイヴは、恐らくフェイズ5。半径30㎞の範囲にはすでに地下茎構造物が広がっており、その中に数十万のBETAが存在している」
ユウヤ「と、いうのはこの前話したな。のび太」
のび太「う、う~ん……」
篁「確かにハイヴ攻略戦となればこの人数では自殺行為に近い。しかし、数を間引きするのであれば、まだ勝ち目はある」
篁「この作戦の目的は、BETAの中でも二種類の光線級の数を減らし、ナデシコが宇宙に上がれるようにすることだ」
篁「光線級の数が減れば、ナデシコのディストーションフィールドで攻撃を防ぐことができる」
篁「光線級の数を減らし、機体を回収後ホームとリアン君たちをナデシコで守りながら宇宙へと上げる。それが、本作戦の概要だ」
篁「だが、一か八であることには変わりないのだがな」
甲児《カイザー》「確かに無茶だ。けどやるしかねぇ。
八光「……」
ユウマ「……」
ロラン「……」
《自動ドア開閉音》
ケロロ「ロラン殿!」
篁「いやいい。明日の作戦、皆も考える時間が欲しいと思う。もしも出撃したくない場合はナデシコに残っていてくれ……以上だ」
【ナデシコ 通路】
ロラン(明日の作戦……アレを使えればもしかすると……けどそのためには火星を……)
ケロロ「ロラン殿」
ロラン「軍曹……それに、アキト君……」
アキト「どうしたんだ、ロラン。何か悩みでもあるのか?」
ロラン「……あのホワイトドールには、まだ皆に言っていない武装があるんだ……」
アキト「え?」
ロラン「その力を使えば、明日の作戦は上手くいくのかもしれない」
ケロロ(この状況を打破できる∀ガンダムの武装、とくればアレでありますな)
アキト「そんなのがあるのかよっ! だったらソレを使えば!」
ロラン「けど、その力を使えばこの火星がどうなるかわからない。もしかすると人が住んでいたという証全てを消し去ってしまうのかもしれない」
ロラン「そうなれば、アキト君の住んでいた街だって……」
アキト「俺の街……か」
アキト「実はさ、もうねぇんだよな」
ロラン「え?」
アキト「分かってるんだ。オレの街に鉄板が落っこちたことは……」
???「第一次火星大戦デノモノダナ」
ロラン「え?」
ケロロ「このロボットは?」
???「僕ハ天才ロボットキュッパチ。ルリ艦長代行ガ製作シタ。ヨロシクネ」
ケロロ「サポートロボットという物でありますか」
98「第一次火星大戦ノ時コロニーニ落チタ鉄板ノことニツイてはデータガアル」
98「1ツノコろにーが0.5秒デ灰ニナッタ。死者ハ約3千万人。ソノ後、105機ノ
98「ソレニヨッテ、地球連合ハ火星カラ撤退シタ」
アキト「知ってるさ今更。言われなくても」
アキト「あの時、農場のバイトに行ってなければオレだって街と一緒に消えていた。生き残っちまったんだよ、オレは……」
ロラン「アキト君の両親は、その時に?」
アキト「いや、もっとオレが小さい時だ」
アキト「オレはよく知らなかったけど、両親は考古学者で、オレが赤ん坊のころ火星で遺跡が発見されたときに火星へやって来たらしい」
アキト「で、移住6年目にオリンポス山のふもとで新しい遺跡が発見されて、その時に何がどうなったか知らないけれど大爆発が起こったというわけさ」
アキト「だから、もう火星にはほとんどいい思い出もなければ、思いでの場所ももうないんだ」
ロラン「そうだったんですか……」
アキト「オレさ……実はまだ悩んでいるんだ」
ロラン「え?」
アキト「本当に戦うべきなのかってな……BETAとってだけじゃない。ナデシコでパイロットとして戦うべきなのか……」
アキト「なんて、悩んだことすらなかった。ただあのエステバリスってのに乗って、ただパイロットをやれって言われて、なんだかよくわからないうちに戦ってて……」
アキト「なんだか、決断しろていわれたの、初めてな気がするんだよな」
98「自主性ガないンだなアキトハ」
アキト「分かってる。分かってるんだがなぁ……」
アキト「だから、ロランがあのホワイトドールってやつの力を使いたくないってのは、なんだかわかる気がするというか……」
