フクイデ先生   作:フクイデスト

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タグに原作キャラ(ウルトラ側)TSを入れておきました。
先生のヒロインをどうしようかと思った結果、脳裏に浮かんだ案を採用しました。
あっ、ベリアル様(女装)ではないです。


GEED

 遠くに見える街が轟轟と燃えている。昨日、少年の家を破壊した怪獣があそこで暴れているのだ。今、自分には力がある。少年は決意を胸に走り出した。

 

 「ジーッとしてても、ドーにもならねぇ!!」

 

 少年はそう言い放つと、先程渡されたジードライザーに二つのカプセルを挿入する。

 

 「You go! I go! Here we go! 決めるぜ覚悟! ジード!」

 

 二つの因子を融合させ、少年の体を変化していく。その姿は赤と銀を基調としたものに黒いラインが入っている。胸には青く輝く宝石のようなものが付いており、暗い夜では煌びやかに輝いていた。

 

 「この姿が僕!?」

 

 少年はビルのガラスに映る自身の体に驚愕した。それもそうだ、彼は全長40mを超える巨人に変貌している。その姿は都市伝説として語り継がれている光の巨人そのものだった。

 

 「っ!?あいつが皆のところに!」

 

 少年が驚いている間にも怪獣はその歩みを止めない。一歩また一歩と建物を薙ぎ倒しながら、街の人たちの元へ向かっている。

 

 あの人々の中には自分と関わりが深い人物もたくさんいる。彼らの元に怪獣を近づける訳にはいかない。巨人となった少年は怪獣の前に立ちはだかる。

 

 睨み合い、戦闘態勢をとる両者。ここに都市伝説として語り継がれていた怪獣と光の巨人の闘いが再現された。

 

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 「どうですかね、私としてはライトノベルというものが初挑戦なので不安なのですが」

 

 伏井出ケイはそう言いつつも、緊張した面持ちではなく。出されたコーヒーを優雅に飲んでいる。少なくとも、新人ライトノベル作家が企画を持ち込んだような感じではない。

 

 「伏井出先生…これって、どれくらい先まで書かれていますか?」

 

 「今、お渡ししたのが1話の終盤。執筆したのは3話まで、構想自体は既に完結まで練り終えています。大体、4巻から5巻程度で完結する予定です」

 

 「SF作家である、先生が我が社に作品を持ち込んできたと聞いたときには気が狂ったのかと思いましたが……面白いです!展開は王道に沿っているようで、伏井出先生特有の世界観にSFチックな導入。怪しい伏線が色々なところに散りばめられていますね」

 

 編集者は伏井出ケイ初のライトノベルに釘付けになっている。彼は先日、和泉正宗との出会いでライトノベルという物への興味が湧き、頼んでいた和泉マサムネのライトノベルを読んでいると。

 

 自身の制作意欲を抑えきれず、SF作品の方を切りの良いところで終わらせライトノベルの製作に移った。本来なら彼がこの物語を書くことはありえない事なのだが、彼の心境の変化を知るものは『この世界』には存在しないだろう。

 

 「それでどうでしょうか」

 

 「うーん…もう少し続きを書いていただければ、私の方から会議で提案させて貰いますね。この出来と先生の話題性を考えれば、企画は通ると思います」

 

 「そうですか。では、後日。続きを持ってきます」

 

 「はい。もし先生が今後もライトノベルを書くのなら、我が社をお願いします!」

 

 伏井出ケイは女性編集者に深くお辞儀をすると、部屋を出て行った。彼女は伏井出が出ていくのを確認すると大きく息を吐く。

 

 「あっ、挿絵のイラストレーターとかはどうするのかしら?こっちで用意した方がいい?いえ、確か伏井出先生には専属のイラストレーターがいたわね…」

 

 伏井出ケイの専属イラストレーター。その姿や経歴は伏井出ケイ以上に不明で、『コズモクロニクル』や新刊の『星空のアンビエント』の表紙イラストを彼の注文通りに描く天才だそうだ。

 

