帝国貴族はイージーな転生先と思ったか?   作:鉄鋼怪人

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第百三十四話 妹に恋愛感情を持つ異常性癖者は社会秩序維持局員の御世話になって下さい

 黄金色の壁紙に虹色に輝くシャンデリア、深紅に金糸の絨毯にマホガニー製の机には極彩色の刺繍、金塗りの燭台が机上に並べられ透明なワイングラスには黄金色にも見える白葡萄酒が注がれていた。出席する高官達の多種多様な軍服に煌びやかな勲章、装飾を纏った姿も合わさり、銀河帝国亡命政府軍宇宙艦隊最高幕僚会議は到底一国の軍隊の会議とは思えぬ程に豪奢で華美に映る事であろう。

 

 とは言え、その外見の煌めきとは対照的に、議場の空気はある種陰鬱なまでの緊張感を伴っていた。

 

「昨年の反攻作戦における艦艇損失は四〇〇隻を超えております。今年に入ってからは毎月の喪失艦艇は九〇隻から一二〇隻の振れ幅で推移しており、本年7月1日時点での我が方の稼働中の大型戦闘艦艇は三七〇二隻、損傷によりドックにて補修・整備中の艦艇は六三六隻に及びます。残念ながら艦艇の調達に対して喪失分の補充はここ八か月成功しておらず保有艦艇の絶対数は減少中であります。訓練とローテーションを加味致しますと戦線に常時配備が可能な戦闘艦艇は一二〇〇隻から一五〇〇隻が限度となります」

 

 銀河帝国亡命政府軍宇宙軍幕僚副総監兼第二部長フィリップ・フォン・ハーゼングレーバー大将は現状の宇宙軍の稼働戦力について議場で報告する。

 

「戦闘艦艇だけではありません。輸送船、病院船、揚陸艦、工作艦……後方支援艦艇も損失は軽微ですが稼働率は限界近くまで達しております。防衛線への人員物資の補充と施設の補修の達成率は先々月より目標を下回り始めました」

 

 次いで幕僚総監部第一部長たるヤノーシュ中将が報告する。提示する資料は前線の後方支援体制の悪化を示唆していた。

 

「これは厳しいな……」

「このままでは主力艦隊は磨り潰されるのではないか?戦線の整理をするべきではないかね?」

「戦力の集中運用が必要だな」

 

 宇宙軍高官の幾人かが配布資料に視線を移し、相談し合う。

 

「それが出来れば苦労しません。問題は地上軍の方針です」

 

 宇宙艦隊副参謀長ヴィクトール・フォン・ヴァイマール中将はうんざりした表情で口を開く。眼鏡の度が合わないのか手元の書類と睨み合いながら眼鏡を近づけたり遠ざけたりと繰り返していた。

 

「正直な所、地上軍の頑固さには手を焼いております。彼らの粘り強さは賞賛するべきなのでしょうが……後退よりも玉砕を選ぶような輩ですからねぇ。我々からすれば見捨てる訳にはいかないせいで補充した端から無意味な戦線で艦艇を失う羽目になっております」

「ヴァイマール中将、それは言い過ぎではないか?地上軍は賊軍共との戦いに全力を注ぎ我らが亡命政府に寄与しているのだぞ?降伏という不名誉よりも死して皇帝陛下に尽くすその姿勢を批判する事は問題ではないか?」

 

 若干非難するように宇宙艦隊副司令長官ケッテラー上級大将が意見する。元より保守的で教条的なまでに勤皇的なケッテラー伯爵家らしい言葉であった。

 

「それが問題なのですよ。降伏は兎も角、撤退すら中々行わないせいで貴重な戦力を消耗しているのです。我々の人的・物的資源が常に欠如している事実は御理解している筈。その『資源』が投入された端から『溶けて』いくのですよ!精神論を振りかざさないで頂きたいものですね……!!」

 

 統帥本部統合兵站課長、軍務省経理次長を歴任した事務屋は最後は噛みつかんばかりに不機嫌な口調で宇宙艦隊副司令長官に指摘する。第四次イゼルローン要塞攻防戦にて遠征軍首脳部として共に働き数年かすれば遠縁になる筈の二人であるが、特にヴァイマール中将にとってこの上官は不必要な程高慢で協同していた同盟軍の神経を逆撫でする面倒な上司であった。

 

「愚痴を言っても仕方あるまい。地上軍に苦言を言うのは当然として、ならば戦線の整理について我々も案を作らねばならんだろう。その上戦線の整理のためにも戦力はいるしその戦力の捻出も困難なのだからな。今は状況が変化するまで堪え忍ぶしかあるまいて」

 

