ノーゲーム・俺ガイル   作:江波界司

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そして未来は未だ見えず

 場所は東部連合の首都『巫鳫(かんながり)』。

 時間は、日の傾き的に夕方くらい。

 俺は何故かここにいる。

 ……うん、何故だろうか。

「どうしてこうなった……」

 もしも俺が異世界転生するなら幼女姿で戦場を駆け抜ける運命に立ち向かうことになるだろう。

 そう思えるほどに、どうしてこうなった。

「どうかしたん?」

 いや、どうかしたん?じゃねぇよ。というかこの人誰よ。

 俺はついさっき、空の指示に従ったジブリールから和室に連れて来られ、初対面の女性と二人きりである。

 もしもこれがラブコメ展開だと思ったやつがいるなら、モンスターではなく神のゴッドハンドにクラッシャーされてくれ。

 本当に、この世界は俺に厳しすぎじゃないだろうか。

 俺は何故ここにいるのか結局わからないし、説明役であるはずのジブリールは速攻で退室したし、唯一事情を知ってそうな目の前の女性はずっと様子を見ている。

 ホントに何なの?で誰なの?

「いや、これは一体どういう状況だって感じなんで……」

「何も聞いとらんの?空には話を通しといたはずやけど」

「ここに呼ばれた理由どころか、あなたの名前も知りませんよ」

「ほうか」

 そう言って、目の前の女性はクスリと笑う。

「なら、当ててみ?」

 その仕草は、俺の瞳にはやけにわざとらしく映った。

 どうやら答えないと教えてはくてないらしい。

 別に何かを賭けている訳ではないが、一応考えてはみる。

 彼女は獣人種(ワービースト)だろう。金髪に、狐のような耳と尻尾を持つ妖艶な姿。そして余裕が感じられる振る舞いと寛美な服装。

 そして俺の面識のある、もしくは名前を知っている可能性のある獣人種(ワービースト)……。

 いや、まさかとは思うが……。

「……巫女さん」

 また、彼女はクスリと笑う。

「正解、あては巫女」

 東部連合の全権代理者、最大権力者、国のラスボス。

 それが今、俺の目の前にいる。

 なんと馬鹿げた話だろうか。

「初めましてやね。比企谷八幡、であっとる?」

「あぁ、はい、比企谷です」

 もっと馬鹿げた、というか馬鹿馬鹿しい話。この世界の平均コミュ力値はどうなっているのだろうか。

 繰り返すが、俺たちは初対面である。

 なのに、なぜ彼女はここまで落ち着いて、俺を吟味できるのか。

「なんや硬いなぁ。もっと楽にしてええよ?」

「それは何ですか、死ねと?」

「ハハッ――別に緊張しとるわけやなさそうやね」

 めっちゃ緊張してるっての。軽口で返さないと色々ともたないんだよ。

 さっきから、巫女さんは俺を試しているように思える。

 基本的に、初対面の相手を疑い、試し、結論を出そうとするのは自然な行為だ。

 だが、彼女の言動には明らかに不自然な点がある。いや、これは俺の邪推かもしれないが。

 彼女は、巫女さんは、俺を試そうとしていることを隠そうとしていない。

 つまりあからさまに俺を試そうとしている。吟味している。

 疑うだけならともかく、分かりやすく疑いの目を向けることは不気味にすら思えてしまう。

「空に話は通したってのは、俺に用があるから連行して来いってことですか?」

 不自然なことは他にもあるが、ひとまず俺は状況把握を優先させる。

「まぁ、そうな。連行までは頼んどらんけどね」

「空じゃ駄目だったんですか?ぶっちゃけ、俺より優秀ですよ、あいつ」

 おーけー、用事があるのは確認できた。

 そこで不自然な点その二。巫女さんが俺に用事があるということ。

 俺は何か特別なことができるわけではない。

 行政ならステフが、大半のことはジブリールが、ゲームに関しては『  』が、俺よりはるかに活躍できる。

 だから、そもそも彼女が比企谷八幡を呼ぶことに違和感しかない。

「別に、何かしてほしいゆうことやない。ただ、気になってなぁ」

「何がですか」

「あんたの目的が、よ」

