ノーゲーム・俺ガイル   作:江波界司

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エルキア王国奉仕部ラジオ 第3回

「エルキア王国奉仕部ラジオにございます」

 

「ついにオープニングまで乗っ取られましたわぁぁぁ!」

 

「開幕早々テンション高ぇ」

 

「このラジオは、詳しくは前回をお読みください」

 

「説明、省くんですのね」

 

「めんどくさかったんだろうな、作者」

 

「やめてあげて下さい」

 

「今回も素敵なゲストを呼んでいます。どうぞお入りください」

 

「入室からやるのな」

 

「ひゃっはろ~。雪乃ちゃんのお姉ちゃん、雪ノ下陽乃でーす」

 

「げっ」

 

「ちゃっと比企谷くん?その反応は傷ついちゃうよ?」

 

「うそつけ。それで、なんであなたが?」

 

「ん?それはもちろん依頼人だからだよ。奉仕部は来る者拒まず、のはずだからね」

 

「拒みてぇ」

 

「えっと、とにかく!今回はこの四人でお送りいたしますわ。よろしくお願いします、えっとハルノさん」

 

「うん、よろしくね。ドラちゃん」

 

「なんで呼び方がそれなんですの」

 

「犯人分かり切ってるけどな」

 

「はて、なぜこちらを見るので?」

 

「⋯⋯まぁいいや。それで、雪ノ下さんの依頼ってなんですか?俺らにできる範囲だといいんですけど」

 

「あ、それなら大丈夫だよ」

 

「え?何でですの?」

 

「だってね。私の依頼、ラジオ(これ)に出させて欲しいってことだから」

 

「おい誰?こんな依頼受けたの誰?」

 

「それではエルキア横断お悩み相談メールに参ります」

 

「おい、無視すんな」

 

「では、どうぞ」

 

「はい、ありがとね。今回一発目、最初のお便り。ラジオネーム:修羅々木さんから。『毎朝、妹たちが叩き起こしてきます。いや本当の意味で、物理的に。この前に関しては叩くだけじゃ足りず、彫刻刀まで握って切り起しに来ました。どうすれば僕はこの命を守ることができるでしょうか』だって」

 

「怖すぎますわ、その妹」

 

「一部業界ではご褒美なのでは?」

 

「なんでこっち見てんだよ」

 

「そっか、比企谷くんはそういうのが好みなんだ、ふ~ん?」

 

「違いますから。シスコンではありますけどヤンデレは範囲外ですから」

 

「そこは認めるんですのね」

 

「疑いようがありませんからね。それで、どういたしましょう」

 

「妹さんたちに直接頼めばいいのに」

 

「それ、あなたならできますか?」

 

「ん?簡単だよ。辞めなきゃわかってるだろ?って優しく言うだけだからね」

 

「妹より怖えよ」

 

「こんなことして、親御さんは何も言わないんですの?」

 

「放任なタイプだったらまぁ」

 

「流石の説得力だねぇ」

 

「放任どころか放置されている方の言葉は重みが違います」

 

「なんで比企谷家の事情知ってんだよあんたら。てかこれ、考える前もなく普通に解決するだろ」

 

「え、そうなんですの?」

 

「だからこそ面白く話したんだよ、比企谷くん。だってラジオだよ?」

 

「『早く起きろ』。では次に参りましょう」

 

「ラジオネーム:猫に願った少女さんからですわ。『変態さんがいます。助けてください。それと、姉と折り合いがあまりよくありません。ご意見が聞きたいです』とのことですの」

 

「これ、どっちが本題?」

 

「変態さんかぁ。どうすればいいかな」

 

「それは理解者に聞くのが妥当でしょう」

 

「なるほど」

 

「ダブルでこっち見ないで下さい」

 

「前者はハチに任せるとして、後者は難しいですわね」

 

「おいステフ。お前まで人を変態扱いすんな」

 

「普通に接するのが一番だと私は思うよ」

 

「妹と折り合いがよければ説得力あるんですけどね」

 

「なにか言ったかな?」

 

「いえ、なにも」

 

「何か理由があるのでしたら、それを解決すればと思いすが」

 

「確かにそうですわね」

 

「簡単にはいかないだろうけどな」

 

「比企谷くん。私をチラ見したのはなんでかな?もしかして、変態さん?」

 

「だから違いますって」

 

「『変態には罰を。問題には答を』」

 

「ジブリールさん?タイピングに殺意が感じられるのは気のせいですか?」

 

「次です。ラジオネーム:yumikoさんから。『気になる人がいるんだけど、告るとかちょっときつくて。絶対気まずくなるし。なんか、どうすんのが正解が分かんないっていうか』とのこと」

 

「まさかガチの恋愛相談が来るとは」

 

「うんうん、青春だねぇ」

 

「こういったものは、私は力になれそうにありませんね」

 

