どうも。
タイムリープは鬱展開がテンプレだと思う、江波界司です。
今回は少々短めです。
あと私的な理由ではありますが、これから更新が遅れるかもしれません。本当に申し訳ありません。
それでは本編をどうぞ。
「そういえばですが、マックスコーヒーなるものの模倣体とはどういったものなのでしょうか?」
深夜の図書館。既に深夜テンションで変な事を口走った挙句なんか約束をしてしまった俺。
「今そんな余裕はない……」
正気に戻った俺はついさっき行った自分の行動全てが急速に黒歴史と化し、ナウで両手をついてガックリと項垂れている。
「どうしたのでしょうか?身体的なダメージを与えた覚えはありませんが」
「精神的なダメージだよ。それも自滅で。あとお前からも大分受けてるからな」
「やはり
そうでしょうね。もしお前が人だったら今日の大半の言動が全部黒歴史になって精神崩壊しかねないわ。
「あと今日言ったことは空たちには言うなよ」
「了承しかねます。私はマスターに逆らうことは出来ませんので」
あいつらには絶対に悟らせない様にしないとな。
そんなことを考える最中、ジブリールは突如空中を見上げる。
「……はい、承知致しました。それでは今すぐに」
するとジブリールは目の前に手を突き出し、だがそこからは俺には理解出来なかった。何故って、そこには空と白がいたからだ。
「ほぉ〜。魔法ってすげぇな」
「待てなんでいる。てかどうやって来た」
「……ジブリールの、まほう?」
「そっちも分かってないのかよ」
横に首を傾げる白。元々幼いながらも整った顔も相まってかなり可愛い。おっと、これじゃまるでロリコンですね。
「それでどうしたんだ?」
「ちょっと言い忘れたことと、調べものをな」
「言い忘れた?」
「ああ。まずはジブリール。この図書館の本の管理は一任する。俺達がこれから勝ち進むに当たってお前の知識と賭け金、お前の存在が大きな武器となる。役に立つならさっき渡したタブレットも遠慮なく使ってくれ」
なるほどな。てか、俺が言ってたこと聞いてたの?今日は寝ようって言ったじゃん。まぁ俺も寝てないから説得力ないんだけど。
「とまぁこれでいいかな。あとは調べものだけど…ん?おお準備いいなジブリール」
「はい。全てはマスターのためにございます」
それ俺が頼んで用意したやつだよね?
しかしまぁ、こいつらが調べものをするってなら今日は寝てもいいか。実際ステフに負担をかけない、主に心配させないっていう目的は果たしたしな。
「んじゃ俺は戻るわ」
「ん?八は調べてかねぇの?」
「お前らがやんだろ。それに俺は眠い」
「ほいほーい。んじゃジブリール、よろ」
「承知致しました」
するとジブリールは俺に手のひらを向ける。なんなの?ビックバ○アタックなの?あれって爆煙上がったら生存フラグなんだよなぁ。いや待て、もしジブリールにそんなの撃たれたら絶対死ぬわ。
そんなことを考えるのも束の間、俺の周囲が一瞬光を帯びた気がした。しかしそれを認識する前に俺の視界に入る風景は変化する。
体全体に感じる浮遊感。そしてあとは重力に従って背中から地面、にしては柔らかい何かに落ちる。どうやらベッドのようだ。
「知ってる天井だな」
そう、ここは俺のこの城での自室。ここ最近の寝床だ。
しかしテレポートでわざわざ空中に移動させる辺り、さすがのジブリールさんだな。
まぁいい、疲れたのは本当だ。かなり夜も遅いが寝てしまおう。
思い立ってすぐに、俺の意識は消失する。
「継続は力なりと言うが、こればっかりはちょっとなぁ」
なぜ俺はこんなに早く起きたのか。実質4時間も寝てないんじゃないか?