 バルトバッフェル侯爵家の分家筋に当たるホーエンベルク伯イシュトヴァーンは宇宙艦隊総参謀長として仲裁に入る。高齢の上級大将からの声に流石に宇宙艦隊副司令長官、宇宙艦隊副参謀長双方共黙るほかない。そして黙り込むのは二人だけでなく議場のほかの高官も同様だ。

 

 戦力不足……それが全ての悪循環の根源だ。戦力が不足するから部隊のローテーションが困難になるし、戦線を下げるための支援も出来ない。それが各地の戦線の更なる綻びと兵士の酷使に繋がり損害を増加させる。

 

 帝国軍も未だに『レコンキスタ』の大敗から立ち直っている訳ではないが、同時にそれが時間の問題で有ることも自明の理、そしてそれを分からぬ程この場に列席する者達は無能ではない。

 

「戦力もそうですが疎開計画も遅々として進まないのはいけませんな。市民軍からも戦線に近い所領からの撤収を提案されていますが現地の認可が下りない有り様です。お陰様で彼方との折衝が難しくなりつつあります」

 

 ハーゼングレーバー大将が新たな懸案について述べる。自然と場の注目はその新しい課題に集中した。

 

「領主も領民も、自発的な疎開では碌に集まらん。やはり組織的に強制疎開させるべきではないか?」

「馬鹿な、それこそ有り得ぬ事だ。我が軍の基本防衛計画から逸脱しているではないか?」

 

 比較的柔軟な思考を持つ若手や同盟軍での軍務経験のある者が提案し、保守派の将官がその意見に反発する。

 

「本土に至るまでの各拠点にて賊軍を消耗させ、補給線を引き伸ばすは本土決戦計画の基本要領では無かったか?教本にも記されている基礎中の基礎を反古にしようと言うのか?」

 

 一世紀以上前、莫大な犠牲と引き換えに帝国軍を排撃したケッテラー元帥の作成した対帝国軍防衛計画、それを雛型として構築された『基本計画64号』は特に亡命政府軍保守派にとってはある種の聖典である。市民軍……自由惑星同盟との信頼関係が深く無かった時代の戦略ドクトリンを引き継ぎ、増援の期待出来ない孤立無援の状況での防衛戦を想定しているそれは現代では時代に沿わない面も強いが、それでも尚その完成度から少なくない軍人から支持を受けているのが現実だ。特に宇宙艦隊副司令長官たるケッテラー上級大将を始めとした亡命政府軍以外における軍役の経験がない者達にとっては……。

 

「そうは言いますがね、作戦の雛型が作成されたあの頃とは政治的にも、経済的にも状況が違いますよ。もし今あの頃と同じ作戦を実施すればその損害はかつての比ではありません。勝利は出来たとしてもその後の復興に必要な予算と時間は尋常なものではありませんよ?それよりも市民軍の増援を待つべきです」

 

 ヴァイマール中将が苦言を呈す。戦時法が作成されたために最終的な犠牲者は前回を上回る事はあるまい。だが碌に同盟経済と結びつきがなく独力による自給自足を行っていた時代とは訳が違う。今そのような本土決戦を行えば戦後の復興はどれ程厳しいものになろうか……。

 

「しかし……第六艦隊を始めとした同胞諸部隊も昨年の作戦で少なからずの損失を出しましたからな……」

「その通り、市民軍の申し出なぞに従わなければこんな事にならんかったのだ。ましてこの危機的状況に碌な増援部隊を送らんとは……!!」

 

 保守派は同盟政府の対応を非難する。第六艦隊、第六地上軍を始めとした帝国系移民の比率の高い部隊は『レコンキスタ』において主力部隊の一角を担い主戦場へと投入された。

 

 亡命政府軍からすれば同胞からなる部隊である。自身の戦線で投入を望んでいたのを同盟の申し出に従いアルレスハイム方面ではなく最も激しい抵抗があるであろうエル・ファシル方面に投入するのを黙認したのだ。それが作戦が終わればアルレスハイム方面のみが敗北し一転して最も危機的状況に陥る事となった。その癖同盟政府は辺境正常化作戦に大軍を送りつけながら自分達に提供した援軍は一〇万にも満たない。保守派の同盟政府に対する信用は加速度的に低下していた。

 

「そうは言いますが現実問題として……!」

「ふんっ!まぁ、ヴァイマール伯爵からすれば困るでしょうな?御領地が戦火で荒らされるのは嫌でしょう?」

 

 そう嫌味のように言ったのは東大陸出身の保守派の将官であった。いや、実際それは嫌味であっただろう。一世紀以上前の本土決戦で東大陸が経済的に大打撃を受けたのと対照的に北大陸に封じられた諸侯は然程犠牲を出しておらず、寧ろ戦後は帝都移転と戦後復興で急速に発展した。保守派の多い東大陸の諸侯からすれば以前と同じように『怖気づいた』北大陸の穏健派諸侯が卑しくも市民軍を頼りにして本土決戦を嫌がっているように思えたのだろう。そう、まるでフェザーンの守銭奴共のように。