 それまで、伏井出先生のリクエスト通りにイラストを描ける人物が現れない中、突如先生自身が連れてきた謎の人物らしい。

 

 性別も年齢も不明で、最新の萌え絵も描ければ光の戦士ゾーラなどの先生独自の世界観のキャラクターを描くことが出来る万能な人物。

 

 今まで、先生の世界観を想像しにくかった人々に分かり易く挿絵で表現された世界は先生の本の魅力を何倍も引き出している。

 

 だが、その画力のほとんどが伏井出先生のために注がれ、他の仕事を請け負うことがないのを悲しむファンも存在する。

 

 そのイラストレーターの名は『吉良沢優』

 

 

 

 

 

 

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 今、伏井出ケイは出版社の通路を歩いている。周囲のスタッフは社内に伏井出ケイがいることに驚きを隠せないようで、何故ここに居るのかという視線を彼に送っている。

 

 「…ん?彼は…」

 

 彼が歩いていると前方で道を塞いでいる男女がいた。その中の男性が気に掛けている人物だったのでついつい声をかけてしまう。

 

 「こんにちは、和泉マサムネ先生。お久しぶりですね」

 

 「……えぇ!!ふ、伏井出先生!何で此処に!」

 

 「この前、君と話してからね。私の中でSFとは言えないが最高の作品とも言える物の構想が決まってね。居ても立っても居られずに、この出版社に持ち込みをしたんですよ」

 

 「あぁ…超人気SF作家の書くライトノベルとか!そんなのズルいですよ!俺も絶対に買いますもん!」

 

 「ライトノベル作家の先輩にそう言って頂けると自信が付きますね。期待を裏切らないものに仕上げるつもりです」

 

 正宗と伏井出が楽しそう?に会話していると二人の女性のうち、小柄で金髪の女性が二人の前に飛び出してきた。

 

 「誰よ、アンタ。新人?」

 

 瞬間、その場の空気が凍り付く。正確には、山田エルフの言動に政宗と彼の担当編集者が凍り付いた。

 

 「は、はぁ?!お前、マジでそれ言ってんのか?!」

 

 「山田先生…ライトノベルのみに情熱を注ぐのはいいですが…もう少し他のジャンルの事も気に掛けては如何ですか?」

 

 「私はライトノベル王になるのよ。他のジャンルもいずれは征服してやるわ!で、結局誰なのよ?」

 

 「お嬢さん、お名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」

 

 伏井出はそんな失礼なエルフの言動をものともせず、紳士的な振る舞いをしている。正宗は内心ホッとしていた。他の大御所作家なら絶対にキレられていると思ったからだ。

 

 だが、正宗は少し勘違いしている。伏井出ケイという男は基本的には激しい感情を表に出さないタイプであり、山田エルフの言動にキレてはいないが若干だがイライラしている。

 

 「私の名前は山田エルフよ。代表作は『爆炎のダークエルフ』、もうアニメ化も決まっている超人気作よ!累計発行部数も200万部を超えているんだから」

 

 「ほぅ…素晴らしいですね。私も畑違いなのでそこまで詳しくはないのです。最近書店に立ち寄った際に、貴女の作品をおススメしている場所がありました。かなり面白い作品なのでしょう、興味が湧きました。今日取り寄せて、読んでみます」

 

 「そうね、そうするといいわ!で、貴方の名前は?」

 

 「私の名前は伏井出ケイ。SF作家としてそこそこ名の通っているつもりです」

 

 貴女がそこそこなら今日本のSF作家で有名なのは誰なんだよと政宗と編集者は心の中でツッコミを入れた。

 

 「それで?どれだけ売れているのよ?」

 

 「最新刊の『星空のアンビエント』は100万部売れていますね」

 

 「なんだ、私よりも売れていないのね」

 

 政宗は伏井出先生も人が悪いなと彼の発言を訂正する。そう、彼の言っているのは発売されたばかりの『星空のアンビエント』だけの話だった。

 

