ギフテッド   作:龍翠

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最終話……かもしれない。


第五話

 

 ――それじゃあお願い。

『ああ』

 皆が呆然としている前で、シュウが静かに目を閉じる。そして、何の前触れもなく、忽然とシュウの姿が消失した。

 

 

 Side:Stern

 油断をしていたわけではない。ただ、まさかこんな大規模なことをされるとは思ってはいなかった。

 今回受けた仕事は、ある無人世界の調査だ。そこには誰も住んでおらず、動物すらほとんどいないとされている世界。それなのに、最近になって魔力が検出されるようになったそうだ。そのためシュテルを含む魔導師数名で調査をすることになった。

 五人一組で調査を進めた結果は、特に異常なし。検出された魔力というものが何なのかも分からなかったが、一先ず報告に戻ろう、という頃になって、それは突然起こった。

 唐突に、一人が撃墜された。体を打ち抜かれ、墜ちていく仲間。慌ててそれを別の誰かが助けようとして、その人間も撃たれた。どこから撃たれたかも分からない狙撃に、場が混乱してしまう。だがシュテルは冷静に弾の軌道を分析し、そちらへと杖を向けた。何も見えないが、何かしらのステルスの可能性を考慮して砲撃魔法を撃とうとしたところで、

「お前がシュテルだな?」

 背後からの声。ゆっくりと浮かび上がる大勢の魔導師。その全員が、シュテルへと杖を向けていた。

「共に来てもらおう」

 抵抗しても無駄だと悟り、シュテルはため息をついて手を上げた。

 

 捕まった時のことを思い出し、シュテルは考える。やはりあれは待ち伏せされていたと見るべきだろう。自分があの世界に行くことを知っていた誰かによって。

 ――違いますね。

 そもそもこの依頼が仕組まれていたのかもしれない。この依頼は全てのメンバーが名指しで指名されていたらしい。ならば、この依頼を出すことのできる人物、ということか。そこまで考えたところで、シュテルは小さく首を振った。今考えるべきことはそれではない、と。

 シュテルは正面の壁を見る。小さくない穴があいた壁。シュテルの砲撃魔法によるものだ。物は試しとカートリッジを一つ消費して砲撃魔法を撃ったのだが、壁に穴を空けることはできても結界は一切破壊できなかった。結界が損傷した形跡もないので、今のシュテルの魔法では脱出は難しいだろう。

 やはり犯人グループとの交渉か、とも思うが、音奈が訪れたきりここには誰も来ていない。交渉をする機会すら与えられなかった。あちらもシュテルの意図など把握しているのだろう。独力での脱出は難しいと見るべきだ。

 シュテルは肩を落とすと、その場に座り込んだ。今頃王たちはどうしているだろうかと考える。自分の現状はすでに把握されているはずだ。助けようとしてくれているだろうか。

 家族の顔を思い浮かべようとして、真っ先に思い浮かんだのはシュウの笑顔だった。そのことに内心で驚き、思わず苦笑してしまう。その記憶に寄り添い、シュテルは小さく声を漏らす。

「シュウ……」

 会いたい。帰りたい。そう強く思う。だが、自分ではどうすることもできない。彼に心配をかけるわけにはいかないと思っても、今となってはどうしようもない。

「シュウ……」

 もう一度、名前を呼ぶ。大切な名前を、呼びかけるように。助けを求めるかのように。だが返事があることなど当然期待していない。

 だから。

「呼んだ?」

 頭上からその声が降ってきた時は、自分の正気を真っ先に疑ってしまった。

 

 

 Side:Hero

 転移した場所は狭い部屋だった。コンクリートのようなもので四方を固められた部屋で、何もない殺風景な部屋だ。テーブルもなければいすもない。家具の一つもない部屋。目につくのは、背後の扉と壁に空いた穴ぐらいか。

 だからこそ、視線を少し巡らせばすぐに探している少女を見つけることができた。床にうずくまり、うつむいてしまっている少女。初めて見る弱々しい姿に、シュウは心の底から驚いた。すぐにシュテルへと駆け寄り、