「告る?ってなんですの?」

 

「告白することですね」

 

「難しいね。私、告った経験とかないし、う~ん」

 

「告られた経験なら多そうですね」

 

「というより断った経験かな」

 

「では断られた経験が豊富なあなたはどう思われるので?」

 

「的確にダメージ負わせんのやめろ」

 

「告白するって、あまり難しいとは感じないですわ」

 

「じゃあ空に告ってこいよ」

 

「なっ!いや、あれは違うんですのっ!そもそもこの感情も――」

 

「はいはい」

 

「難しいって言うんだったらだけど、私たちもこの子も断られる前提なんだよね」

 

「で、それがどうしたんですか」

 

「もしも可能性がないって思うなら、まだその時じゃないんだよ。自分を信じることは相手を信じることよりも大切だよ」

 

「なんだか、かっこいいですわ」

 

「いいこと言いますね」

 

「ハチが珍しく肯定的ですの」

 

「だから俺も自分を信じてる。信じすぎて他を信じれなくなってるまである」

 

「いつも通りでしたわ⋯⋯」

 

「『自分を信じてこそ、相手を信じられる』。深い言葉ではありますね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フツオタだよ」

 

「え⋯⋯ゲストにまで取られるんですの⋯⋯」

 

「ラジオネーム:デウス・エクスさんから。『楽しく拝聴しています。みなさんに質問ですが、素敵なお嫁さんの条件ってなんですか。女性目線と男性目線の両方を聞きたいです』だそうです」

 

「素敵なお嫁さんか~。比企谷くんはどんなお嫁さんがいいのかな?」

 

「質問の内容が微妙に違うでしょ。まぁ普通に、俺を養ってくれたら素敵だ」

 

「クズですわ」

 

「ドラちゃん、正しくはごみクズです。そして好みの妻を答えるのですね」

 

「比企谷くんはブレないなぁ」

 

「集中砲火かよ。で、みなさんはどうなんですか」

 

「そうですわね。料理ができるのは条件かもと思いますわ」

 

「できるに越したことはないかもね。でも最近は男の人でも料理するし、最低条件とまではいかないんじゃない?」

 

「ハルノさんはどんな条件だと思います?」

 

「そうだね。旦那さんが頑張って仕事しようって思えるような妻、かな」

 

「働きたくねぇ」

 

「具体性があまりない気が。ですがもっともだとも思います」

 

「ジブリールはどうだ?」

 

「あまり想像できませんね。結婚というものから逆算すると、互いに空白を埋め合える存在でしょうか」

 

「それ、どちらかっていうと夫婦像だろ」

 

「でも理想の夫婦なのは半分正解ってことだよ」

 

「半分不正解じゃねぇか」

 

「理想の妻あってこその理想の結婚ですわ」

 

「そんなもんか」

 

「そんなもんだよ」

 

「ところで、聞かれたのは素敵なお嫁さんだったはずなのですが」

 

「あ⋯⋯いつの間にか理想を語ってましたわ」

 

「んじゃ次。ラジオネーム:はや×はち推奨さんから。『最近、はや×はちが熱いっ!女性陣の皆さんはどんな組み合わせ派、どっちが攻めか受けか。ぜひ聞きたいです』。俺何読んでんだ……」

 

「セクハラですか?」

 

「俺の意志じゃねぇ」

 

「あはは、これはまたストレートだね」

 

「だから違いますって。いやそもそもセクハラなのかよ、これ」

 

「えっと、ごめんなさい?これ、何言ってるのか分からないんですけど」

 

「わからんままでいい」

 

「いつか文献に触れたことが。確か、属に言う腐女……」

 

「知らんままでいいってのっ」

 

「ん?このはちってひょっとして比企谷くん?そっかそっか、道理でねぇ」

 

「あんた何一人で解決した、みたいな顔してんだよ」

 

「なるほど。マスターと違い異性に対して一切の反応がないのはそういった意味で」

 

「やめてっ、本当にやめて」

 

「なんでわたくし、ここまで置いてけぼりなんですの……」·

 

「いや、この話に関しては入ってくるな。なんなら早く次行こう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここで一曲、リクエストにお答えしますわぁぁぁ!」

 

「ここぞとばかりですね」

 

「そりゃゲストにすら乗っ取られたらな」

 

「え~比企谷くんは私が悪いって言いたいの?」

 

「ノーコメントで」

 

「ラジオネーム:エイトさんから、悠木碧さんで『ヒマワリGood Days』⋯⋯ですわ」

 

「「うわっ」」

 

「おい。なんでこっち見るんだよ。うわっとか言うなよ」

 

「比企谷くん。流石に自分の出てるラジオにリクエストだすのは、ねえ?」

 

「なんで俺が送り主だって決定してんの?証拠を出せ、証拠を」

 