 「ちょっと待ってください、伏井出先生。何故そこで10日前に発売された作品を例に挙げるんですか!」

 

 「10日前ェ!?」

 

 そんな驚いているエルフに追い打ちを掛けるように、編集者が更に詳しく訂正する。

 

 「更に言うなら、伏井出先生の代表作である。『コズモクロニクル』三部作は各巻、500万部を超えています。他の作品もSF作品の中では異例のベストセラーですよ。彼のブームに乗ろうと多くのライトノベル作家がSF風の作品を書きましたね。ねぇ、マサムネ先生ェ?」

 

 「そうですね、俺も伏井出先生の作品に感化されて一時期SF風のものを書いたけれど撃沈。伏井出先生の作品で目の肥えたSF好きのユーザーには、厳しい評論を頂きましたとも。それは他の作家も同じですけどね」

 

 「ぐぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬ」

 

 話を聞いてから、エルフが急に悶え始める。特に『コズモクロニクル』シリーズの500万部という単語を聞いた辺りから、それが顕著になり始めた。

 

 「伏井出ケイ……先生!」

 

 「なんですか?」

 

 「今の貴方の戦闘力に私は叶わないけれど。いつか必ず、貴方の作品を超える超超人気作品を書いてギャフンと言わせ…ます!首を洗って待って……いてください!」

 

 「ええ、山田エルフ先生の作品楽しみに待っています。私も後輩として、先達の書く大作には胸躍るものがありますから」

 

 「……っ!あっ、マサムネ」

 

 「俺には先生を付けないんだな」

 

 「エロマンガ先生の事はまだ諦めてないからね!後々、決着を着けるわ。アンタも首を洗って待っていなさい!」

 

 エルフは捨て台詞を残して、玄関口に向かっていった。

 

 「エロマンガ先生?あと、私の戦闘力とは何だったんですかね?」

 

 「今、それを聞きますか…山田エルフ先生は発行部数を戦闘力に言い換えているんですよ。その換算でいくと、先生の戦闘力は2500万でしょうか?」

 

 「ほぅ…なかなか面白い方のようだ。ますます、彼女が書いた作品に興味が湧きました」

 

 「エロマンガ先生っていうのは僕のライトノベルの挿絵を書いてくれている人で、先生で言い換えると吉良沢優さんですかね?」

 

 「なるほど、マサムネ先生とエルフ先生はその人物の争奪戦をしていると」

 

 「アイツが一方的に言ってきたことですけどね。そもそも、仕事を決めるのはエロマンガ先生本人ですから。先生の方はどうなんですか?」

 

 「私ですか?」

 

 「はい、先生専属のイラストレーターといわれている『吉良沢優』さんってかなり幅広い画風を持っていますよね。3年前に一度、先生の講演会と同時に吉良沢優さんの小さな個展をやってるのを見ました。ほとんどが先生の『コズモクロニクル』の表紙や扉絵などの原画でした。ですが、中には風景画や最近の萌え絵のようなキャラクター絵もありました。あれ程の実力のあるイラストレーターならかなりのオファーがくるんじゃないでしょうか?」

 

 「確かに彼女には私以外の依頼がいくつも来ている。だが、それを断っているのは彼女自身です。私の為だけに描く必要ないと言っているのだがね」

 

 「へぇ…吉良沢優先生は伏井出先生一筋なんですね。ん?………彼女?今、彼女って言いました?!」

 

 性別不明の筈のイラストレーターの事を彼女と呼ぶ伏井出に、政宗と編集者は目を見開く。

 

 過去、担当編集者へのインタビューがあった際には、吉良沢優とはネット上のやり取りのみで一度も会ったことがないという発言から彼女の性別は不明だった。

 

 ネットでの推測では、8割方が男性だと思っているとのアンケート結果もある。そんな人物の性別が女性だと判明しただけでも大スクープだろう。

 

 「ええ、吉良沢優はマサムネ先生と同じ高校生ですよ。普通に学校に通う、女子高生です。まぁ、学校以外は基本家を出ない、引き篭もりがちな少女ですが」

 