「…………」

 黙るべきではなかったかもしれない。

 これは傍目にもかなり怪しい。

「……そんなの、あいつらの方が余程謎でしょう」

「いや?あん二人はむしろ分かりやすうかったよ。神を倒すこと――やってなぁ」

「信じるんですか?」

「信じられんとも思うし、信じてみたいとも思う。まぁ、時間はかかるやろけど」

 あぁ、この人は上手い。上手くて、卑怯だ。

 自己開示。交渉のテクニックだろう。

 こちらの手札を見せることで相手側に開示することへの抵抗を和らげる。

「そうですか」

 だが、俺には効かない。そんなことで俺のA.Tフィールドは壊せはしない。

「そう。やけどあんたのことは何も分からん。いづなを追い詰めた、あんたの目的がね」

「その表現には語弊があると思いますが……」

「あらへんよ。あんた一人でいづなの、あるいは『  』(空達)の策は瓦解しとった」

「いづなの方は知りませんが、あいつらは俺がいること前提に、というか俺を最大限利用できる策を作っただけでしょう」

「それが、そうも言いきれんのよ」

 何度目になるか、巫女さんはクスリという笑みを挟んで続ける。

「あんたがいづなの切り札を封じんかったら、結局のところジリ貧やったろ?」

「どう、ですかね」

 もしも、いづなに『血壊』が使えなくなるほどの消耗がなかったら。

 このIFに意味は見出せないが、少なくとも、今回ほどスマートに決まったかは疑われる。

「あんたが、あんたの策で動いたジブリールが、いづなを追い詰めた。やから最後、いづなは決めきれんかった。どこか違うけ?」

「……事実上そうかもしれませんが、俺の過大評価だけは間違いです」

 これは断言できる。彼女は俺を過大評価していて、それだけは事実にそぐわない。

 だが、大した覚悟もなく言い返したことを、俺はすぐに後悔する。

 

「ハッ、よくゆうなぁ。――他人(ひと)の評価なんて、聞く気もないあんたが」

 

 思わず息を呑んだ。

 その反射的反応は言葉の意味にではなく、彼女のまとった空気にである。

 体を覆う赤い雰囲気――いや、いっそオーラと呼んだ方が理解できるそれに、俺はやけに冷たく感じる汗をそのままにする。

 その汗は、頬を伝って地面に落ちた。

 この数秒の沈黙すら、俺には数十倍に引き伸ばされたように思える。

「……『血壊』ですか」

「先にゆうとくと、沈黙で終わらせる気はあらへんよ?」

 これは、ふざけている。

 獣人種(ワービースト)はもとより言動の嘘を見抜く術を持っている。わざわざ『血壊』を使う必要はない。

「改めて聞こか。あんたの目的は、何?」

「……ゲームとか、仕掛けないんですか?」

「受けんやろ」

「まぁ、そうっすね」

 では、何故巫女さんはここまで本気を見せるのか。

 必要のない威嚇と、意味のない脅し。どちらもこの場において何ら力を示すに値しないものだ。

 嘘は見破れても『血壊』は要らない。危害を加えられないのなら拷問もできない。

 それなのに、恐らく俺より遥かに頭がキレて、理性的で、合理的で、こと交渉や対話における戦歴は『  』すら敵わないであろう彼女がこんなことをするのか。

「俺だけ答えるのはフェアじゃないでしょう」

 踏み込む気はない。ただ気にはなるのだ。

 あの巫女が、東部連合を創った有力者(バケモノ)が、俺ごときに興味を示していることに、その理由に。

 あるいは、俺に対する過大評価故かもしれない。

 だがそれだけではないはずだと、心のどこかで思う俺がいる。

「ええよ?何が聞きたいん?」

 でなければ、こうもあっさりと条件を呑みはしないはずだ。

 巫女さんは赤いオーラを仕舞い、緊張させていた脚を崩す。

「結構、すんなり受け入れるんですね」

「まぁ、こっちから聞いとるんやし、フェアやないってのも分かるからなぁ」

「散々聞いて、俺が答えないとか、疑わないんですか?」

「あぁ、それはない。あんたはそういう人間やない」

 あんたは俺の何を知ってるんだよ。

 ……そう、心の中でツッコんだ言葉は、確かに声になってはいないはずだ。

 