まぁしかしだ。用事もある事だし仕方ない。俺はいつも通りに部屋を出て、城の扉を開けて外に出る。
簡単な柔軟と準備体操で体をならし、一つ息を吐いて前を向く。
その瞬間
「どちらに行かれるので?」
「のわっ!」
いきなり後から声がかけられた。扉が開けられる音もなかったため、素で驚いてしまった。……オマケになんか変な声出しちゃったよ。
「ジブリールか。ちょっとランニングにな」
「はぁ、そうですか」
クラミーとフィーとの約束があるため、毎朝俺は町の外に出る必要がある。今は自転車通学なんてことをするわけもないので、俺は体力維持の為にこうしてランニングしているのだ。
この世界はもといた世界と違い、備えておかないと人権や命まで取られかねない。
例えば昨日の具象化しりとり。参加者は生身でゲームを開始するため、化け物に追いかけられるのはかなりキツかった。今後もそんなゲームに参加する可能性は否定出来ないため、とにかく備えておこうというなんとも卑屈丸出しの考えだ。
「んで?お前こそどうしたんだよ」
「いえ、マスターに朝ごはんを届けるにあたってドラちゃんを起こしておこうと思いまして」
「この城に猫型ロボットはいないはずだが」
「……?ああ、確か本名は……ステ……申し訳ありません。これ以上は興味がない故思い出せません」
「いやどうにか伝わった。取り敢えずステフが猫型ロボットに昇格したこととお前が俺とステフに興味がないことは分かった」
だってこいつ未だに俺の名前覚えてないんだもん。聞いたクセにだよ?こいつほんといい性格してる。
「んじゃそろそろ行っていいか?」
「ランニング……ということはどこかに行くわけではないのでしょうか?」
「え?なんで?」
「あなたがただの向上心の為だけに行動するとは思えませんので」
「お前、俺のことなんだと思ってんだよ」
「無駄な行動が嫌いな、悪く言えば欲深な
「それわざわざ悪く言った意味あったか?」
誰が欲深いって?俺ほど欲のない人間もそういない。なんなら欲が無さすぎてそろそろ欲って概念が無くなるまである」
「あなたがそれを言うのですか」
「なにお前エスパーなの?そういう能力持ち合わせてんの?」
「いえ、普通に声に出ていました。それに、あなたには欲という概念はまだまだ無くなることはないでしょう。あなたは『本も…」
「分かった。分かったから少し黙れ」
「私に指図するとは、随分偉くなったものですねぇ?」
「悪かったから凄むなって」
だからその笑顔でなんで恐怖を与えられるのん?。何回見ても怖い。むしろそれに慣れつつある自分が怖い。
と、そろそろ行かないと遅れるな。流石に待たせるのも悪い。
「悪いがそろそろ行くぞ」
「そうですか。それでは」
ジブリールはそう言うと手の平を上にして、人差し指で俺を指す。なにかと問う前に、ジブリールは姿を消した。
「まぁいいか」
いつもする遠回りをせずに、俺は目的地へ向かう。
「いつも悪いな」
「いえいえ〜なのですよ」
俺はいつも通りフィーからコミルの実が入った紙袋を受け取る。
「お前これから何か買いに行くんだろ?金とか払った方がいいか?」
「気にすることはないのですよ。そもそもあの場所のことを秘密にして貰えるだけで十分なのですから」
「そうか」
それじゃ、と短く言って俺はもと来た道を引き返す。
流石に袋を持ちながら走るわけにも行かず、帰りは徒歩だ。町もようやく目覚め始め、所々では人が行き交っている。
ふと思う。この世界の生活にも大分慣れたなと。
「しかしなぁ」
この先のことを考えると少々滅入る。
この平和な街の風景は、もうすぐ空白が起こすだろう国家戦の風を受けてどう変化するのか。だがそれも含めて、俺は見届けると決めたのだ。
そういえば、あいつらは徹夜で調べものしてるみたいだな。マックスコーヒー、持って行ってやるか。
「あ、ハチ。おかえりですの」
「おう。ってお前どうしたの」
城に帰り最初に見たのは、ウキウキとしているステフだった。
「理由は簡単でございます。ドラちゃんに私の厨房をお貸しするようマスターに頼まれたので、それをお伝えしました」
なるほどな。つまり空に手作りの食べ物を渡せるからテンションが上がっていると。
「んじゃ俺も行く。マックスコーヒー作りたいし」
承知致しました、というジブリールの声とともに俺とステフは一瞬で厨房へと移動する。
「何が起こりましたのっ!?」
「なんでもいいだろ。んじゃやるか」
困惑するステフを無視してマッ缶制作にかかる俺。それを見てステフも落ち着きを取り戻……してはないが作業にかかる。
