皆様の感想、要望ありがとうございます。
皆様の声にお応えして!
これよりノーゲーム・俺ガイル第2部、開始します。
自分で書いてなんですが、蛇足にならないことを祈るばかりです。
再会―リスタート―
この世界には、いやおそらく異世界にも、正解なんてものは存在しない。
俺は間違い続け、誰もが間違い続け、それでも何が正解かも分からないまま今を生きている。
善も悪も、正解も不正解も、全ては多数派によって定められた最大公約数でしかない。そこに正解を証明するに足る論理的な根拠はないのだ。
だから俺は自分の過去を否定しない。
たとえ間違えようとも、たとえ失敗だらけだとしても。それは俺が歩いてきた道で、俺が選んで来た道であるなら、それを否定したら俺自身を否定することになる。
誰かが俺を間違っていると責めようとも、俺自身は俺を認めてやるべきだ。
だから、俺は自分の過去を否定しない。
――そう……思っていた。
けれど今は、その考えすら間違いの様に思えてしまう。
俺じゃない俺が、そう感じさせる感情が、俺に問うのだ。問うて、答えを待ち続ける。その一つ一つの
けれど答えを持たぬ俺では抗うこともできず、言い訳を言う余地すらなく、逃げることすら叶わない。
だから、答えが欲しい。
そう心から願ったのは、つい最近だ。
多分俺が求めているのはそんな答えではないのかもしれない。
だがこうして心に残った感情に胸を張れるだけの答えが、今は欲しい。
あるいはそれが、俺の求める本物ではないだろうか。
確信はない。確証もない。それでも欲しいのだ。
この問に対する答え――本物が。
形も、存在するかも分からないけれど。確かにあるはずだと、根拠のない何かを信じながら……俺は、眩い光に包まれた。
盤上の世界――ディスボード。
自称神さま曰く全てがゲームで決まる世界に、俺は転移させられた。
いや、この表現は正しくない。なぜなら、俺は自分自身の意思でここにいるのだから。
別に前の世界が嫌になった訳でも、大切な物を失ってからの自暴自棄でもない。ただ、欲しいものがあるだけだ。まぁ、この世界にそれがあるのかは疑問だが……それも追々か。
差し当っては食料……てか、そもそもここ何処だよ。
周りを見回すが、何もない。あることにはあるが⋯⋯遠くで飛んでるドラゴンの影と微かに見える巨大なチェスのコマって、実質何も無いって言えるよな。
一面に広がるファンタジーな光景から意識を外し、どうする。いやマジで。
それなりに熟考したが、こういった異世界転移物のお約束に従う以外に思いつかなかった。
仕方なく、俺はトボトボと歩き出した。
目的地は人がいる街。情報も食料その他諸々もそこでどうにかしようと思う。
数時間の後。人が住んでいそうな地区を見つけた。
正直、ここまででもう大分疲れてる。
なにせ来た道はずっと太陽のターンで炎天下。俺は来ていた上着をカバンに仕舞い、脱いだYシャツを日除けにしながら歩いてきた。
まぁそんな苦労の末、どうにか街らしい街に辿り着いたわけだ。よかった。
だがしかし、歩き続けて辿り着いた街は、妙に静かだった。なぜ?
辺りを見渡すが、人の姿はない。
無人の街か?だとしたら窓や屋台に覗ける生活感の説明がつかないか。
こういう時どんな可能性があるかと思考を巡らせ、異世界ファンタジーのお約束から検討する。
まずは人攫い。だが住民全員を攫うのはおかしい。
次にモンスター等が原因。街が荒れていないので、それはない。同じ理由で自然災害もなくなる。俺が無事だし。
あとは、魔法などでどこかに飛ばされたとかか。
異世界ファンタジーならありうるな。証拠はないが、多分これだろう。
そうなれば、ここに何か手掛かりがある可能性は低い。大体証拠隠滅されているはずだ。
しかし困った。これでは何も情報がない。かといって、わざわざ自分から面倒事に巻き込まれるのも気が引ける。変に首を突っ込んでラノベあるあるな展開は御免だし。
俺は街に入ることなく方向転換し、近くの森を目指す。こういう時、生き残りとかが避難してるって展開が多いからな。なんだろ、思考が大分厨二なんだけど。
そりゃファンタジーだから。と、言い訳を無言で零しながら、俺はまた歩き出す。
結論から言えば、俺は誰かがいそうな場所を見つけた。
人里からはそれなりの距離がある場所にぽつりと、存在しながらも近付くことを拒ませる空気を漂わせる建物があったのだ。
外見を見る限り、造りは街で見たそれらとあまり差はない。使っている技術が同じなのだろう。となれば、中にいる者は街の住民か、そうでなくとも人である可能性が高い。
そう考え付いた俺は扉をノックする。
返事はない。だが鍵が掛かっておらず、扉は手の平で押し込むだけで簡単に開いた。
目の前には、不思議という言葉の体現が広がる。
