神であり魔王である者も異世界から来るそうですよ?   作:ケミ

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あら、魔王襲来のお知らせ?
第20話 問題児達の悪戯


―――箱庭二一◯五三八◯外門居住区画・“ノーネーム”農園跡地。

 

じゃりっ、と砂を踏みしめる音がした。見渡す限り荒廃している白地の土地に、天真、黒ウサギ、レティシアは佇んでいた。

 

「………酷いな。ここがあの農園区とは、にわかに信じ難い。石と砂利しかないじゃないか」

 

「申し訳ありません。せめて水の都合が付けば子供たちでも手に入れる事が出来たのですが」

 

「え?あ、いや、黒ウサギ達を責めている訳じゃないんだ。それにコレは人間の手でどうにかできる物じゃないからな」

 

慌てて両手を振るレティシア。天真は土壌を弄る。

 

「駄目だね。土地が死んでいるよ。水の有無に関係なく、生物の住める環境じゃない」

 

「………はい」

 

「土壌を復活させられる可能性はあるけど、これだけ広大だと厳しいかな?」

 

「天真さん!その話は本当ですか!?」

 

「俺はこの場所の三年前を知らないから元の状態に戻ったのかは分からない。けど―――ほら」

 

土壌を弄るのを止めて、黒ウサギとレティシアに弄っていた場所を見せる。そこには確かに土壌が生成されていた。

 

「凄いです天真さん!!この土壌があれば、農園区を復活させることが出来ます!!」

 

「さすが天真だ。それでどの程度の広さを復活させられるんだ?」

 

「大体25haくらいかな」

 

「十分です!なので天真さん、お願いします」

 

「はいよ」

 

天真が作業を終えると本拠に続く向こうから、割烹着姿の年長組の一人―――狐耳と二尾を持つ、狐娘のリリが泣きそうな顔で走ってきた。

 

「く、黒ウサギのお姉ちゃぁぁぁぁん!た、大変ーーーー!」

 

「リリ!?どうしたのですか!?」

 

「じ、実は飛鳥様が十六夜様と耀様を連れて………あ、こ、これ、手紙!」

 

パタパタと忙しなく二本の尾を揺らしながら、リリは黒ウサギに手紙を渡し、俺とレティシアは覗き込む。

 

『黒ウサギへ。

北側の四○○○○○○外門と東側の三九九九九九九外門で開催する祭典に参加してきます。貴女も後から必ず来ること。あ、あと天真君とレティシアもね。私達に祭りの事を意図的に黙っていた罰として、今日中に私達を捕まえられなかった場合()()()()()()()()()()()()退()()()()。死ぬ気で捜してね。応援しているわ。

P/S ジン君は道案内に連れて行きます』

 

「……………、」

「……………?」

「―――――!?」

 

たっぷり黙りこむこと三○秒。黒ウサギは手紙を持つ手をワナワナと震わせながら、悲鳴のような声を上げた。

 

「な、―――……何を言っちゃってんですかあの問題児様方ああああ―――――!!!」

 

「脱退はさすがに言い過ぎだけど、隠し事は信頼を失うよ?」

 

「ううっ………」

 

黒ウサギが唸る。最近は落ち着いた日常を過ごしていたため、天真達は肝心な事を忘れていた。十六夜達三人の新たな同士は―――世界屈指の最強問題児集団だったのだと。

 

天真達の行動は迅速だった。リリ率いる年長組の子供達に指示を出し、手分けして十六夜達がコミュニティの領域内にいないかを確認。

 

「食堂にはいなかったよ!」

 

「大広間、個室、貴賓室、全部見てきた!」

 

「貯水池の付近もいないっ!」

 

「お腹すいた!」

 

子供達が報告する。探し回って空腹になったのか、自分の欲を伝える子もいたけど。

 

「それはまた後でな。………それで、金庫はどうだ?」

 

「コミュニティのお金に手を付けた形跡はありません。しかし皆さんの自腹で境界壁まで向かえるはずがございません!うまくすれば外門付近で捕まえることが可能です!」

 

「なら黒ウサギは先に外門へ急げ。万一捕まえられずとも、“箱庭の貴族”であるお前なら境界門の起動に金はかからない。私と天真は“サウザンドアイズ”の支店へ行く。招待状を出したのが白夜叉ならば、無償で北の境界壁まで送り届ける可能性もあるからな」

 

天真達は行動を確認し合い、頷く。

 

「天真さん。まだ命令権が残っていましたよね?ここで使います。あの問題児様方の捕縛に御協力をお願いします!」

 

「お、おう」

 

有無を言わさない黒ウサギの迫力に、天真は頷くしかなかった。特に黒ウサギの瞳には、怒りの火花が散っていた。

 

「あの問題児様方………!今度という今度は絶対に!!絶対に許さないのですよーッ!!」

 

怒りのオーラで髪を淡い緋色に染め、本拠の外に出るや否や、土埃を巻きあげて黒ウサギは爆走するのだった。残された天真達も行動を起こす―――が、

 

「それでは天真、“サウザンドアイズ”へ急ぐぞ!」

 

レティシアが天真をせっつくが、

 

「すぐに追いつくから少し歩かない?」

 

天真はレティシアを散歩に誘う。一ヶ月間レティシアと一緒に過ごしていたが、まだ彼女の過去を知らない天真は少しでも話を聞こうと考えていた。レティシアの手を取り、笑顔で話しかける。

 

「黒ウサギ達の元へなら転移が出来るからね。俺はもっとレティシアの事が知りたいな」

 

「し、仕方がないな。“サウザンドアイズ”に着くまでだぞ」

 

レティシアの許可を得た天真は、足取り軽く向かうのだった。“サウザンドアイズ”の前に着くと、いつもの女性店員から白夜叉が十六夜達を北側に連れて行ったと聞き、レティシアを抱きかかえて耀の元へ転移した。

 

そもそも、事の発端は今朝。白夜叉からの招待状が問題児達の元に届いてしまった事にあった。

 

 




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