貴方、生きているのでSANチェックです。   作:トメィト

25 / 25
アントニオ・サリエリがかっこよすぎてヤバイと思う今日この頃です。
残念ながら、宝具レベルは上げられませんでしたけど。


それは、世界の為でなく

 

 

 

 

 絶体絶命のピンチとはまさにこのことだろう。

 敵に居るのは今の自分達では叶わないサーヴァントが複数人。そしてたった今そのサーヴァントに対抗できるカルナは倒されてしまった。

 敵の総大将であるクー・フーリンはここでカルデアのマスターを見逃すような遊びを挟むような人物ではない。ラーマという力強い味方はいるが、クー・フーリンは宝具開放の準備に入っている。マシュの宝具を差し込む暇はない。流石の立香も己の最期を悟った。その時、

 

 

 

 

 ぬるりと、ナニかが這出てくるのを、この場に居た全員が感じ取った。

 

 

「………」

「………!?」

「えっ」

 

 何時の間に、と言うほどのものではなかった。その存在の出現は英霊だけでなく、一般人である立香ですら感じ取れるほど。

 しかし誰もがその存在に注目した。特別な力は感じない。サーヴァントが持つ霊基反応も感じ取ることができない。だからこそ、不自然で不可思議で……不気味なのだ。その風貌も警戒心を煽る一要因だろう。纏っているのは黒いローブ。体の体格すら見せないほど大きなもので。顔の部分も黒く塗り潰されているかの如く覗くことはできない。

 

「……何者だ」

「…………………」

 

 クー・フーリンの問いかけに、ローブの人物は答えない。ただ、警戒を露にする彼らから視線を外し、カルデアの――――いや、藤丸立香の方へ顔を向ける。男の動きに立香は身体を震わせる。彼が感じるのは警戒。絶体絶命の状況で現れた第三勢力。敵か味方かわからない存在に対して行う当たり前の行動だ。

 

 それを確認したかのように、ローブの人物は立香から視線を外して身体をクー・フーリンの方に向けた。

 

「……一先ずこの場は引いてくれないか?」

 

 聞こえて来た声は、想定よりも若いもの。恐らく二十代にも差し掛かっていないだろう。丁度立香と同世代だと思われる。

 言葉が聞こえたことでロマニ達も急いで解析を始めるが、該当者はなかった。

 

「それはできない相談だ。今ここでカルデアの連中は殺す。それを変えることはない」

 

 クー・フーリンは当然のことのように返す。その姿に、立香がかつて冬木で見た面影は見つからない。何処までも冷徹で、何処までも残酷に、機械的に答える。

 

「――――やっぱりか」

 

 ローブの男―――いや、ローブの少年と表現するべきだろう。彼はクー・フーリンの回答に大した反応を返すことはなかった。ただ粛々と彼の言葉を受け止め、佇むだけである。

 

「くだらないおしゃべりは終わりだ。……そこを退け。後ろの連中と一緒に死にたくなければな」

「……■■■・■■■■、■■■・■■■■■。――――偽・■える■眼」

 

 それは、まさに唐突に起きた。

 

 

 

~~

 

 

 

 自分達は何を見せられているのだろう。あのローブの少年が何かしたのだろうか。元々魔術に詳しいわけではない俺には理解できなかった。

 

「グッ、お前、何をした?」

「………世界の見方を変えただけ。暫くすれば直に戻るよ。でも、これ以上戦うというのであれば、無事は保証はしない」

 

 クー・フーリンが問う。ローブの少年が答える。つい先程も見ることができたやり取りだが、力関係は逆転している。今度はローブの少年が優位に立ち、クー・フーリンが不利な立場になっていた。よく目を凝らして見てみれば、彼の額には汗が流れており、何かしらの術にはまっていることだけは分かった。

 

 

「成程……お前……漸く合点がいったぞ」

「そういえば、キャスター適性持ってたっけ」

「……今回はお前に免じて退こう」

 

 

 余裕を持って対峙していた彼らはもうこの場には居ない。

 その後彼らはこちらのことを見ることなく、自分達の本拠地に帰還していった。その様を俺達はただ眺めることしかできない。追い打ちをかけるチャンスだったのだろうけど、あの様子を見ると無理だった。

 

 

 結局その場に残ったのは俺達とローブの少年?だった。彼は、自分が現れた場所から一歩も動くことはなく、ただ不動で佇んでいる。

 

「ドクター。あれはサーヴァント、ではない……んですよね」

『正直、わからない。反応がないわけじゃないんだけど()()()()()()()

「安定していない……ですか……?」

『反応が人でもあり、サーヴァントでもある。けれどどちらでもない……そんな感じだ。なんだこれ!?』

 

 ドクターの動揺が画像越しでも感じ取れる。マシュに視線を向けてみれば、彼女も同じような反応をしていた。俺自身もいくつもの特異点を越えて来た中で、計器で観測できない存在がどれほど異常なのか理解ができる。しかも、安定していないと来た。結局のところ、機械だけでは彼が何者かわからないということだろう。

 

「君は、一体……」

 

 思わず、そう問いかけていた。

 抱いていた警戒はいつの間にかどこかに行き、ただ知りたいという欲求にかられる。というのも、今までの会話で引っかかることがあるのだ。

 

