和行とテレビを見ている最中に、男に戻れなかった場合の話を振られた俺は「ああ、やっぱりその話題が来たか」と思ってしまった。ある程度は予想してたさ。千冬姉にも買ってきた女性物の服を着させられている時に一応言われたしな。でも、女性である千冬姉に言われるのと、和行に言われるのとじゃ言葉の重みが違うというかなんというか……。
千冬姉の場合は単純に家族としてこっちを心配している感じだったけど、和行の場合はそんなものじゃなかった。長年連れ添ってきた――これは誤解を呼びそうな言い方だからやめよう。単純に昔から親友だと思ってる和行から言われると一体どう答えればいいのか分からなくなってくる。
「どうって言われても……」
俺はまだ、今朝目覚めたらいきなり女性になってたショックからまだ立ち直れてない。千冬姉や鈴、和行のお蔭で今はギリギリなんとかなってるけど結構キツいんだからなこれ。元々体にくっ付いていたものがなくなって、別のものがくっ付いていると知ったときの混乱っぷりは多分この世で俺以外誰も経験してないだろうし。
それにだ。中身は男なのに、自分の姉に生理用品やらブラジャーの付け方やらなんやらの説明されるなんて思ってなかったからかなり辛い。体が女の子になったことより、千冬姉にそういう知識を教えられたことの方がよっぽどキツかったほんと。ていうか、一気に話されても覚えられないよ、千冬姉。その時の千冬姉の顔からして千冬姉も動揺してたんだろうけどさ。
その他にも和行よりも先に来ていた鈴に不審者を見るような目で見られるわ何やらで辛かった。懇切丁寧に説明したらなんとか矛を収めてくれたけど。あー、てかどうしよう和行への答え。どう答えるかも考えてなかったし、どうしようか。
「すまん。いきなりこんなことを訊かれても困るよな」
俺の沈黙を俺が言いたくないという意思表示だと誤解したのか、和行がそんな風に声を掛けてきた。そんな申し訳なさそうな顔されるとこっちの方が困るんだが。
「いや、その、お前に言われるまでそのことをすっかり忘れてた……」
俺は面目なさそうに後頭部を右手で掻くのに合わせてすっかり長くなってしまった髪の毛が少し揺れる。和行が俺の揺れている髪をじっと見てるのが手に取るように分かった。ああ、そういえば和行って黒髪の女の子が好きだったっけ? そのことをよく弾や数馬に弄られて、その度にキレ芸を披露してたような……。
うーん、最初は煩わしかったから買い物帰りにカットしてもらうかと思ったんだけど千冬姉に止められたんだよなあ。物凄い迫真の表情で「髪を切るのはやめろ」と凄んでくるから本当に怖かった。近くに居た鈴も涙目になってたし。あんな顔した千冬姉なんて殆ど見たことないぞ。
「お前……」
俺の言葉を聞いた所為か、和行の目がこちらを心配するような目からジト目に変わり、俺を非難するかのような視線をぶつけてくる。いや、そのなんだ、すまん。
てか、お前さ、ちょくちょく俺の髪見たりしてるのバレバレだからな? 本人はバレてないつもりなんだろうけど。これが良く女性が言う「お前が見ているのは分かってるぞ」ってやつなんだろうか。今日一日だけで、視線に敏感になっている気がする。やはり体が女性になってるからかな? よくわかんないな。
よく考えもしないで束さん特製の性転換ドリンクを飲んだ俺も悪いけど、束さんもなんで俺を性転換させるような真似をしたんだろ。いや、それよりも今は和行の視線だな。物凄く視線が痛いのとチラチラと髪の毛を見てくるのがアレだから、さっさと会話に集中させないと。
「まあそれはその時に考えるよ」
「そうか……」