ファンタジーだから、と。また誰に対する言い訳か分からない事を思ってしまった。
何せ、その建物の内部には本棚が、浮いていた。
これも魔法の成せる技かと勝手に自己完結。かなり短時間の間にここが図書館であることを把握すると、女性的な声が耳に届く。
「おや?これはこれは。たかが
上段、というか冗談のように空中から聞こえた声の主に、俺は言葉を失った。
理由はと言えば、そもそも人が飛んでる時点で驚くが、それ以外にも驚愕に値する部分がある。
まず彼女の容姿。
水着レベルで布面積の少ない服に、腰から見える一対の翼。頭の上には幾何学的な文様の光輪が舞い、顔も整っている。
そして、丁寧な口調の裏に混ぜられた隠す気のない見下した様な声色。
そう。俺が呼び出した張本人以外で始めて会った異世界人が、彼女なのだが⋯⋯。
残念なことに、ファンタジーを絵に描いたような図書館には。
「ビッチがいた」
「その胡乱な表現は何でしょうか」
うっかり声に出してしまった。
「あーすまん。とりあえず、ここはお前の私有地ってことでいいのか?」
「それがなにか?」
「いや、不法侵入は謝っとく」
良く分からないが、彼女は恐らく人間じゃない。だって羽生えてるし。だからってわけではないが、そんな文字通り人外から目を付けられて首が飛ぶのは勘弁だ。
小さく頭を下げた俺に対し、本の天使(仮)は小首を傾げる。
「はて?なにやら凄まじいまでの勘違いを感じますが、しかし。差し当たり、私の図書館に如何様な要件がお有りか、聞かせて頂きましょうか」
要件、と問われても困る。いや聞きたいことはそれなりにあるが、しかしここが図書館だと考えて来たわけではない。そういう意味では、用はない。
だがそんなことを馬鹿正直に言って不法侵入のことを責められるのもあれだ。ここは適当な言い訳で流そう。
「えっと、実はこの世界について調べたいと思っていてだな」
「世界⋯⋯ディスボードそのものについて、と?」
「あぁ」
少しだけ、彼女の目が変わる。依然として怪しむ目だが、琥珀色の瞳に僅かな読み切れない感情が混じったように見えた。
考えるための間を空けた後、天使(仮)は提案する。
「では、ゲームをしましょう。——互いの
目の前の天使は妖艶な笑みを浮かべる。何か狙いがあるのかもしれん。だが、何かしらの情報を得られるというなら別段マイナスは無い。
俺は肯定するように一歩を踏み出した。
日がよく入り、尚且つ眩しすぎない所に俺が腰を下ろすと、それに合わせるように彼女も位置取った。
「そういえば、名前を聞いておりませんでした」
「あ、そうだな。⋯⋯比企谷八幡だ」
「ジブリールにございます」
覚悟はしてたんだが、美少女の前でも噛まなかった。
さて、と一息入れてジブリールは今から行うゲームのルールを提示する。
「基本はチェス。ただコマを取ったごとに相手に質問できる、という規制付きです」
「質問は何でもいいのか?」
「えぇ。しかし嘘を言われるのもなんですので、『答えは偽りなく』。これもルールです」
ルールだからなんだとも思うが、まぁいいか。
ゲームは三回行い、多く勝った方が勝ち。どちらかが先に二勝しても三戦目は行う。
「要は普通に三回チェスして、コマを取る度に質問ってことな」
「不満がお有りで?」
「いや、ない。てかチェス盤は?」
「これで」
ジブリールが空中からチェス盤を出した。
もう一度言おう。ジブリールが空中からチェス盤を出した。
いや、は?
「何が起きた」
「取りに行くのが面倒だったので、そこまで
「いや、は?」
意味が分からないが、多分魔法なのだろう。テトみたいな神さまの前例もあるし、うん。サスガ異世界ふぁんたじーダナー。
まぁ、その辺も後で聞けばいいか。
向き直すと、ゲームの準備を終えたジブリールが両手を組みながら告げた。
「ここからが重要なのですが——何を賭けましょうか?」
問うた声は冷たく、一瞬命でも取られるのかと思った。それ天使のすることじゃねぇな。
賭けるというのはこのゲームに、って意味か。
だとしたら少々まずい。究極勝てば良かろうなのだが、リスクは負いたくない。
「じゃあ、あれだ。勝った奴はさらにもう一個聞けるってことで」
「いいでしょう。敗者はそれに偽りなく答える、と付け足しますが?」
「問題ねぇよ」
「では——」
すっと挙げた手の意味が分からず、今度は俺が首を傾げる。
「⋯⋯理解しかねますが、『盟約』に誓って頂けますか?」
「いや理解しかねんのこっちな?なんだよ盟約って」
「それはゲームで質問してください。まずは【盟約に誓って】と——」
「規約も知らん契約なんかできるか」
不思議を通り越して驚愕の表情を浮かべるジブリール。俺、何かおかしいこと言いましたかね?