98「全然違ウぞアキト」
アキト「うぐ……」
ケロロ「まぁ、優柔不断というものは吾輩も幾度か経験があるであります」
ケロロ「その時はなんどかピンチも訪れたではありますが……しかしそのおかげで乗り切れたともいえますな」
ケロロ「なんにせよ、優柔不断という物も悪くはないと思います。それは、一生懸命悩んでいるという証拠とも言えるであります」
98「ソレで答エが出ナイから優柔不断じゃナイノカ?」
ケロロ「ゲロォ!? どういう意味でありますか!」
ロラン「ふふっ、ありがとう皆。おかげで少し元気が出たよ」
アキト「ロラン……」
ロラン「もう少し頑張って悩んでみるよ。そして明日、戦いの中で答えを出して見せる」
アキト「……俺も、頑張って悩んでみるかな」
【ナデシコ 居住区】
フミナ「……」
静香「フレイさん、まだ部屋から出てこないの?」
フミナ「うん、食事もそんなに食べてないみたい……」
静香「もう一週間になるのに……」
チナ「お父さんが亡くなって悲しいのは仕方なくても、このままじゃフレイさんの身体が……」
エィナ「一体、どうしたら良いのでしょうか」
ミヅキ「時間が解決してくれるってのが、この場合一番手っ取り早いのだけれど……」
フミナ「ダメです! ここで、なんとかしないと!」
静香「フミナさん……」
フミナ「理由は言えません。でも……フレイを今ここで助けないと……」
フミナ(じゃないとフレイも、フレイの為に生まれる沢山の犠牲者も助けられなくなる……)
フミナ「悲劇を、ここで食い止めないと……」
静香「……私、行ってくるわ」
琉菜「静香さん、気をつけて……」
【ナデシコ 私室】
《自動ドア開閉音》
静香「あの、フレイさん?」
フレイ「入ってこないで……」
静香(前見た時よりも痩せてる。本当に食べれてないんだわ)
静香「お父さんが亡くなってショックなのはわかります。でも、このままじゃフレイさんの身体が……」
フレイ「パパはただ死んだんじゃないわ」
静香「え?」
フレイ「コーディネーターよ! パパはコーディネーターに殺されたのよ!」
静香「でも、まだそうと決まった訳じゃ……」
フレイ「パパが最期の通信に残してたのよ! 自分はザフトに殺されたんだって!」
フレイ「許さない……パパを殺したコーディネーターなんて……皆死んじゃえばいいんだわ!!」
静香「かわいそうね……」
フレイ「同情なんていらないわよ!」
静香「フレイさんの事だけじゃないわ。コーディネーターって呼ばれてる人達もよ」
フレイ「え?」
静香「本人が望んだ訳じゃないのに他人の好き勝手に遺伝子を組み替えられて、それで遺伝子を組み替えていない人達から恨まれて……かわいそうだわ」
フレイ「なによそれ、かわいそう? かわいそうだったら人殺しでもなんでもしていいってわけ!?」
静香「そんなこと言ってないわ。ただ……フレイさん、本当にコーディネーターの人が犯人だって決めつけてもいいの?」
フレイ「どういう意味?」
静香「この火星近くには
フレイ「でも、パパは……」
静香「フレイさん、お父さんを信じたい気持ちは分かります。でも、あなたのお父さんが絶対と言うわけじゃないでしょ?」
フレイ「……」
静香「フレイさん。宇宙人のケロロ軍曹のことだって、信じることができたんでしょ? だったら、もう一度信じることができる」
静香「だって、あなたは本当は優しい女の子なんですから……きっと、時間はかかるかもしれないけれど」
フレイ「……」
フレイ「わからない。何も、わからない! わかりたくない!!」
静香「フレイさん……」
【ナデシコ 医務室】
リチャード「……」
サヤ「……」
《自動ドアSE》
アーニー「サヤさん、今日もここにいたんですか」
サヤ「少尉……」
アーニー「リチャード少佐、まだ目が覚めないんですね」
サヤ「……レプトン・ベクトラー」
アーニー「え?」
サヤ「元々、少佐の身体は度重なる空間跳躍の影響でボロボロでした。それも全て、私が……レプトン・ベクトラーの制御を完璧にできていれば……少佐は……」
アーニー「……完璧な人間なんて、どこにもいない」