 

 議場全体に剣呑な雰囲気が広がる。保守派と穏健派、富裕な諸侯と貧しい諸侯、若手と長老衆……銀河帝国との対立と複雑な婚姻関係によって棚上げされている亡命政府内での課題がパンドラの箱からその姿を覗かせつつあった。

 

「……静まれ皆の衆、この国難の一大事に我らが皇帝陛下の心労を煩わせるような仲違いをしてどうする?」

 

 重々しく、厳粛な声が場の出席者全員を糾弾した。一人を除く全ての参列者がある者は気まずそうに、ある者は憮然としてその声の主……亡命政府軍の宇宙軍最高司令官に視線を向けた。

 

 最高司令官……しかしそれは寝ているのか起きているのかすら分からない齢九〇歳の宇宙軍幕僚総監トスカナ大公の事ではない。寧ろ老大公に上座を譲る堂々たる偉丈夫の事だ。

 

 漆黒のマントに黄金の飾緒を纏い、胸元に多種多様な宝石を嵌め込んだ勲章で飾る宇宙艦隊司令長官アドルフ・フォン・ティルピッツ伯爵は巌のような表情を浮かべ腕を組む。ちらほらと白髪の見える中高年の元帥の眼光を前に場の大半の者達は黙り込む。

 

「諸君の意見は了解した。だが前提条件が変わっているな。まず端的に言えば本土決戦は行う事はない」

 

 その発言に保守派、東大陸出の諸侯を中心に非難する視線が元帥に向かう。だがそれも元帥は物静かに睥睨すれば思わずその敵意を含んだ視線を逸らす。流石に彼らも武門貴族三家の本家当主に喧嘩を売る度胸はないようであった。

 

「……ふむ、誤解を与えたな。許せ。より正確には現状の戦局では本土決戦を行う必要はないのだ」

 

 その発言に僅かに反発する諸将の態度が軟化したのを元帥は感じ取っていた。

 

「軍務省と宮廷から正式な知らせは受けている。本年度末には各国境星系の星系警備隊が増援部隊として派遣される見通しがついている。また……」

 

 ここで一旦言葉を切り、周囲の反応を見やる。それだけでは驚く者はいない。その程度の動向であれば新聞にも載っている事柄であるからだ。だが、その次に元帥が口にする言葉は流石に伝えられている者は極僅かであろう。

 

「また、私の方から市民軍の第二方面軍司令部から直属の辺境域分艦隊の投入の確約をさせた。質は兎も角、数だけならば星系警備隊と含めて四、五〇〇〇隻に達しよう。それだけあれば戦線整理のための戦力の捻出は可能な筈だ」

 

 今度こそ参列する将官達が小さくどよめく。辺境域分艦隊は文字通り分艦隊規模の戦力でしかないが練度と装備は正規艦隊にすら匹敵する。ハイネセン駐留の独立艦隊に比べても即応性は高い。極めて有力な増援部隊だ。

 

「流石元帥閣下……水面下でそのような確約を取り付ける事が出来たとは……」

 

 提督の一人は感嘆の声あげる。元帥が元同盟軍の提督として少なくない同盟軍人とのコネクションがあった事、『パレード』の作戦範囲の一部が第二方面軍の管轄域と重なっていたために辺境警備部隊の一部に余裕が生まれた事……この二点が予想より簡単に第二方面軍指揮下の部隊を借り受ける事が出来た理由であった。

 

 期待に若干明るくなる議場の反応を観察してから元帥はホーエンベルク伯爵に視線を移す。

 

「先程口にしたように大まかな派遣戦力については既に確約が取れている。後は各戦線からの撤収計画について各方面の参謀で詰める事だ」

「了解致しました」

 

 宇宙艦隊総参謀長たるホーエンベルク伯爵は恭しく答える。実の所伯爵は既にこの事実は知っていたので然程驚きは無かったが敢えて深々と礼をして見せる。それがこの場での元帥の立場を補強する一助となりえるからだ。

 

「地上軍の撤収計画への賛同は私からも協力を呼びかけよう。友軍を見捨てる訳には行かぬし、貴重な戦力を無意味な場所で失う訳にもいかぬ。さて……」

 

 そこまで言うと宇宙艦隊司令長官は警備の兵士に命令してテーブルに設置されたソリビジョン投影機を作動させる。

 

「私個人としては今年の年末まで持久戦の体制を維持したいと考えている。その上で増援部隊到着と共に戦線縮小のための限定攻勢に出る。前線基地としてはシグルーン星系以外の全ての星系を放棄する。また本土防衛としてはヘリヤ星系に防衛拠点と戦力を集中させる」

 

