マキアちゃん逆行   作:テトテトテト

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評価もお気に入りも増えてやったー!!
UA200に対してお気に入り9件って凄くないですか(有頂天)
嬉しすぎて新たに投稿!今後もよろしくお願いします!


と、言いたいところなのですが、この話には捏造設定が多分に含まれています…誕生日の風習とか全部捏造です。
ダメな方はここでブラウザバックお願いします…


第5話

 

 

 

 

 

 

 

 

「〜〜♪」

 

 ラングがヤギの乳搾りを終えて片付けをしていると、マキアが鼻歌を歌いながら軽い足取りで通り過ぎていく。傍目から見ても機嫌がいいのは明らかだ。

 手には干し草を山のように抱えていて、どうやら掃除のために移し替えているようだ。干し草自体はそこまで重量があるわけではないが、当然1度で全て持っていけるはずはなく、何度か往復することになる。

 そのため結構な重労働であり、決して鼻歌を歌いながらやるような作業ではない。

 

「なんか最近ずっと機嫌いいよな、マキア。」

「そう?そうかもね!」

「そうだろ。今だって鼻歌なんか歌ってさ。なんかあったのか?」

「聞きたい?聞きたいよね?」

「うざ…」

 

 マキアがしつこく聞いてくるので流石に鬱陶しそうな様子を見せるラング。ただ鬱陶しがっているのは表面上だけのことだ。

 マキアに好意を寄せているラングにとっては、うざがらみでもマキアとの会話が増えて嬉しく思っている。

 ラングはそんな内心の機微を欠片ほども見せず、聞いてほしいオーラ全開のマキアに理由を聞くことにした。

 

「で、なんでそんなに機嫌良いんだ?」

「それはですねぇ…なんと!私とエリアルが出会ってからそろそろ2年になるからです!」

「なんだそんなことかよ…」

「そんなこと、じゃないよ!私にとっては凄く重要なことだよ!エリアルとまた出会ってから2年…感慨深いなぁ…」

「(また?)ああそう良かったね…あれ?でも、1年のときはやってなかったと思うけど?」

 

 理由を聞いたラングはまた親バカだよ、と呆れている。しかしマキアは大真面目だ。エリアルを愛することに関しては前回のディタにも負けるつもりがない。

 それに、マキアは前回の日々でエリアルと出会った日を祝ったことはなかった。あのときは今ほど余裕がなく、エリアルを育てるので精一杯だったため、そこまで気が回らなかったのだ。なので、子育て2回目であり周りに気を配る余裕のある今回では、出来る限りお祝い事もしようとマキアは思っていた。

 気合の入っているマキアを見てもラングの呆れ顔は変わらない。普段からマキアがエリアルをどれほど溺愛しているかラングは知っているので、いつものこと、という感想しか出てこないのだ。

 だがそこでふとラングは疑問を覚えた。記憶が確かならば、1年前は今のようにはしゃいではいなかったはずだ。

 それを聞いたマキアは急に落ち込み始め、先程までのハイテンションっぷりが嘘のように鳴りを潜めてしまった。

 

「ああ…あのときはまだ色々と忙しくて…エリアルもまだ今よりだいぶ手がかかったし、気づいたら過ぎちゃってたんだよね……ああ、私のバカバカ!一生の不覚!」

「お、おい、そこまで落ち込むなよ…それならその分、今年盛大に祝ってやれば良いだろ?」

「え…?」

「ああ。エリアルが生きてこられたのはマキアがいたお陰だろ?だから、マキアとエリアルが出会った日を、エリアルの誕生日にしちまえばいいってことだよ。」

「なるほど!じゃあ、ラング達の誕生日みたいにお祝いしてあげれば良いんだね!」

「そうそう。エリアルが欲しいものを買ってあげてもいいかもな。まぁまだ2歳だから、欲しがるとかないかもしれんが…そこら辺は自分で考えてくれ。」

「おお、それはいいね!ラングありがとう!早速街に出ていろいろ見てくる!」

「おい待て仕事終わったのか。」

 

 ラングの提案に我が意を得たり、と思ったマキアは運んでいた乾草を放り投げて出て行こうとする。

 しかしマキアは見ての通り仕事の途中である。それが分かっていたラングは走り出そうとしたマキアの肩をガッと掴み、残酷な現実をマキアに突きつけた。

 