サヤ「え?」
アーニー「人間は、何処かに欠点を持ってて、その欠点と一緒に生きるしかない。たとえ、その欠点を補ってもまた別の欠点が生まれる。そういうものだと、僕は思う」
アーニー「僕だって、もしも……もしも上手く機体を使いこなせていたら……」
サヤ「少尉……」
アーニー「僕には、友達がいたんだ。同じ孤児院で育った……親友と言ってもいい人間が……」
アーニー「大人になってソイツはブリタニアに、僕は孤児院のあった国の、国防軍に入ることになった」
サヤ「何故別々の道を?」
アーニー「……ブリタニアは、知っての通り世界中に植民地を置く巨大な国、当然その軍隊も強大だ。そんな軍でエースになる。それが、ソイツの夢見たいなものだった」
アーニー「でも、僕は思うんだ。彼は、きっと世界中を守りたかったんだ。自分の力で、全ての命を守るんだ。そう考えていたんだって」
アーニー「けど、僕は目の前にある命を、故郷を守りたかった。ただ、それだけだったんだ」
アーニー「でもソイツは、ガイゾックが侵攻してきた時に……無許可で助けに来てくれて……そこで……」
アーニー「僕がもっと強かったら、僕もジンと一緒に戦うことができてたらって、何度も後悔した」
アーニー「そして、決心したんだ。僕が、ジンのやりたかったことをする。世界を守るために戦うんだって」
サヤ「……」
アーニー「サヤさん、少佐はまだ生きている。失っちゃいないんだ。だから、何度でも、何回でもやり直すことができる。欠点があるのなら、みんなでそれを補えばいいんだ」
アーニー「それが、人間だから」
サヤ「そうですね……」
【ナデシコ ハッチ】
《歩行SE》
ロウ「おう、悪いな。待たせて」
シーブック「いえ、いいんですよ。メカニックの代表で会議に出席していたんですから」
ロウ「さてさて、今日こそこのF91を完成させねぇとな」
ウリバタケ「だな。にしてもこのF91の開発者のシーブックのおっかさんはかなりの天才だぜ」
ウリバタケ「設計図のほとんどに暗号使ってて解読にすら時間かけて結局肝心な部分がまだわからない始末だからな」
ジャイアン「暗号か……なぁのび太。前にドラえもんに出してもらった暗号解読の機械って使えないのか?」
のび太「無理だよ。あれは紙の暗号文だけに効果があって、データには使えないはずなんだよ」
ジャイアン「ドラえもんの道具って肝心なところで役に立たないよな」
シーブック「後は、このバイオコンピュータの配線を繋ぐことができれば完成なんだがな……」
シーブック「……不思議だな、ちょっと前までは母さんの研究を嫌っていたはずなのに、今じゃ自分から完成させようとしているなんてな」
ロウ「血筋なのかもしれねぇな」
《歩行SE》
リィズ「お兄ちゃん……」
シーブック「リィズ、もういいのか? ずっと部屋に篭ってて……」
リィズ「平気。ご飯も食べていたし……それに、私も向き合わなくちゃって……」
シーブック「強いんだなリィズは」
リィズ「ねぇ、お兄ちゃん。お母さんの暗号、見せてくれる?」
シーブック「あ、あぁ……」
リィズ「……やっぱりそうだ」
シーブック「え?」
リィズ「これ、あやとりだよ」
シーブック「あやとり? それって、母さんが好きだった……」
のび太「そうか! これがもしあやとりなら、えっと……」
のび太「わかった!! 八掛けの吊り橋だ!!」
スネ夫「吊り橋? 何それ?」
のび太「ほら、これだよ!」
リィズ「あら、上手なのねのび太君!」
のび太「へへへ、いやぁそれほどでも……」
スネ夫「のび太はあやとりと射撃と昼寝に関しては一人前だからね」
のび太「もう、言わないでよ〜」
ロウ「そうか、あやとりとは気が付かなかったな……」
ウリバタケ「よっしゃ! これで明日までにF91を完成させられるぜ!!」
ロウ「あぁ、これでお前を完璧なF91に乗せることができるな」
スネ夫「ねぇねぇ、どうせ完成するんならさF91ガンダムって名前にしてもいいんじゃないの?」
シーブック「え?」
