ノーゲーム・俺ガイル   作:江波界司

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立てよド三流、格の違いってのを見せてやる。
どうも。
ド三流の書き手、江波界司です。
ヒロインが決定して本格的にオリ展開へ進みます。
と言うにはまだまだ準備段階ですが……
いつも誤字多くて申し訳ありません。
ここから本編です。


彼女は彼らと激突し彼を理解する

 図書館の最奥の部屋。俺も来るのは初めてだ。

 そこにはテーブルといくつかの椅子、そして部屋を照らすライトと本棚を埋め尽くす書物が、その部屋の特別性を強調している。

「では、詳しい話をすると致しましょう。私の図書館を御所望との事ですが、それに見合ったものをあなた方はお持ちで?」

 俺達を案内し、先に椅子に座っていたジブリールはそう告げ、自ら用意したお茶に口をつける。あ、これデジャブ。

「白、ちょっといいか」

 俺は2人の許容範囲内ギリギリまで白を空から離す。もし、空が言っていた通りのものを賭けるとするなら

「異世界の書、計四万冊以上」

 

「ぶふ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

 

 前に俺がラノベを提供した時以上の勢いで彼女は吹き出す。当然その向かいにいた空はその茶を浴びる形となる。

「……きたない……」

「あれ?なんで白は無事なの?」

「……はち……ぐっちょぶ」

「異世界の書……それが4万冊……フフフ……」

 そんな俺達をよそに、ジブリールはヨダレを垂らしながら不敵に笑う。なんか前よりも変人度上がってないか?

「どう?信じられないか?」

 空の言葉で現実に戻ったジブリールは失礼と言いながら咳払いし、正気に戻る。

「異世界の書があるということ自体は否定しません。しかしそれをどうやって手に入れたのか……まずはあなた方が何者なのか知りたくなりますね」

 あれ?俺の時と反応違くない?ねぇ違くない?

 はっ!なんかとてつもなくうざい奴が乗り移った気がした。誰だろう。ん?ザイモクザ?知らないですねぇ。

 何者か、という問に空は躊躇いなく答えた。

「ああ、俺たち異世界人だから」

 それ言って良かったのかよ。何故か反応の薄いこちら側の陣営、ステフを見ると知っていると言うように頷く。

 だが、彼女はそれを否定した。

「いえ、それはありえません」

「へ?なんで?」

「仮にあなた方が異世界から来たというなら、それをこの世界に留まらせるには莫大なエネルギーと高難易度の魔法が必要になります。それを実現するのは位階序列第一位の神霊種(オールドデウス)でも不可能でしょう」

 ジブリールの説明を聞いたゲーマー兄妹はステフを見る。彼女に異世界人であることを話したのなら、ステフは異世界人であることを肯定して今に至るのだろう。

 気まずそうに目をそらすステフを無視し、俺はジブリールに問う。

「つまりどういうことになるんだ?」

 言った瞬間、その事を後悔した。満面の笑みをこちらに向けるジブリール。しかしそこから感じるのは殺意など、溢れんばかりの悪感情。俺は悪感情を大変美味である、とか言えるほどチートじゃないからまじ怖い。多分盟約がなかったら一瞬で塵にされてると思う。まぁそもそも盟約がなかったらあんな事しないんだが。

 ゆっくりと俺から目線を外し、一つ咳払いを入れて彼女は言う。

「つまり、あなた方は『未知』ということになります」

 言い終えると彼女はゆっくり立ち上がり、まるで神に祈るが如く天を見上げる。

「未だ知らずと書いて『未知』っ!なんと甘美な響きでしょう。姿形は人類種(イマニティ)でありながらその本質は違う…ぜひ調べさせてくださいっ!」

 優雅という態度から一転、好奇心の亡者と成り果てたジブリールが空に迫る。あ、こいつこそですね。私、気になります。

「ま、まて。調べるって具体的には?」

「性感帯を、でございます」

「気が済むまでやってくれ、気が済んでもやってくれ」

 変態2人の会話をやや引き気味に見る俺とステフ。

「……にぃ、18禁……却下」

「くっぬう……なら下を脱がすのは禁止だ。あと、こっちが触らせるんだ、そっちの性感帯も触らせろっ」

「はい、よろしゅうございますよ」

「へっ!?いいんですの!?」

 かくして、知識欲と色欲が入り乱れる交流会がスタートする。

 

 

 

 

 

