女体化した親友に俺が恋をしてしまった話   作:風呂敷マウント

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今回からヤンデレ要素が入りますのでご注意を。


第三十七話 嫉妬だ

 和行が誘拐された事件から二週間経った。誘拐された後の数日間は和行はちょっと弱気になってたよ。あんなことがあったんだから当然だ。私も男だった頃に誘拐された時はそんな感じだったから、和行の気持ちがよく分かるんだよね。

 和行が誘拐されたと聞いた時は何も出来ない自分に歯噛みしながら、和行の部屋で無事で帰ってきてくれることを祈るしかできなかった。和行が帰ってきたのを見た時は嬉しさと同時に体中が焼け爛れるかと錯覚するくらいの熱が体中を駆け巡り、犯人たちを血祭りにしたい衝動に駆られて憎悪が私の体と心を満たした。けど、和行を助けてくれた人が既に犯人を全員伸して拘束してくれたと和行を連れてきてくれた千冬姉に聞いて何とか気持ちを落ち着けることができた。私の和行を怖がらせた奴等には相応の罰が下ってほしい。

 あの事件以降、和行への過保護さというか和行に対しての甘さが増大している気がする。それに比例する形で和行の私に甘える頻度も増えてるけど。昨日の夜も和行に頼まれて頭ナデナデしてあげながら一緒に同じベッドで寝たもん。甘えてくる和行が可愛いからついつい、ね? ああ、早く恋人関係になったり、結婚したりしてもっと和行を甘やかしたい。

 

「あの、西邑さん。僕の話聞いてます?」

「ええっと、ごめんね。それで何の話だっけ?」

 

 愛しの和行の事を考えるのを邪魔されたことに内心不機嫌になってしまう。私は今、ある男子生徒に呼び出されていた。……本当にイライラする。実を言えば考えるのを中断される前から、かなりイライラしてたんだけど。

 理由は単純明快。今日の昼休みに和行のタイプであろう綺麗な女の子に、和行が廊下で声を掛けられてるのを教室の中から見かけた所為だ。しかも止める間もなかったから自分の行動の遅さと、その女子生徒へのイライラが募っている。

 私の和行と勝手に喋らないでよ! 先生とかに頼まれたとかなら許したけど、多分アレはそんな雰囲気じゃなかった。もしかして告白でもされたんじゃないかとずっとムシャクシャしてる。和行に女の子として接していいのは私だけなのに……。

 早く和行にその事を問いださなきゃいけないんだけど、目の前の事を無視する訳にもいかないというか……。名前は確か――隣のクラスの石山君だ。

 こうして呼び出したってことは私に告白するつもりなんだろうね。和行への思いを自覚した後も度々こうして私に告白してくる男子生徒が居るんだよね。はっきり言って期待とかしないで欲しいよ。鬱陶しいだけだから。けど、私の性格の所為か、告白を無視して和行と帰ることも出来ないんだよね。

 私の答えなんてごめんなさい一択なのに。和行と一緒に居る時間を私から奪ってそんなに楽しいの?

 

「えっと、そのですね……」

「言い淀んでないではっきり言って」

「貴女の事が好きです! つ、付き合ってください!」

 

 はぁ、やっぱりかぁ……。お腹痛くなってきた。和行以外の男に好きって言われるの苦痛過ぎるよ。私に好意が丸わかりになるような行動とか言動とか慎んでほしい。迷惑だから。和行曰く「非常に腹立たしいが、一夏は超絶美少女だから告白されるのも仕方ない」らしい。……この容姿は和行の為のものなのに。

 で、これって返事しないと駄目だよね? はいはい、もちろん断るよ。

 

「ごめんね。気持ちは嬉しいけど、私は誰かとまだお付き合いする気はないから」

「な、なんですか!?」

 

 ――()()()()()。和行以外の男から告白されたことに対する鳥肌が立つ程の嫌悪感と、こんなくだらない事に和行との時間を奪われた怒りが心底から溢れだしてきた。思わず不機嫌さを顔に滲みだしそうになるのを抑えながら、食い下がろうとしている石山君にどう答えればいいか考えていると誰かの足音が段々と近づいて来ているのが聞こえた。あれ? この足音って……。

 

「お、夏菜子。ここに居たか」

 

 やっぱり和行だった。笑顔を浮かべているけど、なんだか和行の後ろに死神のような存在が見えるのは私の気の所為かな?

