ノーゲーム・俺ガイル   作:江波界司

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バカじゃないの?
どうも。
青髪さんは途中から完全に裁縫班扱いだと感じる、江波界司です。
マッ缶が欲しい……
それでは本編を“どうぞ”



そして彼は彼女の存在に触れる

 何で面倒ごとって重なるのかな。

 二度あることは三度ある、一難去ってまた一難。どうやら不幸も苦労も連鎖的に続くのが世の常らしい。

 昨日は色々あった。

 いづなの前で黒歴史確定の迷言を言い続けるわ、巫女さんから変に目を付けられるわ、街の人を脅して半泣きさせるわ……あれ?自業自得か?

 いやだとしてもだ。これは俺は悪くない。

「では準備はよろしいでしょうか?」

「良くなかったら行かなくて済むのか?」

「形式上聞いたまでです。答えは聞いていません」

 もうこの言葉しかない。これ以上にこの状況を表す言葉を俺は知らない。

 かのフラグ建築士を思いながら、俺は青い空を見上げて零す。

 

「不幸だぁ」

 

 

 

 

 

 

 その日俺はいつもと変わらぬ一日を過ごすはずだった。

 先日空たちに東部連合からの手紙を渡し27日、すなわち今日から三日後にゲームをするということを把握した。

 こんな時ではあるが、クラミー達は約束を守ってくれているため朝にコミルの実を受け取りに城を出る。今度こそ何のイレギュラーもなく帰宅した俺にイレギュラーが起こるのは、むしろこれからだった。

 

「アヴァント・ヘイムへ参ります」

「へぇ」

「それに同行して頂きます」

「へぇ」

 

「……はぁ?」

「では早々に準備を」

「いや待て、今なんて言った?」

「では早々に準備を」

「その前だ」

「マスターの命令によりアヴァント・ヘイムに用が出来たので、そこにあなたも同行して頂きます」

 意味がわからん。一発目で聞き取れたし、一応の為確認したが、やっぱ分かんない。

「えっと、なんで?」

「東部連合と事を構える上で、まだ準備が必要とのことなので」

「いやお前が行く理由じゃなくて、俺が行く理由だ」

「あの巫女を相手に単独で騙し合いを仕掛けるあなたの手腕があれば必ずマスターの役に立つと考えたので」

 一息で言いやがった。絶対上っ面だろ、感情入ってなさ過ぎだから。

「……本音は?」

「昨日いいように利用されたのが癪なので」

「えらい正直だな」

 まだ根に持ってるんですね、まぁ一日しか経ってないですけど。

「俺が昨日明確に頼んだのは一個だけだったはずだ」

「私の持てる全てを利用した分は返して頂きたいと思っています」

「マスターの命令だっただろ」

「あなたに対する個人的な感情までは縛られていないので」

 こいつこんな屁理屈言うような奴だったか?絶対空に毒されてる。

 それに確か天翼種(フリューゲル)って殺戮種族だよな?ジブリール見慣れ過ぎて忘れてたけど、本質はただの脳筋の危ないヤツらだろ?その総本山について来いと?俺に何が出来るんだよ、てか出来ねぇよ。

「丁重にお断りします」

「あなたにそれをする権利があるとでも?」

「おい、いつから俺の人権が無くなったんだ。俺は拒否権を行使する」

「仕方ありません。では酸素を無視しての転移を希望されますか?」

「話聞いてた?行かないんだって」

「つまり強引な強制移動がお望みと」

「言ってねぇよ。そして望んでねぇよ、俺は自宅待機を希望する」

「了解しました。では自室の空間諸共転移させますので……」

「それは俺以外にも困る奴らが出てくるだろ」

 どんだけだよ、何があるんだよ、怖いよ。

 こいつがここまで俺を連れて行きたがる理由がわからん。

「何お前、俺のことす……」

「何を無粋な考えを口走ろうとしているのでしょう?」

「何デモナイデス」

 怖ぇぇぇ。分かってるよ冗談だよだから本気にすんなよ。

 分かってるから、そんな事は絶対にないってことは。こいつ恋愛感情に限らず、人間的な感情全般に疎いってのは聞いてたし。

 しかしそうなると本当に分かんねぇ、なんで俺なの?