ロウ「だな、レッドフレームやブルーフレームのガンダムと一緒に見つけたんだし、こいつもガンダムの名前を受け継いでもいいんじゃねぇのか?」
シーブック「……F91ガンダム、か」
のび太「シーブックさん。リィズちゃん。きっと、お母さんは二人のことを忘れたくなかったんじゃないかな?」
リィズ「え?」
のび太「そうじゃなくちゃ、二人との思い出のあやとりを自分の作るコンピュータの配線になんて使わないよ」
リィズ「お母さん、私たちのこと忘れてなかったんだ」
シーブック「そうだったら、いいな」
シーブック「母さんの思い、F91ガンダムと一緒に戦う事が俺の母さんにできる唯一の恩返しなのかもしれないな」
【ナデシコ ブリーフィングルーム】
ルリ「では、最終確認です。まずロウさん」
ロウ「リィズちゃんのおかげでF91ガンダムは完成にまで漕ぎ着けた。後は、シーブック次第だな」
ルリ「分かりました。篁中尉、戦術の方はどうなってますか」
篁「正直、我々の世界とは違い過ぎる為に難しかったが、なんとか出来上がった」
篁「取り敢えず全員に周知してもらいたいことは、決してある程度の高度以上を飛ばないで貰いたいということ」
篁「出なければ、光線級の餌食となる」
八光「分かりました」
篁「プロフェッサー、リアン君。それからのび太君達と言ったどうしても飛んでなければならない者達も、出来るだけ地面スレスレを飛ぶように」
リアン「分かりました」
ユウヤ「申し訳ないな。本当は出撃すらしてもらいたくないところだが、戦える人間は一人でも多い方がいい」
ルリ「では、続いて……」
《自動ドアSE》
ユリカ「……」
アオイ「ユリカ!」
八光「……」
プロスペクター「艦長、お身体はもうよろしいのですか?」
ユリカ「はい、ルリさん。あなたのこの一週間の陣頭指揮をメモリーで見させてもらいました。流石です」
ルリ「いえいいんです。じゃあ、私は自分の責務に戻ります」
ユリカ「いえ、ルリさんそのまま艦長職を続けて下さい!」
ルリ「は?」
ユリカ「私ユリカ・ミスマルは艦長権限24条に基づき、たった今をもってナデシコの艦長を辞任します!!」
ゴート「なに?」
ユリカ「後任は、ルリ・ホシノさんに艦長をやっていただきたいと思います。よろしいですか?」
ルリ「艦長が……そうおっしゃるのなら」
ユリカ「キャプテンキャップです。これも、受け取ってください」
ルリ「……艦長、いえユリカさんはどうするんですか?」
ユリカ「……地球に帰るまでは、このナデシコに……着いてからは、ナデシコを降ります」
ルリ「……分かりました」
ユリカ「では……」
《自動ドアSE》
篁「……」
【ナデシコ ハッチ】
ゴロゴロ「ゴロゴ〜ロ」
ジャイアン「いたか、ゴロゴロ」
ゴロゴロ「ゴロゴ〜ロ」
ジャイアン「そうか……」
八光「どうした、ジャイアン」
ジャイアン「おおう、八光の姉ちゃん。それがよう、スネ夫の姿がどこにも見当たらねぇんだ」
冬樹「もうすぐ最終ミーティングが始まるのにどこにいるんだろう……」
静香「……」
【ナデシコ 荷物部屋】
スネ夫「……」
《ドアが開くSE》
静香「スネ夫さん……」
スネ夫「静香ちゃん」
静香「もう、みんな集まってるわよ」
スネ夫「分かってるよ。でも、しょうがないじゃないか」
スネ夫「怖いんだ! 戦うのが!!」
静香「……」
スネ夫「敵は何千何万っているんだ! そんなの、かないっこないよ!」
スネ夫「それに、空を飛ぶ機体が真っ先に狙われる。僕たちが危険ってことじゃないか!」
スネ夫「みんなどうかしているよ! こんな勝ち目のない戦い……奇跡だって起こるもんか!!」
静香「スネ夫さん……」
《ドアが開くSE》
???「奇跡は起きます……」
スネ夫「え?」
琉菜「起こして見せます……これ、16年前に活躍した英雄の言葉なの」
静香「琉菜さん……」
琉菜「ガンバスターっていう、すごいロボットが、たった一機で何万もの宇宙怪獣を倒して、一つの群れを壊滅させた。太陽系絶対防衛線での戦い……」
琉菜「わたしも、そのガンバスターに一緒に乗っていたコーチに教えられた……最後まで、決して諦めない。努力と根性があれば、どんな困難も乗り越えることができるって……」
