帝国貴族はイージーな転生先と思ったか?   作:鉄鋼怪人

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第五十二話 新入社員研修は企業の義務だと思う

『吹雪の進軍氷を踏んで、どちらが北やら方角も知れずに

 

 戦友は寒さに斃れる捨てても置けず、ここは何処ぞ?皆敵の国

 

 ままよ、と大胆一服やれば、頼み少なや煙草は二本

 

 

 冷たい乾パン、半煮えのスープに、なまじ命があるそのうちには

 

 堪え切れず寒さの夜中、眠い筈だよ空調が壊れぬ

 

 渋い顔して功名噺、酸いというのは即席の珈琲

 

 

 着の身着のまま気楽な臥所、背嚢枕に外套被りゃ

 

 背の温みで雪解けかかる、夜具の黍殻しっぽり濡れて

 

 結びかねたる露営の夢を、星々は嘲笑うように顔覗きこむ

 

 

 祖国に命を捧げ出てきた身ゆえ、死ぬる覚悟で吶喊すれども

 

 武運拙く討ち死にせねば、義理にからめた恤兵真綿

 

 そろりそろりとナイフ片手に首絞めかかる、どうせ生きては帰らぬつもり

 

……どうせ、生きては帰れぬ命』

 

 

             カプチェランカ従軍同盟軍兵士の間で伝わる軍歌(検閲指定済み)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カプチェランカ赤道部は多くの惑星がそうであるように比較的温暖な気候に属している……と言っても一年中雪と氷に閉ざされた惑星であるため、たかが知れているのだが。

 

 しんしん、と静かに雪が降り注ぐ中、軍用防寒着を装備した私は森を歩く。基地の近くに広がるこの針葉樹林群は、500年も前にこの星を切り開こうとした人々が植林したものであるという。似たような痕跡は惑星の各所にあるらしいが、寒冷なこの星で辛うじて森と言えるだけの木々が生い茂るのはこの赤道地域のみらしい。

 

 よく探せば野兎や栗鼠、貂、それらを補食する狐、また同盟や帝国軍が伝令や移動等に利用してそのまま逃げてしまった犬や馴鹿、鳥類を見つける事も出来るかもしれない。この冷たく、無機質な星でも、生命は逞しく世代を重ね続けているようだ。

 

「これでもまだ暖かい方なんだよなぁ」

 

 0900時、真っ白な息を吐きながら私は呟く。原作の獅子帝の赴任先は恐らくこの惑星でもド辺境の連隊基地。それよりは遥かにマシではあろうが、それでも凍てつくような寒さだ。ヘルダー大佐の気持ちも分かるわ。こんな星にずっといたくない。

 

「わ、若様……そ、その、非礼ながら余り離れないでいただけないでしょうか……?」

 

 ふと、おどおどした少年の声が響く。振り向けば、今回の基地周辺哨戒任務(にかこつけた散歩)の相方がいそいそと歩み寄る。

 

 小柄な、可愛らしい栗毛に赤瞳の少年、それが白い迷彩服にブラスターライフルを背負う姿はどこか仮装のように見える。口にしたら不機嫌になるだろうから言わないが。

 

「すまんすまん。雪と氷ばかりだからな、こんな変哲の無い森でも思いのほか歩いていると楽しめてな。悪いな、ライトナー曹長」

 

 ライトナー従士家の分家、バウツェン=ライトナー家出身の同盟地上軍曹長、テオドール・フォン・ライトナー曹長はこの年十八歳、私がこのカプチェランカに着任して二か月、青二才の私のお守り役を請け負っている。

 

「い……いえ、差し出がましい事を言って申し訳御座いません。恐れながら僕……いえ、私の腕ではいざという時に若様を御守り出来るか自信が無いものでして……御迷惑をおかけします」

 

 小動物のようにおどおどと謝罪する曹長。正直そちらの方面に目覚めかねないくらいには可愛らしいけど、見かけに騙されてはいけない。

 

 彼の胸元の記章の数々を見れば、到底舐めてかかる事は出来ない。射撃、戦斧術、ナイフ術一級、徒手格闘術二級の資格は簡単に取れる物ではない。戦傷章、二級鉄十字勲章、ゼーナウ要塞攻略戦従軍章、カキン従軍章、アフラシア従軍章……これらの全てを、同盟軍陸専科学校卒業から二年余りで手にしたものだ。

 

「い、いえ……私なんて…妹の方が強いですし」

 

 初陣で一個分隊を嬉々とした表情でナイフで仕留めた妹と比べて、暗い表情で卑下する曹長。そいつと比べちゃ駄目だと思うよ?そいつと練習相手出来るお前も大概だよ。ライトナー家の奴らはどいつもこいつもちょっと……いや、かなり狂戦士しているな。

 