それなりの時間を要し、互いに調理が終了する。
多分聞こえてるだろ。
「ジブリール〜」
ここにはいない者に対して言った言葉に、ステフは首を傾げる。
しかし何か声が聞こえる訳もなく、俺とステフの周囲が一瞬だけ煌めき、見えている風景が変わる。
そして目の前にいる3人組。そのうちの一人、Tシャツ姿の男はテーブルに肘をついて手を組み
「ではジブリール君――」
その手の上に顔を預け、某グラサンのお父さんの如くシリアスな雰囲気で
「これから俺に征服される獣耳っ娘王国、『東部連合』についての説明を」
自らの欲求をストレートに表現した。
それを見れば当然思うだろう。それどころかうっかり声に出してしまう。
「「もうこの国ダメだな(ですの)」」
これがエルキアを救う、俺とジブリールが期待する者。童貞、ニート、18歳、空である。
ジブリールの説明を要約するとこうだった。
「つまり獣耳っ娘王国は俺のもんだ」
「いや違うから」
こいつ本当に素直だよな。いっそ清々しい程だわ。
『東部連合』。かつては数多の部族が争いを繰り返していたが、『巫女』と呼ばれる存在が現れ、たった半世紀で争いの絶えない
「んで、その国を倒しに行くんだろうが……」
「それが不可能にございます」
ジブリールは即刻否定する。それは彼女の信じた彼らでは無理だと言うことだろうか。
「……ジブリール……」
「それはつまり
流石に空たちもジブリールの反応には異議を申し立てる。
「いえ、そうではありません。私ではその東部連合に勝つための知識を提供することが出来ないのです」
その理由は?ズバリ聞いた俺の質問に、彼女は平然と答えた。
「私は一度、東部連合に勝負を挑み、負けています」
彼女のこの言葉は、本来ならおかしい。仮に一度挑んでいるならどんなゲームかを知っているはずなのだ。それなら例え必勝法は分からずとも、その内容を教えればいい。
「そして私は、そのゲームの内容を覚えていないのです」
しかし俺の考えを否定するかの様に彼女は続けた。そしてその言葉の内容は、かなりの絶望を突き付けることに他ならない。
「これ詰んでねぇか?」
「確かになぁ」
そしてそれはここにいる全員が理解できる事実だ。
「へ?なんでですの?」
前言撤回、アホの子がいました。てかこいつなんで事務作業は出来んのにこういうことはからっきしなんだよ。ステ振り間違え過ぎだろ。ステフだけに?はいつまんないですね。
……なんか例えが空っぽくなっちまったな。毒されたかな。
「あのなぁステフ。普通に考えてみろ」
「ふ、普通にですの?」
「そうだ。まず東部連合にジブリールが負けている。しかも勝った権利でその記憶を消している。ここまでいいか?」
「は、はいですの」
「つまりそれは必勝の手があって、それを他国には一切漏れないようにしてるって事だ」
「な、なるほどですの」
「そうなるとこっちは情報を集めるにも、他の国に聞くことも出来ないし、わざと負け覚悟で特攻する事も出来ないってことだ」
「確かにそれは、かなりキツい状態ですの」
「おい八。俺たちは負ける気はないぞ」
「それは
「そ、それでどうしますの?」
「どうするってお前……」
マジでどうすんだよ。てか、そもそもこんないかにもな相手に挑むバカいんのか?負け知らずでしかも記憶を消されるとか、おまけに
「ちなみにジブリール。東部連合はその手でどこから勝ってんの?つっても、そもそも挑む所がないか」
空も同意見のようだ。だよなぁ。もしいたらそりゃかなりの大バカ野郎だ。信長が常識人に見える程のうつけ者だわ。
「いえ、一ヶ国、と言うより一人だけおります。その東部連合に勝負を挑んだ者が」
おいおいマジかよ。確かに東部連合を倒せればかなりの物が手に入るだろう。しかし、その行動は勇者ではなく愚者だ。高望みで勝負を挑むなんぞ、この世界じゃなくても愚行でしかない。
「それも八回挑み、全て負けています」
愚者通りこして愚者の王だろ、それ。もういっそ愚王だろう。
「んで、その東部連合に挑んだ奴って?」
「
マジで愚王でした。
ところでステフ?なんで逃げようとしてんのかな?
前書きでも書いた通り、次回以降更新が遅れそうなので、先に謝罪を。
出来る限り早い更新を心掛けますので、今後ともご愛読頂きたいと思います。
感想や誤字報告、お待ちしております。
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