主人公は八幡ベースなのでよろしくです。
自転車通学で良かった。心から思った瞬間である。
あれからかなりの距離を歩き、俺と空白は街へと到着する。
「えっと……何これ」
まるでそこはお祭りの様だった。いや、正確に言うなら苦手も苦手な人混み。それもそこまで広いとは言えない恐らく店内でのこの惨状。
むしろ、なんでニート兄妹は平気なのん?俺よりコミュ力あるとかそれマジなの?
「なぁ?あれなに?」
言ってるそばから空が第25くらい町人に話しかける。
「あれは国王選定戦だよ。何でも前国王が、次代国王は人類最強のギャンブラーに任せるって言ったんだと。それでほら、あっちの赤い髪の子、ステファニー・ドーラは王族の子なんだが、こうして王位を得るべく参戦してるんだよ」
へー。俺には関係ないことだな。誰が好き好んで王様になんてなるんだ。
それにあのステ……ステフは負けるな。多分。恐らく。
「あんたは出ないの?」
「ん?俺はこれがあれば充分だからな」
そう言って男は何かが入った皮袋を指さす。まぁ、十中八九金だろう。
むしろ、俺は空の方が気になる。あの感じ、何かする気だな。俺のサイドエフェクトがそう言ってる。持ってないけど。
「へー。まぁ確かに?負けたっていう事実さえなければぁ、後でいくらでもいえるもんねぇ?」
ほらな。マジで俺未来見えちゃったのかよってくらい予想通り。
「お?何ならやるか?」
「じゃあ俺達はその金、全額要求する」
「おいおい、両者が対等と判断しねぇとゲームはできねぇぞ」
「じゃあ俺は、俺たち3人の身を全部賭ける」
なるほど、確かにそれなら対等だな。それに、空が負けるとは思えん。3人の身が取られることなんてないだろう。
ん?3人?
「「は!?」」
おいおい何言ってんの?なんで俺の分まで賭けてんの?思わずおっさんとハモっちゃったよ。
「おいおい、正気か?あんちゃん」
「ああ、俺に勝ったら俺達を好きなようにしていいぜ」
異議あり!
そう言う前に袖が引かれる。
「……はち、大丈夫……にぃ、負けない」
白が上目遣いでそう言ってきやがった。おっとそれに逆らえる男がいるなら見てみたい。いやいない。
あと、俺はロリコンじゃない、シスコンだ。
「分かった、それで行こう」
男はそう言ってトランプをシャッフルする。
ゲーム内容はポーカー。
人権を賭けてんだ。当然勝つためには手段を選ばないだろう。
しかし、ポーカーはある条件を抜けばただの運ゲー。勝ち確の為にイカサマは必須だ。
だが、【十の盟約】によってそれは反則負け。確か文章は、ゲーム中の不正発覚は敗北とみなす、だったか。
いや待て。逆に言うとそれは
「ちょっと待った」
俺はその考えを確かめるべく、そのゲームに待ったをかける。
「な、なんだいあんちゃん」
動揺?こいつも何か仕掛けたか?いや、それはまだ分からんから何も言えんが。
「公平に行こう。ディーラーは俺がやる」
「え?」
「こっちはある意味命かかってんだ。イカサマで身売りさせられたらたまったもんじゃない」
表向きはイカサマ防止。これなら断れまい。
「いや待て。それならあんちゃんが不正をするかもしれんだろう」
お説御最も。だが、あんたは断れない。
「不正ってどんな?ポーカーってのは普通にやったら確率と運の勝負だ。それにどんな風に小細工するんだ?それともそんな方法があるのか?」
「……っ」
そう、答えられない。何故なら、その答えがそのまま男が取った不正になるからだ。答えれば不正発覚で負け、沈黙は俺のディーラー参加の肯定。おっさんの取れる行動は一つだけ。
「分かった。ほらよ」
そう言って男はトランプを俺に渡す。
確認の為な、と言ってトランプを改める。そのままゲームがスタートしていれば、なるほど1番上にフルハウスが揃っている。予めフルハウスが出来る分のカードを手に仕込ませ、その上でカードを配り、カードチェンジのフェイクを入れて場に出す。といった感じかな。
俺は2人に準備はいいかと確認をとる。
「「【盟約に誓って】」」
え!なに?それ言うのがルールなの?気にしたら負けかな。
俺はトランプのシャッフルを開始。もちろん細工はする。
「念の為だ。2人も1回づつ切ってくれ」
トランプを受け取った男は1度あのパラパラ〜って奴をやると空に渡す。空も同じようにしてトランプをシャッフルし俺に帰ってくる。
再度、シャッフルを加え、両者に5枚づつカードを配る。
「3枚だ」
男の要望に答え、3枚のカードを新たに補給。その時のニヤリ顔、隠しきれてませんよ?
