なかなか暇をつくれず亀更新。
いっぱい食べる君が好き第二弾です。
切ちゃんの誕生日に間に合わなかったよ……(内容関係ないケド)
「あれ、切歌ちゃんだ」
リディアンからの帰り道。
学校の敷地を出てしばらく歩いた辺りで、ワタシは見知った背中を見つけた。
「きーりーかーちゃんっ!」
「ひゃうッ!?」
思わず走り寄って行って、彼女の肩を叩いてみると、びくりと肩を震わせた彼女の口から驚きの声が上がった。
「だ、誰デスかっ!? アタシはこう見えて、としゅくぅーけんの達人デしてっ! あなたたちのような不良サンたちと遊ぶ暇なんか、これっぽっちもないのデスッ!」
ぶんぶんと、その場で両手を振り回しながら、怯えたように叫ぶ切歌ちゃん。
「ぬぁっ!? ちょ、違うよ切歌ちゃん!? ワタシワタシっ!」
予想外の反応をした彼女に、慌てて両手をあげて降参ポーズを取るワタシ。
「デス……? あッ!? ひ、響さんでしたか……こ、こりゃ失礼しちゃったデスよ」
ワタシの顔を見て気付いてくれたのか、ようやく落ち着きを取り戻してくれた切歌ちゃん。なんだか悪いことをした気になった、ワタシは謝った。
「ご、ごめんね……? そんなにビックリするなんて思わなくって」
「あ、あぁ、違うんデス! ちょっと心細かったと言いマスか、なんと言いマスか……」
「……? 心細い?」
切歌ちゃんの言葉に引っかかりを覚えて、そこでワタシは気が付いた。
「あれ? そういえば調ちゃんは? 今日は一緒じゃないの?」
いつも二人一緒で居るはずの、調ちゃんの姿が今日に限って見えないのだ。
「あ、あぁー……調デスか……実は、今日は調は、本部でメディカルチェックを受ける日だったんデスよ。だから学校を早退して、アタシよりも先に帰っちゃったんデス……」
……なるほど、そういうことか。
肩を落とす切歌ちゃんを見て、一連の彼女の奇行に合点がいく。つまり――
「今日は調ちゃんが隣にいないから、一人ぼっちで寂しかったんだね切歌ちゃんっ!」
「なッ!!? ち、違うデスよッ!! 調がいなくたって、アタシはへいきへっちゃらへのぱっぱデスっ!」
ワタシの指摘に、切歌ちゃんは大きく取り乱した。顔を赤くして、首をぶんぶん振っている。
必死に否定はしているけれど、さっきまでの振る舞いを見たら誰でも答えは一目瞭然である。さっきのは、一人で帰るのが心細いっていう意味だったんだね。
うんうん、なるほどなるほど、それはいいんだけど――
「……ワタシの大好きな魔法の呪文に、変なの付け足さないでもらえるかな?」
「……ひッ!? ご、ごめんなさいデェスッ!?」
ハッ、しまったつい……。
怯えた表情で謝りまくる切歌ちゃんに、ワタシは場を仕切りなおすように、咳払い。
「こほん……まぁ事情はなんであれ、切歌ちゃんも今日は一人で帰らなきゃいけないわけだっ。ワタシとおんなじだねぇ!」
明るい調子で言った。
「えっ……響さんも、デスか? そういえば未来さんの姿が見えないデス――はッ、まさか別居デスかッ!? カメンフウフってやつになっちゃったデスか!?」
切歌ちゃんがハッとした表情をする。ワタシは予想外の彼女からの追及に「ぶはっ」と噴き出した。
「ち、違う違うっ! ていうかどこで覚えてきたのそんな昼ドラワード!? 今日は未来、学校でピアノの特別授業に出るから帰りが遅いらしくって、それでたまたま別なだけだよ!」
ワタシの説明に、安心したように切歌ちゃん。「よ、良かったデス……お二人のチューサイは、どんな凄腕のカテーサイバンショでも無理なのデスよ……」と、よく意味のわからない呟きをしていた。
……前々から少し思ってたことだけど、ちょっと偏ってるところあるよね切歌ちゃんって。