「そのセリフがもう犯人ですね」

 

「ハチ……」

 

「なんか言えよっ。いや言わなくていいけど」

 

 

『――見上げた空に、キラキラ太陽――』

 

 

 

 

 

 

 

 

「“ノーセーフ・ノーライフ”のコーナーにございます」

 

「んじゃ雪ノ下さん、ハガキ2枚引いてください」

 

「はいはーい。よいしょっと」

 

「1枚目、ゲームの内容ですわね。ラジオネーム:いろはすさんから。『ずばり、ポッキーゲームです!』。あの、ポッキーゲームってなんですの?」

 

「いやこれ、普通に罰ゲームじゃねえのかむしろ」

 

「むぅ、比企谷くん。それどーゆー意味だぁ」

 

「いや恥ずかしさで死にますってこれ。マジでノーライフですって」

 

「生きることにすら羞恥がないあなたなら問題ないと思いますが」

 

「愚考だ」

 

「はい、じゃあ罰ゲームの方ね。ラジオネーム:金狐さんからだよ。『敗者は勝者を三ヶ所褒める』だって」

 

「勝っても負けてもかよ……」

 

「もう、比企谷くんはこのメンバーでやるのが不満なの?」

 

「ゲーム本体が不満なんですよ。誰とでも嫌ですよこんなの」

 

「だから、あの、ポッキーゲームって……」

 

「ではクジで代表者二人に勝負していただきます」

 

「マジかっ」

 

「え〜せっかくだしみんなやろうよ〜」

 

「尺の問題と、恐らく音声だけで伝わらないだろうという点でこうなりました」

 

「ならやんなよ」

 

「ですからっ!ポッキーゲームってなんなんですのっ!」

 

「クジをどうぞ」

 

「ハァ……」

 

「は〜い」

 

「あの、無視はやめて欲しいんですの」

 

「あ、お姉さん参加権ゲットだよ〜」

 

「ぐわっ」

 

「露骨にダメージを食らったような反応を」

 

「わたくしは参加しないんですのね。まぁルールもわからないですし、別にいいですわ。ええ本当に」

 

「ステフ、代わろう。ルール教えるから」

 

「ダメだよ?」

 

「それでは、ポッキーにございます」

 

「うん、ありがと。じゃあ比企谷くん。……ふぁい」

 

「っ……」

 

「一応ルール説明を。双方が一本のポッキーを両端から食べ始め、先に口を離した方が負けになります。もし折れた場合はもう一度していただきます」

 

「えっ、それって……」

 

「あの、棄権……しない。わかった。だからその拳を下げてくれジブリール、やめろまじで」

 

「早々に始めてください。ちっ……」

 

「今舌打ち聞こえたけど」

 

「気のせいです。早く」

 

「……っ、……くそっ」

 

「双方準備が出来ましたね」

 

「すごく如何わしい絵面ですわ」

 

「では、スタートにございます」

 

「……っ!」

 

「よし、負けた」

 

「あ、比企谷くんずる〜い」

 

「ルールはルールですよ」

 

「先に離してしまえばすぐに終わると。考えましたね」

 

「流石……なんですの?」

 

「でも、忘れてないよね?罰ゲーム」

 

「大丈夫です」

 

「それは結構。さぁ、お姉さんを褒めてみなさいっ」

 

「文武両道、容姿端麗、外面完璧」

 

「ねぇ、それ褒めてるの?」

 

「それに棒読みですし」

 

「人を褒めるセンスが壊滅的なのですね。特に最後」

 

「ノルマは達成した。文句を言われる筋合いはない」

 

「ん〜やっぱり比企谷くんは比企谷くんか」

 

「人の名前、蔑称に使うのやめてね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そろそろ終わりだな」

 

「えぇ、もうなんでもいいですわ」

 

「自暴自棄になんなよ。この位は別に誰でもいいだろ本当に」

 

「陽乃さん、何か言い忘れたことはございますか?」

 

「比企谷くんにもっとちゃんと褒めて欲しかったなぁ」

 

「あれが限界です」

 

「将来性皆無なコミュニケーションスキルだなと思うばかりにございます」

 

「まぁ、ハチですし」

 

「そうだよね、比企谷くんだもんね」

 

「ちょっと?いくら俺でも傷つくよ?泣いちゃうよ?」

 

「そんなわけでお送りしましたわ、エルキア王国奉仕部ラジオ。お相手は、ステフことステファニー・ドーラと」

 

「ジブリールと」

 

「ハチこと比企谷八幡と」

 

「ゲスト、雪ノ下陽乃だったよ〜」

 

「see you again!ですの〜」

 

「バイバーイ」

 

「あ、ジブリール」

 

「なんでしょう?」

 

「お前、ゲスト担当、今後禁止な」

 

「次回は、あるのでしょうか」

 

 




ご愛読ありがとうございます。

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