神であり魔王である者も異世界から来るそうですよ?   作:ケミ

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第5話 主催者権限

『ギフトゲーム名 “万物の王の試練”

 

・プレイヤー一覧

 逆廻 十六夜

 黒ウサギ

 

・ホストマスター側 勝利条件

 全プレイヤーの打倒。

 

・プレイヤー側 勝利条件

一、ゲームマスターのギフト名を暴く。

二、ゲームマスターに一撃与える。

上記の内、一つでも満たした場合。

 

・特殊ルール

  相手の殺害を禁じる。

  相手が死亡する攻撃を行った場合、攻撃はキャンセルされ失格とする。

 

宣誓 上記を尊重し、誇りとホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。

“潺天真”印』

 

「なっ――黒い契約書類(ギアスロール)です!?天真さんは魔王なんですか!?」

 

黒ウサギは混乱した。

 

「この黒い契約書類が魔王のゲームなのか」

 

「YES。なぜ天真さんが“主催者権限(ホストマスター)”を使えるのか分かりません。そして私が参加できるのも分からないです」

 

「ん?黒ウサギはギフトゲームに参加できないのか?」

 

「黒ウサギは“審判権限(ジャッジマスター)”を持っていますから」

 

「ふぅん。なら久々のギフトゲームなんだな?しっかり楽しめよ?」

 

十六夜と黒ウサギの話が終わったようだ。

 

「そろそろいいかな?試練を始めても?」

 

「いつでもいいぜ!」

 

「はあ、聞きたいことがたくさんありますが後にしましょうか。終わったらちゃんと説明してくださいよ!」

 

黒ウサギの言葉を聞き終えた直後、十六夜が天真に突っ込む。

 

「いきなりかよ。でも、まだ全然本気じゃ無いな?」

 

「当たり前だ。こんなに心躍る戦いをすぐに終わらせてたまるかよ」

 

十六夜の攻撃を避けながら軽口を叩く。

 

(避けてるだけじゃつまらないか。そろそろ攻勢に出―――)

 

「うぉぉ、アブね!」

 

黒ウサギが死角から攻撃してきた。

 

「ああ、もう!避けないでくださいよ!」

 

「いや、避けるだろ。あっさりと負けるほどつまらないものはないだろう?」

 

「よそ見している暇があるのか?」

 

さっきとは比べ物にならない鋭い攻撃を十六夜が仕掛けてきた。さすがに攻撃を捌くことに余裕がなくなってきた天真は一旦離れるため、

 

「“無名の霧(マグナム・インノミナンドゥム)”起動」

 

一言だけ呟いた。天真は一瞬で離れた場所に移動した。二人がかりはまだ早かったか。攻撃は捌けるけど反撃ができない。一旦落ち着くべきだろう。誰にも聞こえないように小声で言った天真だったが、十六夜は耳聡く聞いていた。

 

(“無名の霧”?どこかで聞いたような………たしかこのゲームの名は“万物の王の試練”。万物の王?宇宙の王ということか。“カオス(Chaos)”か?いや、ギリシャ神話には“無名の霧”は無かったはずだ。ならどこで………)

 

「えっ?何が起こったのですか?」

 

「瞬間移動。大方、空間転移か超スピードってとこだろ?」

 

「そうなのですか。ところで十六夜さん、急に立ち止まってどうしました?」

 

「ああ。“無名の霧”に引っかかりを覚えてな。多分だが、万物の王ということから宇宙の王、神話に関係していると推察したけどな。後一欠片ピースが足りない」

 

「神話ですか?」

 

「最初はギリシャ神話の“カオス”かと思ったが、“無名の霧”なんて言葉は出てこない」

 

「黒ウサギはそこまで神話に詳しくないですが、現存している神話だけが全てなのですか?」

 

「どういうことだ、黒ウサギ」

 

「架空の神話とか………例えば小説などからきている可能性はないのでしょうか?」

 

「架空の神話か………小説………クトゥルフ神話か!!」

 

(ならば、万物の王を名乗るものはただ一つ。盲目白痴の神“アザトース”。 虚無の地平にいるといわれている“アザトース”か。神でありながら、その称号に“魔王”を持つ宇宙の真の造物主。ハッ、なるほど。俺と黒ウサギの二人でも手こずるわけだ。そういえば、最初に見たとき天真の瞳は虚空を見るように、何も映していないようにも見えたな。これでもう、“アザトース”で決まりだな)

 

そこに天真が攻撃を仕掛ける。十六夜が勝利条件に限りなく近づいたことに気をとられた黒ウサギは、一瞬反応が遅れた。その隙を逃さず、黒ウサギに一撃を与えて失格にさせる。十六夜にも攻撃しようとしたところで、十六夜の

 

「ゲームマスターのギフト名は“アザトース”」

 

の声でゲームが決着した。“契約書類”に勝利宣言がなされた。

 

『ギフトゲーム名 “万物の王の試練”

 

勝者・逆廻 十六夜 黒ウサギ

敗者・潺 天真

 

*上記のゲームをもちまして、今ゲームは終了となります。』

 

「まさかギフト名が暴かれるとは思ってなかったな。十六夜は力でねじ伏せるタイプだと思ったんだけどな。案外知能派なのか?」

 

天真が十六夜に問いかける。

 

「俺は生粋の知能派だぞ。ただ力で押し切ろうとして、全力出しても全て避けられたからな。まあ、あの呟きが聞こえていなかったら負けていたのは俺の方だ」

 

「それで天真さんの懸念というのは、主催者権限を持っているからというものでしょうか?」

 

「あぁ、コミュニティを奪う力を持っているからな」

 

「安心してください天真さん!言ったでしょう?魔王を隷属させることも可能だと。私達のコミュニティの仲間には隷属した魔王がいたのです。とても心強い味方ですよ!」

 

「黒ウサギ………ゴメン、試すような真似して」

 

「ホントですよ!“後で埋め合わせはする”と言っていた件も含めて、命令権二つで手を打ちましょう」

 

「黒ウサギがそれでいいなら」

 

「話はついたみたいだな。世界の果てを見に行って箱庭の世界を楽しむぞ」

 

そう言って十六夜が歩き出したので、仲間となった二人はおいて行かれないように駆け出した。

 

 

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