 その提案に議場の将官の幾人かから意外そうにするどよめきが生じた。

 

「思い切った提案ですね。シグルーンは要塞化されているから兎も角としても、ヘリヤ星系まで後退するとは、本土の目と鼻の先では無いですかな?」

 

 ヘリヤ星系はアルレスハイム星系から僅か八・四光年の距離しかない。本土決戦を否定するにしては余りにも距離が近すぎる。

 

「だがワープポイントの数と座標を考えればここが最重要拠点である事は事実だ。付近のほかの星系ではワープポイントの数と安定性から見て大軍の移動は容易ではあるまい」

 

 ほかの周辺星系を中継してでもアルレスハイム星系に侵入する事自体は現状の恒星間移動技術をもってすれば不可能ではない。

 

 しかしそれは単艦ないし少数部隊での話であって、大規模な艦隊の移動として考えればワープポイントの数も安定性もヘリヤ星系が最も優れている。他の星系を中継する場合ならば帝国軍は最大でも百隻前後の艦艇による恒星間航行を何十回に渡り行わなければなるまい。その程度の規模であれば機雷原の敷設と若干の待ち伏せ部隊である程度の足止めは可能であるし、アルレスハイム星系に進出するのもまた戦力の逐次投入とならざるを得ない。故に数こそ大規模であろうともその実質的な脅威は数分の一となる事だろう。

 

「翻ってこのヘリヤ星系であれば数千隻単位の恒星間航行を数回で総力を我らが本土に投入出来る。この星系を取られる訳にはいくまい。そして我々の戦力には限りがある。ならば戦力の選択と集中は当然の事だ」

 

 その説明に大半の将官は納得する。増援部隊が来ようとも半数は星系警備隊であるために質的に言えば数程の働きは出来ない。そのために戦線縮小のための奇襲攻撃や地上拠点と連携出来る防衛戦に活用するのは当然であるし、希少な戦力を可能な限り分散しないように地理的優位を最大限活用するにもまた同様である。『基本計画64号』においても本星系確保の重要性は触れられていた。

 

「それは宜しいが……それでも戦力的に劣勢なのは事実、このままでは最終的に戦線突破と本土決戦は既定路線、またその場合においても本土までに幾つもの諸侯の所領があります。これらに対しては如何対応するおつもりなのでしょうか?」

 

 そう尋ねるのは亡命政府施政権外周部に鉱山を領地として領有する将官だった。

 

「神聖不可侵たる皇帝陛下のおわす本星への賊軍の侵入なぞ絶対に許されぬ!!まして宮中を戦火に晒すなぞ持ってのほかだ……!!」

 

 次の瞬間、元帥は議場全体に響き渡る勢いで机を叩く……いや殴りつけた。もし音だけを聞いていたとすれば爆弾が爆発した音と勘違いした者もいた筈だ。会議の参加者の殆どがその怒気を含んだ叫びもあり竦みあがった。唯一耳が遠く呆け気味な宇宙軍幕僚総監のみが呑気な笑みを浮かべていた。

 

 周囲に鋭い視線を向ける元帥。荒い鼻息をして、落ちつくように深い溜息を漏らす。そして暫くして漸くまだ険のある低い声で説明を始めた。

 

「第一の質問に対しては交渉は順調だ。市民軍は来年10月までに艦隊の派遣を行う事で調整しておる。万一それが叶わぬのならばその時こそ本土決戦の時だ。戦力集中もありシグルーン、ヘリヤ両星系とも長期に渡り防衛は可能の筈、焦土戦の代わりにこの両防衛線にて賊軍共の戦力を削る!その上でヴォルムスに残存戦力を集中させ、補給線が伸び切った所で宇宙艦隊のゲリラ戦と地上戦で賊軍共に消耗を強いる事となろう……!」

 

 保守派も狼狽える程に血気盛んな口調で叫ぶ元帥。とは言え口調に騙されてしまいそうになるが提案自体は決して過激な発言ではなく、寧ろ相当に穏健であった。音量と口調、そして前置きの皇帝賛美によってそのイメージを無理矢理に誤魔化していた。小賢しい小手先の手ではあり暫くして冷静に作戦を考えれば気付かれる事であるが構わなかった。今誤魔化す事が大事なのだから。

 

「また、このために外縁部の所領は引き上げを命じる……!」

 

 その発言に幾人かの将達が僅かに息を飲む。

 

『基本計画64号』においてはこれら本土周辺の所領は領主、臣民共に最後の一兵卒に至るまで徹底抗戦する事で本土に侵攻する帝国軍の戦力分散と消耗、遅滞を強要、帝国軍が無視するのならば後方を攪乱する事が役割となっている。特に鉱山は小改造で頑強な要塞となりえるためにこれらの所領は文字通り一秒でも長く本土が防衛体制を整えるための捨て石として扱われる事となる。

