女体化した親友に俺が恋をしてしまった話   作:風呂敷マウント

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今回で中学二年生編終わり&三十万文字超えました。


第四十三話 お兄ちゃん!

 私はいつものように和行よりも先に起きて、いつものように朝食の準備をしていた。和行は春休みなんだからもう少し遅くてもいいって言うんだけど、昔からの習慣で早めに起きちゃうんだよね。だから和行にそう言われても上手く実行できないというか。

 和行の事を考えている内に、四日前のデートで私にアイスをあーんしてきたのを思い出してしまった。嫌じゃなかったし嬉しかったけど、あれ物凄く恥ずかしかったんだからね。今度からああいうことを外でやらないようにって調教しないと。

 

「これで完成っと」

 

 そんなことを考えている内に朝食が出来上がった。今朝はスクランブルエッグにベーコン、サラダにチーズサンド、コーンスープだ。和行の分は少し量を多めにしてある。成長期の男の子だからね、一杯食べて貰わないと。私も一応ちゃんと普通の量にしてる。食べる量を減らして不健康になるより、ちゃんと食べて健康な方が良いに決まってる。その方が和行も喜んでくれるだろうし。それに私の体ってあまり体が太くならない上に、体のバランスが全然崩れないんだよね。

 ちなみに、八千代さんの分はない。昨日、朝食は職場の方で食べると言ってたし。その証拠に八千代さんは既に家を出たから。八千代さんって本当に何の仕事をしているんだろ。今度千冬姉にでも聞いてみようかな。八千代さんが何の仕事をしているのか知っているみたいだから。

 

「さて、和行を起こさないと」

 

 私はリビングから二階へと向かう。ゆっくりと部屋の扉を開けて中へと入った。八千代さんに買って貰ったダブルベッド。その上ですやすやと寝ている和行を見た私は、喉を鳴らすと思わず舌舐めずりをしてしまう。

 なにこれ、物凄くそそられるんだけど。今すぐにでも性的な意味で食べちゃいたいくらい。でも、やっぱり初めては和行の意識がある状態でしたいから我慢するよ。

 

「和行、起きて」

「ん……一夏?」

「うん、そうだよ。おはよう――()()()()()!」

 

 和行を襲いたい衝動を抑えながら、私が先程から言おうと思っていた台詞を口にした。和行は顔を反らして右手で目を擦り始める。私の方を再度見てきたけど、

 

「あー……これは夢だ。ぽやしみ~」

 

 再び夢の中に入ろうとしていた。確かそれ何かのネタだったよね? って! だ、駄目だよ。幾ら春休みだからって二度寝しちゃ駄目だってば! ちゃんと起きて!

 

「ちゃんと起きてよ、お兄ちゃん! じゃないと、お兄ちゃんが下半身に穿いてる物全部引っぺがすよ?」

「――おはよう! 良い朝だな!」

 

 私がそう宣言した途端、和行は横にしていた上半身を惚れ惚れする速さで起こしていた。まあ、私に下半身を見られるのが恥ずかしかったんだろうね。目線をあっちこっちに向けてるから丸わかりだよ。

 そんなに恥ずかしがならなくてもいいのに。和行の下半身ならどんと来いだよ。むしろ見させてください。どれくらい見たいかと言うと和行に土下座するレベルで見たい。代わりに私のも見せるから良いよね? って、そんなことを考えてる場合じゃないや。

 

「ご飯出来たから食べて?」

「う、うん。分かった」

「ちゃんと歯を磨いて、顔を洗うんだよ?」

「お前は俺の母親か」

 

 半目で見てくる和行に対して、彼女だよと心の中で返しながら私は一階へと戻っていく。リビングでテーブルに作り終えた料理を並べていると、洗顔と歯磨きを終えたと思われる和行がやってきた。パジャマから私服に着替えてからか、和行の格好良さが引き上げられているように感じる。

 

「今日は洋食か」

「和食の方が良かった?」

「いや大丈夫だ。一夏の料理なら和洋中どれでも嬉しいし」

「そう?」

「うん。それに俺、一夏にもう胃袋掴まれてるからさ」

 

 そうなんだ。私ってば、和行の胃袋を完全に掴んでたんだ。なら安心して和行に色々な料理を出せるね。……これなら結婚しても大丈夫だよね? 早く和行と幸せな家庭を築きたい。

 

「いただきます」

「召し上がれ」

 

 和行が椅子に座って私にいただきますの挨拶をしてきたので、私は思考を中断して言葉を返した。さあ、私もお腹減ったしご飯を食べよう。いただきますの挨拶をして私も朝食を食べ始めていく。今日のスクランブルエッグとコーンスープは上手く出来た自信がある。和行が喜んでくれると良いんだけど。

 

「一夏」

「なに?」

「今日の料理、いつもより美味いんだけど何か新しい調味料とか使った?」

「ううん、使ってないよ」

 

 強いて言うなら、和行に対する私の愛情かな? ……自分で言ってて物凄く恥ずかしくなってきた。確かにね、料理を作っている時に「美味しくなーれ」とか言ってたよ? 和行の事を思いながらね。料理している最中の事を思い出すと恥ずかしさしかないっていうか……。穴があったら入りたいよぉ……。

