電子の世界を駆けるピーキーな少年(仮)   作:fallere

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sao編が終わりまで王手!
現実編に行ける! 私の頭の貯蓄が試される!
頑張るぞぉ!



死を振りまく刈り手は待ち受ける。

剣士は想い人を守るために双剣を握る。

拳士は道を開くために己が拳を握りしめる。

聖騎士は己が望みのため仮面をかぶる。

いくつもの思いが渦巻く戦場は、もう目と鼻の先で・・・。


拳士・剣士・聖騎士

「・・・偵察隊が全滅ですか」

 

送られたメッセージを確認する。そこに映るのは絶望的な結果のみである。

 

それでも、戦わないという選択肢はない。逃げるという選択肢は許されない。

 

(ケン)を振るえ、道を開け、阻ムモノハ打チ砕ケ。

 

今考えるのはそれだけでいい。明日勝つまでは余計なことは考えるな。

 

ボスの情報はない。また、戦闘が始まれば退路は断たれクリスタルも使えない。

 

・・・いや、その情報があるなら情報がないというわけではない。

 

それだけのことが分かっているのだ。軽く目を閉じ偵察部隊の死者に軽く黙祷する。

 

さて、今日はもう寝よう。明日戦えないなど話にもならないのだから。

 

=======================================

 

『○○助けて・・・早く・・・!』

 

「ッ!」

 

珍しくいい(?)夢を見れた。彼女の姿を見れたのは夢でもうれしい限りだ。

 

「行こう。もう待つことはできない」

 

装備の点検やアイテムの買い足しをする。結晶は使えないが、一応一個ずつ持っておく。

 

準備は整った。意思も十分。何が何でも生き残り、現実に帰るのだ。

 

全ての用意が整い、集合地点のコリニア市に向かう。

 

そこにはすでに、多くの攻略組がそろっていた。

 

自分は、予定ではキリトさん達と同じパーティーになる予定だ。

 

「ようゼロ!」「元気にしてるか?」

 

「クラインさんとエギルさんですか。まあそれなりには」

 

「やあゼロ君」

 

そこに声をかけてきたのはディアベルさんだった。

 

「クラインさんやエギルさんもどうも、今日は一緒に頼む」

 

「おう、絶対勝つぞ」「いい売りもん手に入れるまで死ぬわけにはいかねぇ」

 

「皆さんも頼りにしてますよ」

 

軽く話をしていると、攻略組の要の二人がやってきた。

 

「ようお前ら!」

 

「おお! キリトにアスナ、来てくれたのか⁉」

 

「流石に偵察隊が全滅と聞いたら黙ってられないわよ」

 

キリトさん達も話は聞いているようだ。

 

「なに、目標はシンプルです。生きて敵を仕留めるだけですから」

 

そう、目標は分かり切っているのだ。なら手段を間違えなければいいのだ。

 

少しキリトさん達に時間をもらって、ユイちゃんのことを聞く。

 

「それが・・・ユイはMHCPっていうAIで・・・」

「今は本体をシステムから切り離してこのクリスタルになっている」

 

簡単に詳細な事情を聴くと、いろいろ大変なことがったらしい。

 

クリスタルを見ると瞬いた気がした。

 

そして、最後の要(非常に不本意だが)がやってくる。

 

「やあ諸君、欠員はいないようだな。状況は知っているだろう。

厳しい戦いになるだろうが、諸君の力なら切り抜けられるだろう―――解放の日のために!」

 

その場にいる者たちが声を上げる。このカリスマ性も僕の不信感を呼ぶ。

 

「では出発しよう。ボス部屋までコリドーを開く」

 

濃紺大きめな結晶は場所を指定し、その場所まで扉を開く。

 

非常に高価で宝箱かネームドmobくらいからしか出ない。

 

便利ではあるが、こういう時くらいしか役に立たない。

 

「コリドー・オープン」

 

ヒースクリフの握る結晶は砕け、青い光の渦が現れる。

 

「ついてきたまえ」

 

渦に入ると、一瞬眩暈のような感覚に包まれ迷宮区が目に映る。

 

「準備はいいな。今回ボスの攻撃に関する情報はない。

基本的には我々KoBが前衛で攻撃を食い止めるので、その間にパターンを見極め、

柔軟に反撃して欲しい」

 

皆が皆、無言で頷く。

 

「では、行くぞ。戦闘開始!」

 

扉が開かれ、ボス戦が始まる。

 

全員がボス部屋に入ると、後ろにあった扉が消滅する。

 

一個もってきていた攻撃上昇の《鬼人結晶》を使ってみるが、反応はしない。

 

広い床にはプレイヤーしか存在しない。ボスはどこにも現れない。

 

皆が張り詰めているのを理解しているのかいないのか、時間は過ぎていく。

 

耳を澄ます。聞き耳スキルを取っているので他のプレイヤーより聴力はいいのだが。

 

「ッ! 上だ!」

 

僕の声に皆が天井を見る。そこにいるのは骨の百足であった。全長は10mくらいだろうか。

 

特徴的なのは人間の頭蓋骨のような顔に青い炎のような瞳、

鎌状になった巨大な腕、そして槍上のものがついた長い尾。

 

