作者「ジブさん違うんです。マジで色々忙しかったんです」
ジブ「確かにF〇teやはたら〇細胞の映画を見に行ったり、ス〇ブラしたり忙しいようでしたね」
作者「マジですみません」
朝食と言えば何を想像するだろうか。
朝はパンのやつもパンを通り越してハンバーガーのやつも、バランスよく定食を食べるやつもいる。多種多様の十人十色な答えがあるはすだ。
だが、いくらなんでもこれは多様と言うより異様だし、十一色目もいいところではないか。
「それで、何をどうすればこのような渾沌極まれる状況になるので?」
そのセリフは本来俺のものだ。できることなら俺が聞きたい。
生まれも歳も種族も違う4人は、何故か一様にテーブルを囲んでいた。
俺とテトのゲームは、あっけなく俺の敗北に終わった。
語りを語り終えた語り手に対して、聞き手に為す術はなかった。
「それじゃ、約束通り朝食を頂こうかな」
神様はとても空腹らしい。
負けたのだから拒否権もなく、俺はテトを連れていづなの家に戻る。
「はち、おせーぞ、です」
「悪かったよ」
「?そいつは、さっきのやつか、です?」
「ああ、えっとこいつはだな……」
出迎えたいづなに、さてどう説明するか。
流石に、こいつは唯一神で遊戯の神様で変身してここにいます……とか言えんよな。
ちらりと隣にいる猫耳の少年を見る。
テトは視線に気付くと、少し微笑んでからいづなに言った。
「ボクは
いづなに正体を言う気は更々ないが、そのライトノベルの主人公みたいな自己紹介はなんなの。
てか、テノって何、誰?手乗りタイガーさんなの?
俺のこと、ではなく朝食を待っていたいづなにテノ(仮)を紹介して、俺はキッチンに入った。
「で、なぜお前がここにいる?」
「朝食を作ると聞いたのでここかと思っただけですが、何か?」
食事を必要としないジブリールがそこにはいた。
彼女曰く、朝早くにここを出た俺といづなを見たので目的を聞こうとしたらしい。
先に戻ったいづなに確認すると、俺は朝食を作る役割があることを知ってここに来た、と。
「え、何待ってたの?」
「ほんの数分前に来たばかりです」
「あそう。つか何、どうしたの。何か用?」
「特には。強いて言えば、勝手に負けて帰って来られた敗北者に感想でも聞こうかと」
取り消せよ、今の言葉。
誰が敗北者だ。俺ですねそうですね。
にしても、だな。
最近、こいつの様子がおかしいことがある。
理由もなく俺を詰ったり、詮索したり、罵倒したり、同情したように見せて笑ったり。あ、これ前と変わらねぇや。
「感想も何も、俺がどこでどんなゲームで負けても関係ないだろ」
「関係ない……はて、今やマスターと正式な協力関係を結んだあなたがゲームで負ける。これをどう正当化しろというので?」
「いや、俺もコンビニ感覚で他国に攻め入って負けて来ねぇから。相手とか賭け金は選んでるからな」
まぁ、相手を選んだ上で神様とバトってるのは説得力どうなのって感じだが。
「では、一体何を賭けてあのトラ耳とゲームをしたのでしょう?」
「別に、下らないことだよ」
「言いやがりなさい」
「おいキャラ、初期設定。あとそれ、いづなの芸風だろ」
敬語崩れてますけど、どんだけ知りたいの。知識欲あり過ぎ定期だわ。
何やら話すまでここを離れないような空気を出してくるジブリール。
言いたくないんだよなぁ。
賭けたものは、本当に下らないことだ。だから言いたくない。
こんな、自分勝手で身勝手なエゴの話なんて。
話し手も聞き手も損しかない。
「負けたからこうして、三人分の朝食を作ってんだよ」
「では今すぐ五人分に変更願います」
「え、お前飯食うの?」
しかも二人前。
「
「だからびっくりしてんだけど」
「マスターの分ですが、なにか?」
「あ、そう。まぁ知ってたけどね」
だが残念ながら俺の用意は三人分だ。これを五人で分けるとなると、誰かは魚の骨で我慢しなければならない。
このことを言うと、「骨しかないならあなたが食べればいいじゃない」とギロチン女王も真っ青ドs発言が飛んでくる。これは予想ではない、確定事項だ。
てなわけで、ここは穏便にお断りする。
「材料が足らん」
「左様ですか。では、マックスコーヒーで構いません」
なんで?