 いや理由は言ってたか……仕返しだと。

「ハァ……で?いつ行くんだ?」

 もう変に抵抗しない方がいい、絶対に酷い目にあう。

「そうですねぇ、では一時間後としましょうか。それまでに準備をお願いします」

「つっても、俺なんか持っていくもんあるの?」

「覚悟と勇気、でしょうか?」

「悪い、両方持ち合わせてない」

「なるほど、恐らく愛すら友達ではないのですね」

「どう見たら俺の頭があんぱんに見えた。それに俺に友達はいない」

 戸塚以外。というかいらない、戸塚がいればいい。

 あれ?ジブリールは?

 どうやら俺の瞑想、もとい迷走中にどこかへ行ったようだ。

 てか、なんであいつ元気百倍なアンパンヒーロー知ってんだよ。偏り過ぎだろ、現代世界の知識。

 

 

 

 

 

 

 

「そんで今に至る訳だが」

「ハチ、大丈夫ですの?目がいつもより腐って見えるんですが」

「つまりいつも腐ってんだな分かってる」

 大丈夫なわけないだろ、代わってくれんなら頼みたいわ。

 何故かジブリールに呼ばれたのは城の屋外だった。理由はあとで話すか話さないとのこと。いや話せよ。

「というかステフなんでいんの?」

「えっとお見送り……と思いまして。ソラたちは来ないので」

 え?お見送りってどこへ?天国?それとも天空の城?ある意味当たってるな。許されるならバ〇スして今日の予定を無くしたい。

「ではドラちゃん、離れて頂けますか?」

「は、はいですの」

 おーいステフー。なんつー距離離れてんだよ。見送るって言ったそばから身引いてるんだけど。

「それで一応確認をとっておきますが」

「なんだよ」

「転移の際、酸素は必要でしょうか?」

「俺はこれから宇宙にでも行くのか?」

「大気圏外とまでは行きませんが、アヴァント・ヘイムの構造上、人類種(イマニティ)が活動する場所とは酸素濃度が異なりますので」

「それいらないわけないよね?俺殺す気なの?」

「事故なら盟約に反しないと」

「明らかな故意犯だ」

 最後のツッコミは聞いてないなこいつ。

 既に魔法を展開(恐らくだが)しながらジブリールはこちらを向く。

「では」

 何故か俺の右手を掴んで、彼女は俺を上へ引っ張り上げる。

 待て待て待て、なんで手握ってんの?せめてなんか言えよ。ではって言ってたけどさ。

 でなんで女の子の手ってこんな柔らかいの?ベリーソフトなの?

 いや落ち着け、落ち着いて素数を数えるんだ。

 そして頭の中で3を浮かべたとほぼ同時に、かなりの回数体験した通りに視界が切り替わる。

 身体中に浮遊感があり、目に入った風景からここが上空である事は理解出来た。

 しかし

 

「何このカオス」

 

 話の内容的にはここはアヴァント・ヘイムだろう。だが天翼種(フリューゲル)が住む大都市と呼べるそこが、大量の巨大なルービックキューブが散乱する、道路すらない殺伐とした土地だったらどうか。

「お前らってゴミ屋敷に住んでんの?」

「酷い表現ですが、そもそも人類種(イマニティ)の常識は通用しないようなところなので」

 なるほど、言われてみればそうだ。

 道路ってのは歩きにくいから引くものであり、綺麗に並んだ町や建物は把握しやすいから作るものだ。そのどちらのスペックも反則級の天翼種(フリューゲル)にはそもそも不要なのだろう。