「いやいや、それだけの実力があれば十分さ。別に誰もリューネブルク大尉のような規格外の腕を期待しちゃいないさ」

 

 現在、同盟宇宙軍大尉たるリューネブルク伯爵は初任地たる第8次ケテル上陸戦にて戦功をあげたのを皮切りにジンスラーケン撤退戦、マシュリクⅢ基地攻防戦、キシュラーク防衛戦などで立て続けに参加し、相応の功績を挙げ大尉に昇進、今は宇宙軍陸戦隊の精鋭の一つ第127陸戦連隊の中隊長だ。戦斧術、ナイフ術特級、射撃、徒手格闘術は一級、潜水術、爆発物処理、狙撃、二輪車両運転等数多くの技能資格も持ち、個人技術だけでなく戦術家としても部下を良く統率し、巧妙な作戦を立て実施するだけの柔軟性を持つ。個人としても、指揮官としても同盟地上戦部隊有数の勇士だ。

 

「り、リューネブルク伯爵閣下ですか!?さ、流石にそれは無理ですよぅ……」

 

 半泣きで曹長は全力で首を横に振る。分かっているから過剰反応しないで。この子、いい子だけど滅茶苦茶気が弱いよなぁ。

 

「そう焦るな。そこまでの実力はいらんと言っているだろうに」

「は、はいぃ……」

 

私の注意に恐縮する曹長。うん、可愛い。

 

「お前が部下に配置されて……二か月か。訓練で実力は良く見せてもらったよ。流石に実戦経験者だ。練習ばかりの私とは格が違う」

 

 恐ろしい事に戦斧術も、射撃も、ナイフ術も、銃剣術も、徒手格闘戦ですら私は彼に及ばない。勝率は2割いくかどうかだ。ベアト相手でも3割いくのに……。少なくとも私より遥かに格上である。

 

「いえ、若様も海賊共相手に実戦を御経験なされたと御聞きします、しかも幼年学校でと聞いております!私のように学校卒業の前にです。私なぞより遥かに若様の方が貴重な御経験を御持ちです……!」

 

 ちらりと私の戦傷章を見つめた後、慌ててそう答える曹長。その瞳を良く見ればベアトに近い光が見えた。こちらはもう少し純朴そうであったが。ベアトと違い従士家の分家のため、歳も合わせて直接私と会う事なぞ余り無かっただろう。殆どは伝聞からのみで私の事を知った筈だ。その分ある意味では関わりが浅く、ベアトのように忠誠心、というよりは一種の憧憬に近い感覚なのだろう。メッキが剥がれたら幻滅されそう。

 

「いやいや、粗野な海賊共相手にたった一度、それも何年も前の事だ。お前さん程激しい戦闘は経験していない。だからな、お前さんの腕は信頼している。頼むよ?」

 

 にこやかに貴族の営業スマイルを向け曹長の肩を叩く。いや、前線の戦闘地域に出ていきたくないし、出る可能性は低いが、万一の事があったらガチ目にヤバいからね。今のうちに期待しているよオーラを放って少しでも生存率上げないといけないのよ。

 

「は、はい……!」

 

 一方、曹長は目を潤ませて震える声で、しかし力強く答える。うん感動しないで、怖い。お前さんが思う程に私優しくないから。利己的に生存率上げたり離反フラグ折ってるだけだから。

 

 感動する曹長を見ながら、内心でそんな事を考えていると……。

 

「もぉ、お兄様はぁ、すーぐ泣きべそかいちゃうんだからぁ……そんなのだとぅ、若様が不安になっちゃいますよぉ?」

「ふぁ……!?」

 

 いつの間にか曹長の背後を取り、へばりつくように抱き着く影がいた。曹長と瓜二つの、しかしもう少し曲線の目立つ顔立ち。それが意地悪そうな表情で、曹長の耳元で粘りのある低い声で囁いた。

 

 曹長は驚くと共に雪に足を取られそのまま尻もちする。一方、彼と瓜二つの人物はするりとその巻き添えを受けぬように擦り抜ける。

 

「あはは、駄目ですよぉ、お兄様。今のが賊共だったらぁ、お兄様首掻き切られて死んでましたよ?そして若様もこのままズドン、と」

 

 尻もちをついた曹長を半開きの目で楽しそうに観察し、右手で私に銃を撃つ真似をするネーナハルト・フォン・ライトナー軍曹。

 

 珍しい異性一卵性双生児の妹の方は、加虐的な笑みを浮かべながら兄に向け手を差し出す。

 

「……いらないよ」

 

 むすっと鏡写しのような妹を見て拗ねたように自力で立ち上がる曹長。

 

「若様、こちらの巡回は終わりました」

 

軍曹の後を追うように現れるベアトが報告する。

 