「5枚」
空は全部交換。5枚のカードを空に渡す。
「なんだ?ついてないみたいだな」
「まぁそうだな。遥か上空から紐なしバンジーした挙句、炎天下の中初対面の奴と歩け歩け大会。極めつけに持ってたプランも潰されて、確かについてない」
そのプランって、多分潰したの俺だよね?
「そうか。んじゃ悪かったな、フルハウスだ!」
男は持ち札を場に出す。おお偶然にもフルハウスだったか。
「ああ、悪かった」
そう言って空が出したのは……
「ロイヤルストレートフラッシュゥゥゥ!?」
そう、ポーカー最強の役だ。だよね?全然してないから分かんないけど勝ちだよね。
「なんだこれ!65万分の1の確率だぞ!イカサマだ!」
「何を根拠に。その65万分の1が今だったんだろ」
「そんなわけあるか!」
はい、そんなわけないです。
「そうだ!やっぱりディーラーのお前だな」
「どうやってだよ。それに、俺だけじゃなくてあんたもシャッフルしただろ。イカサマなんざ出来ねぇよ」
「……っ」
はい、嘘です。俺がやりました。
「んじゃ貰ってくね」
空は男から金の入った袋を受け取る。
「……はち……さっきの、ズル…」
「だよな〜八」
宿屋の前でいきなり言ってきやがった。やっぱりバレてるか。
「まぁな。十の盟約があるけど、逆にいえばバレなければ不正ではないって事だ」
さっきのは、あのおっさんがやろうとした事と同じことをした。
おっさんにシャッフルを頼んで渡す前に、空の手札にしたい5枚を手に仕込ませて貰った。
「それは俺が確認しようと思ってたんだけどな」
やっぱりか。
会ってそんなに経っていないが、こいつはなかなかの切れ者だと思う。だから、こいつの鋭さならすぐにそれに気付くだろうとは思ってた。
それはそれとして
「いやしかし良かった。あそこでお前が5枚交換してなかったら負けてたぞ」
俺のプランは空が俺の意図を読むこと前提で成り立っている。作戦としてはかなり中途半端な出来だ。
「それは分かったよ。言い訳みたいにおっさん論破した時の顔見りゃね」
やはり鋭い。長年のぼっち生活によって培われた俺の観察眼は正しかったようだ。
「さてこれからだが、宿とってくる」
空は金の入った袋を持つと、カウンターに進んでいった。うわぁ、嫌な奴の顔してる。また何かする気ですね。
「……」
「こっちはどうする?」
無言の白を見ると、どうやら先程の国王選定戦の試合を見ているようだ。ゲームは俺たちと同じくポーカー。
うん、やっぱりあのステフってのは負けるな。なにせもう片方の……確かクラミー……だったか、は余裕そうだ。
しかしなんだ?何か違和感が……
「……はち……」
「ん?ああ、とりあえず座るか」
俺と白はカウンターに腰を下ろし、再び件の2人に目を向ける。
サブタイトル通り中途半端ですが1度区切りました。
それと、誤字などの修正でたまに書き直すかもしれません。
それでは、感想をお待ちしております。
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