「出来れば違うところを触りたかったよちくしょう…」

 空が嘆く理由、それは天翼種(フリューゲル)の性感帯が羽根だったからだ。精霊回廊を宿す彼女の羽根は魔法を使う為に存在することもあるため、感覚的に敏感なんだそうだ。

 なんか途中から空が羽を触りながらジブリールを喘がせてたのは…見なかった事にしよう。

「……で?俺たちはどういうことになるんだ?」

「構造上では人類種(イマニティ)と同じく精霊回廊を宿していません。しかしながらこの世界とは別時空に生きる者である認識はいたしました。この世界ではあなた方は生物というより物体といった分類でしょうか」

 雪ノ下に人外扱いされる度に否定してきた俺がついに生物というカテゴリーエラーを起こすとは。

 しかしこれで異世界人という証明は出来た。あとは空白がジブリールに勝って図書館貰うだけだな。

「んじゃまぁ俺たち3人の正体も確認したことだし、早速始めたいんだが」

「かしこまりました。では、まずはお互いの要求の確認といたしましょう。そちらは4万冊の異世界の書を賭ける代わりに私の図書館をご希望とのこと。しかし、それでは釣り合いませんね」

「へ?いや…」

 空が何かをいう前にジブリールは手を自らの胸に置き口を開く。

「それでは私の全て、というのはどうでしょうか」

 あまりの大胆発言に俺たちは瞠目する。だがいち早く状況を理解した空は笑い、それを肯定した。

「本当は自らの国を賭けられないのが残念なのですが」

「そこまでされると逆に気が引ける。いいから始めようぜ?」

「そうですね。それでは、あなた方には私としりとりをして頂きます。しかしただのしりとりではなく、『具象化しりとり』です」

 ジブリールの一言によりテーブルの上に機械仕掛けの水晶の様なものが姿を現す。

 彼女の説明によるとルールはしりとりと同じ。既出の回答をする、30秒間回答しない、プレイヤーの続行不能が敗北条件。

 ただしここからがこのゲームの鍵、具象化だ。つまり有るものは消え、無いものは発生する。注意事項としては存在しないものは具象化できないことと、プレイヤーに直接関与するものは具象化できない、というより影響を受けないことだ。例えば『腕』と答えた場合、プレイヤー以外の腕がこの世界から消えることになる。何それ怖い。

「例えば『水分』って答えたら?人間の体って3分の2水分なんだけど」

「現在体に保有しているもの以外が消えることになります」

 なるほどね、とジブリールに返す空。大体は把握出来ただろうか。

「ちなみに世界と言っても、魔法で作った擬似的なものです。ゲーム中に死んでも現実には影響がないので、ご安心ください」

 それ、最後なんで俺見て言った?

「というかこれってわたくしここにいる必要ないですわよね。なら…」

「……ステフ、おすわりっ」

「ぎゃぁぁぁ逃げれなくされましたのぉぉぉ」

「なぁ?これって外から観戦ってできんの?」

「そんなことは言わずご参加ください。もちろんプレイヤーとしてではありませんが」

 なんでいちいちちょっといい笑顔で言うんだよ。

「他にはなにか?」

「ああ、一つ。俺たちは2人でやらせて貰うぜ?」

「どうぞご自由に」

 そしてプレイヤーは互いに右手を上げ

 

「「「【盟約に誓って】」」」

 

 高らかに宣言する。

 

 

 

 

 室内に声が響くとほぼ同じ。テーブルの上の水晶が輝き、周辺の世界を再構築していく。

「先行はお譲りします。精々知識の限りを尽くしてかかってきてください」

「おーけーそれじゃ『水爆』」

 プレイヤーを含む俺たちの頭上。そこに水素を大量に含んだ巨大な鉄の塊が出現する。そして一瞬の火気と共に水素が核反応を起こす。

 謎の物体であろう物を見たジブリール。しかしその火の気を目にし直感的にその答えに行き着く。

「『久遠第四加護(クー・リ・アンセ)』ッ!」

 人類史最大最悪の兵器はまさにその威力を見せ、周囲を一掃させる爆発を引き起こす。

 しかし晴れる爆煙の中、プレイヤーを含む全員が無傷で生還する。

「初手から自爆ですか?私が善意で庇わなければ敗北でしたが」

「おいおい、善意なんて言わなくていいぜ?俺はたった一手で終わりっていうクソつまんねぇシナリオは回避するだろうっつー常識的な確率に賭けたんだからよ」

 仮に本気で言ってんならそれは非常識だよ、空。

 しかし……だ。

 このゲームはどの言語も対応可能。この世界に何ヶ国語が存在するかは分からないが、俺達が元いた世界の言語も合わせると膨大な名詞の数になる。それを言い合っていたら当然終わりは見えない。このゲームを終わらせるには30秒の時間稼ぎかプレイヤー本体の排除が絶対条件となる。