「そうか、まぁこの辺りに敵がいる筈は無かろうが……よし、では残りのエリアを見回ったら戻る。先に戦車に戻っておいてくれ」

 

ベアトと軍曹の班に向け私は伝える。

 

 私達はこのカプチェランカに赴任して以来、いつものように早朝の巡回任務に就いていた。尤も、基地周辺のまず帝国軍との遭遇なぞ有り得ない地域での巡回であるが。どちらかと言えばこの巡回は現地の気候や受け持ちの車両の運転へ慣れさせるものであろう。文字通り散歩である。

 

「はっ!」

 

 敬礼して承諾の意思を伝えると、すぐさま戦車の下に走るベアト。一方軍曹は兄を少しからかった後、私に優美に一礼して逃げるように後を追う。

 

「大丈夫かね、曹長?」

「は、はい。申し訳ありません、みっともない所を御見せしまして……」

 

雪を払いバツの悪そうに答える曹長。

 

「気にするな。私の位置からすら這いよって来ている事に気付かなかったからな。ましてお前が気付けるか。にしても、まさか本当にあそこまで気配を隠せるとはな」

 

 帝国軍狙撃猟兵団は装甲擲弾兵団、野戦機甲軍団と共に帝国地上部隊の精鋭であり、同盟軍の恐怖の的である。名前の通り狙撃部隊であるが、同時に山岳地帯や雪原地帯、市街地でのゲリラ戦を主任務にする彼らは、その精強さと残虐性において残り二つと引けを取らない。

 

 どこからともなく一撃必殺の対物ブラスターライフルの狙撃でまず士官達の頭を撃ち抜き、続いて最先任下士官や技能兵を一人一人確実に始末していく。待ち伏せや奇襲は御手の物で、雪原の中で数日に渡り動かずに同盟地上軍の師団長を待ち続け射殺した話、山岳地帯で闇夜に紛れご自慢の鉈のようなグルカナイフで分隊全員の首を刈り取ったなんて話は珍しくない。

 

 実際、今もこの二人の腰を見れば曲がりが大きく刃幅の大きい炭素クリスタル製のナイフが吊るされている。そして恐らくそれは実戦の洗礼を受けている筈だ。

 

 元を辿ると、狙撃猟兵団は銀河連邦軍地上軍の対ゲリラ特殊部隊に起源を持つ。連邦末期の未開の辺境惑星にて反乱勢力やカルト教団、犯罪組織、テロ組織が大自然などに拠点を構え勢力を伸ばしていた。

 

 銀河連邦地上軍の多くは人口密集惑星での治安維持や警備を主体にしていたために軽装備歩兵が中心であり、大自然でのゲリラ戦に苦戦した。また長い平和と予算削減により堕落し、その軍規と能力は劣悪であった。「地球統一政府軍のように虐殺と略奪をしないだけマシ」な程度でしかないレベルであった。

 

 宇宙暦280年代末の軍制改革の結果辺境でのゲリラ戦対策として帝国軍狙撃猟兵団の、市街地や地下空間、宇宙空間での宇宙海賊や武装勢力との近接戦闘、揚陸戦闘に対抗するために帝国装甲擲弾兵団の、連邦の分裂・内戦に備えた大規模野戦部隊として野戦機甲軍の前身部隊がそれぞれ編制された。これらの部隊は銀河連邦地上戦部隊の精鋭部隊であり、腐敗し、堕落していた銀河連邦軍内において稀有な士気と高い能力を有していた。

 

 ルドルフ大帝も銀河連邦軍人時代、辺境の宇宙海賊や武装勢力の鎮圧に彼らを好んで使用した。大帝陛下の言によれば「義務も使命も忘れた腐敗した軍人崩れ共百人よりも一人の精兵が遥かに余にとって貴重な戦力であった」という。

 

 連邦末期、連邦軍は終身執政官ルドルフ・フォン・ゴールデンバウムの下に厳しい綱紀粛正が実施される。連邦軍は精強な軍隊に再編成されたが、百万単位の軍人が役職を追われ、その一部がルドルフの強権体制に叛旗を翻す事になる。尤も、人種差別への反発や民主主義再建など政治的信条の下に抵抗した者もいたが、大半は汚職や不正を行って処分されて当然の者が既得特権を取り戻そうと逆恨みしただけであったが。そしてその中に先の三部隊から処分を受けた者は一人としていなかった。

 

 帝政成立後、装甲擲弾兵団、狙撃猟兵団、野戦機甲軍が正式に設立され、地上軍、宇宙軍からも半独立した組織として編成された。所属部隊の将官は門閥貴族階級に、佐官・尉官は下級貴族、下士官兵士は士族(一部特権を付与された職業軍人を家業とする平民階級)に全員が任命された。

 

