どうも。
ヒロインってなんだろう、江波界司です。
リアル恋愛ゲームを起動したことすらない私に、ラブコメは書けるのか……
気にしてねェで本編でェす。
時間というのは有限で、それ故に人の意志とは関係なく瞬く間に過ぎて行く。
約束の三十分が過ぎ、俺といづなはさっきまでいた隣の部屋に移動した。
「ん?二人は?」
「ああ、退席してもろたよ。あちらの提案通りね」
部屋に入ってまず気が付くのは、いたはずのジブリールといのがいない事だった。そういえばさっきジブリールが退席するかとか言ってたな。
「で、何が狙いだ」
「そんに睨まんでも、取って食ったりせぇへんよ?」
「盟約があるから、だろそれ」
マジで要件も終わったし早々に帰ろうと思ってたんだが、流石に思い通りには動かせてくれないか。
巫女はいづなの名を呼んで見つめ合うと、いづなが一度会釈をして部屋から出ていった。さっきまで俺が座っていた場所を彼女が指し、俺もそれに従ってそこへ座る。
「で、何か用か?口説こうってんなら、こっちもそれ相応の対応をするが」
「意趣返しのつもりかいな。まぁそれはまた今度にさせてもらうわ」
「次があんのかよ」
「あんたらが負けたら、あんたをあての従者として貰い受ける予定やからな」
「従者と書いて奴隷と読む雇用関係は勘弁願いたいな」
「辛辣やねぇ。そんな気、あてにはないよ?」
「だとしても、俺は働く気はない」
「胸を張れることやなしに随分ハッキリものを言う子やねぇ、ますます気に入ったわ」
何この人、ラルさんなの?青い星なの?
しかし本当に読めない。目的が分からないこと以上に、相手の行動を予測することが難しいことはない。それこそ、あの魔王のように。
「冗談はその辺にしといてくれ。じゃないとうっかり惚れそうになる」
「思わせぶりなこと言うやないの。まぁそやね、そろそろ本題に入ろか」
そう言った彼女の雰囲気がまた重くなる。この世界、ほんとに第六感で感じられるほど気迫すごい奴ら多すぎて困る。
「本題って、俺には用がないんだが?」
「こっちがあるんよ。まぁこれはさっきの約束云々とは別件、あくまで個人的なもんや。あんたの一言でエルキアが落ちるなんてことはないから安心してええよ」
「随分強気だな。ゲームで落とされんのはどっちだよ」
「それはまぁ追々かなぁ」
巫女はこれ以上は無駄話をする気はないと、姿勢を正すことで示した。横に持たれていた体を起こして、対話の意志を示している。
「あんたの本題ってのは、俺といづなの会話の内容か?」
「確かにそれも気になるとこではあるんやけど、今はええわ。あてが聞きたいんは、あんたの目的や」
目的、それは今回俺がした全ての行動の最終結果。すなわち俺の狙い。
傍から見れば降伏勧告をいづなにしに来ただけだ。だがそれにはあまりにも効率が悪い。仮に手の内を見せることで降伏を促すなら、もっと決定的なものを示せばいい。しかしそれをしなかった俺の行動は不可解でしかないだろう。
「俺がそれに答える義務はないだろ」
「確かにそやね。ならこっちにも考えがあるけど、どないする?」
「具体的には?」
「今退席しとる
これはハッタリだ。いくらジブリールとの折り合いが悪く挑発に適した状況であっても、あいつが簡単に乗るわけがない。
しかし彼女と話さないことには、こっちの狙いも達成できない可能性がある。本当はもっと後のつもりだったが、ここまでされては仕方ない。
「あんたの口車に乗ってやる」
「そいつはありがたいな。こっちも乗ってやった甲斐が有るってもんや」
やっぱり、ここまでの全ての行動はわざとか。東部連合の頭脳が俺の希望通りに動いていたのが不気味だったが、全部はここでこの状況をつくるためってことか。
「んで、俺はあんたに俺の目的を話せばいいのか?」
「そうして貰えるとありがたいんやけど、流石にそれをペラペラ喋るほど、あんたは頭使えんとちゃうやろ」
見透かされてるような気がする。それこそ完璧に誘導されているような。
覚悟を決めるしかない。現状では決定打も切り札もない。だがこの先にはタイミングを作れないだろう。もし彼女が俺の想像通りかそれ以上なら、確実にそうなる。