 この声の主を知っている。顔も見たことがあるかもしれない。しっかりと覚えているわけではないけれど、監獄塔で覚えた違和感に似たものを感じている。だから、我慢ができなかったのだ。答えが返ってこないかもしれないと思っていても聞かずにはいられなかった。

 

「……そうだなぁ」

 

 ローブの少年は小さく呟いた後に、再び黒く塗りつぶされたフードを俺の方に向けた。一寸先も見渡すことのできない暗闇に支配され、不気味さを感じた筈の人物なのに、今はどうしてか安心すらしている自分がいる。いや、安心ではない。安堵に近いかもしれない。

 

「いずれ分かる――――なんて遠回しな言い方はやめよう。取り敢えず、こちらのスタンスだけははっきりさせておこう」

 

 彼はここで、言葉を切り、直に次の言葉を紡いだ。

 

「俺は、()()()()だ。藤丸立香」

「そう、か……うん。そうか」

 

 普通なら、どこぞの誰かもわからない人の言葉なんて信用することはできないだろう。ましてや、その風貌が真っ黒ローブを身に纏っていることしか確認できないような人物なら尚更だ。

 しかし、俺はそう思うことができなかった。人理を守る旅をはじめ、誰であろうと信頼し、共に戦うことの重要さを学んできたことも理由としてはあるが何より、彼とは他人の気がしないのだ。

 

 

 心の中を整理して、一先ずお礼を言おうとローブの少年を見やる。

 だが、そこにもう姿はなくなっていた。確かに先程まで居た筈なのに、瞬きをした直後、彼はその場に初めからいなかったかのように消えていた。

 

「えっ?」

『えっ!?』

 

 他の人も驚きの声を上げているところを見ると、本当に忽然と居なくなってしまったようだ。その内皆は一旦思考を切り替え、今後はどうやってクー・フーリンと首都攻略を進めるのかということに思考が向いて行く。

 

 こちらも仲間達に倣い、一度思考を切り替えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 




彼をもう人間でないと思いますか?
力に溺れて調子に乗ってるぅ~と感じますか?

アハハッ!! 結構結構。人によって感じ方はそれぞれ、別に意見を強制したりはしませんとも。

いや、それにしても彼女に見つからなくてよかったですねぇ。もし見つかっていたら確実に厄介でしたよ! 何故なら彼女は、ワタクシ達と同じモノを感じることができるのですから。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

カルデアに探索者が召喚されました(作者:POTROT)(原作:Fate/)

 魔術によってクトゥルフ神話TRPGのシステムを現実世界でも使えるようになった男は、突然にも邪神ひしめく圧倒的魔境カルデアに召喚されてしまう。▼ これは、窮極のあの神(幼女の姿)とか名状し難き愉快犯(小悪魔の姿)とかに目を付けられたり、謎に水着の邪神ハンターとかやたらとお小遣いをくれる金ピカの愉悦に絡まれたりしつつも、ダイスを振って人理漂白に立ち向かってゆく…


総合評価:11206/評価:8.4/連載:31話/更新日時:2023年06月11日(日) 15:35 小説情報

SCP財団の報告書的な物を書いてたら英霊になったんだが???(作者:我等の優雅なりし様を見るや?)(原作:Fate/)

『人類は恐怖から逃げ隠れていた時代に逆戻りしてはならない。 -確保、収容、保護』▼──管理者▼SCP_foundationはクリエイティブ・コモンズ表示-継承3.0ライセンス作品です(CC-BY-SA3.0)▼http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/deed.ja▼【未完結】


総合評価:19966/評価:8.44/短編:8話/更新日時:2022年03月20日(日) 02:19 小説情報

数多の英雄を束ねる者(作者:R1zA)(原作:Fate/)

「俺がギリシャ最強?そんな訳無いだろ!いい加減にしろ!」▼目が覚めたらFGOの金髪ワカメに転生してた。▼ただし雷の権能が使えたし何か全能神に気に入られた。▼…何でぇ?▼これは原典から誰おまレベルで逸脱した金髪ワカ…イアソンに転生したよくわからん奴―――基(もとい)、ギリシャの勇者王伝説の物語である。▼AD.2022/11月26日:神話編、完結。▼AD.202…


総合評価:22472/評価:8.71/連載:33話/更新日時:2023年11月05日(日) 22:26 小説情報

人間になる魔法(作者:まぞーく)(原作:葬送のフリーレン)

1人の愚かな魔族がいた。たったひとりの愚かな魔族が▼フリーレンにコロコロされる魔族オリ主杯の小説を見て書きたくなりました。まあ、期間外なのでタグは付けないです。▼こういう魔族がいても不思議じゃないかもと思って。


総合評価:23/評価:-.--/連載:2話/更新日時:2026年01月31日(土) 15:17 小説情報

背伸びした奴が本物に分からされる話(作者:パレード)(原作:ポケットモンスター)

イッシュ地方出身の根暗少年が陽キャになる事を夢見て、ずっと陽キャ面をしてきたが本物の陽キャに差を見せつけられ夢を諦め、染めた髪も口調も表情も元に戻し趣味だったバトルに本腰を入れた所からはじまる話。▼なお陰キャ時代の少年を知らないパルデアの皆さんは陽キャのフリをした少年こそが元々の性格で、バトルで行き詰まった少年が闇堕ちして見た目を変えて強さだけを求めている様…


総合評価:26795/評価:8.73/連載:17話/更新日時:2025年09月18日(木) 22:30 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>