「あんたの、目を見れば分かる」

 

 なのに彼女は、俺の心を読んだかのように、声にならない声を聞いたかのように答えた。

「……目って、腐ったことに定評のある俺の目ですか?」

「その目であっとるよ。腐って濁って死ぬ手前みたいな、滑稽なその目で」

「そこまで言うかよ……」

 自虐掘り返すとかどんだけだよ。この人、実は雪ノ下姉より闇深いんじゃなかろうか。

 ブラックジョークにも黒を上塗りするブラック二乗の巫女さんは、細い瞳を向けながら続ける。

「別にええやろ?自虐なんやし」

「それは俺が言って初めて自虐でしょう」

「いんや、あての自虐やよ」

「は……?」

「あても昔、(おんな)じ目しとったからね」

 そう言った彼女の顔は、確かに自虐的な笑みをしていて。

 だから俺も、聞く態度を崩そうとは思わなかった。

 彼女言葉を聞くべきだと、理性とは別の部分が決めてしまっていた。

「まぁ深く語るつもりはないけどな。ただ似とるゆうだけのことよ。あんたの目が、昔見たあての目に」

「そうですか」

「ほん?深くは聞かんの?」

「語らないんでしょ」

「自分からは、な。でも聞かれたら、答えるかも知れんよ」

「まぁ深く聞くつもりはないですけど」

「そうか」

 何かを諦めるかのように、巫女さんは瞳を閉じた。

 ……彼女は、聞いて欲しかったのだろうか。聞かれて、答えたかったのだろうか。

 だが、もしそうだとしても俺は聞かない。

 俺と彼女は違うのだ。

 だからきっと、違う。

 たとえ瞳が似ていても、どうなるのかは、どうなっていくのかはきっと違う。

 似ているとは、違うことの証明だ。でなければ、それは類似ではなく同一だ。

 近いからこそ、違うのだ。

「それが、俺に目的を聞く理由ですか?」

 違うからこそ、彼女も俺に興味を示した。

 そういうことなら、確かに筋が通る。

「……それも一つやね。期待もするし、興味もある。それは否定せんわ」

「なら、一番は何ですか?」

「簡単なことやし、さっきも言ったことやよ。あんたの目的が分からん」

「振り出しですね」

「かもなぁ」

 そうじゃないと知っていながら、巫女さんは嘲る。

 目的を知りたいと思うことに、理由は必要だ。

 理由がなければ、聞く必要すらないのだから。

「あては過去を生きた。そんで今を生きとる。これから未来も生きるんやろな」

 脈絡があったかは分からないが、彼女はそんな事を語り出す。

「誰だってそうでしょう」

「さてなぁ。偶におるやろ?前ばっか見とって、足下を見んひん奴とか。逆に振り向いてばっかおって、進もうとせん奴とか」

「まぁ、いますね」

「あんたは、どっちやろね?」

「…………」

 ……何故、だろうか。

 何故彼女にはそんな事が言えるのだろうか。

 そんな、核心を突くような問いを。

「俺は、今ここに生きてますよ」

「まぁ、目はともかく体は死んどらんからな」

「目のことはもういいでしょ」

「けど、心は死んどるんやない?」

「いや、死んでないですって」

「あぁ、すまんすまん」

 戯けたように、巫女さんは軽く手を振りながら訂正する。

「言い方変えるわ。――今ここに生きとらんやない?」

「…………」

 あぁ、クソッと、そんな悪態すらつけない。

 恐ろしいと感じるほどに、彼女は俺に問う。

 まるで今俺の心を読んでいるかのように、声を聞いたかのように問うてくる。

「俺の何を、知ってるんですか」

「あんたの事は知らんよ。何があって何を思って、何を経てここにいるかなんて何も知らん。あてが知っとるのは、その目のことだけ」

 それだけで、こんなに分かるものなのか。