 どうでもいい話だけど、最初はコーンスープに私の涎や血でも入れようかなって思ってたんだよね。不衛生になるからやめたけど。うん、私ってば偉い。ちゃんと寸前のところでまだ踏みとどまれてるもん。自分で自分を褒めながら、私は和行と一緒に朝食を食べ進めていく。

 それから雑談をしつつ料理を食べ終わった私達は、ごちそうさまの挨拶をした。うん、挨拶は大事だね。

 

「じゃあ片付けるから」

「ああ、頼む」

 

 私は和行の分の皿を先にキッチンへ運んでから、自分の分の皿を片付けていく。やっぱり和行の為に料理をするのは楽しい。和行が美味しそうに食べているのを見ると本当に嬉しくなるんだよね。さっき和行の顔を思い出した途端、私は思わず口元が上がってしまうのを抑えることが出来なかった。顔をニヤニヤさせたまま食器を洗い終えた私は食後のコーヒーとお茶を用意つつ、ちゃんと表情を正してから和行の下へと向かう。

 

「はい。コーヒー」

「ありがと」

 

 和行は私からコーヒーを受け取ると優雅に飲み始めた。カッコいい。朝からカッコいい和行が見れて私ハッピーだよ。

 

「……なあ、一夏」

「あ、もう少し砂糖入れた方が良かった?」

「いや、そうじゃなくて……起きてからずっと気になってたんだけどさ」

「うん?」

「それ、何?」

 

 和行が怪しい物を見るような目で私の髪と服に視線をぶつけてくる。えっ、何って――ツーサイドアップだよ? 最初は鈴みたいにツインテールにしようかなって思ったんだけど、なんだかしっくりこなかったからツーサイドアップにしてみたんだよね。

 ついでに言うと、今の私は見るからに妹って感じの服を着ている。この服は和行が好きなライトノベルに出てくる妹キャラだ。前に和行から拝借して読んだから、何となくどんなキャラかは分かってる。けど、……なんで八千代さんはこんなの持ってたんだろ。

 

「え、妹スタイルだけど?」

「えっ。何それは」

「えっ。妹ってこういう髪型で居るのが鉄板って決まってるんじゃないの?」

「ねえよ。てか、なんだよ妹って」

 

 コーヒーカップをテーブルに置くと和行は頭を抱え始めた。えー、駄目だったのかなこれ。それにしてはさっきから私の髪をちらちら見てきているから全く駄目ってことはないんだろうけど。

 

「その、なんだ。ツーサイドアップは似合ってるぞ」

「ツーサイドアップはって……他に何か問題があるの?」

「妹ならこういう髪型ってとこだよ。今時、二次元でもそんなのないぞ。てか、一夏にお兄ちゃんって言われると軽く違和感があるわ」

 

 ……なんだかちょっとだけイラっとしたかも。ふーん、和行ってばそういう態度取るんだ。じゃあこうしちゃおうかな。私はおもむろにテーブルから立ち上がると、和行の傍へと近づいて一気に抱き付いた。体を押し付けるようにしてから和行の耳元へと唇を持っていく。

 

「――ねえ、お兄ちゃん」

「な、なんだよ」

「お兄ちゃん。私のこと嫌いになっちゃったの? ……私、寂しいよ」

 

 私がそう耳打ちした途端、和行の体が固まった。あの妹キャラ――お兄ちゃん大好きな部分を演じてみたんだけど、心なしか和行の体温が上がっているような気がする。さっきまで逃げようとしていたけど、今ではそんな素振りも見せていない。それどころか目が血走っているような……。

 

「そ、そんなことないぞ。お兄ちゃん、一夏のこと大好きだぞ」

「じゃあ、ちゃんと褒めてよ」

「一夏のツーサイドアップと妹キャラ可愛いぞ。結婚したいくらい」

 

 そ、そんな結婚だなんて! か、和行と孰れ結婚するつもりだけど、このタイミングでそんなこと言うとか不意打ちすぎるよ。毎日ウェディングドレスを着た自分を想像したり、ウェディングドレスを着たまま和行とえっちなことしまくる妄想とかしているけど、流石に和行本人から結婚って単語が飛んでくるとは思ってなかったかも。

 ああ、どうしよう。和行の褒め言葉なんだから、ちゃんと返事をしないと駄目だよね。

 

「ありがと! お兄ちゃん!」

「ぐふっ!」

 

 和行から離れてから告げた私の言葉に、和行が何だか血を吐くかのような動きをしていた。だ、大丈夫なのかなこれ。

 

「と、ところで一夏。なんで急に妹キャラなんかになったんだ?」

「うーん。そこら辺の事を話すなると、八千代さんが話題に出てくるんだけど……いい?」

「……いいよ」

 

 少し間があったけど、和行から了承を取れたからいいかな?

 

「私ね、コスプレに興味があって八千代さんに相談したんだ」

「……」

 

 何でよりによってあの人に相談したんだと言わんばかりの視線を和行から浴びてるけど、構わず思い起こすことにした。昨日の夜に和行がトイレに行っている間だったかな?