 

「今日はうちの母さんがパウンドケーキの試食してくれって言ってただろ。早く帰るぞ」

 

 え? そんな話してたかな? そもそも八千代さんが帰ってくるのって夕飯時だったはずだけど……。私が和行の発言に戸惑っていると、和行はスクールバックで塞がっていない私の右手を荷物を持っていない左手で優しく掴んできた。

 あっ、そうか。私を連れ出す為にわざわざこんな嘘を吐いたんだ。もしかして、和行ってば私を連れ出すタイミングを見計らっていたりした? ……なんだか想い人に告白される現場を見られてたとか恥ずかしさと申し訳なさで一杯なんだけど。

 和行へのお礼は後でしようと考えつつ、そのままこの場から私は和行の手によって連れ出されるはずだったのが、

 

「ちょっ、ちょっと待って! 九条君! 僕は西邑さんに――」

 

 告白していた石山君が抗議の声をあげる。その声に反応したのか、心底鬱陶しそうな顔をしながら石山君に視線を向けて和行は静かに言い放った。

 

「――黙れ」

 

 肌が焼けるかのような熱と冷たさを絶妙な形で混ぜ合わせた声音だった。ちらっと和行の顔を見てみると千冬姉が誰かを睨む時のような目をしている。最近、千冬姉に何かを教えてくれって頼み込んでなんかやってるみたいだけど、その過程で睨み付けるのを教えられたのかも。

 

「え、あっ、なっ……」

「お前が夏菜子に告白してたのを見させてもらった。二人でな」

 

 あ、やっぱり見てたんだ。……ん? 二人? 二人ってどういう意味? 和行の発言の意図が分からず頭を悩ませていると、和行が息を吸ってから石山君を再度睨み付けながら、怒りを含ませた声を叩き付けた。

 

「――彼女が居る癖に夏菜子に言い寄るとはどういう了見だ、石山」

 

 和行が告げた言葉に私は耳を疑った。え!? 石山君、彼女が居たの!? なんか石山君も何故バレと言わんばかりの顔をしているし、本当なのかな? ……最っ低。彼女が居るのに私に告白するとか本当に気持ち悪い。

 

「じゃあ中嶋さん。俺達はこれで。煮るなり焼くなりお好きにどうぞ」

「ええ。協力してくれてありがとう、九条君」

「行くぞ。夏菜子」

「う、うん」

 

 和行の後方にある建物の影からぬるりと出てきた石山君の彼女さんと思われる女子生徒を見た私は目を見張った。――あれ、この人って昼間に和行と話してた人だよね? え、この人が石山君の彼女なの?

 そんな疑問を抱いた私と入れ替わるように彼女は石山君の下へ向かい、私は和行に手を引かれながら校門までやってきた。もう手を引く必要はないと判断したのか、和行は私の右手から手を放した。もっと握ってくれてても良かったのに。

 石山君は今頃、彼女さんに折檻されてるのかな? 別れ話とか切り出されててもおかしくない気がしてきた。いい気味かも。

 

「ったく。今月で何人目だ?」

「今日で五人目、かな?」

「去年よりは大分落ち着いてるな」

「そうだね」

 

 確かに去年とかと比べれば今年は大分落ち着いていると思う。去年は月に三十人とかあったからね。今年に入ってからは一桁台が続いてるからまだマシだ。最近告白してくる男子って、去年の内に告白する勇気がなかったチキンな男子ばかりみたいだし。

 

「……なんか、一夏にチキンって言われた気がしたんだが」

「き、気のせいだよ。ほら、早く帰ろ?」

 

 和行はチキンじゃないと思うよ、うん。校門を出たタイミングでいつものように恋人繋ぎをお願いすると、和行は快く応じてくれた。私の右手と和行の左手が絡み合うこの感覚、堪らないよぉ……。和行とずっとこうしていたい。なんかさっきの出来事で精神的に疲れたのか余計そう感じるよ。

 

「ところで、なんで石山君は私に告白してきたんだろ?」

「あー、その事なんだが……」

 

 私が呟いた一言に和行が反応しだした。何か知ってるのかな?