そんなことをひっそり考えているワタシだったが、そこでふと、思いついた。
「まぁ、なにはともあれ、だよ切歌ちゃんッ!」
「デス?」
切歌ちゃんの肩に両手を置いて、ワタシはニヤリと笑みを作る。
「こうして寂しい独り身が二人揃ったのもなにかの縁ッ! こういうときにすることと言えば、古今東西一つしかないよ~ッ!」
「すること、デスか?」
いまいちピンときていない様子の切歌ちゃんに、ワタシは不敵に笑みを深めた。我ながら悪い顔をしていると思う。
「――買・い・食・い」
「デ、デ、デ、デース!? な、なんデスとぉー!? 買い食いというのはあの、い、いわゆる買い食いというやつデス!?」
衝撃を受けたような顔をする切歌ちゃん。よしよし、いい反応だ。
ワタシは人差し指を口にあてながら、周りの人目を気にするふりをして、彼女に顔を近付けた。
「しーっ、声が大きいよ切歌ちゃん。もし他の人に聞かれちゃったら大変だよ! ワタシたちの買い食いは、すでに始まっているんだッ!」
「あわわ、なんと……!」
慌てて自分の口を手で塞いだ切歌ちゃん。
「どうかな、切歌ちゃん? 未来や調ちゃんがいない今日なら、誰にも知られずに悪いことを決行できる絶好のチャンスだよ……!? 学校帰りに寄り道して、買い食い――行っちゃう?」
ワタシが尋ねると、切歌ちゃんはしばらく狼狽していたみたいだっが、やがて意を決したようにコクリと頷いた。
「やらいでか、デスッ!」
「よくぞ言ったッ!! それでこそワタシたちの後輩だぁっ!」
ワタシたち二人はお互いに、悪い笑顔を浮かべながら歩き出すのだった。
「えっと、響さん……? こんなお店も何もない、ただの公園のほうへやって来てどうする気デスか?」
切歌ちゃんとしばらく歩いて移動すること、数十分。広い敷地を有する大きな公園へ二人で入ったところで、切歌ちゃんが少し混乱したように訊いてきた。
「大丈夫ッ! この立花響が居る限り、切歌ちゃんに買い食いで失敗なんかさせないからッ! ワタシの美味いものマップに、間違いは無いよ!」
「も、ものすごい安心感デス……ッ! これが主役のオーラというヤツなのデスか、かっこいいデスっ」
きらきらと目を輝かせる切歌ちゃん。そ、そんな主役だなんて……照れちゃうなぁ。
ワタシはその羨望の眼差しに耐え切れず、思わず本音を打ち明けるのだった。
「……実はというとコレには、ちょっとした事情があってね? 最近ワタシ、ラーメン屋さん巡りにハマッちゃっててさー、少し持ち合わせが心許無いんだよねぇ」
どういう事情かと問われれば、それはクリスちゃんのせいである。ワタシに罪は無い。無い……はず。
ラーメンという罪な食文化を知ってしまったワタシの身体は、もう元には戻らないのだ。
頭上に『?』を浮かべている切歌ちゃんに、あははと苦笑いで誤魔化しつつも、
「だから、これから行くお店は、味はもちろんのこと、コストパフォーマンスの面においても、大変に優秀な買い食いスポットなのですよッ!」
と堂々と宣言してみせた。
「な、なんと……ッ。それは期待度上昇天井突破というやつデスよッ。胃袋にも懐事情にも優しいだなんて……そんな優秀スポットがこんな公園にあるとは、とんだ『灯台でその日暮らし』デスッ!」
……なんだろう、そのサバイバル感溢れた不穏な慣用句。
きっと『灯台下暗し』と言いたかったのだろうな、と。調ちゃんじゃないワタシは、深く追求しないであげることにした。
どちらにせよ、興奮している様子の切歌ちゃん。
ワタシは上々の反応に満足しつつ、もうすぐそこにまで近付いてきていたその場所を、指し示したのだった。
「立花響流美味いものマップ、コスパ部門ノミネートっ! 本日の買い食いスポットはコイツで決まりだぁ!」
「あ、あれはぁー!?」