 八千代さんに相談してみたんだけど、まず和行に何らかのアプローチをして、コスプレの感触を確かめてみたらいいんじゃないかって言われたんだよね。だからこうして妹系のコスプレをしている訳で。さて、和行はどんな反応を返してくるのやら……。

 

「駄目かな?」

「いや良いと思うぞ。色んな趣味を持ってても損はしないだろうし」

 

 あ、あれ? 意外と悪くない反応?

 

「……正直に言っていいか?」

「うん。いいよ」

「一夏のコスプレ姿めっちゃ見たい」

 

 物凄く正直な答えが反ってきた。和行って最近かなり自分の欲望を曝け出すことが多いよね。私と付き合い始めた影響なのかな? 変に自分の願望を言わないでいるよりは、こっちの方が和行の本音に触れられて私は嬉しいからいいんだけどね。

 

「分かった。今度は別のコスプレをしてみるね?」

「ああ。楽しみにしてる」

 

 ……ところで、和行が私の髪の毛をじろじろと見てきているんだけど。本当に和行って女の子の黒髪が好きだよね。特に私の髪が。和行が持っているそういう本でも、黒髪の女の子がえっちな事をされちゃうパターンのが九割を占めているし。今まであまり気にしないで居たけど、この際だからどうして黒髪が好きなのか聞いておこうかな。

 

「ねえ、和行。話が変わるんだけど、一つ聞いてもいい?」

「なんだ?」

「和行ってなんで黒髪が好きなの?」

「あー……」

 

 私の問いに和行は少しだけ困ったような顔をしながら、右手の人差し指で頬を掻いていた。もしかして私、言い辛いことでも聞いちゃった?

 

「あの、和行。嫌なら言わなくていいからね?」

「いや大丈夫だ。言うよ。でも、そうだな……少しだけ前置きさせてくれ」

「前置き?」

「他の女の話をすることになるが、いいか?」

 

 他の女……。二人っきりの時に他の女の話なんて聞きたくないけど、私から話を振ったんだからここは我慢して首を縦に振ろう。そうしよう。

 

「いいよ」

「ありがとう。……俺が黒髪のことを好きなのは――箒の所為なんだ」

 

 ほ、箒? 箒の所為? どういうことなのそれ。

 

「その、俺……。昔、箒のことが好きだったんだよ」

 

 …………え? 箒のことが、好きだった?

 

「は、初耳なんだけど……」

「誰にも言わなかったからな」

 

 あの、ちょっと待って。え、本当に? 本当の話なのこれ。……和行が箒の事を好きだったなんて知らなかった。……ヤバい。少しだけ箒への嫉妬心が湧いてきた。落ち着け、落ち着くんだ私。ここで口を挟んだら話が進まなくなる。だから落ち着くんだ。

 

「どうして好きになったの?」

「あいつが剣道に打ち込んでいる姿がさ、俺にはない物を持っているように見えて――眩しかったんだ」

「それで惹かれたの?」

「まあね」

 

 優しげな顔で私を見てくる和行にきゅんときたけど、今は駄目だよ私。お願いだからちゃんと理性働いて。和行のことを食べちゃいたいけど駄目だよ。ステイ。

 

「箒って黒髪ロングだったろ? あれも好きでさ」

「その頃から黒髪好きに目覚めたんだ」

「うん。でも、諦めたんだ。あいつのことを好きでいるのを」

「えっ、どうして?」

「それは……」

 

 和行はそう言って少しだけ溜めを作ってから、私の目をじっと見つめてきた。

 

「もし本人に会うことがあったら、直接聞くといい」

 

 和行の言い回しに思わず首を傾げてしまった。どうして和行は私の方を見てそれを言うんだろうか。もしかして、私が和行が箒に恋をするのをやめたことに関係してる? あの、ちょっと。なんかドロドロなアレに巻き込まれそうな予感がしてきたんだけど……だ、大丈夫だよね?

 と、とりあえず。箒には和行を黒髪好きにしてくれた感謝を捧げておかないと。和行が黒髪好きで居てくれたから、私に興味を持ってくれた訳だし。

 

「まあ、そこら辺はもう気にしてないけどな。今はこんなに可愛くて綺麗で俺の事を思ってくれている最高の彼女が居るからさ」

「こ、こんな時にそんなことを言わないでよ……」

 

 せっかく真面目な雰囲気になってたのに、今の和行の発言で台無しになった気がする。でも可愛くて綺麗って言っても貰えるのは嬉しい。ちょっと和行の語彙が不足気味な気がしないでもないけど。

 ……そうだよね。今は私が和行の傍に居るもん。絶対に和行と添い遂げるって決めている私が。和行、愛してるよ。ずっと愛してるからね。




IS学園ルートという名の続編的なやつの展開を考えたんですが、どう足掻いてもシリアス状態になりました。え? シリアスになった理由? 主にオリ主君と天災兎と、原作12巻で判明した織斑姉弟の秘密の所為です。
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