「エルキア王国奉仕部ラジオにございます」
「ついにオープニングまで乗っ取られましたわぁぁぁ!」
「開幕早々テンション高ぇ」
「このラジオは、詳しくは前回をお読みください」
「説明、省くんですのね」
「めんどくさかったんだろうな、作者」
「やめてあげて下さい」
「今回も素敵なゲストを呼んでいます。どうぞお入りください」
「入室からやるのな」
「ひゃっはろ~。雪乃ちゃんのお姉ちゃん、雪ノ下陽乃でーす」
「げっ」
「ちゃっと比企谷くん?その反応は傷ついちゃうよ?」
「うそつけ。それで、なんであなたが?」
「ん?それはもちろん依頼人だからだよ。奉仕部は来る者拒まず、のはずだからね」
「拒みてぇ」
「えっと、とにかく!今回はこの四人でお送りいたしますわ。よろしくお願いします、えっとハルノさん」
「うん、よろしくね。ドラちゃん」
「なんで呼び方がそれなんですの」
「犯人分かり切ってるけどな」
「はて、なぜこちらを見るので?」
「⋯⋯まぁいいや。それで、雪ノ下さんの依頼ってなんですか?俺らにできる範囲だといいんですけど」
「あ、それなら大丈夫だよ」
「え?何でですの?」
「だってね。私の依頼、
「おい誰?こんな依頼受けたの誰?」
「それではエルキア横断お悩み相談メールに参ります」
「おい、無視すんな」
「では、どうぞ」
「はい、ありがとね。今回一発目、最初のお便り。ラジオネーム:修羅々木さんから。『毎朝、妹たちが叩き起こしてきます。いや本当の意味で、物理的に。この前に関しては叩くだけじゃ足りず、彫刻刀まで握って切り起しに来ました。どうすれば僕はこの命を守ることができるでしょうか』だって」
「怖すぎますわ、その妹」
「一部業界ではご褒美なのでは?」
「なんでこっち見てんだよ」
「そっか、比企谷くんはそういうのが好みなんだ、ふ~ん?」
「違いますから。シスコンではありますけどヤンデレは範囲外ですから」
「そこは認めるんですのね」
「疑いようがありませんからね。それで、どういたしましょう」
「妹さんたちに直接頼めばいいのに」
「それ、あなたならできますか?」
「ん?簡単だよ。辞めなきゃわかってるだろ?って優しく言うだけだからね」
「妹より怖えよ」
「こんなことして、親御さんは何も言わないんですの?」
「放任なタイプだったらまぁ」
「流石の説得力だねぇ」
「放任どころか放置されている方の言葉は重みが違います」
「なんで比企谷家の事情知ってんだよあんたら。てかこれ、考える前もなく普通に解決するだろ」
「え、そうなんですの?」
「だからこそ面白く話したんだよ、比企谷くん。だってラジオだよ?」
「『早く起きろ』。では次に参りましょう」
「ラジオネーム:猫に願った少女さんからですわ。『変態さんがいます。助けてください。それと、姉と折り合いがあまりよくありません。ご意見が聞きたいです』とのことですの」
「これ、どっちが本題?」
「変態さんかぁ。どうすればいいかな」
「それは理解者に聞くのが妥当でしょう」
「なるほど」
「ダブルでこっち見ないで下さい」
「前者はハチに任せるとして、後者は難しいですわね」
「おいステフ。お前まで人を変態扱いすんな」
「普通に接するのが一番だと私は思うよ」
「妹と折り合いがよければ説得力あるんですけどね」
「なにか言ったかな?」
「いえ、なにも」
「何か理由があるのでしたら、それを解決すればと思いすが」
「確かにそうですわね」
「簡単にはいかないだろうけどな」
「比企谷くん。私をチラ見したのはなんでかな?もしかして、変態さん?」
「だから違いますって」
「『変態には罰を。問題には答を』」
「ジブリールさん?タイピングに殺意が感じられるのは気のせいですか?」
「次です。ラジオネーム:yumikoさんから。『気になる人がいるんだけど、告るとかちょっときつくて。絶対気まずくなるし。なんか、どうすんのが正解が分かんないっていうか』とのこと」
「まさかガチの恋愛相談が来るとは」
「うんうん、青春だねぇ」
「こういったものは、私は力になれそうにありませんね」
「告る?ってなんですの?」
「告白することですね」