行楽シーズンにはそれなりの賑わいを見せるだろう、大型公園の敷地内。ワタシが向かったその先に停まっていたのは、一台の軽トラックだった。
荷台を改造することによって、移動販売としての型式を取っているらしきそのトラックには、目印とばかりに赤い提灯が吊るされており。
そこには達筆な筆文字で『たこ焼き』と書かれていた。
「やぁ響ちゃん、今日も可愛いねぇ! おやぁ、お友達連れてきてくれたのかい? こりゃまたサービスしてやんねぇとなー!」
そう言って豪快に笑った、たこ焼き屋さんのおじさんに、
「えへへ、おじさんのたこ焼きが急に食べたくなっちゃいましてッ! 500円の、2つお願いしまーすっ!」
と、ワタシはいつものように大声で注文を返した。
えへへぇ、ここのおじさんはいつも褒めてくれるから好きだなぁ。
「た、たこ焼きデスッ! みんなで夏祭りに行った日に食べてから、アタシもたこ焼きは大好きデスよッ! ……でも、なんでお祭りでもないのに、こんなところでたこ焼きが食べられるデスか?」
目を輝かせながら、提灯を吊り上げたトラックを眺める切歌ちゃん。不思議そうに首をかしげている。
「ここのおじさんはねー、公園へ遊びに来た人たちにたこ焼きを食べてもらうために、毎日この時間はいつもここで、トラック販売してくれてるんだよ」
ワタシが理由を説明してあげると、聞こえたのか、荷台の調理スペースへ引っ込んでいたおじさんから、
「このへんは子供連れのお客さんが多いからなー。学校帰りに買いに来てくれる子だってたくさんいるぜー? 響ちゃんみたいにいっぱい食べる子は、さすがにあんまりいねぇけどな」
と声だけで返答があった。
「あー、ひどい! おじさんのたこ焼きが美味しすぎるのが悪いんですよッ!」
「がはは、最近の子のおべっかにゃ敵わねぇな」
ワタシがぶうたれていると、おじさんが大きな袋を2つ提げて戻ってくる。
「ほらよ、500円の2つ。それぞれ5個ずつサービスしといてやったから、今後ともご贔屓に!」
にっかり笑って、白い歯を向けるおじさんに、
「わぁ、5個もッ!? ありがとーぅおじさんっ! いただきますッ!」
と大きな声でお礼を言って、袋を受け取ったワタシ。すると。
「な、なな――」
その隣で、切歌ちゃんが震えた声を出した。
「なんデスかそのトンデモはッ!? どう見てもたこ焼きのパックの大きさじゃないデスよ!?」
ワタシが受け取った袋を見て、切歌ちゃん。
それも当然のことだろう。なぜならワタシが受け取った袋は、二つ持つだけで両手が塞がってしまうほどの、かなりのボリュームを誇った袋だったのだから。
彼女の予想通りの反応に、ワタシは内心で笑みを深める。
「ふっふっふ。このワタシが、可愛い後輩である切歌ちゃんに、ただの平凡な食べ物屋さんを紹介すると思ったら、大間違いなんだよッ! ここのたこ焼き屋さんのウリはそうッ、美味しさに反比例するようなコストパフォーマンスの良さなのデスッ!」
「な、なんデスとぉーッ!!?」
両手に持った袋を掲げ、堂々と宣言してみせるワタシに、切歌ちゃんが目をキラキラさせている。
「……俺、この商売はじめて結構長いけどよぉ、響ちゃんほど、買ってもらい甲斐のあるお客はなかなか居ねェわ」
そんなワタシたちの様子を、上機嫌にトラックの窓から、たこ焼き屋のおじさんが眺めていた。
せっかく公園に来たのだからと、景観の良いベンチを二人で探して、切歌ちゃんと一緒に座る。
「信じられないデス! その袋の中身が全部たこ焼きだなんて、現物を見るまで、アタシは信じないデスよっ! 夏祭りで調と食べたたこ焼きは、6個入りで500円だったデス!」
きっと詐欺デスッ、中身は葉っぱが化けたものに違いないデスっ!