 目は口ほどに物を言うとは、よく言ったものだ。

「それは、その目はなぁ。溜め込んで、飲み込んで、積もり積もってできる目や。やから、見えんのよ」

「見えない……」

「見えとらん。というか見れんのよ。腐って濁って死ぬ手前の目じゃ、前は見れん」

 まるでメガネのように言うが、存外そうかもしれない。

 瞳だってレンズだ。濁れば、霞めば、光を通さない。

「じゃあ、どうすれば見えるんですかね」

「それは、自分で探すしかないなぁ。自分の業の分だけ霞んだ目は、自分でしか治せんから」

「まぁ、でしょうね」

 自分でしか治せない。自分でしか覆せない。

 その言葉は突き放すように冷たいはずなのに、やけにあっさりと飲み込む事ができた。

 多分、彼女は治したのだ。

 自分で、自分一人で、持て余した濁りを振り払った。

 彼女のように、俺もできるだろうか。

 いや、俺と彼女はやはり違う。

 だからやり方も、やるスピードも違うはずだ。

 そして恐らく、できるかできないかの結末すら、違うのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――なぁ、そろそろええか?」

 巫女さんの声が耳に届いた段階で、俺はようやく視線を落としていたことに気が付いた。

「あ、すいません」

「ええよ、別に。ほな、さっさと本題行こか」

「本題……」

「ここまで話したんやし、答える気ぃなったやろ?」

 あぁ、そうだった。

 俺は今、巫女さんに問われている側だった。ただ彼女が交換条件に頷いてくれただけで。

「えっと、じゃあ最後に一つ、いいですか?」

「内容によるけどなぁ」

「……あなたの目的はなんですか?」

 これが本当に最後だ。

 彼女に嘘が通用しない以上、最低限の理解は欲しい。

 ステフやジブリールは、そしてあの兄妹は、目的も手段も確立していて、そういう方向では信じることができる。

 彼らは、彼女らは決して自らを裏切らない。

 その観点から言えば、俺は巫女さんを知らな過ぎる。

「なんや、意趣返しかいな」

「別に、他意はないですよ」

「目的か。それは、あてがエルキアに積極的に協力する目的、ゆうことでええん?」

「まぁ、そうですね」

 東部連合はエルキアに事実上の敗北を期し、連合として協力することとなった。

 だが、そこに互いの干渉を密にするという内容の契約はなかったはずだ。少なくとも、俺が聞いた感じにはそうだった。

 そして巫女さんは、何故かエルキア勢の中でも特に特筆すべき事のない俺に接触を持って来た。

 これはエルキアに、ひいては『  』の最終目標に協力的であると言えなくもない。

「あては見たいだけ。あん二人がどこまでやれるか、ね」

「傍観、ってわけじゃなさそうですけど」

「観るだけやったら、別に協力はせんよ。やけど、どうせ見るんやったら特等席がええやん?」

「あの二人、お互いが隣の席(とくとうせき)みたいな感じですけど」

「なら、せめて見やすい指定席座らせてもらうわ」

「そうですか」

 見たいだけ、というのは嘘ではなくとも全てではない気がする。

 気がするというだけで、それ以上は踏み込めないし踏み込むつもりもないが。

 こちらは騙り切ったと言わんばかりに、巫女さんは脚を組み直す。

「それで、そっちのはどうなん?」

「俺は……」

 巫女さんは見てみたいと言った。彼らの、『  』の先と結末を。

 では俺は、俺の目的はそうだろうか。

 彼女と似た目をしているように、目的もまた似ているか。

 いや、これは似てすらいない。根底から違っている。

 

「俺の目的は、まだ無いです」

 

