どうも。
無月を撃った意味が未だに分からない、江波界司です。
ハチジブ?ジブハチ?の会話が書いてて楽しい今日この頃、もはやヒロイン決定でしょうか。
なにはともあれ本編です。
「一体どこに行ってましたの!?」
扉を開けるといきなり怒鳴られた。最近こればっかりだな。遅くなったのは悪いが、ほぼほぼジブリールのせいだし。それにおかえりより先に怒鳴らなくてもいいのではないでしょうか。
「置き手紙書いたろ」
「夜には帰るとだけ書かれてもどうしようもないですのっ!」
きゃんきゃん喚くステフを無視して奥に入っていく。てか、2人と会っといた方がいいか。
「ステフ、空たちは?」
「話聞いてましたのっ!?」
いえ全然。で、どこなの?
「失礼致しますわソラ……様。ハチが帰って来ましたの」
「よー」
ステフに案内されたいかにも王室と表現されたような部屋。その奥の方にはダブルキングサイズくらいのベッドと、そこに座る現国王、女王の2人がいた。
「八?どこ行ってたんだ?」
なんと答えるべきか。まぁわざわざ事細かに今日あったことを話す柄でもないしな。
「本読みに外出てたんだよ」
俺はポケットからラノベを取り出して空に見せる。それで納得したらしく、またゲームに戻る。
「あ、そう言えば王様には俺達2人がなったぞー」
あくまで目線はゲーム機から離さずに空は言う。
「知ってるよ」
「…あれ…みてたの?」
あれというのは、多分王様から一言のあれだろう。
「バッチリな。何なら聞くか?」
『あー……んっ、んぅ〜っ。えー御機嫌よう』
俺はスマホのボイスメモの履歴をONにする。
ライブで見た後に、ジブリールに頼んで音声だけ撮らせて貰った。あれって録画機能もあるらしい。なかなか便利だよな魔法。
「ちょっと待てやぁぁぁ。なんで撮ってんだよ、俺結構恥ずかしいこと言ったぞ!?」
「いやいやかっこよかったぞ?なんだっけ誇り高き弱者だっけ?」
なんでと言われれば、そりゃ後々使えると思ってだが。なにせこいつとまともにやり合うには何個か弱み握る必要がある。このセリフ悪役過ぎるな。
「八……それはないわ、マジないわ」
「……にぃ、だいじょぶ……かっこよかった……」
「そこじゃないんだ妹よぉぉぉ」
楽しそうでなによりだぁ。それに後ろでもなんか楽しそうなことになってるな。
「というかハチっ!なんでこういった時に限っていないんですのっ!全権代理者の事とか大変だったんですのよ!?」
「そうなのか、てっきり白があっさり勝って終わるかさっさと気付いて2人でやると思ってたが」
「へ?」
どうしたこいつ。見ると空と白もキョトンとしている。
「どした?」
「あ……ああ、基本的に俺と白は互いに勝ち越したことがねぇんだ……ってじゃなくてだなっ」
「……はち、気付いてた?」
「何のことかわからんが、全権代理者に人数制限が無いことなら…」
「いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「っと!びっくりしたぁ」
突然ステフが叫び出す。こいつこんな騒いで大丈夫?俺のクラスの上位カーストより騒いでんぞ。
「あ……あの時間が無駄だっただけでなく……ハチに聞くだけで……すぐに終わっていたと……」
なにやら強烈な精神ダメージで倒れそうだ。それはもう残酷な天使がテーゼするくらいの精神ダメージ。うん意味わかんないな。
「……はち…、いつから……気付いてた?」
「お前らが言い合い始めたあたり」
「先に言えやァァァァァァ」
空が元気100倍で俺に怒鳴る。なんか帰って来てから怒鳴られてばっかだな俺。
助けを求めようにも、ステフも白もこっちを睨んでる。三面楚歌だな。あ、正しくは四面楚歌だからな?間違えて覚えるなよ。
「悪かったよ。んで、今後はどうすんだ?」
まずは話を変えよう、それしかない。
「で、ではお茶をいれてきますの」
そう言い残してステフは扉を閉める。王室に今は俺と空白だけ。取り敢えず王様になる目標は達成したんで、作戦会議だ。
