ノーゲーム・俺ガイル   作:江波界司

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感想と評価だけがモチベーションさ〜♪
皆さんありがとうございます!
お陰様で少しずつですが続き書きます!

今回はルール説明回です。
展開バレないか心配……


なればこそ彼らは手を取り合う

 ケイドロ。

 小学生の時よくやったあれだ。

 俺の場合、よくもやってくれたってかんじだが。

 警察と泥棒を模しているだけあって、このゲームはなかなかに理不尽だ。

 前提として、警察側が圧倒的に人気がない。

 これは鬼ごっこの鬼を連想して、友達を追いかけると逃げられるという精神的苦痛に由来すると思われる。(俺は友達いないから知らないけど)

 その上で警察側になってサボるとキレられる。そりゃ追うやつ居ないとそっちは暇だろうな。

 だが冷静になって欲しい。

 警察側は鬼ごっこの鬼と違ってペナルティがない。誰かを捕まえなければならない理由もないのに追う必要があるだろうか。

 まして警察側は最初からかなり不利なのだ。

 全員捕獲を目指すなら門番は一人以上必ず要る。これだけでも人数制限がかかる。

 基本性能がものをいうシステム。鬼ごっこのような騙し討ちができないため、相当な異常事態でもない限り足の速さ次第で結果がほぼ決まる。

 そして、これだけの悪条件の中、泥棒をいくら捕まえてもボーナスすら出ないブラック公務員制度。いったい、誰がなりたがるのか。

 結論。

 やはり働くのは間違っている。働いたら負けだ。

 昨今は魔王さまから細胞に至るまで働く大ブラック時代だが、俺は絶対に働きたくないでごさる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『敗者は勝者の質問に偽りなく答える』と、これがテノの出した賞品だ。