 だが……

「こっちは継続不能って条件、果たせそうにないな」

 さっきの魔法で爆発から守ったのは俺たちだけ。つまりジブリールは水爆を無防備かつ生身で受けたのだ。にも関わらず

「無傷とかマジかよ」

「おや?生きていましたか。私としたことがうっかり魔法を展開する範囲を間違えてしまいました」

「それもとは俺殺す気だったってことかよ」

 浮遊しているジブリールは再び自分が座っていた椅子へと降りてくる。

「まさかとは思いますが、これで終わりではございませんよね」

「ああ、退屈はさせねぇよ。『精霊回廊』」

 するとジブリールの羽根の表面が一度光り、その後は光った存在諸共姿を消した。

「どうだ?覚えたての言葉だったけど」

「生命維持にはなんの問題もありません。強いて言うなら飛べなくなるのと、少し落ち着かないことでしょうか」

 空がこぼした感想の携帯や電波という言葉に食い付きを見せたジブリールは、正気に戻ると咳払いをする。

「では無難に『うま』」

「ほい『ま☆こ』」

 おい。なにノータイムで返してんだ。

 ステフもジブリールも何をどうしたか分からないだろう。

 白は空を見上げ、それに対して空はどうだ?と何故か聞く。いやほんとに何故か。どうだ?ってなんだよ。

「ほらほら、先を続けようぜ?」

 挑発的な空のセリフ。ジブリールはそれを肯定する様に言葉を発する。

 

 

 

 

 

 

 そこからは色々あった。

 具体的には海に行ったり、乳首が消えたり、水着を着せられたり、風に吹かれて写真を取られたり、挙句の果てには服を消されたりと。ここまで全部被害者はステフだった。だが俺はここで察するべきだった。

 矛先はすぐに変わると。

 

 人生とは理不尽なものだ。

「『ファイア』」

「あっっつっ!」

 ある時は火で焼かれ

「『穴』」

「あっぶねっ!」

 ある時は落とし穴に落ちかけ

「『ナギナタ』」

「のわっ!」

 ある時は頭上から刃物が落ちてくる。

「ってなんでお前ら協力プレーで俺殺しに来てんだァ」

 現在進行形で『一眼レフ』を首に下げたまま『妖怪』から逃げながら俺はプレイヤーどもに叫ぶ。

「てか『妖怪』って存在すんのかよ」

「怪異って言うのはそういうものだよ。どこにでもいるし、どこにでもいない」

「……おしの……パロ、乙」

「笑えねぇ」

 さっきまでいじられていたステフは空たちの後ろに横になっている。まぁ相当な疲労があるよな。だって俺もずっと疲労してるもん。疲労ingってるもん。

 

 

 

 

 

 あれからどれだけの時間が過ぎ、どれだけの言葉を交わしたか。

 今はステフが化け物に追いかけられている。

 身なりもそれぞれが変化していて、特に俺なんかボロボロ。

 上から落ちてきた『ハンマ』を躱してため息をつく。なんかこの状況に慣れてきてる自分が怖い。

 空はカレーを頬張りながら言う。

「……なぁ?ジブリールは腹減らないのか?『マントル』」

天翼種(フリューゲル)は食事を必要としないので。『ルイアーガ』」

「そうなの?でも眠くはなるだろ。そろそろ朝日も上りそうだし諦めてくんね?『外核』」

「睡眠も休養も必要ありません。あなた方から一つでも多くの知識を得るために、何日でも何ヶ月でも続けることができますのでご安心を。『クロック』」

 そう、このゲームには時間制限がない。30秒内の回答をし続ければある種無限に続くのだ。

「いや遠慮しとく。『クリーチャー』」

 ようやくステフを襲っていた化け物が消え、彼女が開放される。

「お疲れならそろそろ自ら負けてもよろしいのですが?脆弱な種族にしては良くやった方だと思いますので『灯り』」

 ここでようやく、空が動く。

「その脆弱だのなんだのって、人類種(俺たち)を下に見てんのがいちいち感に障るな。もしかして長寿なことだけが強さだと思ってんの?だとしたらお前の方がよっぽどおつむが弱い」

「……私が人類種(イマニティ)に劣ると?」

「それも分かんないってところが、お前の弱さ、暗弱なところだよ。んじゃそろそろ決めるか、なぁ?白」

「……んっ……」

 そう言って走り出し、遺跡のような建造物の階段を走り抜ける2人。

「ステフ〜ヤバいの引き付けてくれてサンキューな?おかげで勝てる。だから……ちょっと死ぬけど我慢しろよ」

 何の躊躇いもなく告げる空。そして30秒ギリギリ、空白は声を揃えて叫ぶ。

 