いきなり黙った彼女はしばらく俺を見ていたが、すぐに視線を外して空を見上げる。何の意味があるのかは知らん。
そうしてしばらく黙考していたジブリールは顔を上げ、なぜか深呼吸した。だからなんだよ?
「とりあえず、【盟約に誓って】と言って頂きたいのですが。単に『これから行うゲームとそれに賭けたことを必ず守る』という誓いですので」
そういえばだが、あの時テトが十の盟約とか言っていた気がする。断片的なヒントから推察するに、これがこの世界でゲームをするということなのだろう。ジブリールが嘘をついているようにも見えんし、大丈夫か。
「……分かった」
「では——」
「「【盟約に誓って】」」
思っていた通り、一戦目からコマ達は大きく動いた。
そもそも、この勝負は三戦の内にどれだけ質問権を得られるかというものであり、最終的な勝利にはコマ一個分の価値しかない。
ならば互いに取る先方は一つだ。
つまり、捨て身の速攻である。
「じゃあ、【十の盟約】ってなんだ?」
先攻故に一手早く打った俺が仕掛ける。
「唯一神が定めた絶対順守の法——」
【一つ】この世界におけるあらゆる殺傷、戦争、略奪を禁ずる。
【二つ】争いは全てゲームにおける勝敗で解決するものとする。
【三つ】ゲームには、相互が対等と判断したものを賭けて行われる。
【四つ】"三"に反しない限り、ゲーム内容、賭けるものは一切を問わない。
【五つ】ゲーム内容は、挑まれた方が決定権を有する。
【六つ】"盟約に誓って"行われた賭けは、絶対遵守される。
【七つ】集団における争いは、全権代理者をたてるものとする。
【八つ】ゲーム中の不正発覚は、敗北と見なす。
【九つ】以上をもって神の名のもと絶対不変のルールとする。
【十】みんななかよくプレイしましょう 。
なるほど。これが彼、神さまが言うところの盤上の世界か。
この世界においての最重要要素なだけに、これだけで大分視界が開けた。今なら俺がゲーム前に言った言葉も、彼女が偽らないことをルールにしたことも理解できる。
「俺が嘘を答えた時点でゲームは終了。それ以降は情報を得る機会を失うってことか」
「話が早いようで」
ジブリールは黒のポーンを動かす。もともと自爆覚悟で打った手だ。白いルークは退場し、質問権がジブリールに与えられる。
「あなたは何者でしょうか?」
「人間だ」
「それは見れば分かります。ですが、この世界において盟約を知らないその程度の年齢の
「質問は一個ずつだろ」
舌打ち一歩前みたいな顔をしたジブリールは一度ため息を零す。
一方の俺はと言えば、イマニティとかいう新しい単語に聞くべきことの多さを察した。
分かっていることだが、俺この世界のこと全然知らねぇ。
コマを取り、質問をしてはすぐに取られ、問いに答える。そんな作業めいた勝負は続く。
「では、あなたは異世界から来た、と」
「あぁ。イマニティってのはなんだ?」
「
「そうだな。十六ってことは、
「全てを説明するのは少々時間がかかりますが。まず位階序列というものがあり、第一位が
流石に十六種族全てを一つ一つ細かく説明はしなかったが、大体分かった。ついでに言うとこいつはその
偶に感想は入るが、基本的にゲームは止まらず進み行く。
次は魔法か
「あなたはなぜ、この世界に来たのですか?」
「⋯⋯」
⋯⋯。
なぜ、か⋯⋯。
そう聞かれて思い出すのは、つい数時間前の記憶。
そして今日、その時に至るまでの重い記憶……。
第1期を書き始めた時よりも更に向こう見ずの行き当たりばったりのため、更新がパワー型超サ〇ヤ人レベルで遅いです。
次回は明日出しますが、それ以降はいつ出せるか分かりません。
申し訳ないです。
頂いた感想と2部期待の言葉をモチベーションに、できる限り頑張る所存です。
どうぞこれからもノーゲーム・俺ガイルをよろしくお願いします。
ちなみにタイトルは誤字ではありません。
番外編 エルキア王国奉仕部ラジオは必要ですか?
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