無難な言葉で答えることにしておいた。和行が短く返事をすると同時にこっちをチラチラ見ることもしなくなった。だが、そこで会話が一時的に止まり、テレビから流れてくる音声だけが二人きりのリビングに響いている。それから少しの間、和行とただテレビを見ていたのだが和行はそれ以降一向に喋ろうとしなかった。
……キ、キツい……。無言に耐えられないぞこれ。内心視線が鬱陶しいって思ってすまん、頼むから少しだけでもいいからこっちを見てくれ。いつもなら和行と馬鹿話とかをしてるはずなのになんか今日は何処か違う。さっきのようにチラチラ見てくれてたりした方がまだ会話の糸口があったぞ。和行が俺の方を何回も見てきていることを責めるような感じにはなっちまうけど。
はあ、諦めるか。和行が声を掛けてくれるのを諦めた俺は、和行と同じようにテレビに視線を向ける。テレビから流れ来る音を聴いていると、ふと頭の中にある考えが浮かんできた。
千冬姉や鈴、和行は俺が女の子になったことを本当のところをどう思っているんだろう。内心気持ち悪いと思ったりしてないだろうか。そう考えた途端、もの凄く不安な気分に陥った。だって、中身は男のままなのに外見は女の子なんだぞ? チグハグすぎておかしいだろこれ。こんな気分になるのはやっぱり精神的に疲れているからなんだろうか。
「――なあ一夏」
「ん、どうした?」
さっき話した辺りから俺と会話するのをやめていた和行が再び声を掛けてくる。和行の俺を見る目は真剣だ。先程みたいにちょっといやらしさが混じったような視線じゃなかった。
「お前が女の子になっていても、俺はお前の味方だからな?」
意を決して言ったのだろうか、それとも沈黙に耐え切れなくてそう言ったのだろうか分からなかったが、俺はその言葉に思わず胸を打たれた。千冬姉や鈴とは違う言葉。それにどこか温かみを感じた俺はいつの間にか目から涙を流していた。千冬姉や鈴も本当は俺のことをちゃんと心配していてくれることは分かってたんだ。
でも、和行のように直接言葉にして言われていないから――嬉しい。うん、ちょっと精神的に弱っていたみたいだな俺。でも、もう大丈夫かも。和行の言葉で少しだけ救われた気がしたから。
「お、おい!? な、なんで泣くの? 俺、何かやっちゃった!? と、とりあえず俺の新しいハンカチで涙拭けよ。あ、あとはメディイイイイイック! メディイイイイイック! 主にメンタルケア的なメディイイイック来てえええええ!」
俺が泣いていることに驚いたのか和行がハンカチを差し出してきた。それになんか錯乱しているのか衛生兵を呼んでるし。なんだかあの必死な顔を見ていると面白くて笑いがこみ上げてくる。貸してもらったハンカチで涙を拭きながら笑っていると、
「一夏ああああああああ! お前、ついに涙を流しながら笑顔を浮かべるようになっちまったんだな……そんなに女体化したのが辛かったんだな。すまない、お前が女の子の服を着ているのを見て少しだけ可愛いなとか思ったり、チラっとお前の黒髪を眺めたりして本当にすまないと思ってる……!」
なんか勘違いされた挙句、顔面蒼白一歩手前な顔でとんでもないことをぶっちゃけられたんだけど! 髪の毛を見てたのは気付いていたけど俺の事可愛いとか思ってたとかお前。俺は一応男だぞ? 昨日まで男だったんぞ俺? 可愛いとか言われても嬉しくないぞ。てか、そういうのは俺みたいなのじゃなくてちゃんとした女の子に言ってやれよ、そういう言葉は。お前なら頑張れば良い彼女作れるから。
まあなんだ。和行、一つだけ言わせてくれ。
「俺の感動返せ!」
「なんで!?」
なんでじゃないだろ馬鹿。自分の胸に聞け。せっかく和行の言葉に感動してたのになんか台無しにされた気分だ。でも、さっきよりは気分は楽になったかも。千冬姉や鈴と話してた時と違って、和行と話していると結構落ち着くんだよな。やっぱ同性だからなんだろうか?