 なぜなら、存在しないからだ。

 その根底が、似ているとか違うとか語る以前にそれ自体がもう無い。

「無いって、そんなことないやろ」

 確かに、俺は動いた。彼らと共にゲームをした。

 だが、それは理由を貰っただけに過ぎない。

 俺が俺自身の目的で動いたわけではないのだ。

 あの時俺は空や白に、ジブリールに、そしてテトに理由を貰った。

 そうまでしてようやく、俺はゲームに参加することになった。

「嘘はついてないでしょう?」

「……やから、驚いとるんやけど」

 そんな風には見えないが、動揺くらい隠すのは朝飯前なのだろうか。

「欲しいものはありますし、住む場所が無くなるのは困ります」

「何で、いきなり世知辛い話になっとるん?」

「けど、それらは事情であって目的じゃない。だからまだ無いです」

 ここまでの言葉に嘘がないことを確認したであろう巫女さんは、組んだ脚をまた緩めて、静かに笑う。

「つまりあてには、あんたを信用する理由はないゆうことやね」

「そうですね。こんな怪しいヤツ、信用する方がどうかしてますし」

「違いないわ」

 もう彼女の表情には陰がなかった。

 それが本心なのか、テクニックで隠されているのかは分からないが、笑う彼女はそれ以上俺に問うことはしなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―other side―

 

 

 

「おっす、おつかれ」

「勿体ないお言葉で」

 瞬間的に現れたジブリール、空は動揺することなく労いの言葉を放り投げる。

 現在、比企谷八幡を除くエルキア陣営はいづな、いのと共に別室で待機。巫女の要件が終わる時間を待っていた。

「マスター。少し、よろしいでしょうか?」

「お〜、あと三十秒待て。あ、剥ぎ取るから四十秒で」

「……にぃ、素材……獲る?」

「……要らねぇか」

 モンスターを文字通りハントし終え、空と膝の上の白は、目の前のジブリールに目を向ける。

「あの男について、いくつかお話しておきたい事が」

「調べて来たの?わざわざ?」

「それが最善だと判断しました。マスターもお止めになりはしませんでしたので」

 ジブリールはついさっき、権限で聞き出した一部始終を語る。

 それは奉仕部という存在であり、彼の過去であり、彼の元いた世界の話である。

「……あ〜、うん。分かった、とりあえず、うん」

 少々思うところのある空は、内容だけをできるだけ客観的に、無感情に知識として取り入れる。

 そして目を閉じて咀嚼し、噛み砕き、必要な部分だけをろ過して抽出する。

「つまり――」

 今聞いたジブリールの話を統合すれば、ある一点が浮かび上がる。

「八はリア充ってことかァ!」

「急に怒る意味も内容も、訳が分かりませんわ」

 奮起し立ち上がる兄妹を眺め、ステフが悪態をつく。

『リア充』――それは以前に、空自身がステフに対して要求した常識人の上をいく存在。

 すでにステフの中で常識人の範囲に入っている八が、その上を行ったとして何がおかしいのかと、赤毛ごと首を傾げる。

「これは、深刻な問題だな」

「……ん、八……信用、できない……」

「どういう経緯でそういう結論になるんですのよ……」

「なぁステフ、そういえばさ」

 理解に苦しむステフに、空は優しく微笑みながら振り向いた。

「前にやったゲーム、まだ有効だよなぁ?」

「へっ……?」

 前に、という単語でステフの脳に浮かび上がるゲームがあった。

 ジブリールとの遭遇の前。

 ステフが『  』に対して王政を要求するが為にゲームを仕掛けた事がある。それも一度に限らず、かなりの回数。

 その度に衣服を取られたり、犬耳を付けられたり、そもそも犬にさせられたりしたが、それだけではない。

『鳥がいつ飛び立つか』というゲームの勝敗はやはり『  』が制したのだが、その対価をステフはまだ支払っていない。

「ちょ、いつの話をしてるんですのっ?」

「盟約は絶対遵守される。期限は決まってなかっただろ?」

「んぐっ……」

 いつしか空の表情は、いつものゲーマーらしい笑みに変わっていた。

「よって、我が令呪を持ってステフに命ずる」

「レイジュってなんですの……?」

「八を調べろ。期限は俺がいいと判断するまでだ」

「え……」

 

 

 

 

 ―other side out―

 




基本的に、八幡が関与していない部分は原作通り進んでいる、ということでよろしくお願いします。

番外編 エルキア王国奉仕部ラジオは必要ですか?

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