どうも。
ヤンデレさえなければヒロインだろあの人、江波界司です。
もうすぐ春(休み明け)ですね〜♪
言いたかっただけです。
それじゃ本編ってわけよ。
日が経つのってこんなに早かったっけ?
何も変化のない日常は早く過ぎる。なるほど、だから俺の学校生活はすぐに終わるのか。
楽しみですらない日でも、残酷なことにやって来てしまうのが世界の理。どうせならthe worldでずっと時を止めたい。そうすれば今日の予定も未定になるのに。
「随分と余裕ね」
早朝の街から少し出たところ。日課になりつつあるランニングとマッ缶の素受け取りの真っ最中、いつもとは違う要素であるクラミーがそう言った。
「余裕もなにも、俺は何もしないからな」
「確かこちらは四人出るはずだったのですよ」
「ああ、だから空と白、ジブリールにステフだ」
「そう……ねぇ、あなたは出ないの?」
「だから出場者は四人なんだって」
「そう……」
大体なぜ俺が?まぁそりゃステフよりは動けるだろうけど、むしろ空たちがステフを出場者に選んだのにも理由があるはずだ。ならそれに従う方がいい。それに、仮に出ろと言われてもめんどくさいから出たくない。
「お前らも見に来るんだろ?」
「まぁ概ねその通りね。実際に行くのは私一人だけど」
なるほど、視界共有の魔法かな。
「流石
「そうでもないのですよ。確かに視界共有は維持こそ大変ではありますが、発動自体は簡単なのですよ」
「じゃあなに?ほかの種族でも使えんの?」
「それなりの魔法適性があれば可能なのですよ」
へー、つまりそれ
「じゃあそろそろ行くわ」
「ええ。……ねぇ」
「ん?」
踵を返し、ほとんど後ろからクラミーの声が聞こえた。
「……頑張りなさいよ」
目は合わせず、服の裾を強く握り締めながら彼女は言った。彼女はプライドが高い。ならそんな当たり前な一言をいうのも、それなりに大変だったりするのだろう。
もちろん難聴じゃない俺にはその言葉はしっかりと届いた、が。
「いや俺はやらないし」
言い残して、俺は元来た道を引き返す。
―クラミー side―
「クラミー、言った方が良かったのでは?」
「いいのよフィー、あんな男どうにでもなればいいわ」
「クラミーは素直じゃないのです」
「……あいつ程じゃないわ」
―クラミー side out―
帰り道は静かなものだった。
もちろん早朝というのもあるが、ココ最近の暴動がないのだ。おかげさまでジブリールに頼まずともコミルの実を取りに行けたのだ。
あのデモ行為が無くなった大きな理由は、今日まさにゲームが行われるからである。皆自分の命と権利が賭けてあるゲームを見逃せるほど肝の座った奴ではないのだ。
「あれ?」
そう思った時期もありました僕にも。
帰り道は静かだった。しかしそれが城の前もかと言われればそうではないようだ。
俺が城を出た早朝ならともかく、日も登り始めた今は文句のある人で閉ざされた入口前はごった返している。
「どうやって入ろうか」
しかしそれを考える必要はなく、俺はいつの間にか王室にいた。
「ジブリールか」
「デモがあったためお困りだと思いまして」
「……本音は?」
「今のうちに貸しをつくっておこうかと」
「悪いが返す気はないぞ」
どこかのガキ大将をイメージしながら俺は呟いた。
さて、転移はともかくなぜここなのか。当然理由はこいつのマスター、空白だろうが。
「お!おかえり八」
「で?何の用だ空」
何故か王室のベッドの上で妹とDSPを弄りながら言った現エルキア国王、空。
「いや〜珍しく起きてる俺を少しは褒めようぜ?」
「ゲームが楽しみすぎて眠れなかったやつらになんて声掛けりゃいいんだよ」
「……そこは、愛してる……でいい」
「おう、そうか。愛してるぞ白」
「おい待てやぁぁぁ!」
普段は昼まで起きないこの兄妹が朝から元気な理由は言った通りだ。こいつらは起きたのではなく起きていた。それも一晩ずっと。
そんなことして体調は大丈夫なのだろうか。
「お前ら不眠症なのか?」
「おい八、さっきのセリフは流せねぇよ?」
「ん?ああ、あれ」
いやだってねぇ?
いくら何でも十一歳に何言ってもって感じだし。今更なんだよって感じだし。それに
「白は妹としか見てないし」
「人の妹取ってんじゃねぇぇぇ」
わ〜シスコンって怖い。え?ブーメラン?知ってるわ。
「別に白が気にしてないならいいだろ」
「兄ちゃんが良くないのっ!」
「知るか。で?なんの用?」
もう色々とめんどくさいので空は流す。俺の質問に答えたのは白だった。
「……ゲームの……作戦、会議」
「任せる」
「……わ、かった」
はい終了。だってそうだろ?
いくら何かには貢献しろっていっても、俺はこいつらの作戦にケチを付けられる程ゲームは強くない。
「え!?終わりですのっ!?」
「え?ステフいたの?」
「そもそもここはわたくしの部屋になっていたはずですのよ」
あれ?ほんとにいつからいたの?まさか魔法?それともステルスヒッキーの使い手がもう一人?