「シュウ……」

 シュテルの声。自分を呼ぶ、弱々しい声。シュウはシュテルの前で立ち止まると、柔らかく微笑んだ。

「呼んだ?」

 そう声をかけた瞬間、シュテルが勢いよく顔を上げる。シュウを見て、ただただ唖然としていた。

「シュテル。無事で良かった」

 そう言って、身をかがめる。未だに呆然としているシュテルを、そっと抱きしめた。

「会いたかったよ、シュテル」

「……シュウ……」

 シュテルのか細い声。シュテルの手が、シュウの背に回される。シュテルの体温をしっかりと感じている間に、シュテルが言った。

「シュウ。どうしてここに?」

「え、立ち直り早いよ。もうちょっとこう、感動の再会、とか」

 引きつった笑みを浮かべるシュウに、シュテルは首を傾げた。何を言っているのか、と。

「貴方に会えて嬉しくは思いますが、まずは脱出しなければ」

「……はい、正論です。その通りです」

 もっと熱い抱擁とか、そんなものを期待していたシュウは一人で肩を落とす。心の中で誰かが無遠慮に爆笑している気配が伝わってくるが、それは無視してもいいだろう。

「シュウはどうやってここに来たのですか?」

 そのシュテルの問いに、シュウは今までの経緯を簡単に説明した。コウのこと、音奈のこと、そしてギフテッドに願ったことなど。シュテルは黙って全てを聞き終え、なるほどと頷いた。

「貴方が願ったことは、つまり……」

「うん。シュテルのところに行きたい。ただそれだけ」

「そんな単純な願いで、結界すら無視してここに来れたわけですか……」

 自分でも本当にこんな側まで転移できるとは思っていなかったので、内心ではかなり驚いている。危険視されるのも無理からぬ話だ、と。

「脱出もお願いできるのでしょうか?」

 シュテルが聞いて、シュウは悲しげに首を振った。

「ごめん。さすがにもう無理だって。転移の魔力なんて残ってないらしい」

「そう、ですか」

 シュテルは肩を落とす。そんなシュテルを見て、シュウはシュテルの手を取った。シュテルの手に、持参したカートリッジを渡す。シュテルが握らされた赤い弾丸を見て、怪訝そうに眉をひそめた。

「これは……?」

「うん。ディアーチェとレヴィ、それにユーリの魔力をありったけ詰め込んだカートリッジ。ギフテッド特製カートリッジだ!」

 胸を張って自信満々に言う。これを一番見てもらいたかったのは、実はシュテルだ。嬉しそうに言ったシュウに、シュテルはしかし戸惑いを見せた。

「普通のカートリッジ、ではありませんね。どうやってこれを?」

「うん。デバイスとカートリッジの知識をもらって、それで作ったんだよ」

 結構難しかった、とシュウが頬をかきながら言う。シュテルは受け取った弾丸をしばらく見つめ、赤いですね、と短い感想を漏らす。シュウは目を逸らし、

「色はなんでもよかったんだけど……。せっかくだから、シュテルのイメージで作ってみた」

「……そうですか」

 それきりお互いに黙り込む。妙な沈黙で、シュウは気恥ずかしさすら覚えていた。しばらくそんな空気を味わったところで、耐えかねたシュウが口を開く。

「そ、それじゃあ! それなら多分この結界も破壊できると思うから……!」

「そうですね。試してみましょう」

 シュテルの声はいつも通りだったが、どこか安堵のようなものを感じた。シュテルがルシフェリオンへ赤い弾丸を装填、ロードし、同時に魔法も展開する。

「……っ!」

 シュテルが大きく目を見開いた。その反応に不安を覚えるシュウだが、シュテルに腕を掴まれ引っ張り寄せられる。戸惑うシュウへと、短く一言。

「側にいてください。おそらくですが、かなり危険なことになると思います」

「了解……」

 照れも何もなく真顔で言われると、さすがにシュウも本当に危ないのかと察しがついた。シュテルの背後に回り、その体を支えるように寄り添う。

「集え明星。全てを焼き消す焔となれ……」

 目の前で魔法陣が展開される。赤色だった魔法陣は、すぐに様々な色が混ざり始めた。魔法陣の前に巨大な光の球が形成され、それも赤や青、紫、黒など変色を続けている。感嘆のため息をつきながらそれを見ていたが、ふとシュテルを見ると、真剣な表情で汗を一筋垂らしていた。