「移動は一瞬、飛行速度は戦闘機越え、持ってる記憶はほぼ消えない。そんなとんでも種族にこっちの常識が通用する方がどうかしてるな」

「左様にございます。それと、間もなく目的地なのでとも報告しておきます」

 依然俺の右手を掴んでいるジブリールは顔も向けずにそんな事を言った。

 そういえば手繋いでましたね。なんかそれ以上の事が起こりすぎて何も感じなくなってるな。人間は頭の処理能力を超えた物事を体験すると吹っ切れるみたいだ。

 そしてジブリールは無数にあるルービックキューブの中で、比較的大きめのスクエアを目指して降下する。

 そのキューブの中は図書館だった。それもジブリールが所有していた個人のものとは比べものにならない程の蔵書量と規模。

「え?ここ?」

「はい、私の用件が終わるまでここで待っていて貰います」

「本当に俺はなんでここにいるんだよ」

「好き勝手に使われた腹いせに自分のテリトリーで引きずり回してやろうかぁ、と」

「なんでヤクザベースの思考?」

「それにあなたがいても今から私のすることに何のプラスもありませんし」

「だからなんで俺ここにいるんだよ」

「それとも人の身で天翼種(フリューゲル)の十八翼議会の会議に参加しますか?」

「全力で拒否るな」

「というわけでしばらく待っていてください」

 ジブリールはいつかのように次元の穴から何冊か本を取り出して俺に渡す。そして俺が何かを言う前に、彼女はどこかへと転移して行った。

 この数時間で起こった不条理に文句を言うべくそれらを頭の中で羅列させながら、俺はジブリールが用意してくれた本を開く。まぁ暇つぶしにはなるだろう。

 けど表紙すら見ずに開いたのが失敗だったな。そして残りの三冊も含めてだが……あいつわざとだろ。

 

「全部人類種(イマニティ)語じゃねぇのかよ」

 

 

 

 

 

 

 

 ただでさえだだっ広いこの図書館で、さらに膨大な量の本。そこからたった一つの言語の本を探すのは本当に苦労した。そしてその苦労した理由は先に述べたものもあるが、更に二つ。

 一つはこの散らかりまくった本の山。

 もう一つは……

 

「ねぇねぇ、無視しないで欲しいにゃあ」

 

 このエセ猫娘キャラの天翼種(フリューゲル)だ。

 

 ジブリールが置いていった本の解読を早々に諦めた俺は積み重なった本の山へと足を運んだ。

 とそこまでは良かったのだが、何故かその本に埋れた誰かの羽根が隙間からはみ出ていた。

 当然、俺は関わらないようにそっと離れた。

 

「なんでだにゃあっ!」

「っとわっ、びっくりしたぁ」

 

 自分の上に積み重なった本を空中に放り出しながら一人の天翼種(フリューゲル)が姿を現した。

 なんかジブリールよりも幼く見えるのは、その口調か態度、あるいは全体から受ける漠然としたイメージからだろう。

「いやなに」

「なんで助けないにゃあっ!」

「いや助かってんじゃん、一人で」

「それはそうだけどっ!あれ?じゃあいいのかにゃあ?」

 わーこいつもあれか、アホの子か。

「ん?それはそうと君はだれにゃ?なんで人類種(イマニティ)がこんなところにいるにゃ」

「えっと、ジブリールの連れだ」

「ジブちゃんの?ああ、ふ〜ん?」

 なんだこいつ?さっきまでのアホさはどこに行ったと思う程、彼女の雰囲気が変わった。

「じゃあ君がジブちゃんを倒してアヴァント・ヘイムから誘拐したっていう……」

「人違いなうえに偏見甚だしい」

 空たちってこっちだとこんな感じなのか。確かジブリールは前に十八翼議会から抜けたとかなんとか。それで恨まれても仕方ないか。

 彼女の表情とセリフにも答えが出たし、俺は見つけた本を開いて目次を見る。

「だからなんでにゃぁっ!」

「図書館じゃ静かにしろよ」

「そうじゃなくてにゃ、なんで本を読んでるにゃ」

「いやここってそういう場所だし」

「なんでにゃ、ここはジブちゃんの話するところにゃ」

「なんではこっちのセリフだ。大体お前が誰かも分からんし」

「あーそういえば名乗ってなかったにゃ」

 コホンとわざとらしい咳ばらいを入れて、彼女はこちらを向く。

 

「種族は天翼種(フリューゲル)、名前はアズリール。そしてジブちゃんの“お姉ちゃん”にゃ」

 

 は?

 

「あいつ妹属性だったの?」

 

 

 

 

 

 

 

 




まだまだ続くオリ展開、そしておいてけぼりのいづな戦。
原作からのフライングはお約束ですね。
そろそろジブリールと色々進んで貰わないとラブコメ展開無しになりかねないのでこの辺でアズリール登場です。
というか進まない……
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