「「『リソスフェア』っ!」」

 

 ―同時に、足元に存在した地面そのものが消える。

『マントル』、『外核』と惑星を構成するものを先に削り、狙いはジブリールを惑星の核で焼くため。

 だが、

「まだ……私を“殺そう”としておられるので?」

 ジブリールは笑った。

 確かにそうだ。ジブリールの耐久力なら核本体にたどり着くまで死ぬことはないだろう。しかし、空たちは人間、本来この空間で生命維持できることすら奇跡的な存在。もはや終わったか―

「まだ朝はこさせませんよ―『朝』」

 それに対し空白は大きく息を吸い

「『酸素』」

 ただでさえ薄い空気中から酸素を奪う。もちろんプレイヤーではない俺とステフからは完全に酸素が抜き取られ――やべ……意識が……

 

 

 

 

 

 

 

「んで最後は『クーロン力』を無くして惑星爆発を起こしたと」

 ゲームは終了し、結果は空たちの勝利だった。ステフが死んだことに拗ねていたが、空から褒められたことですぐに機嫌を直していた。ちょろい。

「じゃまぁ俺たちの勝ちってことで。あ、あと異世界の書だけど勝負するための口実だったから好きに読んでいいし、この図書館もお前の自由に……」

 言いながら空はジブリールを見ると、彼女は跪き、空たちに頭を垂れている。そう言えばこいつが賭けたのは『ジブリールの全権』。つまり自らの全てだ。それは事実的な隷属を意味する。

 だが彼女には屈辱や悪感情は一切なく、ただ一心に忠誠を誓っていた。

 

 

 

 

 よし帰ろう。

 だってもうやること終わったし。て言いたいところだが、それは無理なのだ。

 

「んじゃまぁやるか」

 

「「「「へ?」」」」

 

 そう、帰りたいのはやまやまなんだが、まだやることがあるんだよこれが。

「……やるって……なにを?」

「だからゲームだよ」

 え?なんで皆ハテナ出してんの?俺が悪いの?

「ハチ?えっと……どういうことですの?」

「いやだからゲームすんだよ。そういう約束?はしてないか…まぁほら、ジブリール言ってたろ」

「え?あっ。いえ、あれは冗談と言いますか……私としては具象化しりとりで殺そ……嫌がらせをと思っていただけでしたので」

「いや言い直す必要ないから、分かってたから。それでもゲームはしようと思ってたんだがな。流石に解剖されるのはゴメンだが」

「そうですか。しかし私の目的も間接的には達成されたので、これと言ってする理由がないのですが」

 そうなのか。なんか覚悟決めて損した気分だな。

 ただまぁなんだ。自分がやった事のあと始末はしないとならんしな。

「んじゃあ俺から持ちかける。ゲームをしよう。内容はさっきの具象化しりとり、要求は互いに勝った方の言うことを一つ聞くこと、でどうだ?」

「なぜあなたがそこまでゲームにこだわるのか分かりかねるのですが」

「あーまぁあれだ。ちょっと言い訳をな」

「言い訳……ですの?」

「ああ。てか俺の場合それが目的だし、勝負の結果は副賞みたいなもんだ。どうだ?天翼種(フリューゲル)の全権代理者さん?」

「その呼び方にはいささか誤解を感じますが、よろしいでしょう。お相手します」

「よし。あ、でも要求に解剖は無しで頼む」

「それは決めかねますが」

 クスクスと笑うジブリール。さらに今まで空気だった彼らも口を開いた。

「なんか勝手に話が進んでるが……まぁいいか」

「……はちの実力……見れる……」

「確かにそうですわね。クラミーに負けはしてましたが、きっとハチもソラやシロみたいに強いのですわよね?」

「なにせ『  』(俺たち)と引き分けたやつだからな」

「本当ですのっ!?」

 いやそんな期待されてもな。てか空、それには語弊があるっての。それに今回俺は勝つ気がない。さっきも言ったが、俺がしたいのは言い訳だ。それが出来た時点で俺の目標は達成なんだよ。

「じゃあいいか?」

 確認をとった俺に彼女は頷き、互いに右手を上げる。

「「【盟約に誓って】」」

 

 

 

