どうにもしっくりこないのでこれからはいつも通りに分量に戻しますね。
あとご指摘があったのでオリ主警告タグを追加しました。
美鈴の部屋を出て厨房に向かう。
あの心地いい空間を出るのは朝布団から出るくらい辛かったが(あくまで例えだ。この体は朝、何の躊躇いもなくベッドから出てしまう)そろそろ夕飯を用意しないと、レミリアお嬢様の機嫌を損ねてしまう。
厨房で作るのは、ステーキとサラダとオニオンスープだ。
焼き具合はレミリアお嬢様はレア、フラン様はウェルダン、美鈴はミディアムだ。パチュリー様は捨食の魔法のおかげで食事をとることがないし(でもおやつは食べる。なんでも「何事も楽しみは必要よ」とのこと)小悪魔はパチュリー様からの魔力のおかげで食事も睡眠も必要ない。(でもおやつは(ry)
次にレミリア様とフラン様のために注射器を使って私の血を抜く。
この注射器は昔から紅魔館にあるものらしく、メモリなんて親切なものは書かれていない。
だから、どの位まで血を抜くかは私の感覚頼りだ。少なすぎたら小食なレミリア様はともかく、フラン様の分が少なくなってしまうし、多すぎたら私が貧血で倒れてしまう。
(ちなみに今までそれで5回倒れたことがある。)
二人とも昔は美鈴から直接吸って飲んでいたらしいが、私がある程度育ってからは私の血を飲むようになった。(人間の処女の血はどんな上等なワインよりもおいしいということなのだが…、私にはよく分からない。)
一度だけレミリア様に直接首から吸われたことがあるが、あれはやばい。
前後不覚になるほどの快楽が私を襲い、妙にエロい声で喘いでしまった。
後で美鈴に気を静めてもらわなかったら発情していたかもしれない。
そんなことがあって以来、私は自分で血を抜いてそれをワイングラスに注いでいる。
最初は自分の血がグラスにあるのは変な気分だったが、今はもう慣れてしまった。
能力を使って速攻で料理を作ると、時間を止めてお嬢様の部屋へ向かう。
能力を解除し、ドアをノックする。
「お嬢様、夕食でございます。入ってもよろしいでしょうか?」
しばらく待つと、返事があったので、部屋の中に入る。
レミリア様は椅子に足を組んで座っていた。
「あら、今日はステーキ?焼き加減は?」
「レアでございます、お嬢様」
「パーフェクトよ、咲夜」
「感謝の極み」
ウォルターの名言が言えたことでテンションが上がっている内心に対し、体はあくまで冷静にレミリア様の傍らまで動き、そこでレミリア様が食事を終えるのを待つのが決まりだ。
「この血を感じるくらいの生焼け具合がいいのよねえ…」
レミリア様の食事風景は端から見るだけでは可愛い幼女がおいしそうに食事をしているだけなのだが、近くにいると、圧倒的なカリスマと漏れ出ている妖力によって感じる圧迫感のせいで貴族と食事を共にしている気分にさせられる。
最初は緊張で体がガチガチになったものだが、今はもう自然体でいられるほどには慣れた。
全ての料理を食べ終わったレミリア様は最後に私の血を味わうようにゆっくりと飲む。
「んくっ、んくっ…。相変わらず咲夜の血はおいしいわね。小食な私でも何杯でもいけそう」
「ありがとうございます、お嬢様。食器をお下げしても?」
「ええ、いいわよ。…ねえ、咲夜」
食器を片づけて部屋から出ていこうとした私をレミリア様が呼び止めた。
「何でしょうか?」
「あなたもあの巫女と戦ったのでしょう?どうだったかしら?彼女は」
そういえば、原作だとレミリア様は自分を打ち負かした霊夢に好感を覚えたはずだ。
なら私が感じたことをそのまま伝えればいいだろう。
「そうですね…。人間にしては強い、と言ったところでしょうか。スペルカードルールというルールがなければお嬢様に敵わないでしょうが、かなり善戦するでしょうね。それと、彼女は典型的な天才肌です。もしかすると、努力する人間の気持ちが分からないかもしれませんね。回避速度、弾幕の展開速度、威力、追尾性、頭の回転の速さ、勘の良さ、敵と見定めた者に対する容赦のなさ、どれをとっても一級品で、万能性が高いですし、あの妖怪の賢者が博麗の巫女に任命するのも頷ける話です。…あの巫女が気に入ったのですか?お嬢様」
「ふふ、嫉妬かしら?咲夜」
「いえ、お嬢様が人間に興味を持ったのは私を除いて初めてだったものですから」
「…あなたは気に入ったかしら?彼女のこと」
はて、何故私が霊夢を気に入ったのかどうかの話になっているのだろう?
レミリア様が霊夢を気に入ったのではなかったのだろうか…。
「お嬢様の従者としては、あまり。お嬢様のことを打倒していますし。私個人としての話ならば、気に入っています。誰よりも平等で、気持ちを偽らない姿勢は好感が持てますね。あの強さも素晴らしいです。私には無い強みが彼女にあるように思います。きっと、友人になれたのならば、良き友になるでしょう」
やっぱり原作主人公だし、仲よくしていきたいなあ。
でも戦闘中彼女のことを怒らせるようなことばかりしてたし、あっちは私のこと嫌ってるかも…。
あ、やば、泣きたくなってきた。
「そう…。もういいわよ、咲夜」
そう言うとレミリア様は思考にふけってしまい、空を見つめ始めた。
私は扉をくぐり、厨房を目指す。今度はフラン様に料理を届けなければならないからだ。
それにしても、緊張したああああああ…。
レミリア様って私が思ってたよりもカリスマがあるから、会うたびに緊張しちゃうんだよね。
なんというか、突然先生に職員室に呼ばれたような、そんな緊張感。
おかげで苦手意識が未だに拭えなくて、距離を微妙にとっちゃうんだよなあ…。
ああ、フラン様を見て癒されたい…。
精神的な疲労を感じつつ、私はもうすぐ会えるであろう癒し要員に思いをはせるのだった。
咲夜さんにとっては、レミリアは学生にとっての校長先生とかみたいな立ち位置です。
パチュリーやフランとは無意識に距離をとってるのに対し、レミリアとだけは意識的に距離をとってるので前二人よりも離れてる距離が大きかったり。