どうも。
パソコン執筆も始めました、江波界司です。
今まではスマホだけだったのですが、これからはパソコンでも書きます。
まぁ作品には直接関係はないんですが。
「ハァ⋯⋯ハァ⋯⋯」
息を切らしながら、それでも俺は足を踏み出す。いや、もうそろそろ休もう。
そもそもこのゲームは時間制限タイプのもの。であるならば序盤でわざわざ体力を自ら削る必要はない。いくらずっと鬼にならずとも、最後の瞬間に鬼なら負けなのだ。あの二人相手ならアラームが鳴るまで気は抜けない。
ゲーム開始から約15分。ひたすらに城内を走り回って疲労した足腰を休めながら俺は落ち着くことも含めて大きく息を吸い、吐く。
勝っても報酬はほぼないと同じ。負けたらジブリールに死体蹴り。いづなはそこまで無茶なことは頼まないだろうが、そもそも俺が負けたらいづなの自論が否定されることになる。俺としては別に構わないが、さすがに可哀想とまではいかなくとも思うところがないわけではない。となると勝てなくとも善戦くらいはしないといけない。いや、負けたらマジでアウトだけど。
「やってらんねぇ~」
その声が城内に響こうと、応える者はいない。おかしいね、普通に人はいるのに。
―巫女 side―
「何があっても動揺すんな、か」
あての言葉を復唱して空は何かを考えるように手を顎に添える。
「それって、盟約なしでってことか?」
「そういうこと。やからあても驚いとったんよ」
比企谷がじゃんけんであてと約束したみたいに、
「つまりジブリールは自分の自制心だけで、巫女さんからもばれないほど動揺を隠しきったってことか」
「まぁあてもそこまでそっちの反応を重視しとらんかったからね。もともとそちらの方での作戦会議は終わっとったつもりやったし」
とはいえ、やはり驚くことには変わりない。なにせ⋯⋯
「自陣の手の内晒すなんて、あの
「だな。ジブリールならブチ切れそうだ」
「やのに一方的な言いつけを守って黙った。比企谷は、随分と信用されてるんやね」
「まぁ、そうかもな。本人は否定するだろうけど。二人とも」
する側もされる側も、か。
「あんたらも彼を信用はしとるんやろ?単独行動許してるわけやし」
「別に俺は個人の自由は縛ってないけどな」
「それでも敵陣にたった二人で突入するんは、普通止めるやろ」
「八が無謀なことはしないってわかってるし。あ、いや、これも一種のそれにあたるのか」
「そういうことやね」
互いに意識し合わずとも心のどこか見えないところで、頭では認識してないところで信じとる。それは理想の関係とも言えるんやろな。例えば、この兄妹のように。
「ええコンビやね、あの二人」
「コンビ、か。あんま八とジブリールをツーマンセルで見たことなかったな」
「⋯⋯でも、はち⋯⋯最近ジブリールと、よく一緒⋯⋯」
「あ~まぁ確かに」
今はいづなもおるけど、あの二人また一緒やね、そういえば。たまたまなんかもしれんけど、運命的なんかねぇ。
「てか八に任せたけど、あれどうにかなったかな」
「さぁねぇ。まぁあの道化師なら、案外うまくやっとるかもね」
―巫女 side out―
「うまくいかねぇ」
そう声が漏れるのも仕方ない。あれからそれなりに策を巡らせてみているが、うん、無理。
例えばワイヤートラップ。城の中にある代用品にはなるが、転ばせて捕まえる作戦。だが飛んでるジブリールには通用しないし、いづなの視力で気付かないわけがない。袋小路に追い詰めることも考えたが、脚力が違い過ぎてそもそも不可能。俺があの二人を捕らえるのは、ほぼ不可能か。
開始から30分。何も進展しないまま時間だけが過ぎていく。
無駄な体力は使わないとしても、さすがに鬼が一箇所に留まるメリットはなく、俺は普段の歩行スピードで廊下を進む。そこで会った者には、現在勝手に鬼ごっこをしていることを簡単に説明している。じゃないと迷惑になりかねないからな。
さて、改めて現状確認だ。脚力も知力もあいつらを捕まえるには足りない。移動の速さ順ならジブリールが一位か。いづなよりはこの城の構造や事情について詳しいが、ジブリールもいるため意味はない。あの二人が同じ場所にいる可能性は極めて薄い。理由は言わずもがな仲が悪いから。ルールは子供がするようなスタンダードなもの。人数は三人。考えれば考えるほど出てくる内容が薄くなってくるな。
思えば、俺はこの手のゲームは苦手だな。なにせやる友達がいなかったし、マジで小さい頃にやったときはずっと鬼だった。てか病原菌扱いだった。当然逃げる相手は大人数だし、タッチできても狙われてまた鬼に戻る。これなんていじめ?まぁ今はもっとえぐい状態だけど。負けたら死だし。