 この提案でテノは、海老レベルの俺をエサに鯛どころかメガロドンクラスのジブリールを釣り上げた。

 勝つことが最低条件の俺。

 そんな俺を負けさせないことが目標のジブリール。

 を相手にゲームを純粋に楽しみたいいづな。

 とチームになった裏の読めないテノ。

 キャラ説明だけでお腹いっぱいなんだが、本題はこれからだ。

「で、ルールはどうする?」

 そう、ケイドロにも色々ある……と思う。知らんけど。

 ここはゲームの世界。ルール次第で有利不利は大きく動くことになる。

「ふつーでいいだろ、です」

「警察側と泥棒側に分かれ、タッチで逮捕。逮捕者は所定の牢にて待機。制限時間まで逃げ切れば泥棒側の勝利、逮捕すれば警察側の勝利といったところでしょうか」

 オーソドックスなケイドロならそれでいい。

 だが、ケイドロはそもそもが理不尽なゲームであり、公平性の欠けらも無いものだ。

 スタンダードルールで唯一神と獣人種(ワービースト)を相手取るのは、足でまとい確定の俺とジブリールじゃ分が悪い。

「う〜ん、それなんだけどさ」

「なんかおかしーか、です?」

「前々から納得いかないんだよね、このケイドロってゲーム」

「はて、私の説明に不備が、もしくは文句があったでしょうか?」

「君の説明じゃなくて、ゲームの設定にかな。僕が物申したいのは」

 テノはそういうと、片していない箸を一本ずつ持ち上げた。

「警察が泥棒を追うのは分かる。それが仕事だからね。でも、じゃあ彼らは泥棒なのかな?」

「泥棒でしょう。あくまでゲームではそう設定されています」

「そうだね。じゃあ、彼らは何を盗んだのか」

「……?なにも、盗んでねー、です?」

「そう!彼らは盗んでいない。盗んでいないのに彼らを泥棒と呼ぶのは、なんとも座りが悪いじゃないか」

「ただの設定だというのに、随分な言い分ですね。ではケイハンザイシャとでも呼び替えますか」

「それだと普通に軽犯罪者になっちゃうけど」

「それはもう別物だね。だから、泥棒は何かを盗むことをルールにしよう」

 何かってなんだよ。

 俺の内心のツッコミを読んだように、テノはポケットから謎の指輪を出す。

「お宝はこの指輪にしようか。泥棒はこの指輪を盗まなければならない」

「それでは泥棒側が不利になるのでは?」

「確かにね。泥棒側だけミッションがあるのは、公平性に欠ける。だからこうしよう。泥棒が指輪を盗むまで、警察は泥棒を捕まえることはできない」

「泥棒は泥棒するまで泥棒じゃないってことか」

「そういうこと。これなら泥棒は正当に追われる理由ができる」

 テノは本気でゲームの設定に文句があるわけではないだろう。多分、見た目通りの子供じゃなければ。

 あくまでルール変更を受け入れやすくする為の文言。なら、俺はそれに乗る。

「いいんじゃね?普通のケイドロなら俺が何もできずに終わるの目に見えてるし」

「現状主義もそこまでくれば卑屈さすら感じませんね」

「それ褒めてんの?センス無さすぎでしょ」

「皮肉です。まさかそれすらも読み取れなかったとは」

「分かって言ってんだよ」

 皮肉言った後にも皮肉を飛ばすジブさんセンスありすぎでしょ。罵詈雑言の。

「まー、と言っても、このルールだと泥棒に有利すぎるんだよね」

 テノは持っていた箸を置きながら言う。

 気付いてたか。残念。

「泥棒は宝を盗むまで逮捕できない。となれば、制限時間ギリギリでそれを取れば警察側は詰みだ」

「正解。これじゃゲームにならない」

「では、泥棒側に時間制限をつけましょうか」

「妥当だね。どれくらいにしようか」

 ジブリールの提案もテノの誘導もごく自然なものだ。

 俺は一度テノのルールに賛同している。それはつまり、そのルールに幾分かの勝機を見出したということになる。

 ジブリールがルール撤廃を阻止したのはそのため。

 ならばテノはどうするか。

 こちら側に決定権がある以上、テノはできるかぎり自分に都合のいい議題を持ち出すべきだ。

 だからこいつは、俺を見ながら時間設定に話題を変えた。

「全体で2時間。泥棒は残り一時間を切る前に宝を盗む、でどうだ?」

「ボクはそれでいいよ。警察側も泥棒側も有利な時間は同じだし」

「異論はありません」

「いづなも、もんだいねー、です」

「んじゃ、あとは会場だな」

「エルキアの城でしたら、それなりの広さがありますね」

「それ、迷惑にならないかな?」

「迷惑をかけない範囲で借りればいいんじゃないか?」

「めーわくにならねー、です?」

 そうだ、そこを決めないと話にならん。

 このゲームは俺達、というより俺個人が完璧に不利だ。

 こいつらとまともにケイドロをするには、それなりのレギュレーションを設ける必要がある。

「まず、城に被害が出うる行動は禁止だ」

「音速を超える移動、壁を破壊しての逃亡といった具合でしょうか」

「その認識であってる。次に、いづな。『血壊』は無しな」

「だめなのか、です?」

「あれやったらそれこそ城内で被害が出そうだし、使われたら俺に成す術がない」

人類種(イマニティ)じゃ、追っても逃げても勝ち目ないもんね」

「んで、ジブリールも転移で移動するの禁止な」

「妥当ですね。このメンバー内に空間転移(シフト)に干渉できる者はいませんし」

「それと、人に危害を加えそうな魔法とかも無しにして貰えるかな?行動不能にするのはゲーム的にアウトだし」

「構いません。もとよりそのつもりですし、厄介な『盟約』があります」

「そんなところか。んじゃ、移動するか」

 ジブリールが頷き、転移の準備に入る。

 その僅かな時間でテノが聞いた。

「そういえば決めてなかったけど、どっちが泥棒だい?」

「俺達だ。警察は不利だからな」

「やっぱりね。そう来ると思ってたよ」

「ここまで計画通りってか」

「ここから先はそうならないことを期待してる」

「碌でもない期待だ」

「それでも君なら、いや、君達ならできると信じてるよ」

「そりゃどうも」

 移動した先はエルキア城、城内。

 ステフに話をつけて、二階と三階のフロアを借りた。

 説得するのはそれほど難しくなった。

 いつも空の無茶ぶりに全力で応えているステフは、二時間ほど鬼ごっこの為だけにフロアを貸し切るくらい訳ないようだ。

 適当な空き部屋に台と指輪を設置し、牢となる部屋も設定した。

 そして──

 