「難しいね。私、告った経験とかないし、う~ん」
「告られた経験なら多そうですね」
「というより断った経験かな」
「では断られた経験が豊富なあなたはどう思われるので?」
「的確にダメージ負わせんのやめろ」
「告白するって、あまり難しいとは感じないですわ」
「じゃあ空に告ってこいよ」
「なっ!いや、あれは違うんですのっ!そもそもこの感情も――」
「はいはい」
「難しいって言うんだったらだけど、私たちもこの子も断られる前提なんだよね」
「で、それがどうしたんですか」
「もしも可能性がないって思うなら、まだその時じゃないんだよ。自分を信じることは相手を信じることよりも大切だよ」
「なんだか、かっこいいですわ」
「いいこと言いますね」
「ハチが珍しく肯定的ですの」
「だから俺も自分を信じてる。信じすぎて他を信じれなくなってるまである」
「いつも通りでしたわ⋯⋯」
「『自分を信じてこそ、相手を信じられる』。深い言葉ではありますね」
「フツオタだよ」
「え⋯⋯ゲストにまで取られるんですの⋯⋯」
「ラジオネーム:デウス・エクスさんから。『楽しく拝聴しています。みなさんに質問ですが、素敵なお嫁さんの条件ってなんですか。女性目線と男性目線の両方を聞きたいです』だそうです」
「素敵なお嫁さんか~。比企谷くんはどんなお嫁さんがいいのかな?」
「質問の内容が微妙に違うでしょ。まぁ普通に、俺を養ってくれたら素敵だ」
「クズですわ」
「ドラちゃん、正しくはごみクズです。そして好みの妻を答えるのですね」
「比企谷くんはブレないなぁ」
「集中砲火かよ。で、みなさんはどうなんですか」
「そうですわね。料理ができるのは条件かもと思いますわ」
「できるに越したことはないかもね。でも最近は男の人でも料理するし、最低条件とまではいかないんじゃない?」
「ハルノさんはどんな条件だと思います?」
「そうだね。旦那さんが頑張って仕事しようって思えるような妻、かな」
「働きたくねぇ」
「具体性があまりない気が。ですがもっともだとも思います」
「ジブリールはどうだ?」
「あまり想像できませんね。結婚というものから逆算すると、互いに空白を埋め合える存在でしょうか」
「それ、どちらかっていうと夫婦像だろ」
「でも理想の夫婦なのは半分正解ってことだよ」
「半分不正解じゃねぇか」
「理想の妻あってこその理想の結婚ですわ」
「そんなもんか」
「そんなもんだよ」
「ところで、聞かれたのは素敵なお嫁さんだったはずなのですが」
「あ⋯⋯いつの間にか理想を語ってましたわ」
「んじゃ次。ラジオネーム:はや×はち推奨さんから。『最近、はや×はちが熱いっ!女性陣の皆さんはどんな組み合わせ派、どっちが攻めか受けか。ぜひ聞きたいです』。俺何読んでんだ……」
「セクハラですか?」
「俺の意志じゃねぇ」
「あはは、これはまたストレートだね」
「だから違いますって。いやそもそもセクハラなのかよ、これ」
「えっと、ごめんなさい?これ、何言ってるのか分からないんですけど」
「わからんままでいい」
「いつか文献に触れたことが。確か、属に言う腐女……」
「知らんままでいいってのっ」
「ん?このはちってひょっとして比企谷くん?そっかそっか、道理でねぇ」
「あんた何一人で解決した、みたいな顔してんだよ」
「なるほど。マスターと違い異性に対して一切の反応がないのはそういった意味で」
「やめてっ、本当にやめて」
「なんでわたくし、ここまで置いてけぼりなんですの……」·
「いや、この話に関しては入ってくるな。なんなら早く次行こう」
「ここで一曲、リクエストにお答えしますわぁぁぁ!」
「ここぞとばかりですね」
「そりゃゲストにすら乗っ取られたらな」
「え~比企谷くんは私が悪いって言いたいの?」
「ノーコメントで」
「ラジオネーム:エイトさんから、悠木碧さんで『ヒマワリGood Days』⋯⋯ですわ」
「「うわっ」」
「おい。なんでこっち見るんだよ。うわっとか言うなよ」
「比企谷くん。流石に自分の出てるラジオにリクエストだすのは、ねえ?」
「なんで俺が送り主だって決定してんの?証拠を出せ、証拠を」
「そのセリフがもう犯人ですね」
