不慣れなタイプですが頑張ってみました。

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誕生日

少しずつ暖かくなってきて、そろそろ衣替えを考え始める季節の変わり目のある日。いつもと変わらず教導を終えたなのはは、次の教導メニューを組むためオフィスに残って作業をしていた。

「……よし。こんなものかな」

端末の電源を落として辺りを見回すと、部屋にはなのは以外には誰もいなかった。一応他の端末の電源も落ちていることを確認した後に部屋の電気を消して扉を閉じる。人気の無い廊下を歩いて外に出ると、もうだいぶ暗くなっていた。

 帰路に就きながら昨日のホワイトデーのことを思い出す。バレンタインの際にたくさんの人に配ったチョコのお返しは想像以上に多く、あげた覚えのない男性局員達からも何故か貰っていた。そんなに日持ちするものでもないから、今度誰かを呼んで一斉消費でもしなければならない。

「…でもフェイトちゃん達もいっぱい貰ってるんだろうなぁ」

 チョコを使った料理を考えているうちに家に着く。今日は早帰りのフェイトが先にヴィヴィオと晩御飯を食べている筈…なのだが妙に静かだ。

「ただいま~…あれ?」

 玄関扉を開けて声を上げても反応が無い。明かりは点いているが人の気配も無い。何かあったのだろうかと不安に思いながら、リビングの扉を開けると

 

パンッ

「!?」

 突然の乾いた音に驚き、思わず目をつぶると続けてパンッパパパンッと炸裂音が鳴り響く。

「れ、レイジングハート!」

『No problem.Master.』

「へ…?」

 愛機を信じておそるおそる様子を確認すると、頭に色鮮やかなテープがかかっている。そして

「「「「「「お誕生日おめでとうございまーす!!」」」」」」

「………………あ」

 たくさんの友人たちに囲まれてようやく気付く。今日は3月15日、高町なのはの誕生日だ。

「あ、ありがとう…みんな…」

 少し照れ臭く思いながら感謝の言葉を述べると、皆も満足げに微笑む。そのうちの一人の愛娘ヴィヴィオがこちらにやってくる。

「どう?びっくりした?」

「ホントに驚いたよ~…私がすっかり忘れてたせいもあるけど」

「えへへ~大成功☆ あ、そうだ!今日はフーカさんとリンネさんにも来てもらってるんだよ!」

 ヴィヴィオの後ろを見ると綺麗に着飾った二人がいた。

「押忍! お邪魔してます!」

「お誕生日おめでとうございます、なのはさん」

「ありがとう、二人とも。綺麗な服だね」

「これはリンネのご両親に用意してもらったものなんです」

「二人ともすごく良く似合ってるよ」

「ありがとうございます。父と母も喜ぶと思います」

「あとこれ、プレゼントになります」

「あ! フーカさん抜け駆けずるい! ママ、私からはこれ!」

 そうやってプレゼント争贈戦が始まり、誕生日パーティーは進んでいった。八神家からは代表としてはやてとヴィータが。ティアナやスバル、エリオとキャロも来ていたりと決して狭くは無い筈のリビングが狭く感じる程のパーティーだったが、それぞれが明日の為に帰って行き、11時を過ぎる頃にははやてたちを残すのみとなった。

「うちらも帰ろうか、ヴィータ?」

「うぃ~…ック」

「もう。飲みすぎだよヴィータちゃん」

「うるへいっあらしはよっへらいっ!」

「べろんべろんやな…まぁ私が背負っていくわ」

「大丈夫? はやても結構飲んでたけど」

「あんなん水や水。ほなお邪魔しました。お誕生日おめでとうなのはちゃん」

「うん。ありがと、はやてちゃん」

 バタンと扉が閉まり、家に静けさが戻る。

「…ふぅ。あ、ヴィヴィオは?」

「疲れて寝ちゃったみたい」

「そっか。じゃあ私たちも寝よっか」

「うん、そうしよう。もうお風呂は沸いてるから…あ、洗い物しなくちゃ。なのはは座って待ってて」

「私も手伝うよ」

「いいよ、今日はなのはのお祝いなんだから。それに…」

 その時インターホンが鳴った。

「ほら、だれか来たから。なのはが出てね」

 それだけ言うとフェイトはキッチンへと行ってしまった。仕方なく洗い物は諦めて玄関の扉を開ける。

「はーい。誰か忘れものでもしたー?」

 しかし目の前にいたのはさっきまで家にいた人ではなく、なのはのよく知る無限書庫の司書長だった。

「…遅れてごめん。お誕生日おめでとう、なのは」

「ユーノ君!? そんなわざわざこんな遅くに…ど、どうする? まだちょっとだけならお菓子残ってるけど上がる?」

「いや、渡したいものがあるだけだからここでいいよ」

「そ、そう…? あ、ありがと。これは…?」

 ユーノから渡されたのはツタのような植物の鉢植えだった。

「花は他の人から貰ってるかなと思って。アイビーっていう観葉植物なんだ。枯れにくいから忙しいなのはには丁度よさそうだから」

「可愛い形の葉っぱだね。…うんありがと。大切に育てるよ」

「気に入ってくれてよかった。じゃあ僕はこれで」

 心底ホッとした笑顔を浮かべたユーノは、満足げに背を向ける。

「あ…ゆ、ユーノ君!」

「?」

 なのはの声が届いたユーノは振り向く。

「……っぁ…。ら、来年は!来年は早く来てね!楽しかったんだから!」

「わかった。来年は頑張るよ」

 そう返してユーノは去っていく。その背中が見えなくなるまで見送った後、なのはも家の中へ戻っていった。




『永遠の愛』『結婚』『友情』『不滅』『誠実』

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