もうね、恋人とかいるリア充は爆発すればいいと思うんだ…。(遠い目)
それはそうと、更新が著しく遅れて申し訳ありません。
就活で読む時間はあれど書く時間はないという。すいません、言い訳ですね。
今回は宴会編一話目。続きます。二話目は明日にでもあげようかと考えています。
今日は異変解決を祝した宴会が博麗神社で開催される。
紅霧異変の時はスペルカードルール制定のために霊夢が忙しく働いていたため開かれなかったが、せっかくだから春雪異変解決とあわせて行おうということになり、私たち紅魔館のメンバーも博麗神社へ向かう支度をしている。だが……
「パチュリー様、本当にいいのですか?宴会に参加しなくて」
「いいのよ、今更顔を合わせる必要がある人物はいないし、魔理沙は好きな時にここに来るしね。それに、いくらなんでも館を空っぽにするわけにはいかないでしょう?」
「それはそうですが……」
そう、パチュリー様が今回不参加を申し出たのだ。
せっかくだから一緒に参加したかったなあ。
私が内心しょんぼりしながらパチュリー様を見ていると、その様子を見ていた美鈴がパチュリー様に近づき、抱きあげた。
突然の行動に面食らったパチュリー様は腕を振り回す。
「ちょっ、美鈴!何するの、離しなさい!」
「まあまあ、こういう催しに参加するのも面白いですよ?館の警備は妖精メイドに任せればいいですし、図書館の管理はこぁちゃんがやってくれます。それに――」
美鈴は意味深に笑うと、パチュリー様の耳元に口を寄せ、何か囁く。
それを聞いたパチュリー様の顔がぼっ、と一気に紅潮した。
「なっ、美鈴、あなた、なんでそれを知って……!!」
「私の能力を忘れましたか、パチュリー様?身体に関することはこの館で一番だと思っていますよ」
「う、ううううう!分かった、分かったわよ!宴会に行くから早く降ろしなさい!」
パチュリー様はやけくそ気味に叫ぶと、ずんずんと足音を鳴らしながら図書館の奥へと消えていった。
「美鈴、パチュリー様に何を言ったの?」
「秘密です。それより早く準備しないとパチュリー様が来てしまいますよ?」
何だろう、美鈴が意味深に笑った時、すごく悪い顔をしていたような……。
いや、気のせい気のせい。あの優しい美鈴がそんな顔するわけないもんね。
私は自分を無理矢理納得させつつも自分の支度をするために部屋へと戻るのだった。
全員が準備を終え、飛んで博麗神社へと向かう。
私はレミリア様に傘をさし、太陽の光が当たらないようにする。
フラン様は美鈴に肩車してもらい、美鈴が傘をさしている。
やがて博麗神社の鳥居が見えてきた。
私たちは境内へと足をつける。
すると、本殿の方から小さな影が私に突っ込んできた。
「シャンハーイ!」
小さな影――上海は一つ叫ぶと私の頭の上に乗った。
初めて会った時も頭の上に乗ってたし、気に入ったのかな?
「久しぶりね、咲夜。……そちらの人たちもしばらくぶり、かしらね」
上海を追ってきたのか、アリスもやってくる。
アリスを見たレミリア様達は一斉に全員身構えた。(フラン様だけは事情を呑み込めていないようで首をかしげていたが)
アリスもまた人形を数体浮かせて構えている。
あれ?なんでこんな剣呑な雰囲気になってるの?というかレミリア様達はなんでアリスを知ってるんだろうか?
緊迫した空気の中、どちらにつけばいいか分からずにおろおろしていると、レミリア様達とアリスの間に弾幕が一つ撃ちこまれた。
思わず私たちが弾幕が飛んできた方に視線を向けると、腰に手を当てた楽園の素敵な巫女様が不機嫌顔で仁王立ちしていた。
「喧嘩なら余所でやりなさい。神社を傷つけたら退治するわよ」
お祓い棒を突き付け、警告した霊夢はそのまま身を翻して神社へと戻っていった。
か、かっこいい……!私が何もできなかったあの空気を一瞬で払拭するとは……!さすが主人公は格が違った!
「……そうね、宴会の日に無粋だったわね。非礼を詫びるわ、人形遣い」
「いえ、警戒するのも無理はないわ。あの異変以来、会ってなかったのだから」
私が霊夢のかっこよさに感動しているうちにこちらも和解したみたい。
何か私の知らない確執でもあったのかな?
とりあえず先程の空気が無くなったことに安堵して私達は神社へと足を進めたのだった。
神社にはあまり人は来ておらず、アリスと私達紅魔館メンバー位だった。
霊夢は宴会に出す料理の途中だったようで、すぐに台所に引っ込んでしまった。
私も手伝わなくちゃね!それに女の子同士で料理を作ることに少し憧れてたんだよ!