「ふっふー、満足に夢を見れない子というのはなんとも可哀想なものだねっ。そんなに言うならその目でしかと見届ければ良いよっ!」
興奮で若干おかしなテンションになりつつ、ワタシは袋からその中身を取り出して、高らかに掲げて見せた。
「じゃーんっ!」
たこ焼きといえば、竹の葉で編まれた『舟』と呼ばれる容器に入れられているものが一般的だが、ここのたこ焼き屋さんは価格優先なので、安価な透明のブラスチック容器に入れられている。
スーパーでお惣菜なんかを入れるアレだ。
一つの袋から取り出したパックは、なんと2つ。
こんがりと焼き目のついたそれの上には、照りのあるソースがたっぷりと塗られて、美しい輝きを放っている。そのさらに上には、マヨネーズで彩られた鮮やかな格子模様。
見ているだけでお腹が空いていくような、魅力的な景色だった。
「デ、デデデ、デェエエッスッ!!?」
小腹を空かせた自分たち健康的な少女にとって、もはや悪魔的な魅力を放つそのパックを前に、切歌ちゃんが嬉しい悲鳴を上げる。
「な、なんてボリュームなんデスかッ!? 倒産覚悟の出血大サービスとは、このことデスッ!? 絶対あのオジサン間違えてるデスよッ!」
返しに行かなきゃオジサンが倒産しちゃうデスーっ!!?
取り乱したように叫ぶ後輩を前に、ワタシは不敵に高笑いをする。
「ふはははっ!! 違わないよ切歌ちゃん! ワタシたちが注文した『500円』というのは――」
ワタシが掲げる一パック。そのなかに納められているたこ焼きはなんと――驚愕の25個っ!!
それぞれ5個サービスというおじさんの言葉に、偽りはなかったようだ。
驚くべきことに、あのお店で500円を払って食べられるたこ焼きの数というのが、20個入りパック2つの、計40個という破格的物量作戦ッ!
「――6個じゃない。ワタシたちがここで食べられるたこ焼きは」
それがおじさんのご好意によって、一人10個ずつの上乗せブーストが入ったことにより――
ワタシたちが今日、ワンコインで楽しむことの出来る絶品たこ焼きの総量は、25個×2パックで――
「一人50個のッ!! 絶唱だぁあああああッ!!!」
「なんデスとォおおおおおッ!!?」
腰を抜かしそうな勢いで、驚いている切歌ちゃん。
ワタシは提げていた切歌ちゃんの分の袋を、手渡した。
「そんなわけでっ! 冷めないうち食べちゃおッ。切歌ちゃん!」
受け取ったその袋の重量に、切歌ちゃんはさらに驚いて「こ、これは夢デスか……そうに違いないデス……っ」と、往生際の悪さを見せている。
ワタシは隣で、自分のパックを膝に乗せると、早々に取り付けられていた輪ゴムを外した。
ふわり。反発によってパックの蓋が開くのと同時に、ソースと小麦が焼けた香ばしい匂いが辺りに立ち昇っていく。
じゅわりとまだなにも入れていないはずのワタシの口が、唾液で満たされた。
こ、これがB級グルメ界最強とも一部では名高い、KONAMONOの実力……ッ!!