 「へぇー、女の子なんですか(引き篭もりがちな女の子…なんか紗霧とキャラ被ってる…)」

 

 「…おっと、すまないが私も時間のようだ。マサムネ先生、此処で再開したのは星の導きがあったのだろう。最後に連絡先を交換しないか?」

 

 「えええ!いいんですか?!俺のような弱小作家が!」

 

 「私にとっては初めて仲良くなったライトノベル作家の先達だ。人とのつながりは大切にしなければならない」

 

 「はい、先生。SNSはやっていますか?」

 

 「優と連絡を取るために先月から始めたよ。確か、QRコードや振ると連絡先の交換が出来るのだろう?」

 

 「はい、そうです」

 

 連絡先の交換をした後、伏井出は正宗に別れを告げて出版社を出て行った。

 

 「はぁ…マサムネ先生もうかうかしてられないですね。大御所新人ライトノベル作家が誕生するんですから」

 

 「なんですか、その妙にゴテゴテした肩書は…。本来なら過剰演出なんでしょうが、本当なんだから性質が悪いですよ…」

 

 「私も担当編集者として、出来る限りの援護は行いますので伏井出先生に負けないくらいの作品を世に送り出しましょうよ!マサムネ先生!」

 

 「ええ、そうですね!」

 

 和泉マサムネは決意を新たに、ライトノベルの執筆に取り掛かるのだった。

 

 

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 伏井出邸。それは伏井出ケイが自身の印税で建てた、大きな館。普段は掃除などをするハウスキーパーがいたりするが、この広大な館に住んでいるのは家主の伏井出ケイとその同居人である『吉良沢優』の二人だけだ。

 

 「……いい香りだ。前はコーヒーばかりだったが、紅茶というのも趣がある」

 

 家主である彼は日の差しているサンルームで紅茶を飲みながら、執筆活動に勤しんでいる。

 

 今執筆しているのは先日、出版社に持ち込んだ『GEED』現在四話を執筆中。彼が執筆していると部屋の扉が開かれた。

 

 「先生…ここにいたんですね。ここは日差しが強くないですか?私、お菓子を用意したんです。中の方で一緒に食べませんか?」

 

 それは同居人の吉良沢優だった。彼女の容姿は長身で少しボーイッシュさを感じる美少女だった。しかし、その活発そうな見た目と裏腹に、彼女は身体が弱く。派手な運動や長時間日光の下にいるのが体に悪影響を及ぼしてしまう。その為か肌は色白で手足も細く、触れたら消えてしまいそうな儚さも兼ね備えている不思議な少女だ。

 

 そんな彼女を気遣って。伏井出は彼女の言う通り、サンルームから今は日の当たらないリビングへ移動した。

 

 「やはり、君の作るお菓子や料理は美味しいな。家で舌が肥えてしまうと外食をするのも億劫になるな」

 

 「先生はお世辞がお上手です。ですが、褒められて嬉しくないわけじゃありませんよ?すごい嬉しいです」

 

 優は言葉通り、伏井出に褒められて嬉しいのか机の下で足をパタパタさせている。

 

 「優、この前話した作品。企画が通りそうだ」

 

 「この前って言うのは、『GEED』の方ですか?ライトノベルなんて初めての試みなのに…。すごいですよ、先生!」

 

 「ああ、それでその作品の挿絵について何だが…君に頼みたい。私の脳内にある、描写を絵に出来るのは君だけだ」

 

 「ふふーん。分かっています。私は先生専属イラストレーターです。元々、表紙絵や扉絵ぐらいしか書いていませんから、ライトノベルの挿絵を追加で描いてもキャパオーバーにはなりませんよ。任せてください!」

 

 「それは頼もしいな。それで早速だが、『GEED』二話のこの場面なんのだが。主人公が最後必殺技を放つシーンは…」

 

 「…ふむふむ。なるほど、そういう体勢で必殺技を放つんですね…」

 

 二人は日が暮れて、夕食時を過ぎても話し続けたのだった。

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