「離してぇ!私はエリアルの誕生日プレゼントを買いに行くの!!」

「それは後からでも出来るだろ!仕事が終わってからにしろ!」

「いいものがなくなっちゃうかもしれないでしょ⁈」

「そもそもこんな田舎に良いものなんてそんなにねえよ!とりあえず、何買うか悩むのも街に行くのも仕事が終わってから!」

「そんなぁ…」

「今ヤギのミルクも搾り終わったし、俺も手伝ってやるからさ。ほら、そうと決まったら早く終わらせるぞ。」

「うう…分かった。待っててねエリアル…」

 

 仕事をしなければならないことは分かっているのか、オノラと遊んでいるエリアルのほうを未練がましく見ながらも渋々掃除を再開させたマキア。

 搾ったヤギのミルクを仕舞いってきたラングはマキアに続いてヤギ小屋の掃除を始めた。

 ラングは掃除しながらも、先ほどの会話の中で気になっていたことを考えていた。疑問を忘れないうちにマキアに聞こうと思ってそちらを見ると、マキアは手を動かしつつも心ここに在らず状態だった。

 エリアルのプレゼントに思考を裂きすぎて動作がカクつき、機械的になっている。そんなふうになっているマキアに聞いてもまともな答えが返ってこないかもしれなかったが、下手したらプレゼントを買うまでこのままかもしれないと判断したラングは今聞くことにした。

 

「そういえば、マキアの誕生日はいつなんだ?」

「…へ?」

「だから、マキアの誕生日だよ。去年は終わった後だったのか?分かんねーけど、誕生日祝いとかしなかったじゃん。今年は出来たらなーって思ってさ。」

「あ、えっと、あの…」

「も、もしかして、誕生日教えちゃいけないとかあるのか、イオルフの民って。それとも、教えたくないとか、か…?」

「ああ違くて!そんなんじゃないの!」

 

 はっきりとした返答が来ないことに、ラングは自分が嫌われているのかと声が小さくなっていったが、それに気づいたマキアが慌てて否定した。

 マキアが返しにどもったのは別の理由がある。そもそもそんなことを聞かれるとは思っていなかったのだ。前回でも聞かれなかったことに、急に対応できなかっただけだ。

 

「あーその、私達イオルフの民は、誕生日を祝うとか、そういう習慣がないんだよ。ほら、私達はとても長生きでしょ?だから、歳を重ねるってことを特別視しないんだよね。それなんで、いちいち祝ったりしないの。」

「はー、そうなのか。」

「もっと言うと、歳の数え方も結構適当なんだよね。生まれてから、次の年の初めになると1歳増える、みたいな数え方なんだよ。だから、年の初めに生まれた子は次の年が明けると1歳になるし、年の終わりに生まれた子も年が明けると1歳になるんだよ。だから、イオルフの里では新しい年になるとみんな一斉に歳をとるの。」

「なんか面白いなぁ…」

 

 マキアの話を聞いたラングは、イオルフの民の特殊な歳のとり方に感心する。

 マキアとしてはその考え方が当たり前だったので、ラングの反応は新鮮なものだった。イオルフの里ではずっとこうだったので、マキアは外の世界に来たときに、誕生日を祝うということに逆に驚いたくらいだ。ただしそれは前回のことであり、今回は当たり前のこととして受け入れていたが。

 マキアを含めたイオルフの民は、よほど物好きでなければ自分の生まれた日を正確には知らない。だから、先ほどのラングの質問にすぐに答えられなかったのだ。知らないものは答えようがない。

 

「だから、年の初めが誕生日みたいなものかな…。あ、でも、エリアルと出会わなかったら今の私はいなかったな…。そう考えると、今の私が生まれたのは、エリアルと出会った日なのかもしれない。」

「なんだそれ…もういいんじゃん?エリアルと誕生日一緒ってことで。そのほうが分かりやすいし。」

「エリアルと誕生日が一緒…良い。それいいね!ラング、今日は冴えてる!」

「その言い方だといつもはダメみたいに聞こえるんだが…」

「決まり!私の誕生日はエリアルと一緒、ってことにしよう!」

「で、いつなんだ?」

「明後日!!」

「あっそう…じゃ、その日はエリアルと出かけてきたら?母ちゃんには言っておくよ。」

「本当?じゃあお願い!私はエリアルの好きそうなものが置いてある店探さないと…!」

「だから仕事が終わってからにしろって言ってるだろ!」

 

