一応紅魔郷のキャラと顔合わせした後、妖々夢に行こうと思っています。
…妖々夢買ってプレイしないとなあ…
図書館を出た私は、いったん厨房に戻り、美鈴の分のクッキーを皿に乗せ、紅茶を足してそれらをお盆に乗せてから美鈴の部屋に向かう。
美鈴の部屋につき、ノックしてから問いかける。(途中、玄関の扉が吹っ飛ばされてたり、庭園に砲撃の跡を見つけたりした。また仕事が増えた…泣きたい)
「美鈴、いる?入るわよ」
「え、咲夜さん!?ちょ、ちょっと待ってください!」
美鈴の声を聞いて私は止まろうとしたのだけど、そんなことは知ったこっちゃないとばかりに入っていくマイボディ。ちょ、待てよ!
私が部屋に入って最初に見たものは慌てて上着を着る美鈴の姿。
むう、大きい。なにがとは言わないが、大きい。
思わず自分の胸のあたりを美鈴のそれと見比べてしまう。
やはり前世でさんざんネタにされていたからだろうか、どうにもコンプレックスを感じてしまう。(ちなみにチラ見した程度だが、霊夢や魔理沙には勝ってると思う)
しかし、美鈴のお腹のあたりに巻かれている包帯を見て、そんな思いはすぐに霧散する。
「美鈴!怪我してるじゃない!ちょっと見せなさい!」
「あ、いやこれは、あの巫女と戦った時に弾幕が当たってしまって…」
なるほど。そういえば原作でも美鈴は弾幕ごっこがあまり得意じゃないという記述を見た気がする。
とはいえ心配なのは変わりないのでお盆を机の上に置いてから包帯をほどき、怪我を見る。
そこには赤い痣があり、もうすぐ治りそうだということはすぐに分かった。
おそらくだが、能力で気を集中させ、治癒力を促進しているのだろう。
どうやら大怪我を負ったわけではないと分かり、ほっとして包帯を巻きなおす。
「ふふ、心配してくれたんですか?ありがとうございます」
すると、美鈴が微笑ましいものを見るような顔で私の頭を撫ではじめた。
「美鈴?いつまでも子ども扱いしないでっていつも言ってるでしょ?(相変わらず撫でるのウマっ!美鈴の手、気持ちいいナリィ…)」
内心では最高にハイになってる私だが、口は拗ねたような口調で美鈴に返す。
「私にとってはいつまでも可愛い咲夜さんですよ。昔と変わらず、ね。さ、お菓子を持ってきてくれたんですよね。一緒に食べませんか?」
本当はこれから夕飯の準備をしなければならないのだが、能力を使えばすぐにできるだろうと判断し、了承する。
「ええ、いいわよ。念のために二つカップを持ってきてよかったわ」
私はカップに紅茶を入れ、一つを美鈴に差し出す。
美鈴はそれを嬉しそうに受け取り、ソファに腰掛ける。
私もそれを見て椅子に座ろうとすると、美鈴が手招きしてきた。
何かと思い、カップを置いて近付くと、素早く腕を引っ張られ、美鈴に抱きつく格好になってしまう。
「美鈴?何のつもりかしら?」
「こういうつもりです」
美鈴は私の体を回れ右させると、ぬいぐるみを抱くように後ろから抱きついてくる。
「最近、咲夜ちゃんとこうしてゆっくりする機会無かったじゃないですか。だからこのままお話ししましょう」
「ちゃん付けはやめなさい、ちゃん付けは…」
この姿勢からは美鈴の顔は見えないが、きっと彼女は満面の笑みを浮かべていることだろう。
きっと本気で嫌がれば解放してくれるだろうが、美鈴の言うとおりここ最近は異変の準備でいろいろ忙しく、話す機会もなかったし、役得なのでこのままで構わないだろう。
「…私の頭にクッキーこぼさないでよ」
そう言って私はクッキーを一枚手に取って口の中に放り込む。
美鈴は紅茶を飲み始める。
おいしいです、と彼女が言えば、当然よ、と私が返す。
そういえば、小さかった頃、美鈴はこうやって私にいろんなことを教えてくれたっけ、と思い出す。
私を優しく包む温もりに、母親という存在がいるなら、きっとこんな感じなのかなあ、なんて考えながら、私はゆっくりとした時間を過ごすのだった。