いや俺も飲むから作るんだけどさ。それはちょっと、生粋の千葉民でもえ?って思うよ。
「流石の俺も飲み物を朝食カウントするのはどうかと思うぞ」
「コーヒーとは趣向品では?」
「飯ではないってことな了解。空と白の分でいいんだな?」
「いえ、三人分頂きましょう」
あー、ステフか。確かに今あいつに一番必要なのは糖分だろうからな。空達のついでに渡すんだろう。
焼き魚の片手間に、ジブリールが指し出したコミルの実でマックスコーヒー(仮)を錬成していく。
三つのマグカップを受け取り、ジブリールは転移した。
行き先は、多分空達のいる巫女さんの場所。今日も今日とてゲームしてんだろうな。知らんけど。
いづなとテノの分も含めて朝食を持ち、二人のいる茶の間を目指す。
ところで、空達は巫女さんちでステフはエルキアにいると思うんだが。その距離、転移できるとしてもついでじゃ無くね?
じゃあそのマックスコーヒー誰の分だよ。巫女さんか?巫女さんか。巫女さんだな。
……あの二人、差し入れをするほど仲良かったっけ?
「いやー、おいしかったね。何というか、家庭の味を感じたよ」
「はち、さかなうまかったぞ、です」
「おーう、そうか」
そいつは良かった。
本当に上手かったんだろうな。俺の分まで食っちゃうほどに。
三匹あったはずの焼き魚はいつの間にか骨だけになり、三人分あったはずの飯を平らげた二人はご満悦だ。お粗末。
おかげで朝食抜きである。仕方なく、俺はマックスコーヒーを舐めた。
「で、なんでお前も並んでるの?」
「それはむしろ私が聞きたいことです」
目を閉じ、空にしたカップを置くジブリール。食事に参加する必要のない彼女が、俺らに交じって食卓を囲んでいる。
こうなったのは、テノ(を名乗った性悪神様)の所為だ。
ジブリールはわざわざ律義に空達の飲んだカップを返しに来た。で、顔を出したらテノがそれはそれは悪だくみをしているであろう笑顔を浮かべ、彼女をこの食事会(?)に誘った。
「いや、普通だったら断るだろお前。なんで並んでんの」
「気になることがあるだけです。それで、何をどうすればこのような渾沌極まれる状況になるので?」
「その混沌の片棒担いでんのお前なんだけど」
つーかそれこそ俺が聞きたい。何をどうしたら
俺はただ朝飯を買いに行っただけなのに。
「はっは、仲がいいね君達」
「よくねぇよ」
「ボクは
「……左様で」
「君の名前は、ジブリールでいいのかな?」
「ええ、問題ありません」
珍しいこともあるな。あの傍若無人にして殺戮天使にして暴力女神のジブリールが、完全に初対面の
まさか、な。
ただでさえ種族変えるレベルで変装した上に完全初対面のテトが相手だ。目の前にいるタイガーが実はゴッドですとか分かるわけない。
俺だってこいつの性格知らなかったら他人の空似で納得してたしな。
「それじゃあ顔合わせも済んだし、ゲームしよっか」
「しねぇよ」
テノの提案にノータイムで返した。正直そう来ると思ってたよ。
これ以上こいつの悪ふざけに付き合うのはごめんだ。早々に退散させてもらう
「なんのゲームやる、です?」
「いづなたん?なんで乗り気なの」
「ジブリールも、してくれるよね」
「私に参加する理由はありませんが」
「そんなこと言わないでよ。そうだ、こんなのはどうかな。『敗者は勝者の質問に偽りなく答える』って言うのは」
軽々しく情報開示を要求するテノの顔は、罠を張るゲーマーそのものだった。
だが、おかしい。
この条件のどこにジブリールを参加させる要素がある?
ゲームはそもそも、提示したかけ金が互いに平等だと判断しない限り始まらない。
有利過ぎれば罠を疑い、不利なら受けるはずもない。
抽象的な条件とは言え、情報一つでジブリールを釣るってのは流石に無理があるだろ。
いや、そうじゃないのか。
この条件は、俺を釣る為のもの。
さっきの話の、昔話の、語りの続きを聞くチャンスを提示するための間接的な罠。
俺ではなくジブリールに言うことで、その真意から意識を遠ざけさせるのが狙いか。
「その条件、私にメリットが有るとお思いで?」
「さあね。でも、デメリットならあるんじゃないかな」
「つまり、そこの二人が負けると」
「そうなったら、ボクはうっかり彼らに何かしらの情報を貰っちゃうかもね」
「はて、そこまで重要な質問をされると聞いて、ゲームを受けるでしょうか」
「質問によると思うよ。例えば──誰が誰と知り合いか、とかね」
「…………」
話が見えん。それに俺はやるとはいっていないのだが。
まぁ、テノの中で俺の参加は決定事項なんだろう。
しかしジブリールは、参加しない。
「なるほど。全く、虫唾が走る話ですが、仕方ありませんね」
「というと?」
「私も参加します。ただし、ゲームは私とこの男がチームであることが条件です」
ほらな。いくら空達に対して過保護なジブリールでも、メリット無しのゲームを受けるわけない。
「……は?」
「なにか?」
「なにか?じゃねぇよ。え、なにどゆこと?お前ゲームすんの?で何で俺とお前ペア?」
エスニックだ。じゃない、ピクニックだ。じゃなくて、パニックだ。
ジブリールがゲームに参加するのが分からんし、俺とチーム組もうとするのも理解できん。
何よりなんで、テノはともかくお前まで俺の参加を決定してんだよ。
もうわけがわかんないよ!
