1ヶ月以上遅れてのバレンタインとなります。
ある月曜日の放課後。生徒会室の前をふらつく1人の少女の姿があった。その手には小さいとも大きいとも言い難い箱が握られている。
日も沈みかけた頃、生徒会室から出てくるもう1人の少女。その彼女にレジーナは人目も憚らず抱きつく。
「もう、あたしをいつまで待たせるのよ!」
「ごめんね、レジーナ。」
「じゃあ、暗くなる前に帰ろうか。」
いつもマナと一緒にいるレジーナだが、生徒会の仕事がある日に学校で待つという事は珍しい。何かの用件があっての行動である事は想像に難くないが、その違和感についてマナが問いかけるよりも先にレジーナが口を開いた。
「ま、待って!マナ!」
一緒に帰ろうとしていつものようにレジーナの手を握ろうとしたマナ。しかしこの時握った物はレジーナの手ではなく、本来今日渡される筈のない箱だった。
「マナの事を思うとどうしても待ちきれなくて……う、受け取って!」
あまりにも突飛なレジーナからの贈り物。当然、マナは心の準備もできていないだろうし、お返しとなるチョコなどこの場においては望むべくもない。これも一種のジコチューと言えるのかもしれないが、マナの事で頭がいっぱいになっていたレジーナも、レジーナがこのギフトに込めた想いを感じ取っていたマナも、そんな事は少しも考えていなかった。
「……ありがとう。レジーナ。」
目を細め、ただそう言って口にしたチョコは、決して綺麗とは言えない形に見合わない、繊細な味だった。
「じゃあ、私からもお返ししなくちゃね。」
そう言ってマナは軽く周りを見回した。他の生徒会の面々は既に帰路に就いており、この場には2人の少女を残して他に人の姿はない。
一方、レジーナはその予想外の言葉に驚いていた。そしてそのお返しは、その疑問を口にしようとしたその時に贈られた。
「えっ、今お返しなんてあっ_」
2日待って、入念に作り上げたチョコをレジーナに渡す。それが最も確実で常識的なお返しの形、のはずだ。そうしなかったのは、他の誰よりも強いレジーナの自分への想いに応える為か、はたまたレジーナと同じように突然の贈り物をする事であいこの立場にする為か。
「んっ、マ、マナッ……」
レジーナの口に甘い味が広がる。自分のそれと同じ位強いマナのレジーナへの想い。今でもちょっとジコチューな自分の一切を拒絶せずに包み込むマナの優しさ。マナの口の中でその甘さを何倍にも増したチョコだった物。その全てが混ざり合った味がレジーナの思考と心を蕩かしていく。
「マナ…マナ…マナァ……」
マナが唇を放して尚、レジーナは快楽の海に溺れたまま。レジーナは解放されて尚マナを求め、先刻とは似て非なる思いでマナに抱きついて物欲しげな目をするレジーナ。そんな彼女にマナはまず小さく呟いた。
「大好きだよ、レジーナ」