深呼吸の後、らしくもなく目を見ながら口を開く。
「あんたは、あんたらはいづなをどう思ってる」
威嚇、威圧、あちらの足下にも及ばないレベルの敵意を声と言葉に乗せてぶつける。
当然、巫女がそれにたじろぐことはなく平然と応える。
「あの子はようやってくれとる。現にエルヴン・ガルドや
予想通りの回答、それが酷く不快だった。
「あんたは何も思わないのか?」
「何がや?」
「いづなの異常さ、にだ」
彼女は異常だ。あの年で何故あんな目ができる、何故あんた決断ができる、何故あんな覚悟ができる。そして、何故しなければならない。
全てをこの世界のせいにすることもできる。しかしそれ以外にも理由を求めるなら、それは東部連合の一存にある。
「確かにあの子には、歳相応以上のことを要求してる節がある。けどそれはあの子の意志を無視しとるわけやあらへんよ?」
「いづなが今の状況に文句を言わないのは、それが当たり前だからだ。そいつにとってそれが普通で、他のやつから見たらどれだけ異質な行動でも、本人にとっては当然のことになってんだ」
「やから?仮にそうだとして、それに何か問題でもあるん?」
「ねぇよ」
「……はぁ?」
そう、ない。誰も、本人も納得して不幸じゃないなら何も問題はない。それは当たり前で、ある意味理想の形だ。
けど問題がないからこそ問題なのだ。理想は理想でしかなく、現実は理想ではない。そこには必ずあってはならないエラーがあり、しかしそれに誰も気付かない。
問題は問題にしない限り問題にはならない。しかし問題である以上、それは問題なのだ。だからこそ、それがわかるやつが止めてやらないといけない。それが理解してやれる『凡人』の役目なら。
「これはただのエゴで、俺がただそうして欲しくないだけだ。だから俺は、自分の意志でここに来た」
「なんやいづなに拘っとるみたいやけど、気ぃでもあるん?」
「違う、俺はロリコンじゃない」
違う、これはただの自己満足だ。
昨日、いつもと違う空を見て思った。たった一人で悩み苦しみ進む辛さは、本来知らなくてもいいものだと。それを知っているのは俺だけで良くて、それを知らずに進めること程無難な道はない。だからそれを知ってるやつが教えてやるべきだ、空には白がいると。
だが彼女は、いづなはどうだ。今あるこの状況にすら彼女は気付いていない。どれだけ自分が異常で、誰にも頼れない状態にあるのかを。
だからヒントを出した、彼女が気付けるように。
そしてもし、いづなが答えを見つけてそれを求める時が来たら、誰かが必ず側にいなければならない。たとえそれは俺じゃなくても、いや誰でもいい。しかし道を見つけるのはいづな本人でないといけない。
叶えるのではなく手助けをする。それがあの時から俺がやって来たことだ。方法は問わない、それしかなかったから。掛け金は惜しまない、それ以外に使えなかったから。
今の俺には、あの時より少しだけ賭けれるものが増えた。それは信頼などでは決してない打算によるものだが、それでも使えるものは使う。
ジブリールが彼らに『答え』を求めるように、いづなにもまた、彼らは何かを示すかもしれない。そしていづなの向かう道の隣にいてくれるかもしれない。
誰かを頼るわけじゃない。あいつらならそれが出来ると知っているだけだ。ただの効率重視、結果主義なだけで、そこに信頼はない。
「巫女さん、あんたはいづなの意志を聞いてやれるか?」
「もちろんや、それがあての役目やからね」
間を一切つくらず彼女は答えた。
未だに全てを出し切っていない彼女。そんな彼女を見て、何故かその言葉に確信を得た俺の理由を、俺自身が理解出来てはいなかった。
巫女との会合は本当の終わりを告げ、退席していたジブリールとも合流した。
「じゃあ帰らせて貰うぞ」
「ああ、また会うやろからな。また今度って言っておくわ」
「そういやゲームの日程ついては決まったのか?」
「それについては文を送ってあるはずですが」
は?いのお前何言ってんの?俺知らないよ?空たちが教えてくれないだけ?