 現在でもこの三兵団は腐敗と堕落とは無縁だ。徴兵ではなく、一兵卒に至るまで志願制であり、貴族と士族階級のみ、さらにその中から厳しい試験に合格した者のみが加入を許される。加えて毎年実施される定期試験の成績が一つでも大帝陛下の定めた基準に満たなければ、貴族だろうと総監だろうと、皇族ですら問答無用で追放される。

 

 その末裔の一つがライトナー家であり、この双子である。御先祖様が大帝陛下に下賜された(押し付けられた)世紀末モヒカンな領地平定に行く際、当時まだ士族階級だったライトナー家の初代を誘って以来の付き合いだ。

 

 因みに、将来の装甲擲弾兵総監たる石器時代の勇者は、先祖が帝政初期に装甲擲弾兵団に所属した事で士族に、そこからジギスムント1世時代の大反乱で武功を上げリッテンハイム伯に目を付けられ食客に、後にリッテンハイム伯爵家とアルレンシュタイン伯爵家の私戦で功績を上げ従士階級に、流血帝時代のリンダ―ホーフ侯爵の反乱の功により帝国騎士となった。その後も反乱鎮圧や同盟軍との戦いに一族の犠牲を持って貢献し、近年御本人がようやく男爵位を授かった。一族挙げてガチ目に血と汗を流して5世紀も帝国に尽くしてきた訳だ。そりゃあ金髪の小僧を毛嫌いするわ。男爵になるのに何代かけたと思ってやがる。

 

 その点から考えると、原作でリップシュタット以降装甲擲弾兵総監職が出ていない理由も分かる。あの内戦で装甲擲弾兵団の存在そのものが変質したのだろう。武門貴族や士族があの内戦の後どれくらい残っているかと言えば……。地上軍に吸収されその一部局に成り下がったんじゃなかろうか?人員も唯の平民だらけになったと思う。少なくとも、本来の装甲擲弾兵は原作のように地球教の戦い方にビビるなんてしない。流れ作業のように淡々と戦斧で精肉にする。

 

「それにしても……あれが昔の基準ねぇ」

 

私は小声で呟く。

 

 まぁ、武門貴族も士族階級も、帝国正規軍では今となっては珍しい。下士官兵士大半が文字通りの唯の平民が占め、士官階級ですら侵食している。150年も戦争していればそりゃあ御家断絶しまくるわ。大帝陛下も、まさか1世紀以上戦争するなんて流石に思わんわ。中世の戦争かよ。

 

 そう考えると獅子帝、良くリップシュタットであんな短期間で勝てたな。指揮官は兎も個艦、個人単位だと下手したら貴族私兵軍の方が上なのに。

 

「何か仰いましたか?」

「いや、何でもない。さっさと見回りを終わらせよう」

「はっ!」

 

 せっせと後についていく曹長を率いて、私は雪原を進む。まぁ、今はそんな事を考えても仕方あるまい。取り敢えず今の任期が無事に終わる事を願おう。

 

 

 

 

 

 

 

 巡回任務を終えた後は、昼食を食べた後1300時より基地司令部の警備及び補助業務に就く事になる。カプチェランカ赤道基地の司令官にして、カプチェランカ戦域軍司令官を兼任するマリアノ・ロブレス・ディアス准将は同盟地上軍准将、日焼けしたラテン系の中年男性だ。ステレオタイプなイメージではラテン系となると陽気な性格を想像するかも知れないが、御本人は冷たい惑星であるためか非常に淡々とした職業軍人だ。

 

 私とベアトは基地の地下最下層、宇宙艦艇が衛星軌道上から叩き込んでくる低周波ミサイルやバンカーバスターすら耐えうるコンクリートと超硬質繊維、特殊合金で守られた温かい司令官室にて事務の補助をする。と言っても副官以下の事務員が司令官の専属にいるため、どちらかと言えば職場見学に近い。

 

 各種の書類……例えば補給物資や装備の納入やら人員の補充や移動、戦力や装備、予算の要望に戦死者の報告、不祥事の処理に軍属として来ている民間人の管理、上位司令部たるクィズイール星系統合軍への戦況報告、各地の基地や上位司令部からもたらされる帝国軍の動向とその分析……それらの情報を把握し、決裁するのがこの基地の司令官の役目である。副官や各事務員は各所から送られる報告を整理し、事実関係を確認。それらを分かりやすく客観的に、形式を整えた書類にして司令官に提出する。そうして決裁の終わった書類を、再び関係各部に提出する。査察部の法務士官や憲兵などは、それらに間違いや不正が無いか厳しくチェックする。

 

「少尉、そこの書式違います。後ここの消費弾薬の項目、数が合わないです。作り直しですよ」

「わ、分かりました」

 