スネ夫「琉菜さん……」
静香「そうよ、スネ夫さん。私たち、今までだってたくさん危ない事件に巻き込まれてきたけど、みんなの力で乗り越えることができたでしょ?」
スネ夫「それは、そうだけど……」
琉菜「私だって、本当は怖い……でも、ここで諦めたら地球に帰れないし、コーチや、ちきゅうにいる友達にも会えなくなる」
琉菜「だから、戦うの。努力と根性、そしてみんなの友情を信じて」
スネ夫「……」
《歩行SE》
静香「……スネ夫さん、私も行くわね」
スネ夫「静香ちゃん!」
静香「私だって、怖いわよ。でも、このまま何もしないのだって、負けるのだって……惨めじゃない」
《歩行SE》
スネ夫「静香ちゃん……」
【ナデシコ ハッチ】
フレイ「……」
静香「フレイさん……」
フレイ「皆が戦いに行くのに一人だけ閉じこもってるのも嫌だから……せめて見送りだけでもって」
琉菜「そう……」
《駆け寄るSE》
スネ夫「待ってよ静香ちゃん! 琉菜さん!!」
静香「! スネ夫さん……」
ジャイアン「やいスネ夫! こんな時にどこ行ってやがった!」
スネ夫「ご、ごめんジャイアン」
琉菜「スネ夫くん、きてくれたんだ……」
スネ夫「たしかに、まだ、怖いけど……でも……女の子が戦いにいくのに、僕一人逃げるなんて、そんなの嫌だって思ったから……」
静香「ありがとう、スネ夫さん……」
ロウ「よし、レッドフレームの最終調整も終わったぜ!」
冬樹「あれ、ロウさん? ガンダムの後ろに付いてるのって……」
ロウ「フライトユニット。エステバリスの予備パーツを借りて作ったんだ。これでレッドフレームも飛ぶことができるぜ」
ケロロ(おぉ、フライトユニットがここで完成でありますか。ん? ということはオーブで……いやいや、もしかしたら別の理由になる可能性も……)
ユウヤ「皆集まってくれ。これから作戦の最終確認を行う」
八光(ついに始まる。私の、最初のBETA戦……)
茜「八光……」
八光「え?」
茜「死力を尽くして任務にあたれ! 生ある限り最善を尽くせ! 決して犬死にするな!」
八光「え……」
茜「どうしたの? 復唱は?」
八光「……死力を尽くして任務にあたれ! 生ある限り最善を尽くせ! 決して犬死にするな!」
茜「どう、大声出して緊張は少しほぐれた?」
八光「……うん」
茜「なら、よし!」
ロラン「茜さん、何なんですそれ」
茜「私が所属しているA-01……
ケロロ「
茜「そう、横浜基地の副指令直属の特殊任務部隊よ」
茜「で、このテストパイロットとしての任務が終わったら八光も所属する予定の部隊」
八光「A-01……」
茜「そ、貴方はその部隊でするべきことがある。だから、こんな場所で犬死するなんて、許さないから」
八光「……うん」
《ナデシコ 私室》
ユリカ「……何もすることがないって、こんなに辛かったんだ」
ユリカ「そっか、私何もなかったんだ。なにも、なにも、なにも……」
ユリカ「だから、ナデシコの艦長になって、嬉しくなって、アキトにも出会えて、私……仲間を殺そうとして……」
ユリカ「みんなは地球に帰るために頑張ってるのに、私は、たった一人こうして部屋に閉じこもって……」
ユリカ「寂しいよ、アキト……」
《自動ドアSE》
アイちゃん「……」
ユリカ「アイちゃん……」
アイちゃん「ユリカ、泣いてたの?」
ユリカ「……私も、貴方と同じだね。居場所も、人望も全部無くして、何もないちっぽけ人間になっちゃった」
ユリカ「ねぇ、一人ぽっち同士仲良くしましょう」
アイちゃん「アイ、一人ぽっちじゃないよ。ユリカも」
ユリカ「うん、アイちゃんがいるから……」
アイちゃん「違う」
ユリカ「え?」
《自動ドアSE》
ドロシー「こんな暗い中で何やってんのさ、ユリカ」
ユリカ「ドロシーさん、それにメイドの皆さんにルリルリさんも……どうしてここに?」
ルゥ「ルゥ・リルリです」
ブリギッタ「戦闘になったら、一部を除いたメイドは暇になるから」
チュイル「ぱよっ! だから、仕事のないメイドと生活班で働いてるドロシー様を誘って皆様の戦いを応援しようというこの事になったんです!」