 

「中嶋さんから聞いた話なんだけどさ。石山の奴、他の女の子に告白やらのちょっかい掛けて中嶋さんに怒られるのが好きらしいんだ」

「……はい?」

 

 え? どういうこと? 石山君って馬鹿なの?

 

「前々から中嶋さんは止めろって石山に言ってたらしいんだが、お前に告白しようとしてるのを知って完全に堪忍袋の緒が切れたらしい」

「堪忍袋の緒が切れたって……」

「それで告白現場に乗り込むことにしたそうだ」

「そ、そうなんだ」

 

 あの人が居た理由は分かったけど、なんで和行も出てきたのかな。私は和行に教室で待っているように言ったはずだったんだけど、やっぱり心配してきてくれたのかな?

 

「和行はなんであそこに居たの?」

「昼休みに中嶋さんから『私の彼氏があなたの幼馴染に迷惑を掛けようとしてるみたいだから、止めるのを手伝ってほしい』って、協力を求められたってのもあるけど――」

 

 言いにくそうに和行はそこで一旦言葉を切った。

 

「……」

「和行?」

 

 心なしか私の手を握ってる和行の手の力が強くなったような。どうしたんだろ。今、一瞬だけ和行の顔が変わった? 物理的な意味じゃなくて、こう何かの感情が滲み出ていたような……気の所為かな?

 和行は二、三回深呼吸をしてから、先ほど切っていた言葉の続きを口にし始めた。

 

「万が一、石山がお前に変なことをしないか見張る為だ」

 

 どうも嘘っぽいなあ。でも、あまり和行の事を問い詰めるのも気が進まないんだよね。和行がこう言っているんだ。信じることにするよ。

 

「ありがとう、和行」

「これくらい普通だよ」

 

 私がお礼を述べると和行はそう返してくれた。格好いい。サラッとそう言う事を言ってのける和行って本当にカッコいいと思う。しかも私の為に頑張ってくれたんだから、私って結構な果報者だよね。

 

「さあ早く帰るぞ」

「うん」

 

 でも本当に良かったぁ……。昼間のアレってさっきの為に話しかけられたって分かって。もし和行があの人の告白を受けていたとかだったら、あの人に詰め寄ってたかもしれない。精神的に追い詰めて二度と和行に愛情を向けられないように仕向けたりとかね。私の和行に手を出そうとした罰としては安い方だと思う。

 そうだね、あとは和行を私の部屋に閉じ込めたりとか? その上で性的な意味で和行を襲って既成事実を作ってたりしてたと思う。そっちの方が和行も私と一緒に居なきゃていう責任感が強くなるだろうし。和行との赤ちゃんはどの道作る予定だったから、少しだけそれが早まったと考えれば問題なんてないよね。

 ……そろそろ告白しないと流石に不味い気がしてきた。和行が私の事を好きなのは分かってるけど、それでも不安なものは不安だ。

 ――和行は私のモノなんだよ。他の女なんかに渡さない。和行の好きな食べ物、和行の嫌いな食べ物、和行の趣味、和行の仕草、和行の癖、和行の体中のサイズ、和行の好みのタイプ、好みの髪の長さ等を全部把握しているのは私だけ。他の女子なんかに和行の事を全部知るなんて出来る訳がない。和行の事を一番考えてるのは私だもん。和行の傍に居ていいのは私だけなんだ。和行が悪い女に騙されたら事だし。

 そんな風に和行の事を考えていると、隣を歩いていた和行が何気なく発したと思われる言葉が私の耳に届いた。

 