わかっていたはずのことなのに、ワタシの意識はあっさりと飲み込まれてしまった。
こうなってしまうと、もはや留まるところを知らない。
食べやすいようにと気を利かせて、おじさんが付けてくれた割り箸を割って、パックの中の一つを摘み上げる。
まだ湯気が目に見えるほどのそれは、見るからに熱々で、ワタシに一口で頬張られることを拒んでいるかのようだ。
ならば――と、箸を使って、切る様にたこ焼きを裂く。
「~~~ッ!」
美味しさが可視化しているんじゃないかと見紛うほどの、その耽美な断面に顔が緩む。
ちらりと覗いている鮮やかなピンク色は、たこ焼きがたこ焼きたる所以、主役ともいうべきタコだ。
もはや言葉なんていらない。
息を軽く吹きつけながら冷ましつつ、ワタシはその旨味に存分に歯を突き立てるのだった。
「ふぅ、ふぅ……はふッ――ッ! む、っは、ふっ……~ッ! ん、ぅ……はふっ、むぐ……~っ!」
絶え間なく打ち寄せる波のように、何度も何度も訪れてくるシンプルで力強い美味しさ。一噛みするたびに、身体が悶える。
ソースとマヨネーズの酸味と甘味が奏でる、必愛のデュオシャウト。
一身にそれらを受け止めている下のたこ焼きは、口に含むだけでさくっと弾けたかと思うと、じゅわっと旨味の詰まった出汁を放出しながら、舌の上でとろけていく。
ぷっくりと膨らんだタコのぶつ切りは、歯の上で踊るように跳ねて濃厚な風味を残しながら、絶妙な触感のアクセントを引き起こす。
なにもかもが計算され尽くされたかのようなバランス。すべてが絶妙な黄金比。
人を堕落させるためだけに存在しているかのような、強烈な美味さだった。
「悪魔だ……ッ! これは人を駄目にする悪魔だよッ……!」
「全面的にその意見に同意するデェスッ……! 美味しさが天井知らずデスよぉぉ……ッ!」
だらしなく顔を緩ませながら、同じくたこ焼きを頬張っている切歌ちゃん。その顔は幸せ一色に染まっており、気に入ってもらえたことがよくわかる。
あのたこ焼き屋さんが破格のコストパフォーマンスを発揮できている理由――それは、
摘み上げたたこ焼きの断面を見ながら、ワタシは密かに分析してみせる。
その秘密はおそらく――中に散りばめられた、この天かすだ。
ただでさえ安価でボリューム効率の良い粉物であるたこ焼き。
そこに水分で膨らむ天かすを使うことによって、一個当たりに使うたこ焼き粉の量を減らすことに成功し、おじさんはここまでの破格な値段を実現してみせたのだ。
そしてこの天かすこそが、おじさんが焼くたこ焼きの持つ、一際な美味さの秘密。
出汁をこれでもかと吸いこんだ天かすが、口の中でとけて、触感のなめらかさを演出しているのだ。
カリカリとろとろ。相反する二つの触感の実現。まさにこれこそ、たこ焼きの極地。
「はふっ、ふぅ、むぐ……っふ、はふ、っぐ、む……ッ!」
たこ焼きを頬張る手が止まらない。身体がもっと欲しいとねだってきて、言うことを聞かない。
「っふぐ、はふっ、もぐ……っふ、はぐっ――」
「むぐ、っふ……はふはふっ――」
切歌ちゃんとワタシの二人は、せっかく景観の良いベンチを見つけた意味もなく、一心に手元のパックに食らいつくのだった。
いいさ、遠慮せずいくらでもねだるが良い――ワタシの身体よっ!
一人前50個の大質量は、ちょっとやそっとじゃ揺らぎはしないッ!!
ワタシたちは、身も心も満腹になるまで、熱々のたこ焼きを頬張り続けるのだった。
「大、大、大満足デース……っ! もう一個だってアタシの胃袋には入らないデスよ……っ!」
「気に入ってもらえたようでなによりだよー! んー! ワタシの小腹もこれで満足だよぉ」
「……小腹?」
「今日の晩ごはん一体なにかなー!」
「ほ、ホントのホントのトンデモは響さんのほうだったデスよ……」
「そうだっ。未来にお土産で、もう一パックぐらい買っていこーかな!」
「あっ、それならアタシも、調に買っていくデス!」
「決まりだね! じゃあせっかくお土産で買っていくんだし、ここはちょっと奮発して――」
『1000円分、買っちゃう(デス)!?』
その後、大量のたこ焼きを家へと持ち帰った二人が、それぞれの親友に買いすぎだと叱られたことは言うまでもない。
おしまい。