 

 これら『本土』たるアルレスハイム星系周辺星系に所領を封じられた諸侯は親征で荒廃した所領から転封された帝室への忠誠心の高い元東大陸の中小諸侯、あるいは亡命政府成立後に亡命した諸侯等……『保守派諸侯』が中心である。それ故に初期の亡命政府では降伏せず、粘り強く抵抗する事が期待されていた。それを本土に引き上げさせるとなると……。

 

「ケッテラー元帥が御存命の頃とは軍事的な前提条件が最早違う。艦艇の航行能力はこの半世紀だけでも急速に向上しておる。今となっては後方撹乱どころか各個撃破される遊兵を作るだけ、という懸念自体は以前から指摘されていた事だ」

 

 第二次ティアマト会戦の数年後には技術的なブレイクスルーにより艦艇の機関技術は急速に高性能化・小型化された。それまでひたすらに大型化という力業で出力を上げていたのが技術革新によって航行エンジンがダゴン星域会戦時代のそれに匹敵するまでコンパクト化、質量の減少とエネルギー変換効率の改善の相乗効果によりそれ以前とそれ以降とでは最早艦艇の機動力は帆船と蒸気機関船に等しい性能差が生まれている。

 

 そしてそれはそのまま戦争のペースを加速させた。孤立無援の各所領の部隊が効果的なゲリラ戦を行う前に包囲殲滅される危険性は十年以上前から指摘されていた事だ。

 

 尤も、当時の戦局では本土決戦の可能性もその研究の優先順位も低く、結局はかつての作戦の焼き直しと微修正がなされた程度であり抜本的な改訂は後回しにされていた。此度元帥はその懸念を下に所領の撤収を提案する。

 

「一部の懸念は了解している。だが……外周域の諸侯と臣民もまた同じく帝室に奉仕する同胞だ。それを無意味に討たせる訳には行かぬ」

 

 そして元帥は会議に参加する外周宙域出身の諸将の方を見つめる。

 

「数世代に渡り開拓し、子々孫々に伝え、先祖が眠る土地だ。受け継いだ所領への愛着は強いものがあろう。だが……皇帝陛下を御守り申し上げる事が我らの最優先の使命である。含む所はあろうが抑えてもらいたい」

 

 そういって目元を伏せて小さく礼をされれば皇帝の名前を出された事もあり真っ向から批判をする訳にもいかない。同時に元帥の言葉は彼らに『逃げ場』を作り出すものであり、それ故に彼らは元帥の言葉を受け入れざるを得なかったのだった……。

 

 

 

 

 

 

「宇宙軍所属の保守派を抑え込めただけでも幸いですな」

 

 会議が終了し、出席者の殆どが立ち去った議場にてヴァイマール中将は本家当主に尋ねた。

 

「宇宙軍を抑えるのはそう難しくはない。問題は地上軍と在野諸侯の説得だ。特に地上軍は保守派の基盤が強い。難儀なものだな」

 

 会議中の威風堂々とした顔を崩し、椅子に深く腰掛け肩を落とし、疲労の色の濃い表情を作り出すティルピッツ元帥。明らかにその表情は健康的ではなかった。それだけストレスと疲労が積み重なっている証拠であった。

 

 銀河帝国や自由惑星同盟に比べれば所帯が小さく、同胞意識も強く、婚姻関係も深いのでまだ一体感はあるにしても、それでも組織というものはどれ程小さくても派閥が生まれる。亡命政府内……正確には亡命政府内の諸侯は穏健派と保守派、政治的に言えば立憲君主党と帝政党に分かれている。両者は決定的な対立こそなくとも協調と緊張関係を続けて来た。

 

 亡命政府の主導権を握る穏健派・立憲君主党はコルネリアス帝の親征により保守的な諸侯の勢力が減衰した後に台頭した。当時形式的に皇帝を支持し、財力と兵力を温存していた穏健派諸侯は第二代皇帝ゲオルグ一世に憲法と議会の設立を容認させ現在の亡命政府の基盤たる立憲君主制を形成した。

 

 無論それは別に民主主義に当時の穏健派が感化された訳ではない。単に同盟政府に亡命政府の存在を認めさせ支援させるために、そして皇帝の権力を抑え自分達が政治の主導権を握るためである。

 

 尤も、当初は険悪な関係で始まった穏健派と皇帝の関係も月日が流れる事で逆に結びつきが強くなった。婚姻関係は当然として帝室も立憲君主制の利点に気付きそれを利用するようになったからだ。穏健派もまた当初は建前であった民主政に対してしかし官僚候補の留学や同盟軍士官学校に入学する者の増加で少なくともその利点に気付きある程度は尊重しその制度を取り入れるようになった(尤もその解釈と運用は同盟人からすれば完全にアウトであるが)。