「……一夏は俺のモノなんだよ」

「今なにか言った?」

「……なんでもない」

 

 和行は何処か上の空な感じで私の言葉を否定する。だけどその際、和行の目から一瞬だけ光が消えていたのを私は見逃さなかった。

 

◇◇◇

 

 今日の料理当番は俺だったのでキッチンに立っていた。菜箸を使いつつフライパンで野菜炒めを作っているが、今日の昼休み頃からイライラしたままだ。一夏と手を繋いで帰宅したけど、俺の中で怒りが静まることなんてなかった。

 石山の奴、彼女が居る癖に一夏にちょっかい掛けやがって……ふざけんな! 冗談抜きでふざけるんじゃねえぞあの野郎。付き合っている彼女に失礼だと思わねえのか! 一夏に告白している他の男子共もそうだ。一夏に告白なんてするんじゃねえよ。一夏のやつ、変に律儀なところがあるからバックれるなんてことはせずに、毎回忌々しそうにお前らの告白を受けに行ってるんだぞ。それが分かんねえのか?

 

「クソが……」

 

 珍しく悪態をついてしまった。自分でもこんなに何かに怒ることが出来たのかと感心してしまうほどだ。こんな風に考えてしまうなんて、やっぱりあれしかないだろう。

 ――嫉妬だ。そうだ。大切な人を取られると思って独占欲が刺激されたからだ。俺、どうやらかなり独占欲が強いみたいだからさ。俺は一夏にまだ告白してないのに、挙って一夏に告白しやがって。一夏に向かって好きだよの一言すらも言えてないのに!

 一夏を俺の部屋に閉じ込めて、他の男に会えない状態にしてしまおうと考えてしまうくらいに俺の頭と心は嫉妬で満たされていた。本当はそんなことしたくないのに、こんなことを考えちまうなんて……。もう自分で自分が分からないや。

 一夏が俺にしか興味がないのは分かっている。でも不安なんだ。他の男に一夏が取られてしまうんじゃないかって。俺よりも出来ている男の下に行っちゃうんじゃないかって。もし仮に一夏に見捨てられたら、俺はもう生きていけない。一夏無しじゃ駄目なんだ。

 

「和行、どうしたの?」

「……なんでもない」

 

 キッチンに居る俺に向かって一夏がひょこっと顔を見せてきた。普段なら可愛いと思う仕草だが、俺は今無性にイライラしている所為でそんな感想を抱く余裕などない。だけど、一夏は俺の反応をおかしいと感じたのかキッチンの方まで寄ってきた。まあ、こんな返し方をすれば不審がるよな。

 

「和行」

「なに?」

「大丈夫だよ。私、誰のモノにもならないから」

「えっ?」

 

 俺の心情を見透かしたかのような言葉に思わず菜箸を動かす手が止まった。電子調理器を一旦止めると、一夏との会話に集中することにした。

 

「和行は私に告白してきた男子達に嫉妬してたんだよね?」

「そ、それは……」

「大丈夫、隠さなくていいよ。私も同じだったから」

 

 一夏が悋気していた? なんで? 一夏の言い回しから推察するに告白関連のことだとは思うんだけど、俺って生まれてから今日まで女の子から告白されたことなんてないぞ。いや、待て。もしかしなくても、昼間のアレが原因か?

 

「中嶋さんと会話してたことか」

「うん、正解。告白でもされてたのかと思ったから」

「お前……俺に女っ気がないの知ってるだろ?」

「知ってるよ。でも万が一、和行に彼女が出来たら一緒に居る時間とか減っちゃうじゃん」

 

 ぷくぅと頬を膨らませてから一夏は俺の方を見てきた。超可愛い。ほっぺたを人差し指で押してやりたい。てか、彼女って何よ? 俺は一夏以外の女に興味なんてないぞ。

 

「和行」

 

 一夏が俺に声を掛けてきたかと思うと俺に抱き付いていた。その所為か一夏の柔らかいクッションが俺の体に押し付けられている。すっげえ柔らかい。おまけに一夏に抱き付かれたお蔭か先程まで荒れていた心が少し落ち着いてきている。一夏の癒しパワーすげぇ。