「シュテル。大丈夫?」

 シュテルが無言で頷く。シュウは少し考え、シュテルを支えるためにシュテルと一緒に杖を掴んだ。驚くシュテルに、短く告げる。

「一緒にいるから。少しだけでも、手伝うから」

 シュテルが目を細め、ありがとうございます、と口を動かした。

 その時だった。部屋の扉が勢いよく開き、少女が駆け込んでくる。シュウの知っている顔だ。

「一体何を……! 西崎君、あなたいつの間に!」

 音奈がシュウに気づき、驚愕に目を見開く。シュウはそんな音奈に、悪戯っぽく笑いかけた。

「今さっき。あと音奈さん、これだけ言っておくよ」「

「なに!」

「ざまあみろ」

 その言葉の直後、音奈の叫び声やシュテルの苦笑をかき消して、閃光が爆発した。

 

「これはまた……派手にやったわね……」

 眼前に広がるのは瓦礫の山。アースラ所属の魔導師たちが瓦礫の山の下敷きになっている人を救助、拘束していく。シュウとシュテルはその様子を、瓦礫の真ん中で眺めていた。いつの間にかリンディが側まで来ていて、先の一言はリンディのものだ。

「貴方たちは、無事?」

 リンディが心配そうに聞いてくれる。シュウは頷いて言う。

「死にかけました」

「でしょうね……」

 苦笑して、リンディが手を振り始めた。何事かとリンディの見る方向を見やれば、ディアーチェたちがこちらへと走ってきていた。

「無事か! シュテル! シュウ!」

 ディアーチェの第一声がそれだった。シュウとシュテルは顔を見合わせ、二人で笑う。怪訝な表情をするディアーチェに、シュテルが言った。

「無事ですよ、ディアーチェ。ご心配をおかけしました」

「そ、そうか……。いや、心配などしれおらんがな。うむ、無事ならば、いい」

 わずかに顔を赤くしながらディアーチェがそっぽを向く。素直やないなあ、と後ろのはやてがからかい始め、ディアーチェがはやてへと怒鳴り始める。

 すぐにレヴィやユーリたちも来て、シュテルとの再会を喜び始めた。

 そして、

「……っ!」

 全員が一斉に反応し、防護魔法を展開する。結果として何重にもかけられたプロテクションによって、突如飛来した黒い槍は弾かれた。全員が同じ方向へ杖を構え、相手を見据える。そこにいたのは、音奈だった。自身の周囲に黒い球体をいくつも従え、シュウを静かに睨み付けている。

 シュウも見覚えがある黒い球。シュウの部屋にあった黒い球は、どうやら音奈の魔法だったらしい。

「諦めないよ……。絶対に、諦めない……」

 音奈の言葉。全員が音奈の言動を警戒している中、シュウはただ一人眉をひそめていた。何をこんなに焦っているのだろう、と。ここで向かってくるよりも一度逃げた方がいいのでは、と。

「音奈」

 音奈のさらに向こうからの声。コウがのんびりとした足取りで歩いてくる。音奈はコウの姿を認めると幽霊でも見たかのような表情をしたが、すぐに何かを理解したのかまたシュウを睨み付けてきた。