「それで、あなたは何がしたいのでしょう?」

「だから言い訳だよ。俺からでいいか?」

 彼女はそれを肯定した為、一呼吸置いて俺はこの言葉を口にする。

「『マックスコーヒー』」

 俺の手に出現したのはあの黄色いパッケージ、まさしく千葉市民の血液であり俺が愛する究極飲料(アルティメットドリンク)

 俺はマッ缶をジブリールに放って渡す。疑問を表情に出す彼女に俺は説明、いや言い訳を開始する。

「前に騙したのはこれを作るためだ。最も完全に真似ることは出来なかったけどな。こっちに来てから全然飲んでなくてな、早く飲みたい一心でやった事だ。まぁ……なんだ、悪かった」

 それを聞き彼女はマッ缶に目を向ける。どうにかプルタブの開け方を教え、ジブリールはマッ缶の開放に成功した。

 一口だけ、小さく缶からコーヒーを啜る。食事を必要としないらしいが、グルメリポーターよりも遥かに長くその味を吟味した彼女は顔を上げる。

「かなり甘味の強い飲み物ですね。なるほど、コミルの木の実はこれの為と…まさかこんなもののために私が人類種(イマニティ)風情に、いえあなたは厳密にはそうではありませんでしたね。まぁしかし、私は既にマスターの下僕。マスターがあなたを許せと言うなら私は歯噛みしてでも従います。ですが、この程度の言い訳と誠意でこのジブリール一生の不覚に許しを得られるなどとは思わないでください」

「お前の場合一生の重みが半端じゃないんだが」

「はい、それほどの事になります」

「マジかよ……」

 俺はここまで言って気付く。なぜ俺達は2人で会話をしている?

「なぁ、ほかの奴らは?」

「勝手ながらこのゲームには不参加にさせて頂きました。世界の領域も決めれば可能なので」

「なんでそんなことを?」

「あなたはマスターが認めた方だと知っています。そうでなければ、さっきあなたがゲームを仕掛けた際に止めるはずです。そしてあなたからは脆弱な生き物でありながら、それなりの覚悟と誠意が見受けられました。それにはこちらもまた(おの)が全てを持って答えるというのが礼儀というものでしょう」

「……」

 正直驚いた。こいつはただ傍若無人で、ゲームが強い知識欲の亡者だと思っていたから。

 だがこいつにも自分の信じる何かがあり、そして彼女は俺と同じくその何かを探している。身勝手で都合の良い考え方なのは分かっている。だがどうしてもそう思えてしまう。だから彼女は知識に執着するのではないか。だからたとえ相手が下等種族であろうとも全力を持って相手をしようとするのではないか。俺が『本物』を探すように、彼女もまた『何か』を見つけようとしているのではないかと。

 

 なら、俺と彼女は……

 

「なぁ、ジブリール」

「なんでしょう?」

 

「俺と……」

 

「申し訳ありません、それは出来かねます」

 

「まだ何も言ってねぇし、その断り方は心に来るんだが」

 なんで口調はともかく中身が雪ノ下と全く同じなんだよ。

 その意図を知ってか知らずか、ジブリールは俺に言う。

「現在私の全てはマスターの物。今、私に要求が出来るとすれば、それは盟約に誓ったゲームで勝つこと……と、そういえば30秒が経過していますね」

「っ………」

 そう言えばそうだった。目標達成してすっかり忘れてたが、今はゲーム中で、そのルールではジブリールの負け。つまり、俺には彼女に対して要求する権利があるってことになる。

 

「それでは、ゲームに負けた対価として要求を呑みましょう」

 

 

 何故彼女は負けた?わざとなのか……いやそれはどうでもいい。

 どうする、実際勝つ気はなかったから何も考えてなかった。しかし彼女の口振りから察するに、これは俺がしようとした要求を言えと言うことなのか。確かに盟約によって行われた賭けは絶対遵守される。俺の言ったことは必ず守られる。

 

 しかし

 

 俺はそんなことを望んでいるのだろうか。そんな関係を。盟約という肩書きを盾に、強制力にものを言わせた関係を。

 

 そんなのは欺瞞だ。

 

 なら俺は…

 

 

「ジブリール」

「はい」

 

「俺と……いや、俺に……

 

 

 

 

 

 この図書館を自由に使う権利をくれ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ヒロインはジブリール。
大事なことなんで前回を含めて2回言いました。白推し、ステフ推し、クラミー推し、フィー推し、そしてまだ登場していないいずなや巫女推しの皆様申し訳ありません。
そして今回いよいよジブリールがヒロインらしくなって来ました。
字数が多くなったので一度区切りますが、これからもご愛読頂ければ嬉しく思います。
感想や誤字報告、特に感想をお待ちしております。

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