ギフテッド   作:龍翠

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明けましておめでとうございます。0時現在、私はきっとお仕事しているでしょう。
せっかくの年明けなので普段とは違うことをしたいと思いました。
なので、メールなどで要望のあったギフテッドのプロトタイプを投稿してみます。
以下に注意事項を記載しておきますので、一度目を通していただけるとありがたいです。
ちなみに、プロトタイプは0時に予約投稿しています。
本編と区別がつかない、という時は投稿時間で区別していただければと。


これはヴィータ夢小説の番外編として書いたものです。ギフテッドとは設定が異なります。
主人公の生い立ち。一人暮らしですが、正真正銘の普通の人間です。
……まあこちらもちょっとアレな経緯はありますが、これには出てきません。

これはGOD発売前に書いたものです。シュテルの名前がまだ出ていませんでした。
そのため、文章内では「星光」で統一されております。
また、ゲーム版とは設定が違うところも多々あります。砕け得ぬ闇諸々も全くありません。
その点は特にご注意ください。

プロトタイプの設定について。
主人公は一人暮らしです。ぼろっちい一軒家に一人で住んでいます。お役所仕事しろ。

五話構成です。一話一話は短めかもしれません。
一日一話ずつ予約投稿の設定をしておきます。
また、現在と違い横書きで改行しまくりです。

最後に超重要!!
バッドエンドまっしぐらです。ご注意を。



以上です。駄文のプロトタイプなのでさらなる駄文ですが、それでもよろしければお読みくださいませ。


プロトタイプ
第一話 殲滅者


終わりのない人の夢。

それは人に活力を与えるもの。

人ならざる闇の夢は、少女に何を与えるのだろう。

 

『殲滅者』

 

自分は、夢を見ているのだろうか。

思わずシュウはそんなことを思ってしまった。

本屋から家への帰宅途中、近道をしようと入った裏道。

そこに、一人の少女が横たわって苦しそうに喘いでいた。

茶色のショートヘアに、黒衣をまとった少女。

顔は、少年の友人、高町なのはとうり二つ。

「……なのは?」

シュウは無意識に携帯電話を取り出すと、自然となのはに電話をかけていた。

数回のコールの後、

『はい、なのはです』

なのはが電話に出た。

「あ、なのは……? 今、どこにいるの?」

『え? はやてちゃんの家にいるよ』

「……側に誰かいる?」

『シュウー、聞こえるかー?』

答えの代わりに、ヴィータの声が返ってきた。

シュウは苦笑して、聞こえてるよと返事をする。

「ごめんね、何でもないんだ。切るね」

『え? ちょっと待って……!』

呼び止められたが、それを無視して電話を切った。

なのはははやての家にいた。

では、この少女は誰だろう。

「えっと……。生きてる?」

恐る恐る近付いて、少女の肩を揺する。

少女の目がわずかに開かれた。

「ここ、は……?」

少女の口から漏れた声は、弱々しく震えていた。

「海鳴市。詳しい場所は……ちょっと説明できないかな」

「……そう、ですか」

少女が再び目を閉じようとする。

それに気づいて、シュウは慌てて制止した。

「ちょ、ちょっと待って! 君は誰!?」

「……私は……」

何か答えようとしたが、途端に苦しそうにうめいた。

シュウはわずかな逡巡の後、少女の体を背負った。

「なに、を……?」

「見捨てるわけにもいかないからね。病院もまずそうだし……」

少女の手元を一瞥する。

なのはと同じ、だが色の違う杖がしっかりと握られていた。

「とりあえず、僕の家に行こう。そこで休むといいよ」

少女の返答はない。

それを都合の良いように解釈し、シュウは自宅への道を急いでいく。

「物好きな、方ですね……」

とても弱々しい声で、そんな言葉が紡がれた。

 

自宅にたどり着いてすぐ、シュウは部屋に布団を敷いた。

少女をそこに寝かせ、額に手を触れる。

驚くほど熱かった。

シュウは小さな流し台へと行き、タオルを冷たい水で冷やす。

しっかりと絞って、少女の額に載せてあげた。

「ん……」

先ほどまで苦悶の表情だったが、幾分か和らいだようだ。

それを見て胸を撫で下ろし、シュウはその場にあぐらをかいて座った。

少女の静かな寝息をのんびりと聞きながら。

シュウはいつの間にか、眠ってしまっていた。

 