 老境の軍需科の下士官に丁寧に指摘されて慌てて私は書類を作り直す。ここ二か月の間軍需科の資料作成に関わっていた。無論、私が新任である事は皆が百も承知である。明らかに優先順位の低い資料を処理させてもらい、しかもミスしている事を前提にチェックされていた。

 

 幼年学校、士官学校でも多少は資料作成の技能については触れられているが、優先は戦闘技能や戦術・戦略能力、指導力だ。後方勤務系の研究科においても行うのはマクロなデータ分析であり、辺境の基地の物資の計算や資料作成は現地で覚えた方が早い。これでも着任直後に比べれば相当ミスは減っているのだ。まぁ、慣れれば慣れる程相手もより難しい仕事持ってくるけど。

 

 一方、ベアトは私のすぐ隣でディスプレイを見ながらタッチパネルで早々に資料を処理していく。流石席次300位台だよね、私とは格が違うね。事務処理のスピードが私の二倍くらいあるもん。

 

「はぁ……」

「?どうか致しましたか?」

 

 小さな溜息を吐く私にベアトが心底不思議そうな表情で首を傾げる。

 

「いや、なかなか慣れんものだと思ってな。たかが、という訳ではないが、ここで足踏みしているようでは先が思いやられる」

 

 事務の士官下士官達に聞けば「事務能力は並み」といった所らしい。新品少尉としてで、ある。因みにベアトは「凄く飲み込みが早い」との事だ。これ主従逆転した方がよくね?

 

「何を仰いますか?若様は御立派です!確かに今は初任地ですのでお慣れでは御座いませんし、事務作業の経験が浅いのは事実です。ですが若様の指揮能力や指導力、権謀術数については良く存じております!」

 

 うん、それ多分大半ホラントやチュンとかシェーンコップの助言鵜呑みにしているだけだから。私単独だとコープに秒殺されているの知っているでしょ?

 

 実際、士官学校では多少は艦隊運用や防御戦闘の指揮には秀でているが、それは教官の指導のおかげだし、それとて平均より多少マシ、と言った所だ。私の席次の少なからずの部分が周囲の助けや特有の環境による利点、そして地道な努力によるものなのだ。え、結構遊んでいるように見える?はは、夜は寝る直前まで予習復習して、空き時間があれば参考書読みながらダンベル持ち上げているんだよ、余裕なんか無かったよ!貴族だから人様の前で汗水垂らして泥臭く努力する姿見せられなかっただけじゃ!

 

 恵まれた環境で、努力に努力を重ねて辛うじて並みの能力か……原作の無能勢ですら大半は士官学校のエリート、それを殲滅する主要人物勢がやばすぎる。

 

 辛うじて破滅だけは回避しようと考え士官学校は卒業したが……こんな序盤から自信が無くなるとはな。陰鬱になってくる。

 

 1800時、本日の事務を終え、私達は退出する。正確にはまだ事務は残っているし、毎日急報に対応するため即応要員は24時間三交替体制で控えているが、所詮新品士官の御手伝い役の私達はそこまでの事は期待されていない。

 

 その後私は自主的に2時間程、軽く肉体を鍛える事になる。軍隊において体力は必要不可欠、地上勤務ならば尚更だ。というか、鍛えないと下手しなくても死ぬ。基地内のスポーツセンターで2時間程鍛える事になる。わぉ、流石最前線基地だぜ、皆素晴らしい肉体美だ。筋骨隆々で、弾創だとか傷の痕が嫌に自己主張していた。よぼよぼの経理事務員の初老の老人が脱いだらかなり凄いんです。

 

 彼らを見た後に自分の体を見る。うん、(相対的に)ひ弱な軟男ですわ。鍛えないと(使命感)。

 

 2000時に夕食を摂る事になる。同盟軍の食堂は士官・下士官用のそれも存在するが、多くの場合は兵士と士官が共に食事をするし、する事が奨励される。上官と部下の関係は近く、親しい程良いとされる。

 

 因みに帝国軍や亡命軍では当然別で、士官・下士官・兵士が完全に隔離されて、待遇も違う。兵士の食事の質は帝国は同盟に僅かに劣り、亡命軍ではほぼ同等、士官用の食堂は多くの士官が貴族階級なこともあり結構豪奢だ。一応士官用の献立もあるが、特に大貴族や将官だと態々専用の料理人を雇い、材料も補助が出るが基本自腹で用意する。シャンデリアで照らされた食堂で純白のテーブルクロスに銀食器や繊細なデザインを施された陶器製食器で音楽を聴きながらコース料理を部下達と共に味わう。従兵や使用人が食事中ずっと控え、食事の補助をする。高級レストランのようだ。

 

 無論、そんな事は同盟軍基地では流石に出来ない、というかする訳にはいかないので普通の席について食べる。食堂の端でベアト達に守られるような位置関係なのは少し警戒し過ぎな気はするがね。2100時からは入浴、と言っても大抵皆シャワーである。