「『盟約に誓って』」

 

 ゲームは始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 泥棒チームがフロアに散ってから約3分後、ゲーム開始の時間となった。

 ひとまず猶予を貰った俺達は作戦を決める。

「それでは聞かせて貰いましょうか。あなたの、勝率100%の策を」

「そんな大層なものないし。というかついさっき決まったゲームでそうポンポン必勝法が見つかるかよ」

 騙し合いのゲームに出てるイケメン詐欺師でも、必勝法を見つけるのに30分は使うっての。むしろ早すぎるんだが。

 ちなみにこのゲーム、泥棒と警察の勝利条件は初期案と少し変わっている。

 泥棒は逃げ切れば勝ち。

 対して警察の勝利条件は、泥棒を一人でも捕まえた状態でゲーム終了となること。

 それはつまり、一人でも捕まっていたら泥棒は負ける。

 これはテノが出した当たり前のルールで、宝を盗みに来ない一人は圧倒的に捕まるリスクが下がるからだ。

 一人見捨てても問題ないなら、ジブリールが無限に逃げ続ければいい。そりゃルール変更もやむなしだろう。

 さて、そんな訳で俺は逃げ切った上で指輪も手に入れなければならない。

 普通に考えたら、ジブリールの背中に乗って孫悟空よろしく逃げ回りたい。

 まぁ、流石に俺がどれだけ清い心を持っててもその作戦は無理だろう。

 普通の大勢でやるケイドロならともかく、今回は2対2。固まれば簡単に挟み撃ちで詰みになる。

 だから単独で逃げるのが基本戦法になるわけだが、どうするか。

 いづなにしてもテノにしても、デフォルトの俺では逃げ切れん。

 どこまでできるかは分からんが、ここはミスドラえもんことジブえもんに頑張って貰おう。

「そういや前、着てる服に精霊回廊を混ぜるみたいなことしてたよな。あれまたできたりしないか」

「ゼロから作るとなれば半日は欲しいところです。もともとそういった作業は専門外なので」

「んじゃあ、廊下とかを強化して絶対に壊れなくするとかは」

「今の私ではできかねます。複雑な術式の構築はそもそも天翼種(フリューゲル)が不得意とするもの」

「そこらへんは森精種(エルフ)とか吸血種(ダンピール)の分野ってことか」

 ジブリールの魔法で身体能力強化とかは無理か。結構期待してたとこもあったんだがな。

 そこらへんがジブえもんとドラえもんの決定的な違いってことだろう。青タヌキに負けたとか、本人に言ったらキレるから言わないけど。

「そういえば、前に空中から色々取り出してたけど、あれは空間転移(シフト)とはまた別だったりしないか」

「いえ、原理的には同じものです。ある地点二つを別次元間で結ぶことで瞬間的に移動させる術式なので」

「もっと分かりやすく言うと?」

「入口と出口をつくってその間を移動するもの、と言えばその小さな頭でも理解できますか?」

「人並みの頭でも理解できたよありがとう」

 そろそろこいつの罵倒が気にならなくなって来たな。これはガウタマ・ハチマーンルタと呼ばれる日も近いな。来ねぇ。

 現状、俺の装備はジブリールが作った連絡術式入りのパーカーと八幡100%。安心してください、着てますよ。

 いづなは『血壊』無しでもシンプルに足が速い。テノに至ってはもうなんでもアリの存在だ。

 ジブリールはそれなりの能力制限付きで、俺はそもそもスペック負け。この手札でどうやって戦えばいいんだ。

 神のカードでも地面から引きたいところだが、相手もモンスターではなく神なんだよなぁ。

 まぁ、しかし、最強の天敵は最弱らしいからな。

 テト(・・)は俺が相手するべきだろう。

 そのために、まずは一時間しっかり準備だな。




ご愛読ありがとうございます!
投稿の度に感想貰えてとても嬉しいです。

次回からはいよいよゲームスタート。
最強と最強VS最弱と最強。
いづなたんも単独のジブリール倒してますし最強クラスでいいですよね。

感想、高評価貰えるとモチベになります。

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