目が覚めた時、日はとっぷりと沈んでいた。

少女は今も静かな寝息を立てている。

シュウは新しいタオルを取り出すと、再び冷水でぬらして絞った。

それを少女の額のタオルと交換して、

「……あ」

少女の瞳と目が合った。

澄んだきれいな青色をしていた。

「えっと……。おはよう」

シュウがどこかぎこちなくそう言うと、

「……おはようございます」

少女もしっかりとした声で返事を返した。

「ここは、どこですか?」

「僕の家。路地裏で倒れてたんだけど、覚えてない?」

「……いえ、覚えています」

少女は一瞬だけ目を閉じると、そっと体を起こした。

頭痛がするのかわずかに顔を曇らせるが、すぐにシュウへと視線を向けた。

「ありがとうございます」

そう言って、頭を下げる少女。

それを見て、シュウは激しく狼狽した。

「いや、えっと……! 当然のことと言うか何と言うか……!」

「一つ、お聞きしてよろしいですか?」

「あ、はい! どうぞ!」

「私は、なぜここにいるのでしょうか」

シュウの表情が怪訝そうに歪んだ。

対する少女は、わずかに首を傾げている。

「えっと……。覚えてない?」

「…………。すみません、私の質問が悪かったですね」

少女は言葉を探すように顔を伏せた。

急かすことはせず、じっと少女の言葉を待つ。

やがて、少女が顔を上げた。

「少し前の会話から察するに、貴方は魔法のことを御存知なのですね?」

「ああ、うん。知ってるよ」

「では、高町なのはという方は御存知ですか?」

「……うん、知ってる」

「では……。闇の書のことは?」

シュウはわずかに顔を曇らせた。

聞いてはいるが、そこまで詳しいわけではない。

そう説明すると、少女は十分ですとうなずいた。

「私は、闇の書の残滓です」

「へ……?」

少女が説明を続けていく。シュウはそれを自分なりに解釈していった。

闇の書の防衛プラグラムが破壊された後、その細かい残滓が残された。

それはやがて集まっていき、魔力を集め始める。

そうして生まれた闇の欠片が、関わった人間の記憶を写し、様々な形を取った。

闇の書の闇を再生させてしまう闇の欠片。

それらは少し前に、管理局の魔導士に全て処理されたそうだ。

「そんなことがあったんだ。全然知らなかったな……」

「どのような関係かは存じませんが、必要ないと判断されたのでしょう」

闇の欠片の中で、独自の自我を持ち、目的を持っていた存在がいた。

マテリアルと呼ばれる存在。

それらも、他の欠片と同様に処理された。

「……そのマテリアルも、誰かの姿を投影していたの?」

「はい」

「……じゃあ、もしかして……」

少女の顔を見ると、一度だけ小さくうなずいた。

「私がその、マテリアルの一人です。星光の殲滅者と呼ばれていました」

「…………。じゃあ、管理局の、敵?」

「そうなりますね」

うなずく少女は無表情で、何を考えているのかは読み取れない。

シュウは腕を組み、じっと考え込んだ。

――これは、みんなに伝えた方がいいのかな。

「お任せします」

「え?」

不意にかけられた言葉に、シュウは驚いて顔を上げた。

「私を通報するかどうかで悩んでいるのでしょう。

 ご自由にしてください。

 私自身、なぜ今もこうして存在しているのか分からないのです。

 貴方に助けられたのですし、貴方にお任せします」

少女の言葉に、シュウはため息をついた。

こう言われると、正直管理局には言いづらい。

「どこまで記憶があるの?」

「……オリジナルに敗れるまで、ですね」

「ということは、なのはと戦ったのか……」

この対応次第で、管理局との関係が悪くなるような気がする。

だが、この少女を見捨てる気にもなれなかった。

以前の、ひとりぼっちだった時の自分の境遇と重ねているのだろうか。

「どうして、なのはと戦ったの?」

「私の中から、声がしていました。全てを壊せと……」

それを止めるために、なのははこの少女と戦ったのだろう。

自分と同じ姿の、この少女と。

「今も……そんな想いがある?」

「……なぜでしょうね。もう、何かをしたいとは思わなくなっています」

「そっか……」

少女の言を信じるなら、危険性はないだろう。

だが、それを言っても、他と同じように処理されてしまう気がする。

「……君は、消えたいと思ってる?」

「……分かりません。自分がどう思っているのかも……」

少女はうつむいて、黙り込んだ。

どこか困惑しているような表情。

今にも消えてしまいそうなほど、儚げに見える。

その様子を見て、シュウは心を決めた。

「じゃあ、どうしたいか決まるまで、ここにいるといいよ」

「え……?」

「僕は管理局に通報したりしない。ここで休んでいくといいよ」

ただし、と前置きして続ける。

「勝手に外に出歩かないでね。

 管理局の人達に見つかったらやっかいだから」

それだけ言い終えると、シュウはよいしょと立ち上がった。

「何か作るね。まあゆっくりしてて」

そう言って流し台へと歩いていく。

少女はしばらく呆けたようにその後ろ姿を眺めていたが、

「ありがとうございます」

そう言って、頭を下げた。

 




プロトタイプの出会い編です。
なお、全ての投稿を完了次第、一章の最後へと場所移動を行います。
ご了承くださいませ。

誤字脱字の報告、感想などいただければ嬉しいです。
ではでは。
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