「……現状、あなたにゲームで負けられてはマスターに迷惑です」
「それは分からなくもないが、ならそもそも受けなきゃいいだろ」
「私にはこのゲームに勝ってもメリットはありません」
「余計に受ける必要ないじゃん」
「ですが、あなたにはありますね?」
何かしらの確信を持って、彼女は言った。
その言葉を否定することはできない。下手に否定してもきっと、そんなつまらない嘘は見透かされてしまう。
こちらに向ける琥珀色の瞳に、俺はそんなことを感じた。
「じゃあ何か。お前手伝ってくれんの?優しすぎて怖いんだけど」
「対価は貰うつもりです。無論、あなたの良心次第ですが」
「良心的な交換条件でありがたい」
こいつ相手なら、心臓を差し出せとか契約して魔法少女になってよと言われても俺は驚かない自信がある。
だから、今は逆に驚きすぎでエルキア国王になるまである。これがホントの驚キングなんつって。やかましわ。
「問題ありませんね?」
「もちろん。ゲームを仕掛けたのはボクだからね。決定権は君たちにあるよ」
テノは笑顔で応える。
多分、ここまであいつの手の平の上だ。
ならここからも、あいつのターンは続く。
「それで、何のゲームするんです?」
「そーだね。チーム戦で、特に用意もなくとなると──うん、これがいい」
思い付いた、って動作がわざとらしい。最初から考えた上でのトラップだろうに。
いづなに対して、俺達に対して、テノは言う。
「『ケイドロ』なんてどうかな?」
ケイドロ。警察と泥棒。ケイサツとドロボー。略して、ケイドロ。
ジブリール相手に身体能力が要るゲームを選ぶ辺り、何か狙いがあるのだろう。
もしくは何かしらの皮肉。
それは俺が警察沙汰になるような行いをしたと言いたいのか。ロリコンじゃねぇぞ。
もしくは俺が泥棒だってか。いいえ、俺はとんでもない物を盗んで行きました。あなたの心です。誰だよあなた。
まぁ何にせよ、即興で全員が納得できるゲームは提案できそうにない。
ここはテノのゲームを採用しつつ、ルール決めで有利を取るのがベストだろう。
無言で見渡すと、ジブリールもいづなも同意見らしい。
「とりあえずゲーム自体に問題はないな」
「君達がオッケーなら、さっそくルールを決めていこうか」
「そうだな。いづな」
「八、なんです?」
「いづなはテノと同じチームでいいか?」
「もんだいねー、です。二人とも倒してやる、です」
気を遣っている感じでもないな。本気でゲームをして勝ちたいってことか。
滅茶苦茶な流れで俺とジブリール対テノといづなの構図ができた。
いづなには悪いが、今回ばかりは負けられん。
元々受ける気はなかったが、こうなってしまっては勝つ必要がある。
あの話の結末を知らないといけない。
それは使命とか願望ではなく、責任だ。
確信はない。
けれどあの話には、あの昔話には俺の過去が関係している。
あの何でもは知らなくても知ってることくらいは知ってそうな神様がした話。
その中には恐らく、俺の思い出せぬ過去について、俺の名も無い感情について、俺の欲している何かついての内容が含まれている。
だから、これは責任だ。
俺が犯した罪に対する責任。
俺へ問う感情に対する責任。
俺の探しものに対する責任。
そして、俺が放り出してきた全てに対する責任だ。
ご愛読、長い間お待ち頂きありがとうございます。
違うんです。まえがきで全バラシしたけど違うんです。
ルール説明とか勝ち方とか、書き始めると自らの文才のなさを自覚する感じとか色々あって筆に詰まってました。
感想にも返信してなくて申し訳ないです。
ようやく覚悟決めて書き始めたので楽しんで貰えたら嬉しいです。
感想、高評価あると励みになります。
これからもよろしくお願いします。
番外編 エルキア王国奉仕部ラジオは必要ですか?
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