「ハチ……」
「なんか言えよっ。いや言わなくていいけど」
『――見上げた空に、キラキラ太陽――』
「“ノーセーフ・ノーライフ”のコーナーにございます」
「んじゃ雪ノ下さん、ハガキ2枚引いてください」
「はいはーい。よいしょっと」
「1枚目、ゲームの内容ですわね。ラジオネーム:いろはすさんから。『ずばり、ポッキーゲームです!』。あの、ポッキーゲームってなんですの?」
「いやこれ、普通に罰ゲームじゃねえのかむしろ」
「むぅ、比企谷くん。それどーゆー意味だぁ」
「いや恥ずかしさで死にますってこれ。マジでノーライフですって」
「生きることにすら羞恥がないあなたなら問題ないと思いますが」
「愚考だ」
「はい、じゃあ罰ゲームの方ね。ラジオネーム:金狐さんからだよ。『敗者は勝者を三ヶ所褒める』だって」
「勝っても負けてもかよ……」
「もう、比企谷くんはこのメンバーでやるのが不満なの?」
「ゲーム本体が不満なんですよ。誰とでも嫌ですよこんなの」
「だから、あの、ポッキーゲームって……」
「ではクジで代表者二人に勝負していただきます」
「マジかっ」
「え〜せっかくだしみんなやろうよ〜」
「尺の問題と、恐らく音声だけで伝わらないだろうという点でこうなりました」
「ならやんなよ」
「ですからっ!ポッキーゲームってなんなんですのっ!」
「クジをどうぞ」
「ハァ……」
「は〜い」
「あの、無視はやめて欲しいんですの」
「あ、お姉さん参加権ゲットだよ〜」
「ぐわっ」
「露骨にダメージを食らったような反応を」
「わたくしは参加しないんですのね。まぁルールもわからないですし、別にいいですわ。ええ本当に」
「ステフ、代わろう。ルール教えるから」
「ダメだよ?」
「それでは、ポッキーにございます」
「うん、ありがと。じゃあ比企谷くん。……ふぁい」
「っ……」
「一応ルール説明を。双方が一本のポッキーを両端から食べ始め、先に口を離した方が負けになります。もし折れた場合はもう一度していただきます」
「えっ、それって……」
「あの、棄権……しない。わかった。だからその拳を下げてくれジブリール、やめろまじで」
「早々に始めてください。ちっ……」
「今舌打ち聞こえたけど」
「気のせいです。早く」
「……っ、……くそっ」
「双方準備が出来ましたね」
「すごく如何わしい絵面ですわ」
「では、スタートにございます」
「……っ!」
「よし、負けた」
「あ、比企谷くんずる〜い」
「ルールはルールですよ」
「先に離してしまえばすぐに終わると。考えましたね」
「流石……なんですの?」
「でも、忘れてないよね?罰ゲーム」
「大丈夫です」
「それは結構。さぁ、お姉さんを褒めてみなさいっ」
「文武両道、容姿端麗、外面完璧」
「ねぇ、それ褒めてるの?」
「それに棒読みですし」
「人を褒めるセンスが壊滅的なのですね。特に最後」
「ノルマは達成した。文句を言われる筋合いはない」
「ん〜やっぱり比企谷くんは比企谷くんか」
「人の名前、蔑称に使うのやめてね」
「そろそろ終わりだな」
「えぇ、もうなんでもいいですわ」
「自暴自棄になんなよ。この位は別に誰でもいいだろ本当に」
「陽乃さん、何か言い忘れたことはございますか?」
「比企谷くんにもっとちゃんと褒めて欲しかったなぁ」
「あれが限界です」
「将来性皆無なコミュニケーションスキルだなと思うばかりにございます」
「まぁ、ハチですし」
「そうだよね、比企谷くんだもんね」
「ちょっと?いくら俺でも傷つくよ?泣いちゃうよ?」
「そんなわけでお送りしましたわ、エルキア王国奉仕部ラジオ。お相手は、ステフことステファニー・ドーラと」
「ジブリールと」
「ハチこと比企谷八幡と」
「ゲスト、雪ノ下陽乃だったよ〜」
「see you again!ですの〜」
「バイバーイ」
「あ、ジブリール」
「なんでしょう?」
「お前、ゲスト担当、今後禁止な」
「次回は、あるのでしょうか」
ご愛読ありがとうございます。
番外編 エルキア王国奉仕部ラジオは必要ですか?
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