そう思っていた。
突如今見ている世界から色が失われる。より正確に表現するなら、薄くなった、だろうか。まるで今見ているリアルが現実味を失ったような感覚だ。それを2人も感じ取ったのだろう。寄り添いながら辺りを見回し、空はベランダの方には何かを見つけたようだった。
「久しぶりだね、楽しんでる?」
ベランダの手すりには、どこにでもいそうな、それでいて神秘的な印象を受ける、ベレー帽に近い物を被った少年、俺達をこの世界に招いた張本人、神様を名乗る存在、テトがいた。
「まぁ思うところは色々あるけど、取り敢えずありがとうかな。生まれ変わらせてくれて」
驚きもあったはずの彼は、至っていつも通りに少年と言葉を交わす。
それを見て俺も僅かだが冷静さを取り戻す。あまりに何が起こったか分からなかったため、頭が追いついて来てなかった。
「それで、何の用だ?自称神様」
「そんなに警戒しないでよ。別に危害を加えようって事じゃない。それと僕はホントに神様だよ?」
こいつは、何を考えているのかが分からない。それはまるで彼女、雪ノ下陽乃のように。だが彼女のように強化外骨格があるのではなく、このテトという少年は純粋に底知れない物を持っていて、それを偽装せず隠さないというスタンスが逆に彼の存在の推測を狂わせている。
存在そのものが、まさに反則。魔法とか異能とかそういった次元にはいないような、全く別世界の存在。そんな印象を受ける。
「君達は面白いね、やっぱり。呼んで正解だったよ」
無邪気な顔で言うテト。それに空はこう告げた。
「呼んだのはそれだけが理由じゃないだろ?」
空気が一瞬重くなる。表情は変わらず、だが僅かに細くなったテト目がその場の雰囲気すら支配する。
「へぇ、なんで?」
「お前さ、今まで負けたこと無かっただろ?だから初めて負けて悔しかった。そして次は勝つために
なに?今の言葉が本当だとすれば、こいつらは神に勝ったってことか?俺に送られてきたチェスがそうなのか。
そしてテトは静かに俯きかけていた顔を上げた。
「そうだよ。あの時僕は悔しかった。だから君たちを呼んだんだ。この世界で君たちを倒すためにね。どう?ガッカリした?」
恥ずかしさと自嘲が混ざった表情で彼は問う。
それを聞いて空は、笑う。堪えながら、しかしその声を漏らしながら彼は笑った。
「いや……その気持ち、分かると思っただけだよ」
清々しいと言うような笑顔で空は答えた。まるでテトの言い分の1番の理解者だと言うように。
「俺達空白は最強だけど、お互いには勝って負けてを繰り返してんだよ。だから、テトのその気持ちはすげー良くわかる。んでも」
「……つぎも、かつ……」
空と同意見の白が続ける。これは明らかな挑戦状。これから倒しに行く宣戦布告だ。それも世界にではなく、その創造主である神に対しての。
聞いたテトはまた笑う。今度は自嘲ではなく、面白いおもちゃを貰った子供のように無邪気に。
「やっぱり、僕の目に狂いは無かった。待っているよ、僕のところまで来れたら相手をしよう」
こうして結ばれたひとつの約束。位階序列最下位の
「それじゃあそろそろ……」
「待ってくれ」
帰宅準備に入ってるとこ悪いがテト
「お前に聞いておく必要がある」
「なんだい?」
果たして答えるだろうか。それにこいつが本当のことを言う保証はない。だが、それでも聞かなければならない。
「お前なら、俺を元の世界に戻せるか?」
さっきまでとは違う、重苦しい空気。そしてテトのあの目。俺は禁忌に触れたのか、はたまたタブーを犯したか。なんにせよ、俺はテトの答えを待つ。
「この世界は、君には合わなかったかい?」
「いや、単純にやり残したことがあるだけだ。それで?」
どうなんだと。
あっちの世界から呼べたのなら、逆も出来るはず。だが逆に一方通行な可能性もある。
そしてテトは
「どうだろうね?でも僕は神様だ。君が望む答えを僕はまだ言えないけれど、君の才能ならどうにかなるんじゃないかな」
才能?こいつは何を言っている?