「ジブリール」
「いえ、存じ上げません」
ってことは何?下の方で止められてるってことか。
「そっちもまだまだ大変みたいやねぇ」
「急いで帰る必要が出来たんでこれで」
挨拶に頭を下げた俺には続き、ジブリールも会釈をした後またいつものように転移の準備に入る。
巫女さんの部屋から直で帰るのは少々礼儀知らずかもしれないが、こっちも色々あるため仕方ない。
―いづな side―
八が言ったことが頭から離れねぇ、です。
分かんねぇ、です。どうすればいいかも、何をすればいいかも、分かんねぇ……です。
「サルん中にも、あんな目するのがおるんねぇ」
「巫女様、それは一体どう言った意味なのでしょうか」
「そのまんまの意味や。久しぶりやなぁ、こんな時やのに……血湧き肉躍るんは」
なんで巫女様はあんな顔できる、です。だっていづなが負けたら、みんな……
違ぇです。そんな事考えてたら勝てねぇ、です。
でも勝ったら……
分かんねぇ……です……
―いづな side out―
人類最後の砦エルキア王国。しかしそれ故か城下町はいつも賑やかなのだ。人々が常に共存し合う為に、そして絶望から立ち直る為に誰もが明るさと笑顔を絶やさずに生活している。
そんな活気溢れるエルキアは、現在違う理由で賑やか、いやもううるさい。
「城前に来なくて正解だな」
ジブリールの転移で人が少なそうな路地に移動した俺たちは、遠目に城の前を陣取るデモの集団を眺めている。
「本来味方である筈の国民からすら敵視されるあいつらの手腕が怖いな」
「それすら構わず進むマスターの能力と知力は尊敬に値します」
とてつもない意見の相違に今更どうこう言うつもりはない。
さて、さし当たってはこの中から東部連合から送られてきた手紙を持っている奴を探さねばならない。
「なんで俺がこんな面倒なことを」
「マスターの下で従順に仕えると誓ったはずでは?」
「いつの間にお前と同じ立場になったんだよ俺は」
「そして私の下で働くのでは?」
「お前は宇宙の帝王か」
もういいと言って集団へと進む。
だが俺の足音に気付いたのか一人の男が振り向くと、すぐに集団の奥へと進んでいく。一瞬だけ見えた男の表情には焦りが見えた。
「ジブリール、あいつ」
「ええ」
既に人ごみに紛れている男に向かってジブリールは手の平を向ける。
そして
「へ?え、え?」
俺たちの目の前にさっきの男が姿を現した。
「持ってるもの、出してもらえるか?」
まるでどこかのカツアゲみたいなことを言ってしまったが、これは至って正しい行いだ。俺は悪くない、こいつが悪い。
「な、何のことだ?」
もうめんどくさい。一々やっている事の非合理性とか文句とか言ってたらキリがない。
「ジブリール、十の盟約で暴力は禁止されてるよな?」
「ええ、意図的な殺傷、暴行その他は出来ません」
「つまり事故なら、仕方ないよな」
「へ?」
「例えばどんなものでしょう?」
「
「え!?」
「確かに、それは故意ではないため可能ですね」
「そうか、じゃあ俺は城に帰るからその辺適当に蹴りながら散歩してこいよ」
「はっ!?」
「そうですね。ではさし当たってはこの辺から……」
「わ、わかった、わかったからっ!」
冷や汗を流しながら男は下げているカバンから手紙を取り出しこちらに渡した。そして一目散に去っていった。涙目だった。
「これ、俺は悪くないよね」
「責任転嫁はやめて頂けますか?」
マッ缶美味い。
そして文章表現が難しい……なかなかうまく書けません。
感想、考察、誤字報告よろしくお願いします。
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