 

 逆に帝政党・保守派はコルネリアス帝の親征時に皇帝派として激しく抵抗した諸侯と亡命政府成立後に亡命した諸侯の大半からなる。前者はそもそも立憲君主制そのものに否定的であり、新参諸侯は帝国時代の意識が抜けず民主政への理解も皆無に等しい。当然亡命政府内での士官学校や大学には入学するがハイネセン等に留学する事もない。その価値観は限りなくオーディンの貴族達に近い。

 

 対立はあった。それでも同じ諸侯であり、帝国の脅威もあり決定的対立は無かった。それが本土決戦と焦土戦の有無で今更のように意識されるようになった。財力があり失う事を恐れる穏健派とそもそも財力が少なく帝国的な価値観の強い保守派とで本土決戦に向けた意識がすれ違うのは当然であったのだ。

 

「一世紀以上対立を棚上げしてきた皺寄せだな。問題を先送りして大事な場面で表面化する。これではハイネセンの議会を笑えんな」

 

 自嘲気味に笑うティルピッツ元帥。厳格で古風な軍人であり同時に妻は皇族、一人息子は保守色の強いケッテラー伯爵家本家の娘と婚約させ、しかし一族自体は穏健派であり同盟軍での軍歴もある元帥は軍部にとっては穏健・保守双方共宇宙軍実戦部隊の総司令官として妥協出来る立場の人物であり、宇宙軍幕僚総監が今や実質的に重石役以外を期待されていないトスカナ大公(大昔ならば獰猛かつ切れすぎる程に頭が切れる事で有名な宇宙軍の総支配人であった……大昔は)が着任している事もあって事実上宇宙軍の頂点にある。だがそれ故に軍務だけでなく各種の折衝もありその仕事は激務だ。

 

「御苦労お察し致します」

 

 同情するようにヴァイマール中将は口を開く。その言葉には最早憐れみすら漂う。

 

「父上と兄上が生きてさえ頂ければな……」

 

 ぼやくように元帥は呟く。父は決して高齢ではなく、兄に至っては正妻までいた。数年もすれば甥も生まれていただろう。まかり間違っても自分が実家に戻る事は無いと思っていたが………現実はヴァルハラに旅立った父と兄の代わりに似合わない調整役ばかりをやる羽目になったのだから人生とは想像もつかないものだ。

 

「市民軍……いえ、同盟軍時代が懐かしいですか?」

「当然であろう?少なくとも若白髪は生えんかったからな。卿もハイネセンに住んでいた頃の方が楽しかったろう?」

「否定はしませんな。背負いこむものが余りない分自由でしたから」

 

 肩を竦めながら中将は肯定する。門閥貴族の中では『比較的』リベラルな中将は元帥の言を良く理解していた。流石にちらほら聞こえて来る娘の奔放さには頭を抱えてはいるが……。

 

「そうだな。その通りだ………」

 

 呟くように肯定し、憂いを込めた表情で物思いに沈む当主。

 

「私のせいで妻にも子供にも苦労をかけてばかりだ。どうにかしたいとは考えているのだがな………」

 

 現実は簡単にはいかないものだ。家族と中々会えないばかりに妻は伯爵家の家内の責任を一身に背負いそれもあって異様に息子を溺愛する。息子もまた唯一の本家の男子であるが故に立場を必要以上に拘束せざるを得ない。娘に至ってはまだ幼く甘え盛りなのに碌に構ってやる事も出来なかった。ましてや現在進行形でまた新たな負担を家族に背負わせ続けており……。

 

「位人臣を極めようと家族関係一つままならぬとは……人の世は中々に滑稽な事であるな」

 

 頬杖をしながらティルピッツ伯爵家の当主は今頃ハイネセンの一角に住まうであろう家族の事を思う。

 

(今頃彼方は就寝する頃か……余り面倒な事になっていなければ良いが……)

 

 しかし、それが恐らく希望的観測であろうことを認識し当主は再度溜息を吐く。そこにはどこまでも……どこまでも深い悲嘆と自責、そして倦怠の色が垣間見えた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あのっ……お兄さま!い、いま……だいじょうぶです……か?」

 

  婚約者が訪問したその日の夜、参加した腹痛のしそうな夕食会(一応話題を振ったが全て簡潔に返された)が漸く終わり書斎で就寝前の読書をしていると扉を静かに開かれた。その隙間から歳の離れた妹が顔を覗かせて恐る恐ると私を呼び掛ける。

 

「?こんな時間にかな……?」

 

 時計の針を見つめ私は尋ねた。針は2130時、即ち午後9時30分を指していた。

 

 先に言っておくが別に嫌な訳ではない。だが最近どうにか普通の会話が出来る程度の仲になれた妹がこの時間に態々書斎に訪れてまで私に会いに来るという事が極めて珍しく……というよりも初めてであった……ために驚きがあったのだ。