 

 2200時、本日の業務を全て終えればようやく自室に戻る。因みに地下の安全な士官用個室で、隣の部屋はベアトであるのは色々配慮された結果なのだろう。

 

「……にしてもこれは無いよなぁ」

 

 毎度の事ながら、室内を見て流石に顔を引き攣らせる。設計上は個室シャワーと洗面台、トイレ(水がそこら中にあるからこその設備だ)の一部屋の白い無機質な個室で通常は大量生産品の事務用机と本棚、ベッドが用意されているのが常であり、そこに私物が供えられるのが基本である。まぁ、家具なんて普通基地まで運んでこないからね。普通は。

 

 おう、赤い絨毯が敷き詰められて、机も本棚もベッドも高級木材製に変わっているのはたまげたよ。羽毛布団が用意され、これまた手作りだろう振り子時計に絵画(近世風の風景画とか戦場画だった)飾ってんの。ここは門閥貴族用の部屋かな? あ、門閥貴族だった。

 

 聞いた話だと、着任前日に500キロ離れた亡命軍基地から雪上車が列作ってきてマッチョの軍団が黙々と掃除をした後、家具その他を運び込んできたらしい。おい止めろ、初日どころかそれ以前の段階で味方からドン引きされる案件だぞ。

 

 おかげ様で、初日に各所に挨拶回りに行った時点で明らかに要注意人物扱いされてたよ。関わっちゃ駄目オーラをだしてたよ。こんなのボッチ認定も残当だよ。冗談抜きで御付き三人いなかったらボッチ確定だった。

 

 流石に虐めは無いが、特に士官達から少し遠慮されているのは確かだ。まぁ、私を虐めたら結構あかん事になりかねないからね。この星で亡命軍の貢献は小さくない。今夏の大攻勢でも亡命軍は総勢3万の兵力を参加させ、内4000名以上の戦死者を出した。同盟軍を含めた投入戦力が24万、全体の死者が2万余り、負傷者を含めると4万を超えた事を考えると、同盟軍の平均より高い戦死率であり、一方帝国軍に与えた損失は全体の4割近くに当たる。損害率も考えると頭可笑しいとしか思えない。

 

 亡命政府軍は長年に渡り対帝国戦争に貢献してきた。昔は大きな損害が予想される戦いでは先鋒を請け負わされる事もあったし、逆に全軍の殿を務める事もあった。同盟軍ではないので戦死者の公表数を抑える事が出来るからね、仕方ないね。

 

 逆に亡命軍からすれば自分達が戦わなくては母星が危ない。真の皇帝陛下のため戦わなければという使命感もあるし、命を惜しみ名誉を守る事を知らない卑しい奴隷共の子孫(同盟軍)は当てに出来ない、何より上位司令部の命令は絶対である。それらの諸要因が結びついて献身的に、苛烈な戦いを演じる。そして同盟軍将兵はその姿に感銘を受けると共に、恐怖と悍ましさとどこか後ろ指を指される感情に襲われる。

 

 ここまで部屋を改造されても文句が来ないのはその辺りも原因だろう。何はともあれ進んで苛烈な戦いに身を投じる同胞への配慮、というよりは敬して遠ざける、に近いかも知れない。私としては自分は別にいいから同胞助けて、という気持ちだが。

 

 机の上には明らかに高級そうな包装の為された小包が幾つも置かれていた。差出人を見れば、この星に駐留する亡命軍幹部達やその縁者からだ。身内である門閥貴族は当然として下級貴族に平民もいる。中には差し出す義務の無い大隊や中隊の兵士単位で差し出してあるものまであった。皆、私が着任した事への祝い品で、着任してからちらほら来ている。中身はワインやら高級菓子やらオーダーメイトの雑貨で、メッセージを簡略に訳せば名門たる伯爵家の子息と轡を並べて賊軍と戦える事に感謝し、より一層祖国と陛下のために奉仕する皇帝陛下万歳、という内容だ。

 

……うん、ドン引きする内容だ。

 

 まぁ、唯でさえ末端の平民まで帝室万歳、大帝陛下万歳、貴族制度万歳な価値観だ。特に武門貴族は、最前線で軍旗やら拳銃片手に指揮を取り兵士を鼓舞するという、いつの時代だというノリだ。中には帝室の血縁者の癖に先頭に立ってサーベル片手に突撃する者までいる。まして武門の名門が父方、帝室出身者が母方の士官学校卒業ほやほやで前線に勤務する私は(直接会わなければ)兵士達のウケがいいだろう。

 

 御免なさい、轡並べるどころか家臣に守られながら安全な地下に引き籠ってるよ。

 

「そんな一日な訳だ。正直毎日腹が痛い」

『ははは、まぁ気持ちは分かるよ』

 