 だが、一夏の顔は段々マシになってきてる俺と対照的に暗いままだった。俺の目がおかしくなっているのだろうか。一夏の瞳が虚ろになって、少しだけ光が消えているように見えるんだが……。

 

「い、一夏?」

「ごめん。明るく振る舞ったけど駄目みたい」

 

 そう謝ってきた一夏は俺に抱き付くのを止める。続け様に上目遣いをしながら俺の右手を両手で握り、形の良い唇を動かして言葉を続けた。

 

「和行も他の人のモノになっちゃ駄目だよ? でないと――」

「どうなるんだ?」

「私、その相手を追い詰めちゃうかも」

 

 優しくも恐ろしい笑顔を浮かべつつ、周囲の空間が凍ったのかと錯覚するほどの雰囲気を放つ一夏がそこに居た。対する俺はそんなことはありえないと心の中で一蹴した。脳内で再三考えている通り、俺は一夏にしか興味がないんだよ。あの誘拐された後からその気持ちがより強まってる。一夏の傍に居たい。一夏に傍に居て欲しい。寝ても覚めてもそんなことばかり考えてしまうんだ。

 

「安心しろ。俺も他人のモノにはならないから」

「本当に?」

「本当だ」

「本当に本当に?」

「本当に本当に本当だ」

 

 本当って何回も言ったせいでゲシュタルト崩壊しそうになった。……ところでさ、今の一夏って俺の傍に無防備でいるよね? これ、俺が今すぐ一夏に告白したらもうあんな思いしないで済むんじゃないか? その上でキスとかをしてしまえば、一級恋愛フラグ建築士、鈍感野郎、超朴念仁、スーパーウルトラ唐変木、全自動女の子堕とし機などの異名を手に入れている一夏も流石に俺の気持ちを分かってくれるだろうし。まあ、この異名の殆どは俺が付けたんだけどね。

 まあその事は置いておいてだ。よし、早速行動するとしよう。

 

「一夏」

「なに?」

 

 一夏の両肩に両手を置きながら、俺は一夏の事をじっと見つめる。ここで一夏に告白しなきゃいけないんだ。今すぐに。もう俺はチキンなんかじゃない。一夏に好きって言ってやる。俺は告白するぞ! 一夏に絶対告白するんだ!

 

「え、そんな真剣な目で私を――もしかしてこれ、私、美味しくいただかれちゃうの? ま、待って! せめてシャワーを浴びてから……!」

 

 なんか変な方向に思考を走らせている一夏だが、俺はそんなのをお構いなしに一夏の瞳と目を合わせ続ける。お互いの口のおでこがくっ付く距離になるように、一夏に向かって俺は顔を一気に近づけた。

 

「か、和行!?」

 

 頬と耳を染めながら慌て始めた一夏に告白の言葉を贈ろうとしたのだが――

 

「たっだいまー!」

 

 母さんの声が玄関からした所為で反射的に一夏の肩から手を放してしまう。ついでに一夏本人からも離れてしまった。なんてタイミングで帰ってくるんだよ母さん!? あとで飯を筍だらけにしてやる! 泣いても許さんからな!

 一夏が物凄く残念そうな顔をしているが、俺も残念だ。もう少しで一夏に告白できたのに母さんの所為で台無しになって気分なんだけど。なんでこうなるんだよ。俺が一夏に告白しちゃいけないのかよ……。俺がそんなことを考えている間に、母さんがリビングまでやってくるとキッチンに居る俺達に声を掛けてきた。

 

「二人ともどうしたの?」

「……自分の胸に手を当てて聞いてみろよ」

「右に同じです」

「ほ、ほんとにどうしたのよ二人とも……。ご、ごめんなさい」

 

 俺達二人の態度に困惑している母さんを余所に、俺は深い溜息を吐きながら料理を再開することにしたのであった。ちくしょう……。




一体いつから――――ヤンデレ風になるのが一人だけだと錯覚していた?
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