その名は《Skullreaper》―――骸骨の刈り手。

 

刈り手が僕らの命を奪うために振ってくる。

 

「固まるな! 距離を取れ!」

 

しかし、その下にいるものは恐怖に竦んで動けない。

 

「チッ!」

 

チャクラムにフック縄をつけ投げつける。

 

数人いるうちの二人が縄の中に入り、戻ってきたチャクラムと縄を思いっきり引く。

 

二人救い出すことはできたが、そこはまだ数人。

 

そこに降りた刈り手は、残ったものに腕の鎌を振り下ろす。

 

斬られたものの体力ゲージが黄色に、赤に、そして・・・消滅した。

 

「なッ⁉」

 

誰の声か・・・それは分からないが、思うことは全員に伝わった。

 

斬られたものは地面に付く前にポリゴンになって消え去った。

 

体力が一撃で亡くなったのは幻などではなく、現実だったのだ。

 

刈り手は咆哮を上げ新たなプレイヤーに目を向ける。

 

その人もすくんで動けない。そこに割って入るのはヒースクリフ。

 

だが鎌は二つ。もう片方を振り上げるが、それはキリトさん達に阻まれる。

 

「大鎌は俺たちが引き受ける! 側面から攻撃を!」

 

そう言って、何人かのプレイヤーが攻撃に向かう。

 

そこに尾が振り下ろされる。一応にでも僕もサイコウなのだ。

 

クイックチェンジで武器を変更し、ブレイブビートでパリィする。

 

「尾は僕が引き受ける! 細かい足だけは気をつけろ!」

 

そうだけ言って、ポーションを飲む。

 

オート回復は籠手の効果でほぼチャラ、しかも完璧にパリィしたのに体力が奪われる始末。

 

時間が立てば攻撃力が増してパリィしやすくなるが、きついことこの上ない。

 

ステータスは筋力を大目振っているが、装備は軽量なのでパリィをミスれば体力は消える。

 

「重装備のC,D隊から攻撃開始! 軽装のアタッカーは暫く待機!」

 

ディアベルさんが指示を出す。この場で次官を務められるのはこの人だけだろう。

 

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体感で数時間、実際には十数分だろうか?

 

あの尾について分かったのは、攻撃力はあの槍上部分に集まっていること。

 

槍以外の部分なら比較的パリィしやすく、槍部分は耐久値が存在する。

 

籠手には《武装・部位ダメージ上昇》がついていて耐久値は奪いやすい。

 

だが、フロアボスの部位ともなるとそう簡単に破壊は不可能だろう。

 

「ふぅ―――――」

 

一度深呼吸をする。格闘術には、唯一それを可能にするSSが存在する。

 

だがそれは隙が大きく、失敗すれば確実に体力が奪われるだろう。

 

それでも、この尾を奪うだけで幾分も楽になるだろう。

 

やるしかないと判断して、右腕を大きく引き絞る。

 

モーションが発動する。モーションはさらに引き絞らせる。

 

それを今日攻撃と判断してか、刈り手は尾を俺に振り下ろす。

 

引き絞りが終了し、力を込めた右拳を思いっきり叩きつける。

 

「打ち砕くッ‼」

 

格闘術SS《千剣破打》、ためが長いが文字通りありとあらゆる剣を破壊する。

 

拳と尾がぶつかり合い、尾先の槍は砕かれる。

 

「尾は壊した! 全力で体力を奪い取れ!」

 

僕がそう言うと、全員が声を上げる。槍がない尾ではダメージはほとんど出ない。

 

キリトさん達に負担をかけないように即刻体力を奪い取る。

 

「全員! 総攻撃!」

 

ディアベルさんの指示も聞き全員が攻撃かかる、無論僕も。

 

それがしばらくの時間行われた。

 

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「・・・終わった」

 

刈り手はポリゴンとなり砕け散り、いつも通り『congratulation』の文字が浮かぶ。

 

膝の力が抜けてか、体が糸の切れた人形のように倒れる。

 

犠牲者は8人、あの足だけでも相当なダメージが出ていた。

 

皆が生き残りを重視した立ち回りをしていたのに、それでも圧倒的だった。

 

目を配らせると、唯一立てている人間がいた。

 

そう、ヒースクリフである。

 

Hpも半分程残っているうえ、その顔には精神的な余裕も見える。

 

それこそ・・・前に言った通り、物陰から石を投げる子供のように。

 

そして、キリトさんの話を思い出していた。

 

『あまりに早すぎる反射』

 

同じ推測を立てたのは・・・否、立てられたのはもう一人だけだった。

 

拳士は投げナイフを聖騎士に投げつける。

剣士は剣技を使い聖騎士に斬りかかる。

 

半分ギリギリ・・・いや、綺麗に半分残されたHpは減ることなく、

紫の閃光と《Immortal Object》、不死存在を示すシステムメッセージが浮かぶ。

 

キリトさんの瞳には驚きが浮かんでいる。

 

「・・・やっぱりそう言う事ですか。聖騎士改め・・・茅場晶彦」

 

拳士の声は、この場にいるもの全員を震わせた。

 

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