「ステフ、お前いつからくノ一になったんだ?」
「へ?クの、いち?」
「ご自分の影の薄さを棚に上げてよく申し上げましたね」
「おお、ジブリールいたのか。気付かなかったわ」
「それはそれは残念な眼球をお持ちで。ところでどこにおいででしょうか?」
「残念な目どっちだよ」
とまぁこんな奴らに国の、人類の未来を託すのだ。
幼女にゲームをさせる東部連合も、アホな全権代理者のいる
―巫女 side―
いつぶりやろなぁ、興奮で寝られんかったゆうのは。
全く場違いにも程がある言うてな。
やけどあの目、あんなん見たら楽しみになるよ。
なんせあの目は……
そういえば今回のゲーム、仕掛けた張本人は違うんやったな。確か名前は空と白。ならあの訪問も二人の策の内?いやそれはないなぁ。なんせあの男は自分の意志で来た言うてたし。
全く不謹慎やけど、目が離せんわ。何をするか、何を成すか、何を目指すか。
見せてもらおか、比企谷八幡。
―巫女 side out―
―アズリール side―
分からないにゃ。
なんでジブちゃんがマスターに仕えるのに、あの男をうちに会わせたのか。何か狙いがあったのかにゃ?
――ジブリールが『答え』を見つけたか。
分からないにゃ。でも、あの二人と同等かそれ以上にジブちゃんは、あの男を重要視してるにゃ。
――ならば見極める必要がある。
もちろんにゃ。だから見せてもらうにゃ……
にゃ?
「そういえば、本人に名前聞いてなかったにゃ」
―アズリール side out―
「じゃあ行くぞー」
「……おー……」
「ハァ……」
「はいですの」
「マスターの為ならどこまでも」
空の掛け声にそれぞれが同意し、城門が開かれる。エルキア国内でも特に反骨精神の強いデマ隊が通路を囲むなか、ゲームプレイヤーを乗せた馬車はそれを突っ切る。
「誰も声を上げねぇ」
本来なら罵詈雑言、野次や誹謗中傷が飛び交うだろうこの状況。それらを全て封殺しているのは馬車の屋根、その上にもはや君臨とさえ言える暴力種族、ジブリール。殺気という圧力が馬車外の人々を黙らせている。
「なんでこんなところを馬車で行かなければならないんですの……」
「あれ?八言ってなかったの?」
「何をだよ」
「『種のコマ』を賭けた理由」
「知るか」
本当に知らない。ただし推測はある程度出来ている。
「じゃあステフへの説明も踏まえて。『種のコマ』を賭けてゲームを仕掛けたのには大きく三つ理由がある」
「東部連合を追い詰めるのと、クラミーを引きずり出すのと、国民を焚き付けてゲームの間接的な監視役にする、かな」
「ぜっんぶ言いやがったぞこいつっ」
「へ?どういうことですの?」
「ほれ、空」
「ハァ……一個目と二個目は既に終わったからまぁ分かるだろ?あとは国民全員が俺たちを敵視すれば俺の狙いは完成」
「なんでですの?」
「命懸けのゲームだ、当然イカサマとかされないよう誰もが目を凝らす。疑いの目ほど強いイカサマ抑制はないんだよ」
「なるほどですの」
俺の推測は当たっていたようだ。まぁそうじゃないと空がわざわざ観客を入れる要求をした意味がなくなるからな。効率を求めるこいつが無駄な行動をとるわけがないし。
そして馬車に揺られ、俺たちは東部連合のゲーム会場へと足を踏み入れる。
「よぉ〜いづなたん、久しぶり」
「……ゲーム、しよ……?」
「負けねぇぞ、です」
プレイヤーは互いに言葉を交わす。しかしそのテンションにはあまりに差があった。
そしていづなは空たちとの挨拶を済ませるとこちらを向いた。まだ二桁にも達していない年齢の彼女に言うのもなんだが、その表情は少し大人びて見えた。
「答えは出たか?」
「わかんねぇ、です。でも、やることは決まった、です」
「そうか」
やること、それはさっき空に言った一言だ。
負けないそれがこの数日悩みに悩んで出した彼女なりの回答。例えそれが正解でも不正解でも、俺にはそれを見届ける義務がある。彼女を追い詰め、問うた俺には。
いのに案内された部屋には五つの機械的な椅子があった。恐らくこれがゲームに参加するための装置なのだろう。
そして椅子とは対面に位置する広い窓と、その先に見える観客達。その視線はたった一つ、会場の中央に天井から吊された複数の液晶に注がれている。
観客が詰まりながら座る中、もはや椅子すらないそこに一人の少女が見える。クラミーだ。あえて目立つ場所に立つことで東部連合側にプレッシャーを与えるのが狙いだろう。東部連合側はクラミーが
俺の主義的には一番後ろで観覧するのだが、こうも満員では仕方ないか。どうにかいい場所を探そう。
「さて爺さん?準備、いや覚悟はいいか?」
「その言葉、そっくりそのまま返させていただきます」
「こっちはいつでもいいぜ?なぁ白」
「……コクッ」
そして振り向く空に、エルキア陣営は皆頷き返す。
対するいづなも覚悟に満ちた目をしながら、空の問いに肯定という答えを出す。
なんか遠回りした気もするが、ようやくだな。
さて、することもないし観客席に行くか。
ゲームプレイヤー専用の部屋から出るために、俺は入ってきた扉のドアノブに手を伸ばす。そして掴む寸前、他の誰かと手が触れ合うギリギリまで接近した。
「「え?」」
その手を伸ばした相手は、なぜかステフだった。おい、ゲームはどうした。
「ん?どこ行くの?」
ほら空も呼んでるぞ、早く行ってこいよ。
「八、早くやろうぜ」
「……は?」
春休みが終わります。
今まで何回か更新遅れる遅れる詐欺みたいな事をしてきましたが、流石に今度こそきつくなりそうです。
三日以内に出せるように頑張るつもりですので、ご了承ください。
とりあえず一区切り付けるために今回はここまでとさせて頂きました。
感想考察ご意見誤字報告、よろしくお願いします。
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