……話は変わるが、女性と言えば――重い。凄く肩が凝りそうだなこれ。俺がどこのことを指して言ってるのかってのは内緒だ。和行はこっちの方には必死になって目線を合わせないように頑張ってたな。……ちょっと面白かったかも。視線を下に向けてちょうどそこにある二つのものを見ていると隣の和行からまた声が掛かった。
「あ、そうだ。一夏、俺で女言葉の練習してみないか?」
「え、いいのか?」
「お安いご用です」
唐突に和行がそう提案してきた。うーん、なら手伝ってもらうか。本当は慣れたくないけど、これから生きるのに必要になるかもしれないし。
「じゃあ試しに女言葉で俺に話しかけてみて」
「な、なあ和行」
「はいダメ―」
え? 駄目なの? あ、全然女言葉使えてなかったのか。……気づいてなかった。その後も何回か和行に女性語使おうとしたのだが、何故か全然上手くいかず和行に駄目だしを喰らって軽くふてくされそうになるが、何度目かの再挑戦でようやく和行に女言葉で話しかけることが出来た。
「ね、ねえ。和行」
「オーケーだ。……リテイク数が十五回なのは見なかったことにしてやる」
あ、あれ? そんなにやり直していたのか? 全然気づいていなかった。というか和行、いちいち数字を数えていたのかよ。
「たった数時間で完璧に女言葉が使えるようになると思ってないから大丈夫だ。これから頑張っていこうぜ?」
「う、うん」
なんで和行はこんなにやる気なのだろうか、練習相手になってくれるのは純粋にありがたいけどさ。ん? いま玄関の開く音がしたな。千冬姉が帰ってきたのだろうか、俺はそう思いながら玄関の方へと向かう。そこには予想通りというべきか千冬姉が鈴を送って帰ってきたところだった。どこか疲労感が漂ってくる姉の顔に罪悪感が沸き上がってくる。俺の所為で精神的に疲れてるんだろうな。なんだか申し訳なくなってきた。
「お帰り千冬姉」
「ああ、ただいま」
「その大丈夫? なんか疲れているように見えるけど」
「いや、大丈夫だ。お前の所為じゃないさ」
うっ、心を読まれた。千冬姉が大丈夫っていうなら大丈夫なんだろうけど、やっぱ心配だなあ。玄関で俺たちが話している声が聞こえたのかリビングから和行が顔を出してきた。
「千冬さん帰ってきたのか?」
「ああ」
「じゃあ俺は帰るわ。そろそろ時間だし」
時計を見るといつも和行がうちに来た際に家へ帰る時間になっていた。流石に家に帰ろうとするのを止めるわけにはいかないんで和行が家に帰るのを見送ることにした。おやすみなさいと言って帰っていこうとする和行だったけど、途中で玄関を出るのをやめて「忘れてた」と言ってこちらに顔を向けてくる。
何か言いたいことがあるんだろうか。よくわからないけど、和行が忘れてたっていうくらいだから俺たちに何か大事な用事を伝えるのを忘れていたんだと思うけど。
「母さんが見舞いに来てくれってせがんでたんで今度行ってやってください」
「……そういえばしばらく行っていなかったな。八千代さんの退院日はいつなんだ?」
「来月か再来月ですね。七月までには退院できるってお医者さんが言ってました」
「そうか。それはよかった」
千冬姉、嬉しそうだな。五反田家の蓮さんや厳さんや鈴の両親も結構良くしてくれるけど、千冬姉や俺からしたら和行のお母さんである八千代さんの方が付き合いが長いからなあ。でも八千代さんってさ、どっちかというとお姉さんって感じがしてあんまお母さんっぽくないんだよ。
その所為か千冬姉もどっちかというと仲の良い姉のような感じで接してるしなあ。まあ、八千代さんが退院できるのは良い話だ。俺にとっても八千代さんはもう一人の姉のようなものだし。また八千代さんの作った料理を勉強させてほしいなあ。
「じゃあ伝えましたからね? 今度こそおやすみなさい」
そう言って和行は自宅へと帰っていく。こんな夜に一人で家に帰るなんて本来なら心配するところだが、和行の家ならすぐ隣だし変な事に巻き込まれるなんてことあるわけが――ん? 携帯の着信音、誰のだ? 音がする方を見ると千冬姉が無言で携帯を取り出して画面を見ていた。誰かからメールでも来たのだろうか。って、あれ? 千冬姉がまた出かけようとしてる。どこに行く気なんだ?