 結局ヤギ小屋掃除以外にも布を織ったりと他のことをしなければならず、エリアルとの買い物は誕生日当日まで叶わなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「楽しかったね、エリアル!」

「うん!」

 

 マキアと並んで歩いているエリアルは、新品の小さなボールを持っている。

 エリアルの誕生日を盛大にお祝いすると決めてから2日、ミドから牧場の手伝いのお休みを貰ったマキアはエリアルを連れて街に出てきていた。

 朝からエリアルと2人でショッピングを楽しみ、時に休憩をはさんで甘味を食べたり広場で遊んだりして楽しんでいた。

 

「ミド達が美味しい夕飯を用意してくれてるんだって。よかったね、エリアル!」

「たのしみ!ママも、たのしみ?」

「ママも楽しみだよ!でも、エリアルが喜んでくれるのが1番嬉しいの。」

「そうなの?」

「そうだよ?」

 

 もう日が暮れ始め、道や周囲の草花が夕日で茜色に染まっている。

 日差しを背に帰路を歩いていると、道の先にミドの牧場が見えてきた。

 

「あ、もうすぐだね。エリアル、駆けっこで競争する?」

「する!よーい、どん!」

「ああ、ズルい!待ってよエリアル!」

 

 最近走ることが出来るようになったエリアルは、何かと走りたがる。

 勝手に合図を出して一足先に走り始めたエリアルだったが、所詮2歳児の歩幅などたかが知れている。

 マキアが本気を出して走れば当然すぐに追いついてしまうので、マキアはエリアルにギリギリ追いつくか追いつかないかくらいのスピードでジョギングしはじめた。

 

「ワン!」

「オノラ、ただいまー!」

「ただいまオノラ。」

 

 家に到着すると、牧場犬のオノラが出迎えてくれた。オノラはミドとその夫が結婚したときからいるのでもう年齢的には老犬に差し掛かっているが、そんな様子は少しも見せず、いつもエリアルと遊んでくれている。

 マキアはそんなオノラにいつも感謝していた。

 

「ウォン!」

 

 扉の前で吠えて自分はここまでだと言いたげなオノラをマキアは軽く撫で、既にランプが点いている部屋の中に入った。

 

 マキア達が部屋に入ると、中は色とりどりの布や紙で装飾されていて、かなり手がかかっていることが分かる。おそらく1日かけてマキア達がいないうちに準備したのだろう。部屋の上のほうには何か書かれている横断幕もある。

 

「わぁっ…!」

「すごいね、エリアル…え?」

 

 部屋の飾りに目を奪われ、感嘆の声を上げるエリアルとマキア。しかしマキアは奥の横断幕を見て、キョトンとした顔になる。なぜならそこには、

 

 “エリアル、マキア、お誕生日おめでとう!”

 

 と書いてあったからだ。

 

「わたし、も?」

「あったりまえだろ!兄ちゃんから聞いてたけど、マキアの誕生日もエリアルと一緒なんでしょ?なら、お祝いしないわけにいかないって!」

 

 呆然となるマキアに、デオルが出てきてマキアの誕生日祝いも兼ねている、と言った。

 マキアはこんなことは知らされておらず、エリアルだけの誕生日会だと聞いていた。マキアに対するサプライズは成功しているようで、マキアは驚きのせいで感情が追いついていない。

 

「ま、そういうことだよ。せっかくなら、一緒にやろうぜってことだ。今まで1度もやったことないなんて、寂しいだろ?だからまぁ、勝手にやらせて貰ったぜ。だからマキアもおめでとう、だ。」

「イオルフの里ではどうだったかなんて関係ないさ。外の世界に出てきたんだから、こっちのルールに従ってもらうよ。だから、あんたに拒否権なんかないさ。大人しくエリアルと一緒に祝われてな!」

「ラング、ミドも…」

「ほら、誕生日プレゼント。」

 

 ラングが何かを手渡してきた。それは、リボンでラッピングされたカチューシャだった。

 