 自室内のディスク端末から超高速通信で旧友に愚痴を吐いてみた。普段なら明日のために消灯するまで自学自習するのだが、今日くらい休ませろ。

 

 液晶画面の向こう側には無駄にデザインが俊逸だと評判の亡命軍士官軍装に身を包む亡命軍宇宙軍所属アレクセイ・フォン・ゴールデンバウム少尉が困った表情を向ける。現在は亡命軍統帥本部勤務だ。おう、配慮無しで亡命軍士官学校首席卒業者様は格が違うぜ。

 

『いやいや、亡命軍士官学校は同盟軍のそれよりレベルが下がるからね。別に首席だからと言って誇れるものではないよ?』

「それ、出来る奴の台詞だって理解してる?」

 

 逆に言えばサジタリウス腕全土から受験者の来る同盟軍士官学校と比較出来る程度にはレベルが高いのだ。つーか、お前ホラント抑えて幼年学校首席だったよな?つまりお前テルヌーゼンでも最低でも次席な訳なんだけど?

 

『そういう君だって結構良い席次じゃないか?』

「死ぬ気で学習したからな。それに環境にかなり恵まれている」

 

 幼少期から第一線の軍人や退役将校から指導を受ければなぁ。寧ろここまで有利な要因で下駄を履いても「本物」の秀才天才の前では及ばないのは泣けてくる。

 

『贅沢な悩みだね』

「お前にだけは言われたくない」

 

口を尖らせて私は指摘する。

 

『まぁ、それはそうと期待と現実のギャップがあって辛い、って話だったね。実力以上の物を求められるのは確かにストレスが溜まるよね。特にヴォルターの場合は小心だし』

 

 初代銀河帝国皇帝ルドルフは、性格と思想は兎も角実力は間違いなく本物だった。そして彼に選ばれた門閥貴族の大半も同様だ。だが、子孫もその才覚を受け継ぐとは限らない。大帝は遺伝子の無謬性を信奉していたが、所詮は専門外の似非優性思想だ。政治家や軍人、扇動家として傑出していても、遺伝学やら生物学を学んでいた訳ではない。

 

 彼と、彼の選んだ「優秀な人類の指導者層」の子孫は、しかし所詮人間である。本当に指導者としての才覚が遺伝するかは断定出来ないため、環境と教育の優位、そして選民意識を持って徹底的に指導する事で秀才を量産し、辛うじて巨大な帝国の国家体制を動かしている、というのが実状だ。

 

 だからと言って、今更民主化や議会制の導入など、少なくともオリオン腕の特権階級には怖くて出来ない。

 

 意識しているかは兎も角、今更特権を捨てるような事は家族や多くの家臣を養っている以上出来ないし、捨てた所で人民がまともな政治が出来るとも思えない。下手すれば、衆愚政治の果てに人民が自身の失政の責任を帝室や貴族に求め、一族郎党家臣団含め生贄の羊として吊るしかねない。民主化の過程で多くの旧支配層の血が流れる事くらい歴史から学べるし、旧銀河連邦の醜悪な末期も知る事は容易だ。まして帝室と貴族は複雑な婚姻関係で繋がり、身内同然だ。身内が殺されるなんて許容出来る訳がない。

 

 その点、亡命政府は帝国と違い、議会制民主主義を建前でとりつつも実質的に立憲君主制、いや専制政治が事実上可能であった。議会もあるし選挙もあるが、大抵貴族が当選し、星系政府首相(皇帝陛下)の意見にノーを言える者は殆どいない。市民も殆どの者は帝室と貴族に逆らおうなぞ考えもしない。

 

 なぜ民主主義を取りながらも帝室と貴族が未だに巨大な権限を握り、それを市民が支持しているか。要因としては亡命時に運びこんだ資産にもあるし、教育も関係あるだろう。

 

 だが、最大の要因は彼らが指導者の範として曲がりなりにもその使命を果たし、市民の多くが素朴にその姿を崇敬しているためだ。平民や奴隷共は怠けるし、戦いでもすぐ逃げる。すぐ欲望に負けるし、自身で考えずに流言に流される……だからこそ大帝陛下に選ばれし貴族階級が率先して範を見せ、愚かで下賤な者共にその目で吾等こそが指導者に相応しい事を見せつけ、分からせてやらねば、と言う訳だ。

 

 無論、民衆の多くが元より保守的な者が多く、共和主義者も敵意を亡命政府ではなく帝国に向け、同盟という帰化する先があったという環境が、民主化後の特権階級排斥が無かった最大の理由だろうが。

 

 そのような経緯もあり、民主政の下、亡命政府の貴族は経済的には兎も角法的には平民や奴隷と平等であり、その立場は不安定だ。逆に、だからこそある意味では帝国のそれより、よく言えば誇り高く、悪く言えば選民主義的で見栄張りである。平民共に負ける訳にはいかないのだ。平民や奴隷より優秀で勇敢で優美でなければ、自身の社会的存在意義を失いかねない。