 

「だ……だめ……ですか……?」

 

 不安げに尋ねる妹。その大きく幼げな瞳が臆病に震える。当然ながらここで断ればどうにか上向きつつある私の印象が再びマイナスに捻じ込む事請け合いである。故に私の答えるべき言葉は一つしかない。

 

「私はお前に閉ざす扉なんて持っていないよ。余り長くは相手は出来ないが……それで構わないのなら此方に来なさい」

 

 私が(可能な限り愛想よく)笑み浮かべて手招きすれば漸く安心したのか銀髪にナイトキャップ、ふんだんにレースを編み込んだ薄桃色のネグリジェ、両手で御気に入りのテディベアを抱き抱えた子供が緊張気味の表情を緩めてとてとてと小さな足で此方に駆け寄ってくる。いつでも就寝出来る出で立ちだ。

 

 子供とはいえ午後の9時半に寝間着というの少し早過ぎるように言われるかも知れないが帝国では極普通な事だ。

 

 以前にも触れたが帝国貴族……いやそれ以外の帝国臣民も特別な理由がない限り夜更かしは余りしない。夜更かしは健康を害する上に資源を浪費し、労働者の生産効率を低下させる悪徳であるというルドルフ大帝の有難い(笑)教えがあるためだ。今でも帝国や亡命政府では消灯時間が決まっており、一部の歓楽街以外は警邏が夜中の徘徊者をしょっ引き、朝には全臣民を喇叭の音が叩き起こす。企業の深夜営業や残業は管理職以外許されない。

 

 余談ではあるが、帝国企業の労働生産性の対同盟企業比の低さは機械化もあるが同時に先程の規則等による労働コストの高さも一因だ。労働時間や残業時間、有給・休日出勤、最低賃金等の面で実の所帝国企業は下手な同盟のブラック企業よりも遥かに待遇が良かった。というよりも帝国の市民生活にすら入り込んだ管理体制は元々は治安維持や社会福祉、労働・自然環境の保護等が目的のものなのだから当然である。無論、そのために同盟やフェザーンに比べて圧倒的に経済的効率が悪いのだが……。

 

「んっ…しょっと………!!」

 

 愛すべき妹はてくてくと此方にやって来ると……極自然かつ当然のように私の膝に乗っかって来た。うん、流石に一気に距離詰め過ぎ。え?両親(特に父)や侍女達には普通にしてもらっていた?じゃあ仕方無いね。

 

 扉から此方を覗く数名の侍女達のジェスチャーでの報告に半分諦め気味に私は納得する。折角それなりになついてくれたのにここで膝から下ろして好感度を落とす訳にはいくまい。背後からブラスターで頭を撃ち抜かれるフラグを立てないためにもここは我慢するべきだ。

 

(あ、結構軽い)

 

 子供だから当然ではあるが膝に乗った妹の体重が存外に軽かったのに私は内心驚いた。同時にこんな軽い子供にこれまで色々とストレスの元を提供してきた事を思い内心良心が傷ついた。

 

「おにいさま?」

 

 子供というものが人の細やかな機敏に敏感なようで私のそんな心を見透かしてか此方を振り向き少し不安そうに首を傾げる。

 

「問題ないよ。それよりも……何用かな?」

 

 微笑みながら答えればどうにか安心した表情を作り出して目の前の幼い妹はつたなさの残る声で私に伝え始める。

 

「えっとね?きょうね?お家にきたひとっておにいさまのおよめさんなの?」

「いきなり直球で尋ねるな……」

 

 食事の時同席したが従姉なり叔従母なりと親族の年上の女性と会う機会は多いので臆病で人見知りな妹も流石にそれ程怯える様子はなかった。それはそれである意味幸運ではあるのだが逆にそれが子供の好奇心を刺激した可能性があるようだった。

 

(正確に言えば婚約者なんだがな……いや、この歳の子供には然程違いは無いか?)

 

 そもそも二回り以上歳が違う面識の薄い兄が十近く年下のいたいけな少女と婚約しているのって妹という立場から考えるとどう思われるんだろうか?何となく嫌悪されそうな気がしない訳でもない。とは言え事実は事実なので私の答えるべき答えはJa(ヤー)しかないのだが。

 

「そうだな。ケッテラー伯爵家本家筋のご令嬢だよ。家名位は知っているかな?」

 

 膝の上でコクリと首を縦に振り妹は肯定する。うん、可愛い。

 

「ナーシャにとっては余り良く知らない人だろうけど、怯える必要はないからな?後は……出来ればで良いから仲良くはして欲しいかな?」

「なかよく?」

「出来れば、だよ。無理はしなくて良いけどね?」

 

 色々面倒を起こしている私が言えた義理では無いが親戚関係を拗れさせていらぬ御家騒動を起こす訳にもいかない。今の内に危険の芽を摘んでおくに限る。

 

「んー……」

「難しいか?」

 

 悩まし気に首を傾ける妹。初対面の筈で良い印象は無かろうが少なくとも悪い印象も無い筈なので妹のその反応に私は内心で意外に思えた。私が見ていない所で何かトラブルでもあったか……?