そう言えば、あのメールにも……俺の才能?
「お前は俺の何を知ってる」
「おっと、ヒントはここまで。あとは君が考える事だよ。それじゃ…またね」
一瞬にして視界からテトが消える。それと同時に世界が何かを思い出したかのように動き出す。さっきまでは時間が止まっていたのか?今となっては分からないが。
やはりテトが俺に言った言葉が引っかかる。僕は神様だ。君の望む答えをまだ言えない。なにか意味がある気がする。
それに……才能。自分で言うのもなんだが、俺はそこそこ優秀だと思う。だが俺に人並み外れた、それこそ沢山の候補の中から選ばれる程の才能なんて、ない。仮にあれば、そいつは天才と呼ばれるだろう。それこそ白のように。なら俺は一体……
「いやー面白くなってきたな。なぁ白」
「……うむ……」
俺の思考をよそに、彼らは互いの意思を確かめ合う。
……そうだな。それも探すか。分からないから、まだ知らないから、それを知るために、知って安心するために。俺はこいつらと同じ道を行く。
互いを信じ合う2人の背中を追って。……これじゃぼっちとは言えないかもな。いや、そんなことはどうでもいい。決めただろ、見届けると。
それに俺は……信じてみたいのかもしれない。彼らを、そして彼らが示す、教えてくれるかもしれない『本物』を。幻想だとしても妄想だとしても、机上の空論で、形のない
『本物』が欲しい
夢を見た。
ただのなんでもない学校の空いた部屋。そこには長い机がひとつと、椅子が3つある。いつも座るところに彼女たちはいて、1人は立ち上がって紅茶をいれる。3人分を用意し渡すと、また席に戻って本を読む。ケータイを弄りながら、会話のタネを見つけては本を読む彼女に話しかけ、彼女もまた微笑みながらそれに答える。
ふと、扉がノックされて全員がそちらを向く。
こちら側に許可を貰ったノックの主は、扉を開けて入っていくる。明るく会話が得意な彼女と机を挟んで向かいに座り、仲良さげに会話を楽しむ。すると来客用の紙コップに紅茶をいれて、彼女はやってきたもう1人の女の子にそれを差し出す。
「なんでいるんだよ」
誰が言ったのかそんな質問に、客として入って来た彼女はあざとく返す。だがすぐに用があると言い放ち、依頼者なのだと分かる。
内容を聞いて、1人は頭を抑え、1人は前かがみに立ち上がる。そして3人の視線がこちらに集まり、こちらがなにか言うと3人は仕方ない、みたいな反応をする。
ぼんやりとしていて、それでいて温かさを感じる。夢なら、もしこれが夢だというのなら、これは優しいだけのただの欺瞞だ。
平和で平凡で、それでも充実した日常。けれどそんなものは俺の欲しいものじゃない。そんなのは『本物』じゃない。
本当にあったかもしれない話。もしかしたら俺も体験したかもしれない風景。けれど俺はそれを『本物』だと呼べただろうか。
分からない。
なぜそんな夢を見たのか。
分からない。
なぜ今になって思うのか。
分からない。
なぜ俺は
「泣いてるんだ……」
まだ外が薄暗い早朝。まったく気分の晴れない目覚めだ。
ヒロイン決定か、なんて言った途端に出てこない。
そして話が全然進まない。
それでも更新頑張ります。
なんか最近文章が迷走してきました。疲れでしょうか?
感想頂けると本当に嬉しいです。これからも誤字報告含めよろしくお願いします。
追記
誤字報告ありがとうございます
番外編 エルキア王国奉仕部ラジオは必要ですか?
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別にいらない