フクイデ先生 作:フクイデスト
なんか、ネタまみれになりました…正直楽しかった。
やっぱり、投稿スピードが上がっているのはベリアル様の加護。
きっと、今ならウルトラカプセルと取り込んでも暴走しないはず。
「ケイ…すまんが…この企画。伝奇物の短編集は没にすることになった…」
ある出版社の会議室、ここでは伏井出ケイが五年前からお世話になっている出版社の社長と担当編集者の三人が話し合っている。
彼も経歴不明で実績のないという怪しい人物でありながら出版させて貰った恩があり、出版社も彼に経営不振のところを立て直して貰った恩がある。
主に人気が低迷しつつあった、SF系の書籍を出版している会社だ。経営の立て直しては絶望的であり、社員の何割かは沈む舟から逃げるように退職していった。
そんな中現れたのが伏井出ケイだった。社長は彼の小説を読み、虜となった。そして同時にこれは多くの人も魅了すると確信した。
それからはとんとん拍子で話が進み、伏井出ケイは大物作家となった。その後も社長と伏井出ケイの関係は作者とファンであり、親友という親しい間柄た。
そんな彼が悲痛そうに語るのは伏井出から見ても異常な事だった。
「何か問題でもありましたか?出来るだけの修正はしてみるつもりです」
「いいや、我が社ではほとんどタブーな表現などない。それは『アンバラン・ゾーン』を出した君自身がよく分かっているはずだ」
「では何が?」
「上層部連中が臆病になったのさ。確かに『アンバラン・ゾーン』は名作集だ。だが『コズモクロニクル』を買った者たちの趣向とは相容れない。彼らは心躍るような冒険活劇を望んでいる。その作風の違いによって、顧客が離れることを恐れたのだよ…」
そう、『コズモクロニクル』と『アンバラン・ゾーン』では客層が全く違うことが判明した。それ故に、ホラー色の強い書籍を出版するのに上層部が難色を示したのだ。
「…なるほど、そういうことでしたか」
「すまぬな、ケイ」
「私からも謝罪します伏井出先生。私もそこまで上司たちが顧客が離れることを恐れていたとは考えていませんでした」
「いいえ、経営陣として顧客層との背離や採算が取れるかを考えるのは普通の事です。もう、昔のように一か八かでやってみることが出来なくなったのでしょう」
「そうだな。我が社もケイのおかげで大きな会社になり、社員も多くなった。私にも彼らの生活を守る義務がある」
現在は倒産寸前だった頃に比べて5倍という数の社員を抱え込むようになった。それだけの社員を守るためには身の振り方を考えなければならない。
それは伏井出も理解しているので、それに対して憤慨することはない。彼らなりの理由があり、判断を下したのだから。
「ええ、ですので今回の件は納得しました」
「本当にすまんな。だが、どうするかのう…もう既にケイの為に出版枠を開けてある」
「ええ、それが問題です。これから別の作家に頼むのも難しいですね。このままでは先方にも迷惑が…」
「それなら私から提案があります」
伏井出は不敵な笑みを浮かべる。それに社長と担当編集者は、嫌な予感と大仕事が来るという予感が来た事で苦笑いをする。そして、彼らの予感は的中する。
「ホラーが駄目なら、感動系でいきましょう。原案は既に私の頭の中にあるのですから任せてください」
伏井出のこの一言によって、出版社は次の企画を大きく変更することになる。
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「企画が通ったんですか!」
こちらでは担当編集から電話で企画が通ったと聞いて大喜びする少年の姿がある。数週間前に伏井出ケイに企画書の書き方を教えて貰っていた正宗だ。
『ええ、これはいいものね。このヒロインの魅力は読者の心に届くものがありますよ。マサムネ先生、企画書の書き方うまくなりましたね。今後もこういうセールスポイントを押さえたものを作ってくださいね♪』
「は、はい(ありがとう、伏井出先生!)」
『会議の結果、この企画は出版することが決定しました。おめでとうございます!』
「や、やったー!!!」
しかし、そんな少年の喜びも一瞬の内に砕け散ることになる。
『では、来年の五月の出版に向けて頑張りましょう!』
「は…」
今の彼を漫画的な表現をするならば、正宗は石化して大きな亀裂が入っているだろう。そのまま放っておけば、砕け散って砂になるほど脆くなっている。
「そ、それって一年後じゃないですか!」
『いやー、出版枠を確保していたんですが、あの後直ぐに新作原稿を送ってきた人気作家さんがいまして。そっちが優先されちゃいました!』
「その人気作家って…まさか…」
『我がレーベルの若きエース、ムラマサ先生です♪』
「ムラマサァァ!!またアイツかァァァ!!!」
若きライトノベル作家の咆哮が閑静な住宅街で響くのだった。
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「兄さんまた無職になっちゃったね…」
暖かな目で兄を見詰める紗霧。しかし、そんな妹の目にも気づかない程、正宗は落ち込んでいる。
「ああ、一昨年と同じだ…。あの時もやっと企画が採用になったと思ったら千寿ムラマサに先を越されたんだ」
「千寿ムラマサ…。それって幻想妖刀伝の作者だよね」
