『ゲームスタートだよ!!』
その言葉を最後にモニターの電源は切れた。
しばらく呆然としていた彼であったが直ぐに思考を切り替えた。
PDAを見てみると制限時間のカウントダウンが始まっている。
「俺の絵柄は〈A〉クリア条件は...QのPDAの所有者の殺害か…」
「もう一度小町や戸塚達に会うためには条件を達成するしかないっていうのか」
しかし、只の高校生である彼に現時点で他人を殺す覚悟が有るのかと問えば答えは否だ。
だが、これが普通の感性であり、日本という世界トップクラスで平和な国で育っていればごく自然なことである。
「取りあえず情報が少なすぎるな…」
「もう少しこの部屋を調べてみるか」
タンスの中、引き出しの中、ベッドの下などと調べてみたが特に何もなかったが冷蔵庫の中を見てみるとペットボトルに入った水があった。
そんな時、部屋のドアノブが回った。
「誰だっ!!」
そこに立っていたのは見知った顔の少女だった。
「一色?」
そう、そこに立っていたのは亜麻色髪のあざとい後輩"一色 いろは"だった。
「せ、せんぱいなんですか…?」
彼女の声は震えており、よく見ると目元にはうっすらと涙が溜まっていた。
走っていたのか息も若干上がっておりうっすらとだが頬が赤く染まっている。
すると感極まったのか又は不安に耐えきれなくなったのかは分からないがこちらに飛びついてきた。
「お、落ち着け一色」
「怖かったです、怖かったです。目が覚めたら知らないところに居ますし、訳が分からないゲームの説明されましたし、とにかく怖かったんですー」
「そうか、そうだよな」
彼は自然に彼女の頭に手をやっていた。
「ふぇ?」
「あー、わりぃ、つい俺のお兄ちゃんスキルが発動してしまってたみたいだ」
「もうっ!!あざとすぎですよ先輩!!でも…ありがとうございます…」
「ん。取りあえず状況を整理したいから一度座るか」
こうして一度椅子に座った二人はお互いの状況を確認しあった。
二人に共通しているのはここに連れてこられる直前の記憶はあるがこのゲームに参加させられている心当たりは無いということ。
また、連れ去られる直前に持っていた荷物はそのままあるということ。
「先輩、このゲームって本物なんですかね?」
「本物?」
「いや、ほらテレビのドッキリ企画とかそんなんじゃないかなーって…すみません、そんなわけないですよね」
彼女の気持ちは分からなくもない。
いきなり非現実的な事に巻き込まれたのだ、現実逃避をしたくなるのも分からなくもない。
「本物かどうかは知らんが、本物として動いていくしかないだろうな」
口ではそう言っているが内心は否定したかった。映画やテレビか何かだと思いたかった。だが自分以外の参加者が実際に居るという事実。
彼は何かを悟っていた。このゲームは本物だと。条件をクリアしない限りここからは出られないということを。
だから彼は___。そんな時彼女が食い気味に質問をしてきた。
「そういえば先輩の絵柄ってなんなんですか?ちなみに私は〈Q〉です!」
「!?」
「あれ、先輩どうしました?顔色すごく悪くなってますよ」
「一色、PDAを渡さなくていいから絵柄の画面だけ見せてくれないか?」
「? いいですよ」
彼女は彼に画面を見せた。そこに描かれていたのは紛れもなく〈Q〉だった…
〔残り47時間35分〕
次回魔王襲来予定
余談ですが直前でマキナスリーブ取り逃すという悲劇が起こりました。