 そんな音奈の様子にコウは笑う。やっぱりか、と。

「音奈、お前、報告したな? あのマッドに」

「…………」

「どうせあのマッドのことやから、条件が揃っているならさっさと奪え、今すぐだ、とかそんな無茶なことを言ったんやろうな」

 音奈が顔を伏せ、小さく頷いた。それを見てコウがやれやれと首を振る。未だに状況が飲み込めない一同へと、コウが口を開いた。

「俺らの雇い主はちょっとあれな人でな。有能な人間以外はいらんって考える人や。失敗した人間を面倒見るなんて、あいつはせえへん」

 俺も殺されかけたやろ? とコウが笑い、シュウは反応に困って曖昧に頷いただけだった。

「だからまあ、失敗は許されへん。だから音奈は、今ここでギフテッドを手に入れる必要がある。自分の命のためにも、な」

 そっか、とシュウは納得する。どうにも計画がその場の勢いであったような気がしたが、事実主犯である音奈が焦っていたらしい。さすがにかわいそうだと思ってしまうが、

「シュウ。気にする必要はない。あちらの事情であって、君が身を投げ出す必要はないぞ」

 そう言ったのはクロノだ。音奈へと向き直り、言う。

「捜査に強力してくれるなら、君たちの身の安全は保証しよう。さすがに無罪放免とはいかないが、善処はする。だから……」

「無駄やな」

「無駄ね」

 クロノの言葉を遮って、コウと音奈が同時に言った。クロノが顔をしかめるが、二人ともそんなことは一切気にしていないようだ。

「言うたやろ? 俺らの雇い主の雇い主は管理局の上層部やて」

「理由をつけられて引き渡されるのが目に見えるね」

 音奈が言うと、そうやでな、とコウが笑う。音奈もうっすらと微笑を浮かべた。ただそれは、全てを諦めた者の表情だ。

「まあ、もう……。負けたことは分かってる。投降します」

 音奈が黒い球体を消して手を上げる。クロノが、念のためだと言ってバインドをかけようとして、

「だめだ」

 シュウの一言がそれを止めた。訝しげに眉をひそめ、クロノがシュウを見る。シュウは静かにコウと音奈を見据えていた。二人が困惑の色を見せる。

「やっぱり僕の……。ギフテッドのせい、なんだよね」

 シュウの一言にコウと音奈が言葉を詰まらせる。目を逸らしはするが、否定はしてこない。シュウは、そうだよねと一人で何度も頷いていた。

「シュウ?」

 シュテルの気遣うような声に、シュウは言った。

「やっぱり、ギフテッドは消える必要がある。だから、やっぱり消しちゃおう」

 その一言に、その場にいる全員が息を呑んだ。

 

 付近一帯から人の気配がしなくなる。無人世界に残されたのは、シュウとシュテル、レヴィ、ディアーチェ、ユーリのみだ。他の人にはこれからすることを伝え、アースラへと一時的に戻ってもらっている。もしこの世界を超えて被害が出るようなら、それを処理してもらわなければならない。

 シュテルたちはシュウを囲むようにして立っている。それぞれがデバイスを持ち、臨戦態勢となっていた。ただ、相手は人ではないのだが。

「シュウ。本当にやるのですね?」

 シュテルが聞いて、シュウが頷く。

「うん。もちろん」

「分かりました。貴方の意思に従いましょう」

「ありがとう」

 礼を言うと、シュテルが小さく手を振ってくる。周囲を見ると、他の三人も手を振っていた。いい出会いに恵まれたことに感謝しつつ、シュウは目を閉じる。始めるよ、と四人に告げて、心の中で念じる。

 ――じゃあ、お願いします。

『はいはい。任せておきな。あんたらもそっちはがんばりなよ』

 声が面倒くさそうに言った直後、シュウが、ギフテッドが魔力の吸収を始める。最後の願いを叶えるために。必要な魔力はあまりにも多く、そしてやはりこの世界へと魔力の塊が飛来し始めた。

 それを見たシュテルたちが行動を開始、飛来してくるものが魔力を帯びただけのただの物体ならシュウへの軌道から少し逸らし、ロストロギアなら魔力の吸収が済んだところで即座に封印する。これを繰り返すだけだ。ただし、いつ終わるのかが分からないが。シュウはその間何もできず、四人の奮闘を見守ることしかできない。

 シュウが願ったことは、単純なものだ。

『全ての世界からギフテッドに関する記録の抹消』

『全ての世界の人々から、ギフテッドに関する記憶の抹消。ただし親しい人は除く』

『コウと音奈の経歴の抹消。地球での生まれとする』

 この三つだ。三つ目はともかく、前者二つが世界規模であるため要する魔力も膨大になる。故に必要な魔力の吸収のためにこうした方法を取っている。

 シュウは四人の行動をぼんやりと眺めながら、心の中で言う。

 ――色々と無茶を言ってごめんなさい。本当にありがとう。

 それを聞くと、声は呆れたようなため息をついた。なら初めから頼むな、と。

『まあ、気にする必要はないさ。でも今回が最初で最後だからね』

 ――うん。分かってる。

『あたしも、この願いを見届けたらちょっとばかし眠るよ』

 だから起こすなよ、と言われ、シュウは苦笑しながら頷いた。約束する、と答えると、声は満足そうに頷いたようだった。気配でしか分からないが。

 さらに時間が流れる。時計がないので時間の感覚はないが、かなりの時間が経過したはずだ。時折、シュテルたちはなのはたちと交代して休憩しつつ、シュウの護衛を続けてくれている。シュテルたちの何回目かの休憩が終わったところで、声が届いた。