「千冬姉、どこに行くんだ?」
「心配するな。ちょっとイタズラウサギを懲らしめに行くだけだ」
あの、千冬姉? 俺、その言葉の所為でものすごく心配になったんだけど。主に束さんの事が。
いやだって、イタズラウサギってあの人しかいないじゃん。俺の返事を聞くこともせず千冬姉はそのまま玄関を出ていく。大丈夫かな~と姉の身を一応心配しながらリビングに戻ると和行の家の方からどこかで聞いたことがある女性の声のようなものが聞こえた気がしたが気のせいだと思うことにした。さて、歯を磨いて寝ようかな。精神的にかなり疲れたしもう起きていたくないんだよ。
自宅に帰って玄関を開けたらリビングの方に不法侵入者的なウサミミが居たので千冬さんに通報しました。通報は義務です。メールで連絡して二分以内にたどり着いた千冬さんの見事なテクニックでウサミミ――束姉さんを締め上げることに成功。ついでにうちの家の玄関の鍵をピッキングした際に使用したと思われる道具は既に取り上げてある。
なお取り上げた際に「私の華麗なピッキングを見せる為の道具があ~」とか意味不明なことを言っていたが、束姉さんのネタ発言やら意味不明な発言は今に始まったことじゃないので気にしないようにしておこう。てか束姉さん、普通に犯罪だからねそれ? そこんところ把握してます?
ぶうたれている束姉さんに一夏に戻る方法をド直球で聞いたのだがふざけた回答をしたのでいま束姉さんは正座させられています。当の本人はかなり不満そうな顔をしているけど、こっちが真面目に話を聞こうとしているのにふざけたことをすると正座させられるって古事記にもそう書かれているからね、しょうがないね。え、書いてない? そうですか。
「はぁ……」
砂糖とクリームが入ったコーヒーに口に付ける俺と、普段はブラックコーヒーは胃に悪いからダメだと言ってくる一夏がこの場に居ないからか堂々とブラックコーヒーを飲んでいる千冬さんに睨まれている束さんという図が形成されている。さて、問いかけにちゃんと答えてくれるかどうか。
「さあ、束さん、もう一度だけ訊きます。嘘偽りなく答えてください。一夏に女の子から男に戻る可能性は残されているんですか?」
「え、戻る可能性? 簡単に性転換できるような性転換薬を使ったから戻れるよ?」
あっけらかんと答えやがったよ。ならさっきはふざけたんですかねえ。怒られたいの? ドMなんですかあなたは。
「ただね、その戻すための薬はまだ作れてないからしばらくの間はいっくん――いや、今はいっちゃんだね。いっちゃんにはそのままで居てもらうしかないけど」
「そんなに時間が掛かるのか?」
「私ってそこまで薬とかの方面に詳しいわけじゃないからねえ。ちょっと時間掛かるんだよ。それにもう少し女体化して困惑するいっちゃんを見ていたいんだよね。そのためにあの薬を私が作った栄養ドリンクに混ぜたんだし」
……は? 今なんて言った? まさかこの人、一夏が困る顔を見るためだけにあんなことしたの? 馬鹿なの? 阿呆なの? 天才と馬鹿は紙一重っていうけどあの言葉って本当だったんだなあ。つまりは束姉さんの思いつきでこういう変な事態が起きたって事でしょ。
……あの千冬さん、怖いです。めっちゃ怒ってますオーラ出てるんですけど。別にそういうオーラ出すなとは言いませんけど俺を巻き込むのはやめてください。ちびりそうです。こりゃあ次の瞬間には――
「ちょっ!? ちーちゃんギブブブブブ!?」