「そう、俺より人気の作家でいろいろと被ってる」
「被ってる?」
「まず、ペンネームがちょっと似てる。作風だって、バトルものに和風テイストが入ってる」
「そっか、確かに被ってるね」
そう、ムラマサとマサムネはネットではよく似たような設定でライトノベルを書くため、いろいろと比べられることが多いのだ。
「更にはかなりの速筆で、俺よりも若い学生作家だそうだ」
「つまりは上位互換?」
その言葉で正宗の動きが止まった。彼にとってそれは一番聞きたくない言葉だったのだろう。
「うぅぅ!!よく言われたよ、デビュー当時に劣化ムラマサとか、フォロワーにしても酷いだとか!クソォ!」
妹の部屋で涙を流しながら転がる兄というのはシュール極まりない光景だ。
「もう…『和泉先生』!」
それに見かねた紗霧は正宗の前に立ち上がり、エロマンガ先生として振る舞う。
「確かに出版が遅れるのは残念だ!だが、来年には本にして貰えるなら一歩前進だ!おめでとう、和泉先生!」
「エロマンガ先生、ありがとうな!」
「大丈夫だよ、それまでは兄さんを私が養うからさ」
しかし、その言葉に正宗の顔は暗い。それは中学生の妹にエッチな絵で養ってもらう兄という、光景が嫌というのもあるが問題はそこではない。
「……それじゃあ、駄目なんだ。俺は叔母さんと約束してる。ライトノベル作家として、ちゃんと稼げないとこの生活を続けることが出来ない」
「そっか、兄さんもなんだね」
「紗霧もか?」
「うん、でも私の方は問題ないよ」
「やはり、問題は俺か…」
二人で他の出版社へ持ち込みすることで早く出版してもらうかなどを話し合った。しかし、二人には他の出版社への伝手などが無い。
基本的に持ち込みは、実績があるか伝手がないと門前払いだ。そんな二人に背後から声がかかる。
「なあに?アンタたちも企画不採用になったの?」
「エルフ…お前なんて場所から入って来るんだ。あと、企画自体は不採用になってない!」
紗霧の部屋のベランダから入ってきたのは山田エルフだった。その顔は自身に満ちたもの。
「仕方ないじゃない、二人の話が聞こえてきて気になったんだもの」
「それよも、アンタたちもって他に誰かの企画が不採用になったのか?」
「あっれー?マサムネはこんな情報も知らないのねー」
「ははは、煽りよるな貴様でどんな情報だよ」
「伏井出ケイが次の新刊の出版を止めるそうよ?」
「はぁ?!そんな訳ないだろ!それ何処情報だよ!よく分からないまとめサイト発信だったりするんじゃないのか?」
「そんな訳ないでしょ!ちゃんと出版社のHPに載ってる公式発表よ」
「えーっと、なになに?」
そのHPにはこう書かれていた。端的に言えば、諸事情により小説の企画が中止になったという発表だった。
この企画は前々からHPで取り扱っていた。それを取り下げると言うのはただ事ではない。
「うわ、マジだ…。先生もこんなの納得いかないだろうな…急に企画を取り下げられたんだし」
「ネットでも大荒れだったのよ、でも今では鎮静化してるわ」
「はあ?なんで?」
「まあ、これを見なさいよ」
そう言って、エルフは正宗にタブレットを手渡す。そこにはあるスレッドが表示されていた。
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【速報】 伏井出ケイの新刊 企画が取り下げられる 【悲報】
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SF系書籍の出版社のHPにて伏井出ケイ先生の新刊である伝奇物短編集の発売が中止になったとの発表がありました。
ソース:ttps://*********/?****=*********
002人目のフクイデスト 20**/**/** **:**:** ID:*********
マジかよ…如何したんだ先生…
何か不祥事でも起こしちゃったか
伏井出ケイの時代は終わった 20**/**/** **:**:** ID:*********
伏井出ケイの時代ももう終わったな。今回の件で干されるだろ
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>>003
機械龍乙、最近先生のスレ荒らしまわってるのお前だろ
変なコテ付けて、同じ言葉ばっか言ってるからクソコテロボって言われてるぞ
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>>004
構うな、構うな。それよりも詳しい情報をくれよ
これじゃあ、何が原因で中止になったか分からん
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>>005
安心しろ、別に先生が不祥事を起こした訳でもない
ただ、経営陣との意見の食い違いがあったから今回は見送るってことらしい
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はーい、解さーん。
最近、先生の知名度が増してからはこういう煽り記事多くなったよな
前々まではSFという小さいお山の大将とか言ってたのに
ラノベや別の方向への才能があると分かった途端にこれだもんな?