 

「え、えっとね?べつにきらいじゃないの!けどね?けど……おかあさまがあのひとのことについていろいろいっていてね?その……」

 

 そこで少し言い淀む銀髪の幼女。私に対して何というべきか悩んでいるようであった。

 

「……大丈夫、怒りやしないから。焦らずに聞いたまま言ってくれ」

 

 私は妹にゆっくりと、穏やかにそう安心させる。少し考えてから、妹は漸くその言葉を私に伝えた。

 

「あ、あのひとは……その……血が卑しいから…あまりいっしょにいちゃダメって」

 

 その言葉を聞いて私は一瞬沈黙する。だがそれが妹を不安にさせる事を理解しているために私はすぐさま返事をした。

 

「そうか……悪い事を聞いたな。済まない」

 

 恐らく妹はかなりこの言葉を口にする事に迷った筈だ。この歳の子供にとって母の言う事は絶対だ。だが同時に圧倒的に立場が上の私が婚約者の事で仲良くするように頼まれれば当然私が彼女を嫌っていないと認識する筈だ。その上で血が卑しいとは………凡そ門閥貴族階級にとっては考え得る限り五本の指に入る程の罵倒である。そんな言葉を娘に言うとなると……。

 

「お、おにい……さま……?」

 

 上目遣いで此方の事を伺う妹。私は内心のざわめきを誤魔化すようにナイトキャップ越しに頭を撫でる。少し動揺しつつも最終的にはこそばゆそうに目を伏せて妹はそれを受け入れる。

 

「二人共、喧嘩しているみたいだな。困った事だよ、仲直りしてもらわないとな?」

 

 別に同意を求めた訳では無かったが妹は此方の事を慮ってか小さくコクリと頷く。この娘は口下手だが存外聡明なのかも知れない。

 

「えっと……」

「私のお願いは忘れてくれていいよ?私の問題でもあるからね、この事は私の方で問題はどうにかしよう。……そうだ、寝る前に本でも読もうか?それともほかにやりたい事でもあるかな?」

 

 私が話題を変えれば妹も此方の意思を汲んだのだろう、婚約者の事にそれ以上触れなかった。本当に賢い娘だ。

 

 私は扉の向こう側で控えている侍女達に妹のお気に入りの本を持って来させる。そして待っている間に私は逡巡する。

 

(まさかとは思うが夕食の時……)

 

 私と面会した時と食事会の時の態度、そして母の性格から考えると……ああ、嫌な気しかしないなぁ。この時期にこのような事の対応をしなければならないとは……とは言え本を正せば私の責任か。

 

「おにいさま?」

「ナーシャ……」

 

 此方を見上げる妹に私は困った表情を向けて告げる。

 

「もしかしたら……またナーシャに迷惑をかけてしまうかも知れない。その時は……済まない」

 

 許してくれ、とも言えないので謝罪の言葉を予め口にする。いい迷惑であろうがそれ以外に今の私にとってはそれくらいしか出来ないのもまた確かであった。

 

「……」

「……ナーシャ?」

「……えいっ!」

 

 暫しの間、ひたすら此方を見つめていた妹は何を思ったのか次の瞬間、ぺちんとその小さな手で私の頬を叩く。叩く、と言っても勢いもなく、むしろ触れると言った方が遥かに近いのだが。ぺちんぺちんとどこか気の抜けた音が室内に幾度か響く。

 

 十回位可愛らしいビンタを終えると妹は満足そうな笑顔を浮かべた。そして答える。

 

「これはおしおきね?おにいさまがまたおかあさまをこまらせるっていうからおしおきしないといけないの」

「予告はしたがまだやっていないんだけどな……」

「うん、だからもうたたいちゃったからおにいさまもいたずらしないといけないよ?」

 

 笑顔で答える妹の言葉で漸くその意図を理解し、目を丸くする。

 

「………ナーシャは本当に良い妹だな」

 

 私は再度妹の頭を撫でる。それは労わりの意味があった。まだまだ私に色々蟠りがあるだろうに……この妹は相当に賢く良く出来た娘だった。

 

「ほめてくれていいよ?あとね?またあしたもここにきていい?」

「当然、悪い兄からすれば偉い妹のお願いを断る訳にはいかないからな」

 

 そう答えると非常に妹は機嫌良さそうな笑みを浮かべる。そしてその笑みだけで私の心は幾分か軽くなっていたのだった……

 


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