 

 そのため亡命貴族は教条的だし、敗北を許せないし、まして自身の限界なんぞ認められない。人知れず努力し、人目の付く場所では涼しい振りして少々の無理ややせ我慢をする傾向があり、それを苦痛と思わない。その程度の存在である事を認められない。貴族が無価値であることなぞ受け入れられない。

 

 当然ながら元小市民な私に本物の誇りなぞ無いので、それを演じるのも、その能力を求められるのも一層辛い。

 

「従士の前で弱音も吐けんしなぁ。まして同じ門閥貴族相手にも言えん。はぁ……げんなりする」

 

 そして毎度の如く高貴なる皇族様に愚痴るわけだ。順序可笑しいとかいったら駄目よ?

 

『まぁ、その分私も毒を吐けるからいいけどね。私だって気楽に本音を口に出来る相手は余りいないからね』

 

 旧友である事を含めてなんがかんだ言っても互いに相手の性格を知っている分砕けて話やすいわけだ。

 

「はぁ、辺境の基地の事務になりたい。亡命軍なんかいなくて、一人で誰からも期待されず淡々と窓際部署にいたい」

 

 怠惰の極みのような発言をする。大帝陛下がいればグーで顔面を殴られている事だろう。

 

『けど、ヴォルター一人で生活出来るの?』

「………多分出来る、よな?」

『いや、私に疑問形で尋ねないでくれないかな?』

 

 いや、前世があるから一人暮らしくらい出来る、筈。……大丈夫だよな?使用人や従士いなくても大丈夫だよな?ヤバい、少しだけ不安になってきた。

 

 そしてその後は気分転換に他愛のない話……故郷の様子や宮廷、サロンでの流行や貴族間での噂話やらについてだ。まぁ、宮廷の悲喜こもごもな話は他所様の立場で見れば案外面白いものだ。他所様の立場なら、だが。御令嬢目当てに星系法違反にもかかわらず決闘して、最後は関係ない第三者の子爵様に奪われた上に警察に連行された男爵家の息子二人の話とか、本人達にとっては黒歴史でしかない。

 

『そうだねぇ……後は、先週……聞いた…だと』

「ん?ちょっと待ってくれ」

 

 ふと、通信時差の殆ど出ない超光速通信(FTL)による映像が乱れ、映像が少し遅くなる。

 

「少し通信状況が悪いな。通信衛星が故障でもしているのか?」

 

 同盟全土を覆い、星間でのテレビ電話やメッセージ連絡、インターネット利用からマスメディアニュース、金融・銀行決済取引等、サジタリウス腕の産業と社会を支えるアライアンスネットワークシステムは双方向的な通信体系であり、一か所の衛星や通信基地が破壊された程度では問題にならない筈である。まして民間回線は無論の事、同盟軍の利用する軍用回線(ミリタリーライン)は帝国軍のハッキング等に備えた七重の最高レベルのセキュリティチェックを受け、しかも最優先に通信出来るように定められ、出力も高い。多少の宇宙嵐などでも簡単に映像が乱れる事は無い。

 

それが乱れるとすれば………。

 

「不味い……!?」

 

 嫌な汗が額を伝い、そう私が呟いたのと同時に映像が砂嵐に変わる。同時に基地全域を大きな震動が襲った。私はその勢いで椅子から真後ろに倒れる。

 

「うおっ……痛ぅ……!?」

 

 慌てて頭部を守る。危ねぇ、床にぶつかって脳震盪で死ぬ所だった!?

 

同時に基地全域でサイレンが鳴り響く。

 

 『空襲警報の発令です。繰り返します。空襲警報が発令されました。銀河帝国宇宙軍による軌道爆撃と推測されます。防空要員は所定の配置に、それ以外の地上要員は最寄りのシェルターに、地下にいる場合は物の落下、崩落に備えつつその場に留まって下さい。繰り返します……』

 

機械的な抑揚の無いアナウンスが響き渡る。

 

「これは……」

 

 この時私は今更のようにここが戦場の最前線である事を再認識させられた。安全?それは所詮「比較的」でしかないのに。

 

「はは、マジかよ……?」

 

 宇宙暦784年8月25日同盟標準時22時53分、自由惑星同盟軍クィズイール星系統合軍カプチェランカ戦域軍宇宙部隊は帝国宇宙艦隊に敗北し、第四惑星スルグトの宇宙軍基地まで後退。惑星カプチェランカの衛星軌道は帝国軍により制圧される事になった。

 

 

 




最初の曲は軍歌「雪の進軍」がモデルです。日清戦争時の曲ですのでもう著作権切れてますよね……?

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