千冬さんのチョークスリーパーが束姉さんの喉にキマっていた。どうやって俺の隣から束姉さんの背後に移動したんだ。瞬間移動の超能力でも持っているんだろうかあの人は。俺も束姉さんを一発ぶん殴りたい気分になっていたが、先に千冬さんが手を出していたのでそんな気分は既になくなっていた。あ、ちなみに束姉さんを助けたりはしないよ。束姉さんが必死に助けてくれと言わんばかりの目線を向けてきているけど、束姉さんが訳の分からないことをやらかしてくれた所為でこっちは精神的に疲れまくったんだから天罰だと思って受け入れやがってください。
……やばい。もうなんか眠たくなってきたわ。一夏を女の子にした理由があまりにアホらしすぎて気が抜けたというか。一気にコーヒーを流し込んだ俺はおもむろに立ち上がりながらコーヒーカップを台所のボウルに入れて水を張りながら千冬さんの方を見る。
「千冬さん、俺なんか疲れたんで自分の部屋に戻りますわ。後の事は任せます。あ、うちの合鍵は持ってますよね?」
「ああ、持っている」
「じゃあ後の戸締りお願いしますね。それと殺るなら証拠は残さないようにお願いします。コーヒーカップはボウルの中に置いておいてください。明日洗うので」
「わかった、お前は早く寝ろ。……これは鈴音にも言ったことだが、和行、お前にも迷惑掛けたな」
束姉さんを締め上げながら申し訳なさそうな顔でこちらに謝ってくる千冬さんという何ともチグハグな状態がそこにあったが、俺はちょっとしたイタズラ心を込めながら千冬さんに言葉を返した。
「別にこれくらい一夏の恋愛フラグ乱立、ラッキースケベ騒ぎに比べればなんてことないですよ」
「……愚弟が世話を掛ける」
俺がマジな目をして言った所為か千冬さんがそう返してきた。まあ、もう慣れましたけどね。小学二年の頃から付き合いを計算するとかれこれ七年近くあいつと親友やってる訳ですし。一夏のあれは一生治らないと思う。恋愛でもすれば多少は改善されるかもしれないが、それまで行かないから困っているという前提条件が滅茶苦茶な状態になっているからね。
……駄目だ。このことを考えるのはやめよう、なんか頭痛くなってきた。俺は水道を止めると、千冬さんのおやすみという言葉を背に俺はおやすみなさいと言い残してそのまま階段を上がり、自室がある二階へと向かう。途中で束姉さんがこっちを引き止めるような声を出していた気がするが無視することにした。自室のドアを開けて扉に鍵を掛け、タンスから寝巻を取り出して私服からパジャマに着替え、明日の着るようの着替えを取り出した。
ふと、俺の視界にあるものが映った。机の上に見慣れないものが置いてあったのだ。ベッド近くのハンガーに掛けてから俺は机に近寄った。掌サイズな機械で作られているウサギのぬいぐるみのようなものが置かれており、その隣にメモようなものがぬいぐるみの下敷きになる形で配置されている。いつの間にこんなものを設置したのだろうか。何となく気になったのでぬいぐるみを退けて、ぬいぐるみの下にあったメモを手に取って読んでみる。
「もしかずくんの身に何かあった時のためにこのミニぬいぐるみを送ります。防犯ブザー代わりに持っていてください。束姉さんより。――ねえ?」
なんだかこれが本当に防犯ブザー代わりになるのかという疑問と胡散臭さの方が先行してきたが、まあ別に持っていてもいいだろうと考えを纏める。とりあえず明日着るための服の上に重ねておくことにした。そしてそのままベッドに寝転がると歯を磨くのを忘れていたことに気付いたのだが、既に睡魔の所為で体を動かすのが億劫になったので俺はそのまま就寝したのだった。