ドロシー(って、オペレーターメイドのチュイルがいるのはなんでかしらね)
アーニャ「それで、艦長職を退かれたユリカさんも一緒にどうかって、八光様が」
ユリカ「八光少尉が……あの人、私のこと嫌ってるんじゃ……」
セシル「あの人は、本当は優しい人です。ちょっと表現が不器用なだけで……」
アイちゃん「ヤコ言ってた。今は感情に流されて暴走してるけど、もう少し経験を積めばいい艦長になるかもしれないって」
ルゥ「ユリカさん、艦長じゃなくなってもユリカさんはこのAGCWP・BPAの大事な仲間の一人ですよ」
アイちゃん「だから、ユリカは一人ぽっちじゃないよ」
ユリカ「でも、私……皆を危険に晒して……」
ドロシー「まぁ、確かにそうだね。でも、誰も死んじゃいないんだからもう気にすることはやめなよ」
コチュン「だぁ!」
ブリギッタ「再就職先は私達に任せて下さい!」
アーニャ「どの班も人数不足なのは変わりませんから!」
セシル「そしていつの日にか、このナデシコの艦長に復帰してください。きっと八光様も、それを期待して嫌われ者になろうとしているんです」
ユリカ「期待……私に……」
ドロシー「皆! 作戦が始まるって!」
ユリカ「!」
【ナデシコ 艦橋】
メグミ「艦長! 作戦開始予定地点まで残り20㎞です!」
ルリ「頃合いですね。機動部隊に連絡。直ちに出撃し、各艦を護衛しながら進んでください。その後は、作戦通りに」
メグミ「え? ちょっと待ってください艦長!」
ルリ「どうしたんです、メグミさん?」
メグミ「レーダーにBETA以外の反応を探知! これは……ユウマさんたちと同じ反応です!」
ルリ「!」
【ナデシコ ハッチ】
ウリバタケ「何! 発進中止!? ハッチはもう開けちまったぞ!」
篁「想定外の自体が起こった。何者かかわからないが、BETAに対して一機で戦いを挑んでいる者がいるらしい」
篁「そして、その反応が、ユウマ君たちの機体と同じものだということだ」
ユウマ「! それって!」
フミナ「もしかして、ガンプラ!?」
チナ「でも、どうして?」
ケロロ「よくわからないでありますが、とにかく今はそのガンプラを操っているパイロットを助けに行くであります!」
クルル「まぁ待てよ隊長。今偵察メカが戻ってきた。モニターに映像を出すぜ~」
フレイ「あっ……」
ユウマ「これは!?」
ケロロ「ゲロォ!? どういう事でありますか!?」
フミナ「そんな……いや、あれがガンプラだったらありえないことじゃない。でも……どうして火星にあのガンダムが……」
≪起動SE≫
ウリバタケ「お、おい嬢ちゃん何しやがる!」
ロウ「あ、フレイ!」
8「ドロボー!! ドロボー!!」
フレイ「青い……稲妻……」
フレイ「パパの……仇!!」
≪ブースターSE≫
瑠菜「フレイ!!」
エイジ「あのバカ! レッドフレームを!」
ミヅキ「けど、どうして彼女ガンダムの操縦をできるの?」
ヒカル「あ、そういえば彼女夜中にシミュレーターの近くで見た事あった!」
のび太「そうだ。僕もトイレに行くときにシミュレーターの前を通り過ぎる人影を見たんだ!」
ユウヤ「なに!?」
さやか≪真≫「まさかフレイさん! コーディネーターに復讐するために!」
ロウ「くそぉ! リーアム! ジンを借りるぞ! 追いかける!!」
リーアム「ちょっと待ってください! 今、艦長に許可を……」
ロウ「待ってられるか! このままじゃフレイは、自分の身を滅ぼしちまう! 早く止めないといけねぇんだ!」
八光「あぁ、帰ってきたら説教と、修正だな」
八光(修正? 何をだ?)
ケロロ「でありますな。あのガンダムが何故ここにいるのかも気になるところであります」
斗牙「軍曹、あのガンダムのこと、知っているの?」
夏美「えぇ、あのガンダムは前に別世界に行った時に出会ったガンダムで、確か名前は……」
ケロロ「デスティニーガンダム。であります!」
この小説は……
-
不定期連載でもいいから常に公開して
-
今後もエイプリルフール限定で復活して