「これなら仕事にも邪魔にはならないだろ?機織りに使う道具とかも考えたんだけど、下手なものを専門家に贈ってもしょうがないからさ。だからリボンとカチューシャにして、どっちでも好きな方をつけてくれ。」

 

 チェック模様の可愛らしいカチューシャだと思ったが、よく見ればラッピングに使われているリボンのほうも綺麗な色をしている。

 笑顔で誕生日を祝ってくれる3人を見て、マキアは胸の奥が暖かな気持ちで一杯になる。その想いが目から溢れそうになり、すんでのところで上を向いて堪えた。

 

「なんだいマキア、また泣いてるのかい?」

「な、泣いてない!」

「なら、ちゃんとこっちを見てみろよ。泣いてないなら、上を向く必要ないよな?」

 

 ミドとラングが意地悪そうにマキアに言う。すぐに否定したマキアだが、泣くのを必死に堪えているのは誰の目にも明らかだった。

 

「ママも、おたんじょうび?」

「そうだよ、ママも、エリアルと一緒なんだよ。おめでとうって言ってやりな、エリアル。」

「ママ、おめでとー!」

「っ!」

 

 限界だった。

 前回でも言われたことのないエリアルからの祝福に、マキアの目尻から一筋の雫が落ちる。

 それが頬に伝わり地面に落ちる前に、マキアはゴシゴシと乱暴に袖で涙を拭った。あらかた水分を拭き取ったら、そのまま歯を食いしばって後から出てこようとする涙を堪える。

 

(約束したから!あれ、でも今回はまだだから大丈夫…?いやそんな訳ない!泣かないもん!)

 

 少しの間奮闘していたマキア。次に顔を上げたときは、目元は赤いがしっかりと前を向いていて、涙はすでに無かった。エリアルはラング達に次々とおめでとうを言われていてマキアのほうを向いていなかったため、その泣き顔をエリアルに見られることはなかった。

 

「エリアルも、誕生日おめでとう。オレ達からはこれ、プレゼントだよ!」

「わぁ、ありがとう!」

 

 デオルはキラキラしたガラスがはめ込まれた小さなネックレスをエリアルの首にかける。

 自らの首元で輝く飾りを見て、エリアルもご機嫌だった。

 

「すごい、きれい!」

「良かったね、エリアル。」

「うん!あ、ママは、つけないの?」

 

 1日中歩き回っていたとは思えないほど元気に返事をしたエリアルは、マキアの手元を見て疑問を口にする。

 

「ううん、今から着けるよ。着けてもいい?」

 

 マキアはプレゼントをくれたミド達に許可を取る。すると全員が何を言っているんだと言わんばかりの呆れ顔をした。

 

「プレゼントしたんだから、もうマキアのものだよ。着けていいに決まってるじゃん。変なこと聞くなぁ…」

 

 それを聞いたマキアは早速カチューシャをつける。リボンもあるが、今回はカチューシャを着けることにした。

 

「どう…?」

「おお、似合ってるよ。やっぱり素材がいいから何を着けても似合うねぇ。」

「ほんと?ラングはどう思う?

「ま、まぁ、似合ってるんじゃん?」

「デオルは?」

「似合ってるよ、マキア!」

 

 マキアは感想を聞き、嬉しそうにその場でくるりと1回転する。

 ランプの光にカチューシャの銀糸が煌き、元々可愛らしいその容姿をさらに引き立てていた。

 

「……」

「ほら、ボーッとしてんな、夕飯の支度だよ!今夜は腕によりをかけたんだ。ありがたく味わって食べな!」

「痛って、母ちゃん、叩かなくてもいいだろ!」

「お前がいつまでもぼけっとしてるからだよ!さっさと動く!」

 

 その仕草に見惚れていたラングはミドに頭を叩かれた。それにハッとなったラングは照れ隠しもあり、すぐにマキアのほうから視線を外した。

 

「ママ、よかったね。」

「うん!ありがとう、エリアル!」

 

 その後手間のかけられた豪勢な夕食に舌鼓を打ったマキアとエリアル。

 

 マキアの長い人生の中でも初めての誕生日会は、これから先ずっと記憶の中にもヒビオルの中にも刻まれていくことになった。




あと、2歳児の行動について間違っているところがあるかもしれません。ネットでちょっと調べただけなので…
お気に召しませんでしたら申し訳ありません。どうか寛大な心でお許しを…
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