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>>007
確かに多くなったな
大きい出版社が伏井出先生を陥れようとしているんじゃないかって邪推しちゃうよな
まあ、そういうことではないんだろうけど
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まあ、まとめサイトも伏井出先生の事を記事にしておけばアクセス数が稼げるんだろうな。
中には先生をDisってアンチを集めてアクセス数を稼いでいるところもあるしな
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ああ、あそこな。『サーベル暴君』
でも、あそこは昔から全方位攻撃を仕掛けているスタイルだからな
むしろ、管理人は乗せられているアンチの方を笑ってるんじゃないか?
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ええ…(ドン引き)
あそこって、そんなサイトなんか
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しかも、Flash時代以前からちょっとずつ変わっているネット古参のサイトだからな
生粋の煽りスキル持ちだぞ、あそこの管理人
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はいはい、サーベル暴君の話は終わりにしようか
実際、意見の食い違いって何が起こったんだろうな?
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分からんな…取り合えず情報待ちかな?
それまではゆっくりしてよう
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ちょっとー情報まだですかー
スレ半分を越したんですけどー
マダァ?(・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン
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>>560
待たせたな!( ゚Д゚)つttps://*********/?****=*********
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>>561
有能、これはゼロの危機を救った科学者の青い光の巨人
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>>561
有能、これはクライシスインパクトの後に宇宙を修復した爺さん
564人目のフクイデスト 20**/**/** **:**:** ID:*********
で、情報は?(自分では確認しない)
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>>564
【速報】 伏井出ケイ先生 別のテーマで作品集を出す 【朗報】
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>>565
( ゚д゚) ポカーン・・・
(つд⊂)ゴシゴシ
(;゚д゚) ・・・
(つд⊂)ゴシゴシゴシ
_, ._
(;゚ Д゚) …!?
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え?え?先生、マジで言ってんのか?
568人目のフクイデスト 20**/**/** **:**:** ID:*********
やっぱり、先生は眠らないんやなって…
569人目のフクイデスト 20**/**/** **:**:** ID:*********
伏井出ケイは宇宙人なんです!本当です!信じてください!
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>>569
馬鹿な事を言うな!
571人目のフクイデスト 20**/**/** **:**:** ID:*********
>>569さん…貴方、疲れているのよ。休暇を取った方がいいわ
572人目のフクイデスト 20**/**/** **:**:** ID:*********
>>569、お前は一週間ROM専だ
573人目のフクイデスト 20**/**/** **:**:** ID:*********
そんなぁ…
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「こんな、感じよ」
「うん、最後の奴が可愛そうなのはわかった」
「違うわよ、重要なのは結局アンタだけが出版できないってことよ」
「あっ」
この後、正宗はエルフの伝手で出版社を紹介して貰ったり、ラノベ天下一武闘会というギリギリな名前の大会に参加したり、宿敵である千寿ムラマサと出会うのだった。
hisashi様、粘度a様
誤字報告ありがとうございます。
(´・ω・`).;:… 皆さんのおかげで私は楽しく執筆出来ています
(´・ω...:.;::.. これからも応援よろしくお願いします。
(´・;::: .:.;: .. 私もこれから皆さんに面白い小説を提供できるよう頑張ります。
:: .:.;:;: .:.;: .. ベリアル様ァ…