『こんなもんで十分だ』

 その言葉を最後に、突然周囲が静かになった。見ると、もうこの近辺に飛来するものがなくなっているようだ。シュテルたちが戸惑いを見せながらこちらへと振り返っている。

『じゃあ、始めるよ。いいね?』

 ――うん。お願いします。

『はいよ』

 シュウの体から、魔力のようなものがふわりと広がり始めた。不可視のものなので感じることしかできないが、それは一気にこの世界を覆い、そして別の世界へと広がっていく。これが終わる頃には、シュウの願いは叶えられているのだろう。

 ――まだ、起きてる?

 シュウが問いかけると、声が返答する。ただ、どこか眠たげな声だ。

『ああ、起きてるよ……』

 ――シュテルから聞いたんだけど、精神世界、みたいなのがあるんだよね。デバイスのこと、直接教わりたかったよ。……母さん。

 声が息を呑む気配が伝わってきた。しばらく沈黙が流れ、やがて声が忍び笑いを漏らす。眠たげで楽しげな、そんな笑い声だ。

『あんたにはもう十分教えたさ。やり方は不本意極まりないが、まあ仕方ない。あとはがんばんなよ』

 ――うん。ありがとう。

『気にするな。あと、あんたの今の両親を大切にしなね』

 それを聞いたシュウが、善処するよ、と答える。だがもう、声は返ってこなかった。そのことに寂しさを覚えながらも、シュウは顔を上げる。

「シュウ。終わりましたか?」

 いつの間にか目の前にいたシュテルに、シュウは頷いた。

「うん。終わったよ」

 もうギフテッドを知る者は、シュウと親しい者を除いて誰もいない。知る術もない。それでいい、と思う。本来なら、もっと早くにこうするべきだったのだから。

「では、シュウ。手を」

 シュテルに促され、シュウは手を差し出す。握られた手から魔力を受け取り、シュウは薄く微笑んだ。

「ありがとう。じゃあ、帰ろうか」

「はい。そうですね」

 シュウはシュテルたちと、破壊の爪痕が生々しく残る無人世界を後にした。

 

 その日を境に、様々な世界のいくつかの書物から空白のページが生まれた。そのページに何が記載されていたのか思い出せる者はなく、知識として知っていた者も突然生まれた記憶の空白に混乱してしまう。だが、数日もすれば、なぜか自然とそれはそういったものだった、と認識され、忘れ去られていった。

 

 Side:Past

 パストはゆったりと闇の中を漂っていた。心地よい微睡みの中、息子たちの様子を見守る。いつものように起床して、学校へ行き、そして帰ってシュテルたちとの夕食を楽しむ。そんな日々を、パストは穏やかな笑みを持って見守り続ける。

「さて、それじゃあ……眠るとしよう」

 パストはつぶやき、深い眠りへと落ちていく。あの子の平穏のために、ギフテッドの力を封じる楔となろう。いつかまた、新たな願いが届けられるまで。願わくば、それまであの子たちが平和に、平穏に、ただただ静かに暮らせますように。

 だからおやすみ、私のかわいいギフテッド。

 




何とか間に合いました。というわけで、最終話の第五話です。
いや、後ほどエピローグ?も投下しますけど。
そちらは18時頃になりそうです。

適当にばらまいておいたちょっとした伏線もだいたい回収できたかな、と思います。
あとはまあ、主人公たちが冒頭で何のために勉強なり料理なりしていたかですが、そちらは次で。
他に未回収のものがあれば、ごめんなさい。指摘くだされば嬉しいです。

最終決戦、はありませんでした。砲撃でどかんと一発、です!
さて、残すはエピローグのみです。さくっと書いちゃいましょう……!

誤字脱字の報告、感想などいただければ嬉しいです。
ではでは。
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