妖精メイドは手伝いよりも邪魔になることが多いからあまり一緒にいないしね。あの子たちも以前よりはましになったんだけどね……。
私は手土産代わりに持ってきた私の能力を使って作ったワインを持ちながら台所に入る。
そこには竈で鍋を作っている霊夢の姿があった。
竈かあ。紅魔館はレミリア様が無理を言ったのか、コンロが設置されてたからなんだか新鮮だなあ。
「霊夢。ワインを持ってきたのだけど……。私も手伝って構わないかしら?」
「ん?ああ、咲夜。それはそこの台に置いておいて。手伝ってくれるのなら野菜を切ってもらえる?」
「ええ。……ところで何を作るの?」
「とりあえず大勢が食べられるものかしらね。そういう経験はあまりないから少し大変だわ」
「大勢が食べられるものね。分かったわ」
私はワインを置くと、大根を手に取って輪切りにしていく。
おでんでも作ろうかな。
季節は少しずれてるけどまだ少し寒いし。
私ががんもどきやらちくわぶやら作っていると、霊夢がこちらを覗きこんでいるのに気が付いた。
「何?というか、そっちはもういいの?」
「あとは煮込むだけよ。……あんたがおでんを作ってる姿ってなんか変ね。洋食を作るのかと思ったのだけど」
「大勢で食べられるものってあなたが言ったんじゃない。それに紅魔館の料理は和洋折衷よ」
「節操がないのね」
「良いとこどりと言ってちょうだい」
私はおでんを煮初めて問題がなさそうだと分かると、懐から注射器を取り出し、自分の腕に刺して血液を採取する。
それをおでんに入れようとすると霊夢が慌てて止めてきた。
「ちょ、ちょっと!何してるの!?」
「あ、いつもの癖で。そうね、今回はみんなで食べるんだから血液入りは駄目よね……。どうしようかしら」
「……はあ。小皿に分けるんだからそこに入れればいいでしょうに。あんたしっかりしてると思ったら意外に抜けてるのね」
お、霊夢それナイスアイディア!それなら問題ないよね。
そんなに私しっかりしてるように見える?……咲夜ボディのおかげか。
その後、みんなで食べられる料理を霊夢と共同でいろいろ作っていると、誰かが台所に入ってきた。
「失礼します。食材をいくつか持ってきたのですが……。あ、あなたは……」
お、妖夢だ。手には食材でパンパンになった袋が。……人里で買ってきたのかな?
妖夢は私を見たまま固まっている。
あー、そういえば異変で倒して以来会ってなかったっけ。
自分を負かした相手と顔を合わせるのってなんか気まずいよね。特に本気の勝負とかだと。
でも、仲良くしたいんだよね。従者同士として。あ、そうだ!
「妖夢、で良かったかしら」
「あ、はい!」
「料理はできる?」
「は、はい。一応」
「なら手伝ってちょうだい。私と一緒に肉を捌きましょう」
戸惑ったような感じで私の隣に来た妖夢だったが、肉を捌く手は素早く、正確だ。
むう、負けてられないな!
私も妖夢に負けないように肉を捌いていくのだった。
なんだか途中で料理対決みたいになったけど、こういう風に並んで料理作るっていいよね。それに霊夢や妖夢みたいな美少女だとさらにいい。
「ある程度できたし、あっちに持って行ってくれる?」
霊夢が最初の鍋を指さして頼んできた。
霊夢自身は最後の料理に取り掛かっており、手が離せないみたい。
ちょうど手が空いてるし、私が持っていこう。
私が鍋を持っていくと、宴会場は人がかなり集まっていた。
いつの間にか来ていた魔理沙はパチュリー様と魔法談義中で、アリスはそこから少し離れたところで二人の話に耳を傾けながら人形でフラン様やルーミアの相手をしている。
紫は幽々子と何か話していて、藍は紫のそばでじっとしている。
橙は美鈴の膝の上で本物の猫のように撫でられ、愛でられていた。
プリズムリバー三姉妹は楽器の調整中でリリーは物珍しそうに神社内を見渡している。
レミリア様は静かに紅茶を飲みつつ、フラン様を眺めていた。
私はいくつかの机で構成されている即席の台に鍋を乗せる。
蓋を開けるといい匂いが広がり、それに気が付いた数人が顔をこちらに向けた。
「そろそろ料理も全部できますし、始めましょうか」
私が声をかけると、全員が各々好きな席に座る。
上座には紫、幽々子、レミリア様。その隣は開けられており、そこに従者が座るのだろう。この場合、紫の隣は藍、幽々子の隣は妖夢、レミリア様の隣は私になる。後はやはり主催である霊夢の席が紫の逆隣りにあることか。
他の面子は特に規則性もなくバラバラで、せいぜい私の席の逆隣りがフラン様、プリズムリバー三姉妹が一緒に座り、三魔女が一緒に座ってるくらいだろう。
二つの異変にいたチルノと大妖精は修行、レティは春眠のために欠席だと聞いたから、これで全員だろう。
やがて、霊夢が最後の料理を持って現れ、妖夢も席に座り、霊夢が酒の入った杯を掲げる。
「あー、じゃあ異変解決を祝って、乾杯」
「「「「「「「かんぱーい!」」」」」」」
なんだか投げやりな開催の言葉だったけど、周りはそれでも良かったようで一斉に乾杯する。
こうして、宴会は開催された。