とまぁ自分がどれだけひどい状態にあるかはわかった。そんな中打てる手は?少なくともちょっとした罠じゃ無理だな……うむ。
「いけるとしたら、いづなか」
絞り出した策を頭の中で何度も推考し、実現可能なところまで具体性を帯びさせていく。成功率が高いのはやはりいづなだな。できればジブリールがよかったが、まぁ仕方ない。
勝負は残り数秒。だがその前の準備も重要。となれば今すぐ行動だな。俺はランニング時程の速度で走り出す。
しばらく走って、俺は向かいにいのを見つける。
「いづな見なかったか?」
「いづなでしたら、そこの突き当りを左に走って行きましたな」
いのは自分の後方を指した。
「サンキュ、愛してるぜ」
「ハッハ、気持ち悪いのでやめていただけますかな?」
いのの隣を通過し、俺はいのが示した通り――右へ曲がった。
「なっ!」
それを見ていたのだろう、いのの驚きの声が後ろから聞こえる。まぁ、あいつがいづなが不利になるようなこと言うはずないからな。
―巫女 side―
「道化師って、八のことか?」
空と白は同じ方向に首を傾げとる。そういえば、ちゃんと明言はしとらんかったな。
「ああ、そう。あんたが詐欺師なら、比企谷は道化師やろってな」
「ピエロ、ねぇ」
「⋯⋯なんで、そう⋯⋯思う、の?」
「あんたらはゲームであてといづなを倒して、事実上東部連合を抱き込んだ。その裏であの男は、いらんかもしれんことをリスク背負ってまでやっとった。普通に考えれば滑稽、笑い者みたいやろ」
まぁ演じるんには、少々観客不足やけどな。
「巫女さんとの会話をしに行った時か。でも八がしたのって、あくまで保険だったんだろ?俺もそう聞いたし、だから話す必要ないってよ」
「そうだったんやろけど、だとしても矛盾してたんよ。いづなに聞いた話やと、比企谷はいづなは絶対勝てない言うてたらしい」
「ふむ。八が自分から無駄なことを進んでやるとは思えんし⋯⋯八に理由は聞いた?」
「いづなに気があるんか聞いたら、ロリコン?やないって」
「ハハ、どうだか」
「比企谷の目的はいづな、それは間違いないんやけどね」
「へぇ、どゆこと?」
「あての推測にはなるんやけどな。比企谷はいづなを開放したかったんやろ」
「開放⋯⋯東部連合から、あるいはゲームの代表者からか」
「まぁ両方、最低でも後者からはかな。やからエルキアが負けた時のために、あてに直談判しに来た」
「巫女さんならいづなをどうにかしてやれるってことか」
「けどそれもあんたらが勝った時点で無意味やろ?勝つと分かってたなら尚更無駄や。やからいづなとの対談には他にも狙いがあった」
あん時、あの男は言った。いづなの異常性が気にならないのかと。
「比企谷はいづなを異常と言っとった。彼はそれを直したかったんかもしれんて、あては思うとる」
「なるほど」
ニヤリと笑いながら彼は呟く。空は、どうやらあてよりも具体的なもんがあるみたいやね。
「なんか分かったんやったら、教えてくれへん?」
「ん?ああ、いや。確実にそうってわけじゃないだろうし、ただちょっと思っただけだよ」
「へぇ、なにが?」
「あいつもある意味、ゲーマーだなって」
―巫女 side out―
「もうゲームなんてしねぇ」
なんて言わないけど絶対。この世界で、それも
俺が珍しく、いや頻繁にだが弱音を吐くのは誰でも納得の理由がある。
「いづなが見つからねぇ」
もちろんいのが教えたのが正解で、俺が間違った方向に来たとかではない。それはここにいる彼女が証明してくれる。
「でステフ、いづな見なかったか?」
「いづなでしたらさっき、もの凄い速さであっちへ行きましたわ」
「そうか。サンキュ、ステフ。愛してるぜ」
やはりここを通っている。ならあとはどうやって追いつくかだな。
思考を巡らせながら走り出す。恐らく聴力で俺の位置を把握してるんだろう。策は、まぁ追いつくくらいならできるはずだ。捕まえんのは無理だろうけど。
「はあああああああああ?」
なんか叫び声聞こえたけど、ステフが叫んでんのは日常的にだしまぁいいか。
ゲーム終了まで、あと一時間。
当初は40話行けるかも怪しかった作品なのに、なんかまだまだ続きそう。
これからもよろしくお願いします。
感想、誤字報告よろしくお願いします。
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